自転車を買った時などに登録を勧められる『防犯登録』と、登録すると貼られるあの『黄色い防犯登録シール』。盗難や紛失の際には登録者が届け出を出す事で、警察がその情報を照会する事ができるというものらしいのですが、正直私達一般人にとっては、本来の用途どおりに役立ったことは少ないような気がします。
当記事では、この防犯シールが貼ってある放置自転車をどうにか出来ないか…と苦労した際の経験をもとに執筆しています。
Index
放置された自転車があり、防犯登録シールが貼られている場合の対応方法 その正解は?
まずはじめに、ある時私が住む共有住宅敷地内のエントランス前に見かけない自転車が放置されたのが始まりでした。
結局その後しばらく放置されたままだったので、色々な所に問い合わせた結果、最終的には制服警官の方達が来て盗難届の有無などをチェックしてくれました。とはいえ、その手続きや経緯についてインターネット上に事例や明確な情報が見当たらなかったので、ここにご紹介しようと思います。
はじまり:放置された自転車が1台
建物の入り口に置かれた自転車に気づいたその時は、誰かのお客さんかな? 程度に思っていたのですが、数日経ってもその場所に置きっぱなしのままでした。自転車の前カゴにはゴミも入っているし……なんだかなぁと思いつつも、さらにその後数日経ってもずっと置いてあるままで、もしかして盗まれたものなのかな? なんて事も考えるようになりました。
一旦管理会社に問い合わせ
自転車には黄色い防犯登録シールが貼って合ってあるし、施錠もしてある。まだ動く様子でもあったので、粗大ごみとして廃棄されたのではなさそうに思えました。また、この建物には賃貸で住んでいて『敷地』は私のものではありません。という事で、まずは管理会社にメールでこの件を伝えました。
色々な建物を管理している不動産会社さんなのでもしかしたらよくある問い合わせだったのかもしれませんが、その時は
「もう少し様子をみて、変わらないようなら何かしらの対応をします」
というような回答が来ました。そして、その数日後には駐輪場の端っこあたりに移動されていたと記憶しています。
その後も数か月……
管理会社さんとしてはそれ以上は手間なのか、どうしようもないのか。自転車はその後も数か月そのままでした。かごに入ったゴミもそのまま。ホコリもかなりかぶっていきます。
また、駐輪スペースは以前からかなり手狭な状況だったのですが、ある時に私が新しい自転車を買ったタイミングでキャパシティには限界が来てしまいました。自転車出し入れの際にはお互いのハンドルに引っかかってしまうので、置いてある方を少し動かさなければいけないような状況に。一番最近自転車を追加した私としては結構肩身が狭い気持ちがあったのは事実です。

自転車を買ってしまって若干の罪悪感が
(実際の写真ではありません)
そこであらためて、この放置自転車が無くなってくれれば……と思い、行動を起こしてみる事にしました。
手がかりは防犯登録シール
私が子供の頃(昭和の頃)は結構みんな名前と住所を書いたシールを貼っていたのですが、もちろん現代ではそんな手がかりはありません。
ただし、
- 警視庁
- 町名
- 5桁数字
が記載された黄色い防犯登録シールが貼ってあったので、これで持ち主さんの手元に戻す事はできないのだろうかと思いインターネットで色々調べてみました。

他県だと違う場合もあるようです
結果としては、ネットでもあまり有力な情報は得られませんでした。どうやら一般人の私達はこの情報を照会したり問い合わせしたりはできない制度のようです。まぁ、個人情報に繋がりますし、そりゃそうでしょう。
次に、この防犯登録を推進するための団体
という団体のWebサイトにたどり着きました。
※なお、東京以外の都道府県にもこれに類する団体があるのかはわかりませんが、兵庫県などはみつかりました。
東京都自転車商防犯協力会に問い合わせ
このWebサイトの『防犯登録Q&Aページ』もひと通りチェックしてみますが、やはり今回のケースに役立ちそうな情報はみあたりません。そこで、Webサイトに掲載されている電話で番号へ直接問い合わせてみる事に。伝える内容としては概ね以下のとおり。
- 集合住宅の敷地内に防犯登録証の貼ってある自転車が長く放置されている
- 自転車はある日突然放置され、その後長い時間そのまま
- 私がは管理者・オーナーではない居住者で、管理者に問い合わせたが対応されないままである
- といったどうしようもない状況だが、持ち主が困っている可能性もあるし、放置されたままというのも問題があるので、どうにかならないのか
この質問は、以後いくつかの電話でも同様に繰り返す事になるのですが……この東京都自転車商防犯協力会からの回答としては
「当会は登録情報を保持しない団体なので対応はできないが、所轄の警察署に問い合わせてみると、何かしらの対応をしていただけるのではないか」
というものでした。
警察署に問い合わせ
そこで次にGoogleで『東京 防犯登録 自転車 問い合わせ』といった検索をしてみると表示される警視庁のページにたどり着きました。
このページの下部に表示されている電話番号に電話し、いくつかの応答メッセージのあと繋がった方に、先ほど同様……
- 集合住宅の敷地内に防犯登録証の貼ってある自転車が長く放置されている
- 自転車はある日突然放置され、その後長い時間そのまま
- 私がは管理者・オーナーではない居住者で、管理者に問い合わせたが対応されないままである
- といったどうしようもない状況だが、持ち主が困っている可能性もあるし、放置されたままというのも問題があるので、どうにかならないのか
を伝えると、親切に
「お住まいの場所の警察署に問い合わせれば、何かしらの対応できると思います」
