いろいろな人や、カルチャーが交差する東京都杉並区『高円寺』。 昼間からやっている居酒屋で飲んでいる人が沢山いたり、バンドマン、サブカルチャー好き、文化人などが集まり、日本のインド(by みうらじゅん氏)と称されるのも頷ける、独特の雰囲気がある町です。
そんなJR 高円寺駅に近い某所にある、実に高円寺らしい不思議なスポット『渡り鳥文庫』についてご紹介します。
索引
本の無人リサイクルスポット? 『渡り鳥文庫』
『渡り鳥文庫』はJR高円寺駅周辺の某所にある(おそらく)本の無料交換所です。
『渡り鳥文庫』の文字と鳥と本を模したイラストが描かれた看板(?)と、数冊の本が置かれています。 看板はガード下のこのスペース用に作られたと思われるサイズと形状の、しっかりとした物です。
誰が何のために始めたのかは定かではありませんが、筆者がこのスポットに気づき、そっと観測を始めたのは2019年の4月。 その後、高円寺に用事がある度に数回、その様子をそっと撮影していました。
ちょっとトボけた感じの顔、翼が本になってた『わたり鳥』のイラストと文字。 両方とも手書きと思われます。
文庫だけではなく、漫画や何かのリーフレットのようなものが置かれている事もありました。
だれかが持ってきた本は、誰かが持ち帰り、そしてまた誰かがここに本を置いて……と、不特定多数の手を本が行き交うような場所として、様々な人達に愛されていたのではないでしょうか。
インターネットで検索すると、少なくとも2017年の1月にはこの『渡り鳥文庫』は観測されていた様です。
※Instagramより引用 2017年1月1日の投稿
渡り鳥文庫が無くなり『スパイラル文庫』に……
2019年日7月28日、筆者が高円寺に立ち寄り、いつものように渡り鳥文庫を観測しに立ち寄ると、木でできた『渡り鳥文庫』の看板は無くなり、替わりに発泡素材のパネルでつくられた『スパイラル文庫』と描かれた看板にかわっていました。
よく見ると『スパイラル文庫』看板の向かって左には、『渡り鳥文庫』看板の一部と思われる金折のついた板が……。
その後も何度か観測しにいきましたが、やはり(2019年8月11日現在)スパイラル文庫のままのようです。
失われてしまった渡り鳥文庫を惜しむ人が、『スパイラル文庫』を代わりに作って置いたのでしょうか。
意志を受け継いで(?)、建立された『スパイラル文庫』にも相変わらず本が入れ替わり、交換は活発に行われている様です。 とはいえ、以前の独特の愛嬌のある『渡り鳥文庫』のイラストと比べると、やや寂しい気もします。
ネット上でもやはり、さまざまな方に観測されているようです。
渡り鳥文庫は何処へいったのか
渡り鳥文庫(の看板)は何処へ行ってしまったのでしょうか。
心無い人によって、持ち去られたのか。 はたまた行政や、施設の権利を持つ人によって撤去されてしまったのか。 実際の所を知るすべは今の所ありません。
その後もスパイラル文庫として続くそのコンセプトが(……というと、ちょっと大げさかもしれませんが)、今後も大らかな雰囲気で続いてくれると良いな、と思う次第です。
○月○○日までは『渡り鳥文庫だったよ』といった情報や、その他何かの情報があれば、コメントなどで情報提供をいただけると嬉しいです。
渡り鳥文庫 復活(2019年9月22日追記)
その後……2019年9月20日の夜、知人から「渡り鳥文庫、復活しているよ」と、写真を添えて連絡が。

おお・・・!!

おお~!!!
確かに復活しています。 このとぼけた顔、羽(本)、題字……、間違いなく、あの頃の渡り鳥さん……。
両脇に本を携えたその様は、まさにイラストそのもの! 大空へと羽ばたく鳥の様な神々しさ!! 国から国へと海を渡る渡り鳥は、本だけでは無く、自身も旅立ち、そして私達の元へ戻って来たのでしょうか!!
いや……言い過ぎか。 神々しくは無い。 かわいいけど。
SNSで検索してみると9月13日には、復活していた報告が見つかりました。
今回も、木製でしっかりつくられていて以前のように、しっかりと存在しています。 (下の方がちょっと湾曲していますが。) 元の作者さんが作り直したのか、有志が再生させたのかは分かりませんが、イラストや文字は以前の雰囲気そのままです。
看板が戻って来たのかな? とも思いましたが、手元のデータと照らし合わせてみると……

大きさや位置、形や表情なども違う事が分かります。 以前のイラストを踏襲しつつも、新たに手書きで描かれたように思えます。
紙製の渡り鳥文庫 (2019年10月7日追記)
知人からの連絡から数日後、筆者も直接現地に行って確認してみたところ、段ボール製の『渡り鳥文庫』も発見しました。
初代がなくなった後、2代目とはまた別の方が制作したのでしょうか。 クチバシに花を加えていますね。

『渡り鳥文庫』の文字は、初代にかなり似せて書かれている感じがします。
あとがき
渡り鳥文庫の所在地については(おそらく)、正式に許可を受けて置いてい有るものではないので、詳細は記しません。
中には、こういった事象を良く思わない方も居るかもしれませんが、地域の不特定多数の人たちによって何となく共有されている現象って、昨今においてはとても貴重で面白い事ではないでしょうか。
一度はその姿を消すも、結果として20日前後で復活しているというのも、多くの人達によって好意的に受け入れられている結果ではないかと感じました。
高円寺駅周辺を散策する時のひとつの楽しみの元として、お読みいただけたなら幸いです。