スマートフォンは、私達の生活に無くてはならない物と言える程に普及しましたが、その重要度が増した分、そのスマホが不調だったり壊れていると、非常に不便です。
ボディに傷がついた程度ならまだしも、液晶画面が割れてしまうと閲覧や操作に支障が出て、場合によっては指を傷つけてしまう可能性もあります。
そこでこの記事では、そんなiPhoneの液晶画面の修理費用を少しでも安くする為、自分で液晶画面を修理・交換できるキットを利用して、そのメリットとデメリットをレポートしてみようと思います。
Index
iPhoneの液晶画面割れを修理する時の選択肢
AppleCare+ や、正規サービスプロバイダでの修理
Appleのスマートフォンやタブレットの保証としては、公式のサービス『AppleCare+ (アップルケア・プラス)』というものがあります。
AppleCare+ for iPhoneの加入料金は14,800円~22,800円。購入後の1年間保証に加えて1年間、自然故障に該当する症状であれば無料、または格安で修理を実施してもらえるというもの。とはいえ、液晶パネルの破損は基本的に自然故障には該当しない(落下は”自然”故障ではないという判断)のと、交換の再にはサービス費用などが別途発生する場合もあります。
正規サービスプロバイダ以外の修理業者で修理
修理対応については、前述の『AppleCare+ (アップルケア・プラス)』に対応した正規サービスプロバイダに認定されたショップの他にも、きちんと対応を行う正規サービスプロバイダではない修理業者も存在します。これらの業者はアップルから認定をうけていないとはいえ、殆どの業者が確実な対応を行ってくれます。
費用は、Apple正規サービスプロバイダの修理費用に比べやや安く作業を行ってくれる所が多いようですが……1万円~数万円という範囲は覚悟しておいた方が良いでしょう。
交換パーツを購入して、自分で修理
最近利用するユーザーが増えてきたのが、液晶の交換パーツを購入して自分で修理する……という選択肢。
一見難しそうに思えますが、amazonや楽天、Yahoo!ショッピングなど大手のネットショッピングモールでも交換パーツは沢山販売されていて、既に多くのユーザーが自分で修理対応を行っています。iPhone本体から液晶画面を取り外す専用の工具や、精密ドライバーなどが必用になりますが、液晶パネル交換キットとして、工具もセットになって販売されているものも多いです。
費用は液晶パネルの種類(※)やセット内容などによってさまざまですが、2,000円~7,000円代と比較的リーズナブル。
※Apple純正液晶の再生品の方がやや高価で、コピー品の方が割安です。とはいえ再生品をお勧めいたします、その理由はこの記事にて後述。
割れたiPhone6の液晶を自分で修理交換してみる
それでは、ここから実際に液晶パネルの交換キットを利用して、筆者の液晶が割れたiPhone6を修理してみます。
修理するのはこちらの液晶画面が割れたiPhone6。
液晶保護シートを貼っているのですが、ダメージはその下まで届いており、保護シートを剥がそうとするとガラスの粉が出てくる状態。完全にダメな感じです。
そして今回、SmaQの『iPhone用修理交換リフレッシュパネル 液晶パネル・工具セット』という製品を提供いただきました。これを使って実際に修理を行います。
ちなみに筆者は、自身でiPhoneの液晶を交換した事は一度も無い、初心者です。初心者の目線で順を追って作業していきますので、自分で直すのは少し心配だな……と感じている方の参考になれば幸いです。
本製品の特徴は、
- (Apple純正品)再生品の液晶パネル
- 液晶パネルにはカメラと金属カバーが最初から取り付けてある
(このタイプの製品の方が取り換えの手間が減ります) - 必要な工具が全て付属している
といった点。
特に1つめの『再生品』という点は重要で、折角交換を済ませても今後『iOSのアップデートによって使えなくなってしまう心配が無い』という面でかなりのアドバンテージがあります。また、発色や画面のタッチ感覚なども、修理前とかわらないという…も重要でになってきます。
ガラス面破損などでiPhoneから取り外された液晶パネルを修理・再生して交換用パーツ化したものです。元々純正のiPhoneに取り付けられていた部品なので、画面の色や表現力、タッチ感度など、交換前にそん色なく利用できます。
パッケージ内容を確認
まずはiPhone6 修理交換用 液晶フロントパネルの内容を確認。
写真左から……
- 交換用の再生液晶パネル
- 工具セット
- 解説マニュアル
- パッケージ(箱)
