小笠原諸島と表現者を映す映画『プラネティスト』の魅力 ドキュメンタリー レビュー | uzurea.net

小笠原諸島と表現者を映す映画『プラネティスト』の魅力 ドキュメンタリー レビュー

小笠原諸島と表現者 映画『プラネティスト』の魅力 ドキュメンタリーレビュー
小笠原諸島と表現者 映画『プラネティスト』の魅力 ドキュメンタリーレビュー

執筆: ヤマダマイ アイコン ヤマダマイ

『ポルノスター』『泣き虫しょったんの奇跡』などを手掛けた豊田利晃(とよだ としあき)監督による『プラネティスト』は、小笠原諸島をテーマにしたドキュメンタリー映画。

ドキュメンタリーというジャンルにおいては自然をテーマにした作品も多いですが、『著名人が現場に赴いて、自然の魅力や秘密を探る』といった内容がポピュラーです。 しかしこの『プラネティスト』は、監督自身も魅了された小笠原諸島に、さまざまな“表現者”を招き、島で自己を表現してもらう……というユニークな内容となっています。

映画『プラネティスト』の舞台、小笠原諸島について

今なお、原初の地球の風景が残る島として、世界中に知られている小笠原諸島。東京から船で1日以上かけてたどり着くことのできるこの場所には、観光目的はもちろん、さまざまな表現に従事するクリエイター達も訪れます。

父島、母島、聟島、硫黄島、西之島、沖ノ鳥島、南鳥島などの島の総称
小笠原諸島
画像:パブリックドメイン

豊田監督も島の魅力に取り憑かれた1人であり、住民票を小笠原諸島に移し、4年間もの撮影期間を経て完成したのが『プラネティスト』。 滞在期間中、島にディジュリドゥの演奏者GOMA、俳優の窪塚洋介、ミュージシャンの中村達也ヤマジカズヒデを招き、彼らが島で何を感じ、何を表現するかをカメラに収めています。

本作は、小笠原諸島の魅力を伝えるだけでなく、表現者たちがどのように島に感化されたのかを捉えた作品でもあるのです。

映画「プラネティスト」 予告編
映画「プラネティスト」 予告編

監督も導かれた小笠原諸島のパイオニア・宮川典継

本作のホスト役とも言える存在が、小笠原諸島のパイオニアである、レジェンドサーファー 宮川典継氏。

宮川氏は小笠原諸島にいる野生のイルカと一緒に泳ぐ『ドルフィンスイム』を考案。 さらに絶滅危惧種となる動物の保護などを行い、島の世界遺産登録に貢献した人物としても知られています。本編ではウェットスーツやフィンもつけず、海パンだけでイルカと泳ぎ、さながらその姿は海のターザンのよう。

また、島に訪れた人々に、その魅力を伝えるだけでなく、彼らの抱える疑問や問題に寄り添う……そんな懐の深い人物である事が映像からうかがい知れます。

ミュージシャン、俳優、画家……4人の表現者たちが小笠原諸島で感じたもの

プラネティスト』では、豊田監督とゆかりある人物が小笠原諸島を訪れます。 長く滞在する人も居れば、ふらりと足を運ぶように訪れる人まで様々。 しかし誰もが、島の魅力や自分の中にある“なにか”に気付かされる様子がこの作品には収められていました。

11/25『プラネティスト』舞台挨拶
2018年11月25日 『プラネティスト』舞台挨拶

ディジュリドゥ演奏者 GOMA

まず最初に小笠原諸島に訪れたのは、アボリジニの伝統的な楽器である『ディジュリドゥ』の演奏者であるGOMA氏。

同氏は、2009年に交通事故に遭い、高次脳機能障害の症状により活動休止をしていた時期があるそうです。 現在も過去のことだけでなく、さっき話していたことも忘れてしまう状態が続いており、島に訪れたときもリハビリの最中だったとか。

GOMA氏が島を訪れた最大の理由は、はるか昔にアボリジニが捕鯨をするときにディジュリドゥを使っていたという言い伝えがあるため。 実際に沖に出てGOMAがディジュリドゥを演奏すると、不思議なことにクジラの群れがGOMAを取り囲みます。

