当記事ではWordPress用の『広告管理プラグイン』を数件比較・検討し、実際に導入したものについて解説しています。
WordPressでWebサイトを運用しつつ、Googleアドセンスやアフィリエイトなどのバナー広告を運用するのに便利な、Web管理者/運用者向けの記事です。
記事の索引
WordPress用広告管理プラグイン 必要な機能
まず、今回必要とした機能(要件)は以下のようなもの。
- 画像バナーやリンクするURLだけでなく、解析用の広告コード(HTML、JavaScriptなど)を柔軟に入力・設定できる
- ひとつの広告表示エリアに対して、複数の広告をランダムに表示出来る
- 広告の表示回数(IMP=インプレッション)を記録してくれる
- 広告のクリック数(CT)を記録してくれる
- 広告の掲載開始日と終了日を設定できる
- ショートコード、テーマ用関数で、設置箇所を任意に設定出来る
- 無料〜10,000円位までの価格で利用できる
上記の内容で、いくつかのプラグインを実際に導入、テストまで行い比較検討しました。
プラグイン『AdRotate』
前述の必要要件を満たして、実際に導入・利用したのがこの『AdRotate(アド・ローテート)』。 WordPressプラグインディレクトリに登録されている正式名称は『AdRotate – Ad manager & AdSense Ads』。
1.広告コードの入力 | JavaScript、htmlなど自由に入力できる |
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2.複数広告ランダム表示 | グループ化し、グループに登録した広告をランダム表示可能 |
3.インプレッションを記録 | 計測可能 (Googl AdsのようなJavaScriptを介して表示するものは不可) |
4.クリック数(CT)を記録 | 計測可能 (Googl AdsのようなJavaScriptを介して表示するものは不可) |
5.掲載開始日と終了日を設定 | 日・時・分単位で設定可能 |
6.設置箇所を任意に設定 | ショートコード、テーマ用コード |
7.価格 |
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評価 | ★★★★☆(4.5/5) |
当記事の執筆時点(2021年4月)プラグインのインターフェースは日本語翻訳されておらず、日本語で紹介している記事も少なめですが、無料版でも利用できる統計機能や、グループ機能の設定項目、クリック上限/インプレッション上限の設定、かゆいところに手が届く全般設定の気の利いた項目などなど……純粋な機能で比較してみると非常に優秀なプラグインだと感じました。
今回必要な機能は無料版で利用出来る範囲内で満たしていますが、上位有料版も提供されており、価格は€39.00(日本円で¥5,000前後)。
AdRotateの画面例
2021年4月現在日本語翻訳は未対応 広告単位の管理画面。無料版も閲覧数、クリック数、CTRなど計測してくれる 広告グループの管理画面。グループと紐づけた広告を自動的に表示ローテーションしてくれる Pro(有料版)機能のひとつ。 広告単位での表示日時設定のほか、広告スケジュールを登録し設定できる 統計機能も無料で利用できる 設定項目も柔軟。アカウント(ロール)別の機能制限も無料版で対応している
プラグイン『Ads by datafeedr.com』
こちらは完全無料の広告管理プラグイン『Ads by datafeedr.com(Ads バイ・データフィーダードットコム)』。
WooCommerce対応のアフィリエイトプラグインなども(多分こちらが本業)提供する『datafeedr.com』が公開、提供している広告管理プラグイン。
1.広告コードの入力 | JavaScript、htmlなど自由に入力できる |
---|---|
2.複数広告ランダム表示 | グループ化し、グループに登録した広告をランダム表示可能 |
3.インプレッションを記録 | 計測可能 (Googl AdsのようなJavaScriptを介して表示するものは不可) |
4.クリック数(CT)を記録 | 不可 |
5.掲載開始日と終了日を設定 | 日単位で可能 |
6.設置箇所を任意に設定 | ショートコード、テーマ用コード |
7.価格 | 無料版のみ |
評価 | ★★★☆(3.5/5) |
