人気VJソフトResolume Avenue&Arenaの最新のメジャーアップデート、バージョン6のベータ版が公開されましたのでその概要を紹介しましょう。
Reslume6では前バージョンから内部を大幅にオーバーホールし、UIの変更、マルチスレッドレンダリング、64ビット対応、パフォーマンスの向上、新機能の追加などが行われています。
Index
Resolume 6の概要と新機能
オフィシャルのResolume6紹介ページを意訳しつつ、概要を紹介いたします。
64ビット、マルチスレッド対応。パフォーマンスの向上
64ビットプログラム、マルチスレッドに対応。マルチスレッド対応CPUの性能や大容量RAMなどコンピュータの性能を十分に発揮する事ができます。これまで以上に多くのレイヤー利用時や、4Kなどの高解像素材の再生も効率化しできるようになり、大きな会場でのパフォーマンスにも効果を発揮します。
デッキの切り替えも高速になり、クリップをいち早く探す事が可能になりました。
Resolume独自のDXVエンコードされたclipの再生もさらに高速化されています。
動画の録画機能も高速化
より長時間、高解像度の録画に対応しています。
より柔軟なインタフェース
Resolume6のインターフェースは、高解像画面でより美しく鮮明に表示されます。
またUIパネルを再配置し、独自のレイアウトを構築する事も可能に。プレビューモニターも、これまで最終出力と、選択クリップの1窓づつだったのに対し、コンポジション、グループ(新機能)、レイヤー、クリップパネルと、それぞれに設定可能です。
カラーピッカーUIの実装
新しくカラーピッカーUIが実装。
色の指定ができるEffectやSourcesや、新しく対応したMIDIフィードバックでコントローラーのボタンに色を反映する時などに利用可能。
クイック検索機能の強化
各ブラウザパネルにテキスト検索機能が設置され、エフェクト、ジェネレーター、ファイル、コンポジションなどを素早く探し出す事が出来るようになりました。
素材、設定類に分かりやすい名称を付けておくなどの下準備をすれば、便利そうです。
UIの改善やカスタマイズ ハイライトや並び替えが可能に
カラーコーディングを使用すて、クリップ、レイヤー、グループ、列またはデッキを強調表示できます。
現段階だと、デフォルトのグレーと、オレンジ、ライトグリーン、エメラルドグリーン、ブルー、パープルの6色。見やすさで言うと、もう少し鮮やかな色合だと良い気がしました。
さらにクリップのサムネイルを更新したり、列の名前を変更したり、デッキを並べ替えることができます。
Media Manager(メディアマネージャ)
Media Managerを使用して、コンポジション内のすべてのファイルの概要を確認できます。また、コンポジションを別の場所に簡単にコピーできます。
Media Managerは上部メニューの[Composition > Media Manager]と選択する事で起動し、Resolumeのメインウインドウとは独立して表示されます。ファイル名、コンポーネント、解像度、フレームレート、容量、ファイルパスなどが一覧でで表示され、ソートも可能。何気に便利そうです。
Persistent クリップ設定
重要なクリップを、全てのデッキの同じ場所に設定させる事ができる「Persistent」機能が追加。デッキを変更しても同じクリップ位置に永続させる事ができます。
指定したいクリップの上で[右クリック>Persistent]と操作するだけ。
デッキに切り替えた先に元から有るクリップも小さいサムネイルで表示され、場所は維持されています。ドラッグ&ドロップで別のクリップに移動させる事も可能です。
Next & Previous Column
Next & Previous Columnボタンを使用し、簡単にシーケンスを再生できます。
劇場演劇やプレゼンテーションなどColumn毎の準備をしておくようなスタイルに有用そうです。
Ableton Link対応
Ableton LiveやLinkをサポートするその他のソフトウェアに対応。 Resolumeを実行している2台のコンピュータを同期させることもできます。
クリップのロック機能
クリップの再生ロック機能が追加。コントローラーやマウス、キーボードの誤操作で、うっかりクリップを切り替えてしまう事を防ぐため、レイヤー上のコンテンツをロックし再生させ続ける事ができるようになりました。
レイヤグループ
新たに加わったグループ機能を使用し、コンポジションにミニサブコンポジション的なものを作成する事ができます。
グループには、独立したのレイヤートリガー、エフェクト、ダッシュボード、モニター、マスターフェーダーが設定でき。 グループ内でルーティングすることもできます。
※Arenaのみの機能
具体的な運用がまだイメージつきませんが、エフェクトと素材の組み合わせグループを作っておいて、楽曲に併せた決め打ちの演出をする時などに便利そうです。
マスクレイヤー
レイヤーをその下のすべてのレイヤーのマスクに変えたり、そのレイヤーまたはグループにだけ適用したりできます。
これまでもエフェクトや、PNGでのマスクは可能でしたが、より柔軟にマスクができそうです。個人的にはこの機能がとても気になります。
Slice Transform エフェクト
新たに追加された『Slice Transform』エフェクトは、作成した入力スライスにコンテンツを正確に配置できます。 多数のLEDパネルで大規模なステージをマッピングするために有用そうです。
※Arenaのみの機能
Text Effects
テキストを入力してリアルタイムに変更させる事が可能な、新しいテキストエフェクト『Text Animator』と『Text Block』が実装されました。エフェクトとしてクリップやレイヤーにテキストを表示させたり、Sources(ソース)としてクリップに配置する事ができます。