とご案内いただきました! あわせて当方の所在地を伝えたところ、問い合わせるべき警察署(東京都の某警察署)の電話番号も教えてくれました。
そこで、今度はその警察署に電話をし、再度前述の諸々を伝えると……
「警察官が見に行きますので住所と、連絡先を教えてください」
とのこと。お、なんとかなるのかな!? という希望が見えてきました。連絡先をお伝えすると、電話の後すぐに来てくれるという事でした。
制服警官さん登場
その後30~40分ほど後でしょうか、思っていたより早くインターホンが鳴ったのでドアを開けてみると、制服姿のお巡りさんが2名立っていました。物腰のやわらかいやや年配の方と、背が高くてやや若い書類を持った警察官です。
早速ふたりを該当の自転車が置いてある場所まで案内します。
自転車の所までたどり着くと、年配の警察官さんが防犯登録証を元に無線(? 携帯かも? 謎の端末で)問い合わせしてくれ、なにやら少し通話した後に私に
(警官)「盗難届けは出ていませんね」
と教えてくれました。
結局どうにもならず、しかも……
その時私は、(私)「そうですか、では、じゃあやっぱりどうにもできないのですよね」といったような事を言ったところ、肯定を意味するご返事があったと思います。ただ、その返事になにか含みがありそうでしたので、もうひとつ試しに(私)「ここのお住まいの方の自転車だったのでしょうか?」と聞いてみると、
(警官)「いえ、そうじゃない事は分かりました」
と答えてくれました。
で、調子にのって(私)「じゃあやっぱりなんらかの理由で放置されちゃったんですね」なんて言ってみると、(警官)「そうかもしれませんね、盗難届けは出ていないので調べる事もできないのですが」というご返事。
まあそういう事ならどうにもできないんだろうな、なんて思いつつお礼を伝えて、しかたがない!解散!!解散!! ……などと思ったら、最後にそれまで黙っていた若い警察官さんが私に『名前(漢字)』『住所』『携帯番号』を聴いてきました。
警察署に電話をした時にもお伝えしていたし、この件に関してどうにもできない(しない)のに、改めて聞かれるのは何故だろうと思いつつも、まあひとまず答えて、今度こそ解散したのですが……。
さらに5分後くらいに、再び部屋のインターホンが鳴ったので出てみると、先ほどの若い警察官さんが立っていて
(警官)「もう少しお聞きしたいのですが、ここにお住まいなんですか?」「生年月日を教えてください」
なんて質問をし、答えた内容をしっかりメモしてから帰っていきました。むむむ。
結局どうなったのか
結局のところ、自転車は今もそこに有り、状況は何も改善していません。しかたがないので、管理会社に事の顛末……「今日放置している自転車について警察官さんが来てくれたのですが、住んでいる人の物ではない事は確認されたものの、盗難届はでていないのでどうにもならないそうです。どうにかできませんか」といった内容でメールをしておきました。
これもきっと、「もう少し様子をみてください」だとか「どうにかできないか考えてみます」みたいな返事で終わるのだと思います。
結果として、久しぶりにとれた休日の貴重な時間に、電話代と調査の労力をかけて事の解決を図りましたが、何も成果も!! 得られませんでした!! ……そればかりか警察官さんに色々と痛くもない身元を探られて、ちょっと心にダメージを追ったというわけでした。
この原稿を書いている今になって思えば、建物の入り口に突然パトカーが止まって、ふたりの警察官に囲まれて何かを聞かれている私の姿は……もしかしたら近隣の皆様にとってあまりいい印象を抱かれなかったかもしれないという心配も感じています。
まとめ
以上、放置されている自転車に貼ってあった『防犯登録シール』で各所に問い合わせてみた内容を記事としてまとめてみました。防犯登録シールの存在を知っている人は多いものの、あれが役に立ったという経験のある人は少ないのではないでしょうか。
結論
- 放置されている自転車に防犯登録シールが貼って合ったら
- 所轄の警察署に電話して
- お巡りさんの到着を待って
- 照会してもらう
- (場合によっては色々聴かれる)
というのが、今回の場合の正解に近い対応方法のようです。もちろん自転車を紛失したご本人であれば、ただちに盗難届出を出しておいた方が(※)よいでしょう。そうすれば、今回のように誰かからの報告で自転車が見つかった場合には連絡が来るようです。
※分証明書を持参し、お近くの警察署または交番に盗難被害の届出の手続きをしてください。その際、防犯登録カード(お客様控)を持参いただくと、手続きがスムーズに進みます。
防犯登録Q&A | 一般社団法人 東京都自転車商防犯協力会 より
反面、この制度のあまりアテに出来ない部分として、届け出をしたからといって警察がその自転車を積極的に探してくれるわけではない、という点です。まあ数も多いでしょうし、家出人(一般行方不明者)の捜索願いですらわざわざ捜索してくれないものらしいので、自転車なんて尚更……というのも頷けますが。
そして、防犯登録シールが貼ってある放置自転車を見かけても、今回のように時間と労力ばっかりかかって、最後には少し嫌な気持になるので、もう結局のところ
「触らぬ神に祟りなし」
と、関わらないのが一番と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。うーん。
せっかく皆が手間とお金を出して登録しているのですから、もう少し役に立つような制度にリニューアルしてほしいところです。AirTagみたいな機能をQRコードに付けるとか……デジタル庁とか、何か先進的な事に理解のある人達、どうでしょう。