現在、USB(ユー・エス・ビー)はパソコン、スマートフォン、デジカメなどの情報機器、周辺機器を利用する際の、もっとも身近なインターフェイス(接続方法)になっています。
あらためてここでUSB について知っておきたい基礎情報をまとめてみました。
記事の索引
USBとは… USB規格の基礎情報
USB は正式には「ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus)」の略で、情報機器の間でデーターを転送するための接続規格です。
USB 接続は、次のように多くの情報機器との接続=データー転送に使われます。
- パソコン
- 入力機器:キーボード/マウス/ゲームパッド
- 外部ストレージ:外付けハードディスク/DVD ドライブ
- 出力機器:プリンター
- オーディオ関連機器:パソコン用スピーカー/ヘッドホン・イヤフォン
- フラッシュメモリ:USBメモリ/メモリーカードリーダー
- スマートフォン
- デジタルカメラ/デジタルビデオカメラ
昨今のパソコンにUSB端子がいくつも付いていたり(最低でも2つ、多ければ6つ以上)、USB端子を増やすための「USB ハブ」が販売されているのも、このように用途が多く、現在ではなくてはならない重要な規格であるためでしょう。
USB2.0と3.0 の違い
2016年7月現在、主に流通しているUSB機器には2種類=USB 2.0 とUSB 3.0 があり、その主な違いは、「転送速度」と「電力供給能力」です。
そして、もちろん後発の3.0の方が転送速度・供給性能が高く……
”USB 2.0よりUSB 3.0の方が
より早くデータや電力を転送、供給できる”
という事になります。
2.0と3.0規格(2020年4月 USB3.1を追記)の概要を表にまとめてみましたのでご覧ください。
USB規格 | USB 2.0 | USB 3.0 | USB 3.1 |
---|---|---|---|
マーク | |||
規格策定年 | 2000年 | 2008年 | 2013年 |
データ転送速度 (理論値※1) |
480Mbps | 5Gbps (5,000Mbps) | Gen1:5Gbps Gen2:10Gbps |
データ転送速度 (実効値※1) |
250~300Mbps | 600~1,100Mbps | |
電力供給能力 | 500mA (5V) | 900mA (5V) | 900mA (5V) |
ケーブル長 (※2) |
5m | 2m | 1m |
- ※1:データ転送速度の「理論値」というのは、規格上の理論的な最高転送速度です。対して、データ転送速度「実効値」は、実用的に期待できる転送速度です。実効値は、接続状況によって異なるので、幅があります。
- ※2:ケーブル長はUSB-IF企画によって制限されていますが、市場にはより長い延長ケーブルなども存在します。この場合データ速度などが減衰するようです(調査中)。
- 単位の「bps」は「bits per second」の略で、「1秒間に何ビットのデータを転送できるか」を表します。
- USB の規格には、古いUSB 1.0/1.1(1996 年/1998 年策定)や最新のUSB 3.1(2013 年策定)、USB3.2(2017年策定)がありますが、この記事では、現在主流のUSB 2.0 とUSB 3.0 を中心に説明しています。
また、参考のため、USB 以外の規格の転送速度をまとめておきます。USB の速さを想像するときに役に立つかも知れません。
PC3-12800 (DDR3-1600) | 100Gbps (100,000Mbps) | パソコン内部のメモリの規格 |
---|---|---|
SATA 3.0 | 6Gbps (6,000Mbps) | パソコン内部でSSD やHDD の接続するための規格 |
1000 BASE-T | 1Gbps (1,000Mbps) | 有線LAN の規格 |
SSD 読み込み | 約1,000~4,000Mbps | |
HDD (7200rpm) 読み込み | 約900Mbps | |
IEEE802.11n | 600Mbps | 無線LAN(Wi-Fi)の規格 |
USB3.0と2.0端子の見分け方
USB 機器は、端子の色(絶縁体部分のプラスチックの色)でUSB 2.0 とUSB 3.0を見分けることができるようになっています。
USB 2.0 は黒または白、USB 3.0 は青です。
USB3.0端子「青色」くなっているのは、USB-IF(USB Implementers Forum)という業界団体が推奨しているためで、ほとんどのUSB 機器がこれに準拠しています。
ただし、この色に関してはあくまで「推奨」となっていますので、MacBookなど一部の端末・機器では「青」にはなっていない場合があります。デザイン性を重視しているのでしょうか。
