料理は人生! Netflix『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』は食欲も知識欲も刺激する! | uzurea.net

料理は人生! Netflix『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』は食欲も知識欲も刺激する!

料理は人生! Netflix『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』は食欲も知識欲も刺激する!
料理は人生! Netflix『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』は食欲も知識欲も刺激する!

執筆: ヤマダマイ アイコン ヤマダマイ

Netflixのドキュメンタリー番組のおいて、常に人気を集めているジャンルが“グルメ”。 屋台料理にフォーカスした『ストリート・グルメを求めて』(2019)や、メキシコの人気料理の秘密を探る『タコスのすべて』(2019)など、誰でも親しめる料理をテーマにした作品が多くあります。

そんな中でも、私が個人的にタイトルからも惹かれたNetflixドキュメンタリー番組が今回紹介するアグリー・デリシャス: 極上の”食”物語(2018、2020)です。

『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』レビュー

画像 Netflix『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』視聴ページより
画像 Netflix『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』視聴ページより

劇場公開されたグルメ系のドキュメンタリーといえば『ノーマ、世界を変える料理』(2015)や『99分,世界美味めぐり』(2014)といった美食をテーマにした作品が目立つだけに、『アグリー(Ugly=醜い) デリシャス(Delicious=美味しい)』というタイトルはかなりインパクトがありました。 和訳するなら『見た目は悪くても、美味しい料理』といった所でしょうか。

ですが、このドキュメンタリーは、見ていて食欲がわくのはもちろん、知識欲も満たされる、まさに1度で2度美味しい番組だったのです。

Ugly Delicious | Official Trailer [HD] | Netflix
Netflix『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』海外予告

妥協を許さないスターシェフ、デイビッド・チャンが友人たちとともに、世界中で愛されている定番メニューの数々に舌鼓を打ちながら、食と文化を掘り下げていく。

アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語 Netflix 解説より

『アグリー・デリシャス』ホスト役、デイビッド・チャンとは?

『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』予告動画より

日本ではあまり馴染みのない人物かもしれませんが、デイビッド・チャン(DAVID CHANG)はアメリカで有名なシェフであり、ラーメン・レストランチェーン『モモフク』の経営者でもあります。

同時に有名シェフらしからぬ言動を見せる場面も。 例えば第1話『最高のピザとは』では、日本でもおなじみのドミノ・ピザを絶賛し、あまりに好きすぎて体験入社をしていました。 好きなものは絶賛し、嫌いなものは嫌いだと口に出して伝えるスタンスは、ホスト役としてはこれほどの適任者はいないのでは? と思うほどです。

そしてこのデイビッド、シェフとして成功した今なお、料理に対する探究心は醒めません。 自分が納得できるまで様々な国や地域に訪れ、その地域のシェフ達に質問の嵐を投げかけます。

そんなデイビッド・チャンがホストを務める『アグリー・デリシャス』はグルメ番組であると同時に、料理の深い魅力について考えさせれるのです。 特に筆者が本編を見て感じたことは、料理とはパンクであり、アイデンティティであり、そして人生そのものということでした。 深い……。

Travel the World With David Chang | Breakfast, Lunch & Dinner Trailer | Netflix
デイビッド・チャンは『デイビッド・チャンの世界を食べつくせ!』という番組も持っています。(こちらもNetflixオリジナル)

反抗心からシェフになる? 『料理はパンク

『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』予告動画より
『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』予告動画より

高級レストラン店の厨房にいるのは、洗練された選ばれし人材だけーー。 と、料理業界に疎い筆者は思っていたのですが、第1話『最高のピザとは』でデイビッドはこれを真っ向から否定

厨房にいるシェフたちを『ならず者の集まり』や『特殊部隊の兵士』など、がさつな表現をします。 しかしこれには理由があり、海外のレストランには働き口を求めてやってきた不法移民が多く、人種や価値観が様々であることを意味していました。

第2話『タコスにくるまれて』では、フードトラックでタコスを販売しているシェフが、経験の長いスタッフに料理のアレンジを任せていると語ります。

ホスト役のデイビッドも、シェフになった理由は『食を通して反抗したかった』からというとてもパンクなものでした。 シェフという立場にあっても、美味しければ大衆向けチェーン店でも絶賛するのは、こうした反抗心からかも知れません。

第1話ではイタリアで生まれたピザが、今ではアメリカの料理のように振る舞われている事実に対して、デイビッドが調査します。 それぞれの国のシェフから聞くピザへのこだわりや、「俺は○○のピザなんて認めてない!」という発言も飛び出すなど、まさに彼らは尖ったミュージシャンのようでした。

料理と移民の関係性とは? 『料理はアイデンティティ』

デンマークのレストラン「ノーマ」のシェフ長であるレネ・レゼピも登場します。(『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』予告動画より)
デンマークのレストラン『ノーマ』のシェフ長であるレネ・レゼピも登場します。
『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』予告動画より

料理を極めると、必ずぶつかる壁に『伝統を継承するか、新たに作り上げるか』というものがあります。 誰でも最初は参考にしているレシピや食文化があるし、自分の生まれ育った国の伝統料理となれば、なおさら影響力は高いでしょう。

第2話『タコスにくるまれて』では、デイビッドの友人でありデンマーク・コペンハーゲンにあるレストラン「ノーマ」のシェフ長レネ・レゼピをはじめとする、世界で活躍するシェフに話を聞きます。

