PC、モバイルツールのアプリ、サービスなどで近年目覚ましい進歩を遂げているのが、音声による文字起こしです。
頻繁にインタビュー案件を抱えるライターの仕事で、音声文字起こしは一本の記事作成の中でも大きな割合を占める大変な作業。また、ビジネスにおいても打ち合わせや社内の会議などにおける議事録の作成も大変な手間です。
そんな背景もあって、オンラインサービス、アプリで提供される文字起こしサービスは、わずらわしさから大きく解放される突破口として近年注目されています。そこで当記事ではビジネスユースに特に注目を浴びている文字起こしサービス Notta (ノッタ)の基本機能の解説と、その使用感レビューを掲載、紹介いたします。
記事の索引
音声文字起こしWebサービス『Notta(ノッタ)』基本機能解説とレビュー
Nottaはシンガポールの企業 Airgram Pte. Ltd.のグループ子会社であるMind Cruiser Limited(香港)、およびその日本法人である、Notta株式会社が運営をする文字起こしサービスです(※)。
※元は、Mind Cruiser Limited(香港)とLangogo Technology Co., LTD.(中国広東省深圳)とが共同開発。現在はMind Cruiser Limitedによって管理・運営されています。
その基本機能はWebサイトまたは、アプリを起動し、文字起こしの対象となる音声を入力することで、文字起こしテキストが生成されるというもの。
音声入力方法はデバイスに接続するマイクからの直接入力のほかに、ZoomなどのWeb会議との連動にも対応。 さらにMP3などの音声ファイルをインポートし文字起こしを行うこともできます。
また言語としては日本語に加え、英語を始めとした104言語にも対応と、グローバルビジネスにも十分対応できる機能を有しています。
主な機能 | マイクでの収録のみ 電話と通話は非対応 『Notta Bot』によりZoomやMicrosoft Teamsなどオンラインミーティングでの文字起こしに対応 音源読み込みによる文字起こしも可能 |
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無料プランの利用範囲 | 1回につき3分までのリアルタイム文字起こし 5分の音声と動画ファイルの文字起こし 3個までの単語登録 編集機能(タグ付け機能と画像挿入) 確認機能(検索機能とフォルダー機能) エクスポートと共有(文字起こしでデータの共有・テキストドライブ・Notionに転送) |
有料プランの価格と詳細 | 有料プランは全機能が利用可能。価格以外の詳細は別途記載。 プレミアム(個人) 一括年払い:$8.25(約1,113円)/月 月払い:$13.99(約1,888円)/月 チーム 一括年払い:$18(約2,429円)/1ユーザー/月 月払いは$30(約4,049円)/1ユーザー/月(チームは1度の購入で2ユーザー分。それ以上の購入も可能) |
日本語対応/多言語対応 | 日本語対応〇 多言語対応〇(104言語) |
精度 | 〇 (かなり高い) |
プラン名 | 無料 | プレミアム | チーム |
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特徴 | 120分まで無料で使える | 文字起こしが十分に行える 各機能が使える |
複数人向け メンバーの追加や削除が可能 メンバー内で記録が共有できる |
価格 | 無料 |
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※チームプランは1度の購入で2ユーザー分以上の購入となる。 |
文字起こし 時間 |
なし | 1,800分(30時間)/月 |
1,800分(30時間) ×ユーザー分/月 |
リアルタイム 文字起こし |
1回につき3分まで | 時間制限なし | 時間制限なし |
多言語 対応 |
〇 | 〇 | 〇 |
Notta Bot | 3分の時間制限 | 時間制限なし | 時間制限なし |
音声 対応 形式 |
なし | wav、mp3、m4a、caf、aiff | wav、mp3、m4a、caf、aiff |
動画 対応 形式 |
なし | avi、rmvb、flv、mp4、mov、wmv YouTubeリンク | avi、rmvb、flv、mp4、mov、wmv YouTubeリンク |
編集 機能 |
タグ付け機能と 画像の挿入のみ |
全機能利用可能 | 全機能利用可能 |
確認 機能 |
検索機能と フォルダー機能のみ |
全機能利用可能 | 全機能利用可能 |
Notta 機能解説
続いて機能をみてみましょう。
NottaはWebブラウザで利用するだけではなく、Google Chromer系Webブラウザ用の拡張機能や、スマートフォンアプリも提供されていますが、当記事ではひとまずPC版Webブラウザでの画面を紹介していきます。
Nottaのサービスを提供する基本画面はいたってシンプル。まずログインすると、個人ユーザーがこれまでに行った音声読み込み~文字起こしの記録がリストとして表示されます。
各項目をクリックすると、文字起こしを行ったテキストを、適度な長さの文章で区切った形で表示します。
記録は起こしテキストともに音声ファイルも保存されており、文章ごとに再生が可能となっているので、起こしの誤り修正などをサービス画面上で容易に行うことができます。
1時間分ほどの音声ファイルの読み込みから起こしまでの時間は5分。試しに46分ほどのMP3ファイルのアップロードから文字起こしまでの時間を計測したところ、やはり5分以内で完了と、かなり快適な処理を行ってくれました。
起こし機能の精度
特にNottaの起こし制度はかなり高く、試しにBGMがバリバリに入っている日本語ドラマの音声をリアルタイム入力してみたところ、ある程度文章の区切りまでしっかり認識し文字起こしをしてくれました。
またイベントの音声ファイルでもしゃべっている人の認識精度も高く、後に文章編集を行いやすい形でテキスト表示してくれます。
怪しい箇所は赤く下線が入るので、仕上げ作業もかなり楽になる印象。
Notta Web版画像/機能解説動画




総合評価
起こし精度 | ★★★★(4) 他の文字起こしサービスで比べても、かなり高い印象 |
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使いやすさ | ★★★★(4) 起こしファイルの加工、修正、編集を後に行いやすくできるよう十分な配慮がされている |
コストパフォーマンス | ★★★★(4) 定期的に文字起こし作業が必要な人であればかなりリーズナブル |
今後への期待値 | ★★★★★(5) サービスの表示など、かなり洗練されている印象。 今後さらなる精度の向上、結果表示の使いやすさ向上にも期待したいところ |
総合評価 | ★★★★(4) 現時点でも、プロユースで十分使用に耐えうるツールと評価できる |
まとめ
これまで筆者はGoogleドキュメントの音声認識機能やAmazonのAWS Transcribeなどを利用してきたことはあったのですが、使い始めたころはまだ音声の変換精度が低かったり、文章の区切り部分がうまく入れられなかったりと、ビジネスユースとしては実用に耐えないのでは……という感想を持っていました。 とはいえ、これらも近年はかなり改善されビジネスの現場でも十分活用できるレベルに近づきつつありますが。
そんな中でも当記事で紹介したNottaは、近年続々と登場する現行の文字起こしサービスの中でも際立っているという評価ができると思います。
難点を挙げるとすれば、本サービスがインターネット接続を必須とするオンラインサービス/ソフトウェアだという点でしょうか。
マルチプラットフォーム対応、およびクラウド共有機能を実現するという意味では、ネット接続は欠かせない点ではあるのでしょうが、ノマドワーカーのようにネット接続ができない状況でも仕事をしたいという局面を考えると、オフラインでも文字起こし機能は使用できるとより良いのでは……と思いました。
ともあれ120分まで無料で使えるので、まずは試しに使ってみて、操作感や制度に納得ができれば、利用を前向きに検討してもよいサービスだと感じました。
なお、uzurea.netでは他の翻訳サービスとの比較記事でもNottaを解説しているので興味のある方はあわせてお読みください。