また、粘着する部分にカバーがついた粘着シートも入っています。
工具セットの中身はこちら……
合計9点の工具が同梱されていますが、この中で今回筆者がiPhone6の液晶交換で使用した工具は……
- 鉄ヘラ
- プラスチックヘラ大(青)
- プラスチックヘラ小(黒)
- ピンセット
- 星型ドライバー
- プラスドライバー
- マイナスドライバー(液晶を開ける際に補足として)
でしたが、液晶の取り外しに難儀する場合などは吸盤やピック型のヘラなども役に立つそうです。
作業の下準備として、小さな精密ネジを無くさないために、キットに付属していた粘着シートのフィルムを剥がして作業するアイフォンの近くに置いておきます。
iPhoneのフレームと液晶パネルを留めているネジを外す
まずは、iPhoneの電源ボタンを長押しし、電源をOFFにします。
その後、iPhoneの下部……ホームボタン側のライトニングコネクター両脇にある、星型のビスを星型ドライバーで外していきます。
※星型ドライバーとプラスドライバーを間違えやすいのでご注意を。当セットの工具の場合、星型ドライバーは緑色です。
iPhoneのフレームと液晶パネルの取り外し
星型ネジを外したら、次は鉄ヘラを使ってiPhoneのフレームから液晶パネルを外していきます。実は今回の作業では、この箇所が1番苦労しました。
付属の解説マニュアルによると、iPhone6は、イヤホンジャックのやや右側が一番開けやすいそうです。
ところが、筆者のiPhone6は、落とした再にフレームの下側が変形してしまっているせいか、中々液晶がはずれず、結果として金属ヘラとマイナスドライバーも併用してやっと液晶パネルは外れました。無理に開けてしまって余計に壊れてしまっては……という心配でかなり気を使いました。歪んでないiPhoneであれば、もう少し簡単なのかもしれません。
※マイナスドライバーを使用したのはこの場所だけです。
金属ヘラがiPhoneのフレームと液晶パネルの間に差し込めたら、プラスチックヘラ大(青)を使ってiPhoneの両側をボディから外していきます。
青いヘラを左右の隙間に入れていく事で、開けていきます。左右均等に広げていくと、やりやすいようでした。iPhoneのボディと液晶パネルは、上部(カメラ側)で配線接続されています。左右の面を開けたら上部が蝶番(ちょうつがい)になって、パカっとフタが開くような所までで、この作業は一旦ストップしましょう。
パネル配線プレートと配線コネクターの取り外し
続いてパネル配線プレートを外すため、固定しているネジ5つをプラスドライバーで外します。取り外した、各ネジは引き続き粘着シートに置いて貼付けておきましょう。
※当セット付属の工具では、プラスドライバーは赤色です。
プラスのネジには一本だけ長さの違うネジがあるので該当箇所も覚えておきましょう。
ネジが外れると、銀色の配線を保護している『パネル配線プレート』を外せるようになります。
『パネル配線プレート』をピンセットなどで外したら、配線のコネクタ4本を先が細くなっているプラスチックヘラ小(黒)を使用して外していきます。
配線コネクターを3つ外し終われば、iPhoneの本体から液晶パネルを完全に分離できるようになります。
ホームボタンの取り外し
次は、元の液晶パネルに装着されていたホームボタンを取り外し、新しい液晶パネルに移植します。この作業を行わないと『指紋認証』が使えなくなりますので、ホームボタンは基本的に旧液晶パネルから移植する必要があるそうです。
まずは元の液晶パネルをガラスの裏面から、ホームボタンプレートを固定しているプラスネジを2本外して『ホームボタンプレート』を取り外します。
『ホームボタンプレート』を取り外したら、再び『プラスチックヘラ小(黒)』を使用してホームボタンの配線コネクタを液晶パネルから取り外します。
配線が取れたら、ゴム部分が接着されているホームボタンを液晶の表面から内部(裏面)側に指で慎重に押し上げると外れます。
ホームボタンが外れたら、こんどは逆の順番(※)で新しい液晶パネルにホームボタンを移植していきましょう。
※『配線コネクタ』を装着し、『ホームボタンプレート』をプラスネジ2本で固定すればOK。ホームボタンの接着は不要です。
iPhoneのフレームと配線コネクターの取り付け方
ホームボタンプレートをネジ留めたら次は、iPhoneのフレームと新しい液晶パネルの配線コネクタをつなぎます。
配線コネクタは位置を合わせて1つづつ、丁寧につないでいきましょう。
それぞれ「カチっ」というはまる感触(音は出ません)がするまではめ込むのがコツです。
組立前に……液晶画面の表示をチェック!