実は今回の選定以前に導入・利用し、ある程度満足していました。 ところが、あるときMySQLのエラーが頻発しているのに気づき、試行錯誤の末このプラグインを無効にしたところ改善したため利用を停止しました。 (実行環境独自の問題である可能性もあるので、このプラグインが悪いとは言いきれません)
クリック数の計測には非対応、日本語UIにも未対応ですが、機能全般がWordPress(カスタム)投稿のUIを踏襲しているので、使い方を感覚的に理解しやすいプラグイン。 日本国内で、このプラグインを解説しているページも多く、利用者が多そうです。
Ads by datafeedr.comの画面例
[設定]>[Ads]で表示される基本設定。実にシンプル 広告はカスタム投稿のような一覧で管理される 広告(投稿)画面上部にコードを、Data Rangeで開始・終了日を設定。インプレッションリミットも設定可能 グループはやはり投稿『カテゴリー』のUIで理解しやすい
プラグイン『Advanced Ads』
この『Advanced Ads – Ad Manager & AdSense(アドバンスドAds・Adマネージャー・アンド・アドセンス)』も優秀なプラグインです。
無料の範囲ではクリック数の計測に非対応ですが、有料版アドオンを利用するとGoogleアドセンスと連動したクリック数の計測の他、クライアント向けのダッシュボード、広告スペースをオンラインで販売する機能など……豊富なアドオンが提供されています。
1.広告コードの入力 | JavaScript、htmlなど自由に入力できる。 PHPコードも入力可能。 |
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2.複数広告ランダム表示 | グループ化し、グループに登録した広告をランダム表示可能。 広告別に重要度を設定し、表示バランスの調整も可能。 |
3.インプレッションを記録 | 無料版不可。 有料版で計測可能 |
4.クリック数(CT)を記録 | 無料版不可。 有料版で計測可能 |
5.掲載開始日と終了日を設定 | 掲載から何日間表示……といった設定が可能 |
6.設置箇所を任意に設定 | ショートコード、テーマ用コード、そのほかカテゴリ、投稿タイプなど表示条件を設定可能 |
7.価格 |
各種アドオンはライセンス契約をすると1年毎に自動課金されます。この支払はいつでもストップでき、その後も有料版機能は利用できますが、最終支払日から1年を過ぎるとアップデートやサポート対象外となります。 |
評価 | ★★★☆(3.5/5) |
日本語化も万全ではありませんが、一部対応しています。
表示エリアのレイアウトをプラグインから設定できたり、広告をスライダーで切り替えたりと、かなり多機能なのですが、無料でできる範囲の機能としては(今回の選定基準では)やや不足で、有料アドオンは使いそうもない機能が多く、帯に短しタスキに長し……という事で採用には至りませんでした。
この手のオールインワンなプラグインを利用すると、WordPressのアップデートや、プラグインのアップデートの際にいろいろと弊害が出る場合があるので……というのは、好みの問題かもしれませんが、デザインや表示の調整に関してはテーマ、テンプレートで管理していたほうが安心する、というサイト運営者さんの方が多いのではないでしょうか。
Advanced Adsの画面例
プラグイン『Ads Pro Plugin』
今回、envato marketで販売されているプラグイン『Ads Pro Plugin Multi-Purpose WordPress Advertising Manager』も候補として挙がりました。
解説を読んでいると、必要そうな機能が実装されていて、かつ$57(6,200円前後)の買い切りライセンス。 8000件以上購入されていて、海外のメディアでは結構レビューが掲載されています。
機能は豊富そうなのですが管理画面のオンラインデモが無い……。 提供されているのは解説ページ(https://adspro.scripteo.info)のみ。 テスト導入にも至りませんでしたので、「こんなプラグインがあるよ」というご紹介のみにとどめておきます。
まとめ
ということで、今回導入したのは『AdRotate』でした。 相対的にみても、無料で利用できる機能の充実具合と、有料版のコストパフォーマンスが良いと感じました。
シンプルで最低限の機能であれば『AdRotate』。 多機能な有料アドオンを活用したいという場合は『Ads Pro Plugin』も選定対象としてもよいのではないでしょうか。