石川優実さん インタビュー「#MeTooを知るまでは女性差別に気がついていなかった」

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「女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたい」と、 #KuToo 運動を始めた石川優実さん。 英BBCの『世界で最も影響力のある女性100人 (2019年)』に選出されるなど、昨今の活動は多くの人々に認知されています。

この #KuTooは、日本の職場で女性がハイヒールやパンプスの着用を義務づけられていることに抗議する社会運動で、靴と苦痛を掛け合わせた造語。 その本質は「性差による職場の差別をなくしたい」と訴えるものであり、時に当たり前に感じてしまう人達にとっては気づけない差別や社会の構造に対して警笛をならし、「NO」訴えるというものです。

反面、表舞台で活動を行う人達の例にもれず、石川さんの個人Twitterには、厳しい意見や、批判が送られてくる事も少なくありません。

そこで今回、『#KuToo(クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム』(2019年11月 現代書館)を上梓した石川優実さんにお話を伺い、「性差別に言及しただけで叩かれてしまう現象はなぜ発生するのか」といった点を考えてみたいと思います。

#KuToo(クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム
KuToo(クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム
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石川優実さん インタビュー

石川優実さん
石川優実さん

――『#KuToo(クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム』で、「性差別の問題を性差別と指摘するとなぜか反感を買う」と書かれているのが印象的でした。 私自身『性差別』や『男女差別』といったことばを日常で使うとき少し及び腰になってしまいます。 それらは絶対的に存在しているのに、日常的に語られておらず、ちょっとでも言及したら叩かれてしまうという傾向があるように感じるのですが、それは何故だと思われますか?

石川優実氏(以後 石川):
「日本はすでに男女平等だ」と信じて疑わない人、そして自分が差別していることを認めたくない人が多いのだと思います。

私自身も#MeToo(※)を知るまではまだ日本に女性差別がある事を認識せず、ジェンダーギャップ指数・フェミニズムといった存在も知りませんでした。 今のこの不平等な状況を男女平等な状態だと思い込んでいたのです。

※ MeToo(ミートゥー)は、「私も」を意味する英語にハッシュタグ(#)を付したSNS用語。セクシャルハラスメントや性的暴行の被害体験を告白・共有する際にソーシャル・ネットワーキング・サービスで使用される。「Me Too」「#metoo」なども用いられる。

Wikipedia MeTooより

石川:
そういった状態の人達からすると、大袈裟に騒いでいるように見るのかなと感じます。 「差別」が強烈な悪意の下に行われる行為だという印象を持っている方が反発的な反応をされることも多いような気がしています。

たとえば、「自分は女性に優しくしているし女性が好きだ、だから差別なんてしているわけがない」という気持ちの人にとっては、やはり差別を認識するのが困難な場合が多いのではないでしょうか。 今の私は性別に関係なく全ての人に同じだけの選択肢が与えられることが男女平等な状態だと考えているのですが、この『何が男女平等なのか』を考えたことがない人は多いように感じます。

――同書で「日本の性差別で問題なのは、性差別に気がついていない人が多いこと」とも書かれていましたね。 たしかに、日本には差別の構造に気がつかず、「女性だから/男性だから仕方ないこと」と我慢して追い詰められている人が多いと思います。 私自身、石川さんが発信されるまで『女性だけのパンプス強要』について差別だと気がついていませんでしたが、こういった性差別に気づいていくためにできることはあるでしょうか?

石川:
私が心がけているのは、自分自身の中にあるモヤモヤを放置しないことです。

少し違和感を感じたら追求する癖をつけるようにしています。「これなんだろうな?」と思ったらSNSで発信して反応を見たり、自分の中で答えが出るまで自分のモヤモヤに質問を続けていくと答えが性差別の問題だったということは多々あります。 考えることは大変だしめんどくさいし……時には心に痛みも伴うので労力を使いますが、モヤモヤしたままだと自分が可哀想なのでちゃんと考えて解決してあげるようにしています。

簡単にいうと「自分を大切にする」ということだと思っています。#KuTooの問題で、自分の抱える足の痛みに敏感になってあげることもその中の1つだと思っています。

――ジェンダーハラスメント(※1)という言葉が本書で紹介されていましたが、この言葉、本書を読むまで知りませんでした。 「もっと広まってほしい!」 とも思いました。 石川さんが書籍を出されたことは、ジェンダーに基づくハラスメントのリテラシーを上げることにもつながったと感じますが、今後はどういった活動をしていきたいと考えていらっしゃいますか?

※ジェンダーハラスメント:性役割に起因するハラスメントのこと。
例 『男なのだからしっかり働け』、『女性なのだから細かい心遣いを』、『女性がいると職場が和むといった発言』

石川:
「ジェンダーハラスメント」は私もこの活動を始めるまで知らない言葉でした。

この言葉に救われる人はとても多いんじゃないかと思います。 私はフェミニストとして活動をしてはいますが、基本的には女優というかタレントというか、表現者として活動をしているつもりで、この運動もその1つです。 芝居をしたり文章を書いたりすることと同じ感じで、自分の思想、「ジェンダー平等」に基づいて社会運動をしています。

そして、2020年はエンタメの部分にも、もっとチカラをいれていきたいと思っています。 直球のフェミニズム映画を作って、普段届かない層の人達にこの問題を届けたり。 女性が「女性」以前に「自分」として生きていけるようになるための活動で、かつ自分が楽しいと思える活動ならこだわらずにどんどん挑戦してみたいと思っています。

――ありがとうございました。

「女だから」「男だから」という理由で、やりたいことを制限されたり、プレッシャーをかけられたりすることは、男女問わず全ての人達にとって不幸なことです。 性別役割から自由になり、差別をなくしていくためにも、当たり前のように存在してしまっている「性差別」に対して、より深く考えていく必要があるでしょう。

石川優実 プロフィール

1987年生まれ。 女優・フェミニスト。2005年芸能界入り。2014年映画「女の穴」で初主演。
2017年末、芸能界で経験した性暴力を#MeTooし話題に。 以降、ジェンダー平等を目指し活動中。 #KuToo運動は世界中のメディアで取り上げられ、イギリスBBC「100人の女性」に選出される。

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原宿なつき

関西出身のフリーライター。 wezzyにてブックレビュー連載中。

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