ここでまで来たらあとはもう一息……取り外すときよりは工程は楽になりますので、とっとと済ませてしまいたい所ですが、念のため一旦ここでiPhoneの電源を入れて、液晶画面が動作するかどうか確認してみました。
全て組み立ててから、もし何か不具合があったらちょっと手間ですので、余計な所を触ったりしない様注意しつつ、タッチパネルの操作やホームボタンが動くかなどチェックしてみました。結果は問題無し……ひと安心です。
パネル配線プレートの取り付け
液晶画面が表示できることを確認できたら、必ず再度電源をOFFにしてから、『パネル配線プレート』を留めていきます。
ネジは非常に小さいですが、このキットに付属のプラスドライバーの先端は軽く磁気を帯びていますので、ネジをドライバーにつけてから、ネジ穴に持っていくと良いでしょう。
iPhoneのプレートと液晶パネルのはめ込み方
いよいよ最後の工程。
iPhoneのフレームに液晶パネルを取り付けていきます。最後まではめ込んだら、充電コネクター側(下側)の星ネジを2本、ドライバーで留めれば作業は完了です。電源を入れたら、あらためて画面の表示、タッチパネルの反応、ホームボタンの指紋認証が動作するかなどをチェックしましょう。
作業時間と作業をした感想
筆者は特別に修理業務経験がある……という事もないまったく素人です。
写真を撮影しながらという事もありますが、iPhone6の液晶パネルを再生品に交換に要した作業時間は1時間程。
キットには丁寧な説明書もついていますし、メーカーのWebサイトでは機種別の動画も提供していくとの事で、初めての作業で特に事前の知識がない方でも問題なくiPhoneの液晶パネルを交換することができると思います。
ネジ紛失防止用の粘着テープも付属していたので、小さな精密ネジを無くす心配もありませんでした。キットを開けたときには何の役にたつのだろう……と疑問に思ったのですが作業をしてみるとかなり便利です。
当初、この記事の執筆依頼があった時よりずっと簡単にiPhoneの分解と液晶パネルの交換できたので、自分でも少し感動しています。他にもバッテリー交換キットなども流通しているようなので、将来的にはそちらも試してみたいと思います。
まとめ 自分でiPhoneの液晶を修理するメリット、デメリット
本作業にあたっては『SmaQ iPhone用修理交換リフレッシュパネル 液晶パネル・工具セット』を利用して、iPhone6の液晶画面を交換しました。その他諸情報を含めて、下記にメリットとデメリットをまとめます。
メリット
- 費用面ではかなりリーズナブル
- 自宅で作業できる
- 修理屋などへの移動時間や、修理待ち時間を省略できる
- 『Appleの純正品(純正の再生品)』であれば、交換後の動作不良が起きにくい
- 手先が普通~器用な人であれば、案外難しくない
デメリット
- 水没など、液晶パネルが原因の故障じゃなかった場合、直らない可能性もある(故障の原因が液晶の割れだけか見極めが必要)
- 自分で作業する時間的余裕が必要(1時間位ですが、余裕をもって2時間位は想定しておいた方が良いかも)
- ネジや部品の紛失、破損に気をつかう
- 手先が器用でない人はちょっと心配かも
- 自身での交換後は、Appleの公式の修理サポートを受けられない ※ユーザーが自身で端末を開けた場合、以後保証対象外となる。
上記をふまえて総合的に考えると、自分で交換キットを購入して交換・修理する方が負担も少ないように感じました。キット自体も今回提供いただいたSmaQのものは、工具、マニュアル、製品ともに使いやすく便利なので、お得で楽な修理方法なんじゃないかな、と思っております。
注意点としては、iPhoneの機種によって液晶交換キットはすべて種類が異なるので、購入するときには機種の対応についてチェックが必要……という所でしょうか。
また、自身でiPhoneの画面を交換した以後は、Appleの公式の修理サポートが受けられなくなるので、購入後1年以内のものであれば、まず公式サポートに問い合わせて、見積をしてもらってから、というのが良いと思います。
※iPhone6とiPhone6Sは別のキット。6Plusと6Splusや、7、7S……なども別キットが必用です。
今回利用した『SmaQ 再生液晶パネルキット』は、楽天、Yahoo!ショップっピング『東京モバイルステーション』のほか、Amazonなどで販売されています。
- Amazon SmaQ 液晶交換パネル
- 東京モバイルステーション 楽天店
- 東京モバイルステーション Yahoo! ショッピング店
- LCDディスプレイリワークのLeadingCompany 株式会社スマートクィックリー ※SmaQ再生パネルキット販売会社