あの著名なレストランが日本にやって来た!映画『ノーマ東京』予告編
世界で初めて移動型レストランを成立させたデンマークのシェフ、レネ・レゼピ。
移動した現地の食材を使って料理を振る舞います。
詳しくは『ノーマ東京、世界一のレストランが日本にやって来た』(2016)を見るのがオススメ。

異国の地でシェフが慣れ親しんだ郷土料理を振る舞うことは、一番手っ取り早く人種の壁を取り払えると話す場面も。 確かに私たちも旅先に行くと、観光地と同じくらい現地の料理を食べてみたいと考えています。 料理は知らない間に、人種の違いによる壁を無くしているのかもしれません。

第4話『エビとザリガニの違い』では、文化を尊重するニューオーリンズと、変化を柔軟に取り入れるヒューストンの対比を捉えており、同じアメリカ国内でもここまで文化との向き合い方が異なるのかと驚きました。(もちろん、どちらが良いか悪いか、という話ではありません)

特に、料理とアイデンティティの題材は、デイビット自身が韓国系アメリカ人ということも重なって、非常に濃い内容となっています。 デイビット曰く、「アイデンティティが曖昧だからこそ、新しいことに挑戦せざるを得ない。だから街や人の歴史を尊重し続ける姿に驚く」。 彼ならではのシェフのあり方を垣間見る事ができます。

家庭料理で見る人の生き様…… 『料理は人生』

『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』予告動画より
『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』予告動画より

第3話『家庭料理がもたらすもの』では、まさに『アグリー・デリシャス』の名にふさわしい『家庭料理』について追求します。

この回に限ったことではないのですが、本シリーズではデイビッドの持論をアニメや映画のシーンで例えることがあります。 家族料理については『レミーのおいしいレストラン』(2006)で、料理を食べて当時のことを思い出すシーンを例えに持ち出していました。

そもそも『アグリー・デリシャス』の意味は、デイビッドが「家庭料理は見た目が悪くても美味い。そういうアグリーデリシャスな料理を作りたい」という発言からきていると思わます。 この言葉には色んな意味が込められており、第3話『料理は人生』と呼ぶにふさわしい回でした。

左の人物がデイビッドのお母さん
『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』予告動画より
左の人物がデイビッドのお母さん
『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』予告動画より

見た目なんか後回し! 大勢の料理を用意するためなら、どんな手段もいとわない豪快な料理シーンをはじめ、デイビットが感謝祭に合わせて実家に帰り、実の母親と料理をするシーンも見ることができます。

デイビッドのお母さんも、筆者のオカンも「料理はたくさんあったほうが良いでしょ?」というあたり、料理=量は世界のオカン共通のようにも思えます。 そして、味だけでなく、その料理が机に並んだときのエピソードも踏まえ、家庭料理について知ることは、その人の人生を知る数少ない方法かも知れません。

また、2020年から配信された第2シーズンの1話では、デイビッドの奥さんが妊娠したことで、子どもに与える料理について考える様子が捉えられています。 同時に、シェフと親の立場を両立させることの難しさ、どちらかを選ばなければいけない風潮への反発も見られます。 シェフの家族としての生き様を垣間見れる、貴重な回です。

普段は歯に衣着せぬデイビッドも、子どもが生まれてくるのは初めての経験なので、あまり見ないナイーブな一面も見られました。

まとめ『アグリー・デリシャス』は料理の全てを追求する……!

料理とは、パンクであり、アイデンティティであり、人生そのものだということを教えてくれた『アグリー・デリシャス』。

『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』予告動画より
『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』予告動画より

最初は「美味しいご飯のインサートをいっぱい見るぞぉ〜」くらいの軽い気持ちで見始めましたが、デイビッド・チャンの人柄もあって、料理の世界の奥深さを思い知らされました……。

毎日3食も食べてるのに、私は料理のこと何も知らなかった……と恥ずかしさも感じるほどですが、デイビッドは「自分の知識の無さを知ることは良いことだ」とも言っています。

有名シェフでありながら、知らないことに臆せず学びの姿勢を貫く姿にリスペクト……。この作品を見れば、あなたも明日から料理を見る目が変わるかもしれません。

【おまけ】私がオススメしたい“神回”

【おまけ】私がオススメしたい“神回”『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』予告動画より
『アグリー・デリシャス: 極上の”食”物語』予告動画より

現在、全8話のシーズン1と、全4話のシーズン2で構成される『アグリー・デリシャス』ですが、基本的にどの話も独立しており、気になる料理の話から見ることも可能です。

もし何話から見ようか迷っている人は、シーズン1の第5話『奥深いバーベキューの世界』を見てみて下さい!

イリノイ州で開催されるBBQ大会では、日本からは想像もつかないような巨大な肉が登場するなど、見ているだけでよだれが止まらないこと間違いなし。豚の丸焼きと言うか、豚の姿焼きのようなものまで! あまりのボリュームに、映像を見ながら白飯食べれそうなレベルです。

肉が美味そうに焼けるシーンだけではありません。 80歳をこえた老夫婦が長く営むBBQ店が地元紙から最高の店と評され、町の人々に愛されたことで涙するシーンはもらい泣き必須。

さらに、デイビッドが日本の小さな焼き鳥屋で、あまりの美味さに涙目になる場面も。我慢できずに厨房の店主とハグするシーンは見ていてほっこりしてします。 店主も照れくさそうにしているのがまた微笑ましい。

難しいことを抜きにして、料理もドラマ要素もグッと来る神回なので、気になる人はぜひシーズン1の第5話『奥深いバーベキューの世界』を見てみて下さい!

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料理は人生! Netflix『アグリー・デリシャス: 極上の"食"物語』は食欲も知識欲も刺激する!

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