『第1週目』という言葉、気になりませんか? 雑誌屋の私が考える日本語のあれこれ

執筆: 藤井洋子 アイコン 藤井洋子

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もう少しで春がやってきますね。4月は入学シーズンであり、新年度のスタートでもあります。

新しい学校や職場に通い始める人も多いこの時期、皆さんもよく聞いたことのあるこの恒例のアナウンスをご存知でしょう。

「4月の第1週目は窓口が混み合いますので、定期券のご購入は3月中にお願いします」

雑誌の編集や執筆を生業としている私としてはこの言い方が気になって仕方がありません。

「第1週目」という言葉について

私が気になるポイントは「第1週目」という箇所。

この言葉のどこがおかしいのか、分かる人は同業者か校正などに携わる方など、ごく少数なのかもしれませんが、第1週目」という単語の『第』と『目』はどちらも順序を表す言葉ですので、重複してしまっているのです。

「頭痛が痛い」と同じですね。

重複(※)を避けて「第1週」または「1週目」とするのが正しいのではないでしょうか。

※ちなみにこの「重複」という言葉は『同じ物事が重なる事』を指しますが元々は「ちょうふく」が正しい読み方とされていましたが、現在は「じゅうふく」の読みも辞書に記載されているのでどちらの読み方をしても正しいとされています。

このような、時代と共に読み方が変化し、新しく定着されていった読み方のことを「慣用読み」というのだそうです。

「じゅうふく」と読むよりも、「ちょうふく」と読んだ方が賢そうに見える、というのが私個人の見解ではありますが。

重複表現ととなる単語の例

この手の表現の重複による誤用は世の中にあふれています。
たとえば、『満天の星空』や、『古来から』などが挙げられるでしょう。

「満天の星空」

『満天』は文字通り『天に満ちる』つまり『空(そら)にいっぱい』という意味。

このことを踏まえると『満天の星空』は『”空”いっぱいの星”空”』……”空(そら)”が重複してしまっていますので『満天の星』という表現が適切となりそうです。

「古来から」

これも同様に「古来」自体が「昔から」という意味なので、「古来から」は「昔からから」と言っているのと同じです。「古来」または「古くから」とするのが正しいということになります。

最近のMS Wordなどでは『古来から』と打つと、アンダーラインが出て『重ね言葉 古くから 古来』というアラートが出てくれますが、『満天の星空』は注意されません。

「爆笑」の使い方もみんな間違っている?!

このような例は挙げていくとキリがありません。

たとえば『爆笑』は『大勢が弾けるようにどっと(=爆発するように)大声で笑うこと』と定義されています。

と、なると1人で笑う事を「爆笑」というのは誤用で、1人であるならば『大笑い』などが正しい日本語となるのです。

とはいえ、

「昨日、テレビを見ていて爆笑したよ。」と話す友人に
「えっ、そんなに大勢で集まってテレビ見たの? あの狭いワンルームで? へ~」

などと返したら、ただの嫌な奴ですよね……。

誤用は副詞の使い方でも

正しい日本語、という概念は、そもそもあやふやなものです。

昨今よく耳にする誤用の代表例に、『全然+肯定文』というものがあります。「全然良い」といったのように、『全然』という言葉の後ろに肯定の言葉をつける口語ですね。

本来『全然』は否定の言葉を続けるものであるので、肯定文とするなら『断然』を使うようべきで、MS Wordの校正機能でも『断然』か『非常に』を直すよう勧めてきます。

……ですが、明治時代には『全然+肯定文』という組み合わせを、当時の文豪達が使っていた(※)ようです。すると、『全然+肯定文』はやっぱり誤用ではない、という説が一般的になってきます。

※ちなみにこの事は、Wikipediaにも掲載されています。

結局のところ……

結局のところ、『正しい日本語』というのは『現在の世の中で正しいとされている日本語』に過ぎないのかもしれません。

とはいえ、私個人としては正しい日本語を認識し、使えているかどうかという点は重要だと思うのです。特に文章を執筆し、編集する立場にある者として表現が間違っている文章は恥ずかしい。もっと言うならば、表現が正しくないのだから、内容だって疑わしい、と思われても当然……とさえ、日々思うのです。

そんな訳で冒頭に書いた駅でのアナウンス「第1週目は~」を聞いた時、私は『変な日本語め!信じないぞ!』などと感じていたりする、という話でした。

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