『Text Animator』には、さまざまなアニメーションパラメーターがあり、他のエフェクトと組み合わせて テキストを入力し、フォント、フォントを選択し、色、アニメーションを追加したりできます。
現地ではじめて出演者名を知らされたりといった時には重宝しますね。
これまで専用につくられた、Flash Clipなどで実現するしかなかった機能なので便利そうです。ただし、β版の現時点では、今のところ日本語フォントなど2バイト文字は正しく表示されませんでした。
Envelope エディタの追加
Envelope(エンベロープ)エディタは、でパラメーターを設定可能です。あらかじめ定義された多くのカーブを使用すると、パラメーターを上下に移動させるだけでなく、さらに特殊な効果を実現可能です。
これまでもTimeLineやBPM Sync、External Audio FFTなどで変化を付けたりはできましたが、イージングとしてはInとOutを設定する事しかできませんでした。
今回実装されたEnvelope機能を使えば、いわゆるPhotoShopやトーンカーブやAffterefectsのグラフエディター的なUIで、TransformやEffectの各パラメーターの”かかり”具合を調整可能になりました。より柔軟な表現ができそうです。
Envelopeの操作としては、線上でダブルクリックをするとポイントを追加しドラッグでポイントを移動する事が可能ですが、線の上かどうかの判定が厳密過ぎて、現場でリアルタイムに調整するのはやや難儀しそうです。
そして、なめらかな曲線にするのはどうするんだろう…
ショートカット
キーボード、MIDI、DMXおよびOSCショートカットシステムは、より柔軟で分かりやすくするためにUIが見直されています。 リスト内のショートカット概要を確認し、コントローラ毎のプリセットを作成することができます。
MIDIフィードバック
MIDIコントローラへのフィードバックがオフィシャルで対応されました。
APC40など、ボタンのLEDを変更できるコントローラーを使っている人には嬉しい機能ですね。
AJAとDataPath
Black Magic Designのキャプチャカードのネイティブサポートのアップデートにより、ResolumeはAJAとDataPathからの入力を取得し、出力することができます。
NewTek NDI
NewTek NDIを使用し、同じネットワーク上のコンピュータ間でビデオを送受信できます。 アルファチャンネルを使用して、好きな解像度を高品質で低遅延で使用できます。
大規模なプロジェクトで有用そうです。
その他のアップデート内容など
上記の他にも、数十のアップデート内容が公開されています。その一部を列挙します。
ほぼ、機械翻訳ですが、一部メモを追記しています。
- Fader Start(フェーダースタート):レイヤーフェーダーを上げる瞬間に合わせてクリップを開始する機能を再実装。
レイヤーボタン上で右クリックし『Fader Start』にチェックを入れる事で適用されます。 - コンポジションスピードとレイヤーTransitionと合成速度パラメータがパネルに追加
- クリップの挿入: ファイル/クリップをドラッグアンドドロップして特定の位置に挿入
- パラメータごとに複数のキーボード/ミディショートカットを設定可能。 右クリックしてショートカットを複製し、設定を変更します
- 値のショートカット。 パラメータを特定の値にすばやく設定する
- ショートカットを使用してドロップダウン/ボタングループを選択して再利用させることができます。 お気に入りの5つのブレンドモードにショートカットを割り当てたり、すべてのボタンを1つのボタンで切り替えたりすることができます。
- 必要なOSCのみを送信。 レイヤーの不透明度だけを送信するか、クリップトリガーだけを送信するか、または単に送信するかをすばやく選択可能に
- 固定フレームレートでレンダリングする。 30fpsに設定すると、より良いレコーディングが得られます。
負荷が挙がって、設定値に至らない場合はどうなるんだろうか。要調査 - 高品質レンダリングオプション 。 16ビット/カラーチャンネル
- アニメーションGIF対応
昔フォーラムで、アニメーションGIFには対応しないよ!って書いてあったけど、無事対応。嬉しいですね。 - BPMプッシュ/プルツールバー
プレビューエフェクトとプリセット ファイルのようにリスト内でダブルクリックしてください - クロスフェーダーカーブと独自のブレンドモード
- キャプチャデバイスの設定を自動検出 。 正しい解像度とフレームレートを細かく選択する必要が無くなった(デバイスがサポートしている場合)
- OSC経由で絶対値を送信する。
最初の引数として絶対値が続く ‘a’を送る - OSCを介してパラメータ値を要求する。 アドレスの前にプレフィックスとして、Resolumeはその現在の値で応答します
- Zeroconf経由の簡単なOSC設定
- ArtPollサポートの改善
- 高度な出力でLumiverseに直接DMX出力を割り当てる
- 複数のトランスフォームエフェクト
- レイヤーに合わせる/塗りつぶす/伸ばす
- クリップのブレンドモード、特定のクリップがトリガーされたときのブレンドモードのオーバーライド
- ファイルブラウザのお気に入りのフォルダ
- ファイルブラウザの自動更新
- 複数のエフェクトをコピー&ペーストする
- 出力メニューで表示を識別する
- 出力メニューの表示メニューからシステム表示設定を開く
- DMX、OSC、環境設定のMIDIモニター
- トゥルー・クリッププレビュー。
クリップをプレビューすると、レイヤーで再生されているクリップではなく、そのクリップだけが表示 - 新しいプレビューモニターのレイアウトを、横並びに、PiPで、まったくなし(?)