ちなみに、一部のPCには『黄色』のUSB端子が付いていることがあります。これは『Powered USB』という端子で、電力消費の大きいデバイスに対応するために、USB 2.0 ポートを拡張して、最大電流を6A にしたものです。これによって、外付けドライブに十分な電力を供給できる、スマートフォンなどの充電が速くなるなどのメリットがありますが、専用のケーブルが必要で、規格も標準化されていないので、あまり普及せず、現在はあまり見かけなくなってきています。
USB 3.0 のデータ転送速度について
前述したように「USB 2.0」の転送速度 理論値が480Mbps、「USB 3.0」の転送速度 理論値が5Gbps (5,000Mbps)となっているので、
「USB2.0 より10倍速い! USB3.0 」
といった様なキャッチコピーも時々見かけますが、あくまで理論値を単純比較しているので、現状では接続機器の種類や条件により、2~5 倍程度の差となります。(それでも、実感では十分速く感じられます)。
例えば、USB メモリでは2倍程度、外付けHDD では5倍程の実測値となるので、特に外付けHDDを利用される方は効果がより感じられるのではないでしょうか。
もちろんこの実測値も、今後機器やケーブル、ソフトウェアの進化にともなって上がってくるのかもしれません。
各種OSのUSB3.0 対応状況
OSによっては、標準ではUSB3.0 をサポートしていないことがあります。次の表は、主なOSの対応状況です。
Windows 7 | △ | USB 3.0 のドライバをインストールする必要がある(*1) USB 3.0 の外付けDVD からはOS のインストールができない |
---|---|---|
Windows 8 | ○ | USB 3.0 を標準でサポートしている |
Windows 10 | ○ | USB 3.0 を標準でサポートしている |
Mac OS (2012 年以降) | ○ | USB 3.0 を標準でサポートしている |
※USB チップは、主にルネサスエレクトロニクス(三菱電機、日立製作所、NEC エレクトロニクスが合併してできた)が提供しているので、ほとんどの場合、「Renesas Electronics USB 3.0 Host Controller Driver」をインストールして使います。
まとめ、最後に
USB の基礎知識について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
一般的なインターフェイスとなったUSBですが理解が不足していて十分に使いこなせていない場合もあります。
また、現在は2.0と3.0の機器が両方とも流通していますが、今後、データや供給電源の増大にともない、USB3.0対応の機器が中心になっていく事でしょう。
販売価格などは、より高性能な3.0対応機器の方が高くなっていますが、用途と利用期間などを含めた長期的なコストパフォーマンスを検討しお求めいただくのが良いかと。
コメント
規格にはケーブル長も制約があるので説明を追加してください。
ご提案ありがとうございます。詳細仕様など把握できる範囲で追記させていただきました。3.1、3.2、4.0と規格が増えているので、記事の新設も含めて検討させていただきます。
SSのマークのやつとSSがついていないマークとでどう違うのか気になって開いたのに言及ないじゃないですか…。
ご意見ありがとうございます。
SSマークはSuperSpeedという高速データ転送を示すマークとしてUSB3.0から利用されているようです。 本文中の表にも追記いたしました。
3.0にてバックアップしましたが再度PSにて開けません。操作方法をお聞き致します。
最近のパソコンはUSB3.0の搭載が主流ですが、今、手元にあるUSB2.0のマウス等はUSB3.0のパソコンには使えなくなるですか?
USB規格は下位互換性があるため、引き続きUSB2.0の機器も利用可能です。
ただし転送速度や電源供給といった面は下位(USB2.0)の性能になってしまいます。
USBの2.0と3.0併用はどうなんでしょう。
コメントありがとうございます。
データの送信側と受信側がUSB2.0、3.0で別れているという場合は、転送速度の低い方(USB2.0)での転送となるはずです。
「USB 以外の規格の転送速度」の記事のところの括弧内
Gbps:Mbpsの単位の計算が1桁誤っていませんか?
SATA 3.0
6Gbps (60,000Mbps) ←”6,000Mbpsでは?”
1000 BASE-T
1Gbps (10,000Mbps) ←”1,000Mbpsでは?”
otom さん、ご指摘ありがとうございます!該当箇所を修正いたしました。