神秘的な体験をしたGOMA氏は、後にカメラの前で、自分の状況や考えを吐き出すと思わず涙を流しました。

画家としての顔も持つ同氏ですが、島で描いた作品では、今までになかった色使いができたと語ります。その絵は、この島に来なければできない色使いだとで描いたとも明かしました。(絵は本編でも確認できます)

俳優 窪塚洋介

別の時期には俳優 窪塚洋介が来島。彼は単身ではなく、奥様や息子も連れて島に訪れました。

個人的には孤高の俳優というイメージが強かった窪塚氏ですが、本作では常に息子と共に島の魅力を堪能する様子が収められていました。 そして、息子に島の魅力を感じてもらうためか、あえて多くは語りません。 そんな、父親としての顔を垣間見ることができました。

また、島に生息する植物から生死観を語る宮川に、自分も死の瀬戸際に立ったことがあると打ち明ける場面も。 島の生態系は、映像を見ている私たちにも様々な価値観を感じさせてくれます。

本作最大の見どころでもある『表現』シーン

各パートの最後には、小笠原諸島の夕日をバックに、出演者達が自己表現をするシーンがあります。

前述のGOMA氏は浜に流れてきた流木を使って、ディジュリドゥのスタンドを作り演奏を行います。

卍LINE』名義で歌手として活動している窪塚洋介氏は独唱を披露しました。

後半ではドラマー 中村達也氏(ex BLANKEY JET CITY/フリクション 他)や、ギタリストのヤマジカズヒデ氏(dip)が登場。 共演こそしていませんが、それぞれが夕日を前に演奏するシーンは圧巻の一言。時間たっぷりに演奏シーンを見せてくれるので、バンドマンを始めとするミュージシャンにも見てほしい作品です。

本作品のパンフレットによると、中村達也氏は島に来てただひたすらに演奏していただけだったと監督に語っていたそうです。 そして演奏後には、しがらみから解かれた自分の姿を見出すことができたとも。

この島々には人が自分自身を見つめ直す機会を与える何かがあるのかもしれません。

雲や夕日の長回し映像の美しさ

各表現者達の『表現』シーンも以上に多くの時間割いて映し出されるのが、小笠原諸島の夕日の映像。 豊田監督が4年間、毎日取り続けたという夕日の映像は、同じ日本で見ていても、私が普段見る夕日とはまるで違うように感じました

『プラネティスト』公式のポスタービジュアルも、すべて夕日や雲の映像を切り取ったものが敷き詰められている
『プラネティスト』公式のポスタービジュアルも、
すべて夕日や雲の映像を切り取ったものが敷き詰められている

美しさより力強さを感じる夕日にすっかり見惚れてしまい、いつか自分の目で見るために、小笠原諸島へ行きたい。 そんな想いに駆られている自分にも気がつきました。

【おまけ】ドキュメンタリーだけど、グッズ展開も充実

『プラネティスト』はドキュメンタリー作品としては、豊田利晃監督の公式サイトで販売されているグッズ展開が豊富です。 Tシャツが4種類(うちロンT1種)、トートバッグ2種

エンターテイメント作品や、音楽ドキュメンタリーならまだしも、自然を扱うドキュメンタリーでここまでグッズ展開しているのは珍しいと思います。

公式サイトで販売されているグッズ
(画像は他作品のグッズも含む)

筆者は豊田監督とグラフィックアーティストのYOSHIROTTENによるコラボTを買いました。

ちなみに舞台挨拶などで出演者の方々が着ている、カタカナロゴTも可愛いので買えばよかったなと後悔しています……。 パンフレットも一般的な書籍タイプではなく、ピンナップ集+特大のポスターが付いてきました。こちらも素敵なデザインです。

首都圏での公開は終了しつつあるものの、9月も全国各地で順次公開が予定されているので、気になる方は、ぜひ大きなスクリーンで小笠原諸島を夕日を眺めて見てほしい作品です!

プラネティスト 作品概要

  • 監督:豊田利晃
  • 出演:宮川典継/GOMA/窪塚洋介/渋川清彦/中村達也/ヤマジカズヒデ
  • ナレーション:小泉今日子

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「ハリウッドの次なる挑戦」窪塚洋介さんゲスト回(後編) #欲望のSNS
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※動画の8:48頃から『プラネティスト』について語られています
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