- アカウント登録管理
- FFTツールバーのダイヤル(?)
- ダッシュボードでBeatLoopr、Crossfader、Auto Pilotなどを設定可能に
- クラッシュレポーター追加
クラッシュした際に自動的にバグレポートを直接送信できるレポーターが起動します。
現場でプレイ中はそれどころでは無いかもしれませんが、準備中などは積極的にコミットしていきましょう。英語での送信できた方が良いかもしれませんが……。 - 自動アップデート
Resolume 6はマイナーアップデートをもっと頻繁にリリースする予定です。 自動アップデートチェックを設定する事により、常に最新の安定したバージョンを確認できます。
料金
気になる料金ですが、新規ライセンスは下記のとおり。
- Resolume Arena6 :€ 799.00 Euro
(2017年9月時点 日本円で107,000円 前後) - Resolume Avenue6 :€ 299.00 Euro
(2017年9月時点 日本円で40,000円 前後)
期間限定で、いまなら5(Aveneには5が無いので4)と6の正式版も両方利用可能です。
小箱~中箱でプロジェクションマッピングが不要なら、Avenue利用で4万円前後とお手軽です。
※学生、教師、教育機関などに限定した、いわゆる教育用ライセンスなら半額で購入できます。申請は専用エデュケーションライセンスフォームから申し込む形となります。https://resolume.com/shop/educational.php
ちなみにアップグレードの場合…
- Resolume Arena5からArena6へのアップデート :€ 319.00 Euro
(2017年9月時点 日本円で43,000円 前後) - Resolume Avenue4からAvenu6のアップデート: € 619.00 Euro
(2017年9月時点 日本円で83,000円 前後) - Resolume Avenue4からAvenu6のアップデート: € 119.00 Euro
(2017年9月時点 日本円で15,900円 前後)
となっています。
上記に記載されていないアップデート内容
記載しきれない程の大幅アップデートがあるとアナウンスされていますが、個人的にもいくつか気づいた箇所を記載しておきます。
H264 コーデック動画に対応
しれっと、H264コーデックに対応。H264でコーデックされたMP4やAVIファイルをクリップとして利用できるようになっています。
現場でいきなりUSBメモリに入った素材を渡された時など、あせってエンコードし直す手間が省けました。
MP4動画は素材のファイルサイズの軽減にもつながりますが、再生負荷は高くなりそうなので、実際のパフォーマンスにどの程度の影響があるかはもう少し使ってみて判断したい所ですね。
デフォルトバンドルSources『Line Scape』の強化
色々と便利で、みんな大好きLine Scapeがちょっとだけ強化されています。
パラメーターを操作する事で、曲線を変化させられる『Line Scape』ですが、色を新UIのカラーピッカーで指定できたり、『Line Width』パラメーターを大きくした時の、アンカーポイントみたいなものが無くなっていたり。新設された『Fuzzyness』パラメーターでさらに滑らかにぼかしたりといった事もできます。
Sources 『Rings』
新しいSources のRingsも気になります。
パラメーターは少ないですが、エフェクトと組み合わせて新しいリアルタイム表現ができそうです。プリセットで設定例が色々入ってますので、参考にできそうです。
Test Cardのアップデート
今までも、出力解像度などが確認できる何かと優秀なデフォルトテストカードがありましたが、出力解像度の他、カラーとコントラスト、現在時刻が確認できるものに変わっています。左上から光が移動するようなアニメーションも追加されています。
ちなみに上部のメニューから[ Output > Show Test Card ]で起動します。
Resolume6の日本語化
UIの日本語化に関しては、専用の日本語言語ファイルを作る必要があります。 有志の方がGithubで配布しているようですのであわせてご紹介しておきます。
- ResolumeAvenue6の日本語化ファイル Github
- 【Resolume 6】日本語を利用できるようにするには?(日本語化ファイルを作成した方のblog)
まとめ
とりあえず、新着情報として機械翻訳と一部意訳にてレポートしましたが、大規模フェスなどでの演出を見据えた、ハイパフォーマンス化によりプロユースソフトウェアとして、一層活躍していきそうです。
デッキの切り替わりも、アナウンスどおり高速になっているのを感じました。
アニメ―ションGIFへの対応なども、ネタ的な素材の選択肢が増えるので嬉しいかたも多いのではないでしょうか。
個人的にはカラーピッカーや、パラメータのエンベロープ機能、MIDIフィードバックでAPC40 Mk2のボタン色を指定できたりするようになった点が魅力的に感じました。
- VJソフトウェア Resolumeオフィシャルサイトはこちら