漫画『映画大好きポンポさん』はすべての創作者に刺さる傑作! アニメ映画化も進行中!
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漫画『映画大好きポンポさん』レビュー クリエイター魂に響く作品

評価:5 

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杉谷庄吾【人間プラモ】氏により、2017年にpixivへ投稿された漫画『映画大好きポンポさん』は、映画が大好きな作者による映画が大好きな登場人物たちの映画論や、創作世界の人間模様を描いた作品です。

豊富な映画知識や哲学を基に創作の楽しさをこれでもかと説いた内容が、映画好きだけでなくイラストや動画、音楽など現代的創作活動を行ったことがある人に突き刺さると話題になりました。

その後、書籍化や続編『映画大好きポンポさん2』の刊行、スピンオフ漫画『映画大好きフランちゃん』連載とその世界を広げていった本作。ついには劇場版アニメ化外部サイト)されることが決定しました。 当記事では、その人気の秘密と共感力を作中の名セリフから探ってみましょう。

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『映画大好きポンポさん』導入ストーリー

映画大好きポンポさん (ジーンピクシブシリーズ) コミックス (紙) – 2017/8/26

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まずは、本作『映画大好きポンポさん』の導入ストーリーと主役のふたりを確認してみましょう。

映画の聖地ニャリウッドでその名を轟かせた伝説の名プロデューサー、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼン。その孫娘で、彼の持つコネや創作理論、決断力、審美眼など、映画作りに必要な才能をすべて引き継いだ銀幕の申し子と称される映画プロデューサーがジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット……通称ポンポさんです。

そんな彼女の製作アシスタントとして働く青年ジーン・フィニは、ある日ポンポさんから次回作の監督に指名されてしまいます。果たして、彼は無事ポンポさんの求める映画、そして自分の求める作品を作り上げることができるのでしょうか?

『映画大好きポンポさん』名セリフから読み解く共感力!

それでは、本作『映画大好きポンポさん』の、全創作者に刺さる名言を紹介します。

「おバカ映画で感動させる方がかっこいいでしょ?」

Chapter.2で、才能があるのになぜB級映画を撮るのかとジーンに尋ねられた際のポンポさんのセリフです。最初から名作を作ろうとするのでなく、自分の作りたいものを作った結果それが名作へと昇華する。ものづくりをする人にとってまさに理想の形ですよね。

ポンポさんの場合、今回撮りたかったものを昇華させるにはB級おバカ映画がちょうど良かったというだけの話。そして、現代娯楽において”2時間以上の集中を観客に求めるのはやさしくない”と考える彼女にとって、余計なものを削ぎ落としてスリムな上映時間に収めやすいB級映画は、まさにうってつけだったのでしょう。

流行り廃りに乗っかってばかりいないで、自分の好きなものを作り続けていいんだと勇気づけられます!

「目の前で読まれるの恥ずかしいっ!」

Chapter.4で、新作映画の脚本をジーンに読んでもらいたいけど恥ずかしさもあるポンポさんが叫んだ言葉です。

すべての創作者は、ものづくりを楽しみたい気持ちとは別に、(人によって程度は違えど)他人に見てもらいたい、褒められたいという承認欲求があるもの。でも、いざ見られるとなると、自分の趣味嗜好をさらけ出すようで恥ずかしい。この彼女のセリフにはそんな葛藤の気持ちが込められています。

このシーン、誰もが「あるある」と頷き、彼女と一緒に恥ずかしい気持ちを共有してしまうほどの説得力があります!

「その映画を一番見てもらいたい誰かのために作ればいい」

Chapter.5で新作映画の打ち入りパーティが開催され、初監督のジーンに対して先輩監督のコルベットが言ったセリフです。自分が何を作りたいのか見失うのは、作り手にとってよくあること。そんな迷いを直球で救ってくれる素敵なひとことです。

そう、見てもらいたいのは同じ趣味の人間でもいいし、自分の好きな人でもいい。極端に言えば、自分自身でもいいわけです。その人を喜ばせたい、自分が喜びたいと考えることが、ものづくりの方向性を決める際に重要なんだと気付かされます。

「今……僕が地球上で一番幸せなのは間違いないな」

Chapter.6で新作映画が大ヒットし、初監督を成し遂げたジーンがクランクアップ後の編集時間を回想したときのモノローグです。監督就任前のポンポさんの作品で、15秒トレイラー制作を任されたジーン。彼は、自分の思い通りの形に映像を組み立てられる編集作業こそが映画作りの中で一番楽しいと気付きます。

頭の中にいっぱいあるアイディアを、アレコレ模索しながら理想の形に仕上げていく。これは映像の分野だけでなく、イラストや音楽などすべての創作者が一番エネルギーを注ぎ込む時間で、モノが出来上がっていく時間でもあります。大変だけど、楽しすぎる。これには共感せずにはいられません!

まとめ: 読後の満足感は正に名作映画級!

当記事では、『映画大好きポンポさん(1巻)』の魅力をご紹介いたしました。全136頁に濃縮された創作理論の説得力、共感するしか無いセリフの数々など、どこを見ても密度の濃い名作だと言えます。

そして、筆者が個人的に最高だと思ったのはラストのセリフ。 ……あえてここには書きませんが、作品全般に張り巡らされた伏線をひとことで回収しきる美しささえ感じてしまいます。未読の方は是非この綺麗すぎる終わり方を確認してみて下さい。読後の満足感は正に名作映画級ですよ!

そんな綺麗に終わった作品に続編は野暮なのではと思ってしまうのですが、そこは我らのポンポさん。「綺麗に完結した映画の続編ってどう思う?」というメタとも取れる話題から『映画大好きポンポさん2』は始まるのです。

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そしてスピンオフ漫画『映画大好きフランちゃん』は、女優の卵フランちゃんがポンポさんたちの助力を受けながら大女優へと駆け上がるストーリー。どちらも本編に負けず劣らずの素敵な作品なので、ぜひまとめて読んでみてくださいね!

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アニメ視聴歴だけはやたら長く、スマホゲームは次から次へと乗り換えるイナゴタイプ。

周りよりもひと足先に面白い作品を見つけることが喜びだけど、ひとたび好きな作品を見つけたらトコトン好きになるしつこさも兼ね備えたハイブリッド種。

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