映画『パイプライン』レビュー! 怒涛のリベンジ映画が幕を開ける!
画像 映画『パイプライン』公式サイト

映画『パイプライン』公開前レビュー! 労働者必見?怒涛のリベンジ映画幕開!

評価:3.5 

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ヤマダマイ

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2022年になっても労働者の悩みは尽きません。横暴な上司、無茶苦茶なスケジュール、言うことを聞いてくれない部下、モンスタークライアント、etc。いっそ何もかも投げ出して、一攫千金のおいしいチャンスでも振ってくれたらなあ……。そんな労働者の希望と地獄を詰め込んだクライムアクション映画『パイプライン』が2月4日(金)より公開されます。

韓国の送油管から油を盗んで転売する特殊犯罪『盗油』をテーマに描いた本作。鮮やかな怪盗劇とはひと味違い、労働者にも置き換えられる下請けの地獄と逆襲を描いた痛快作品となっていました!

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映画『パイプライン』レビュー! 怒涛のリベンジ映画が幕を開ける!

映画『パイプライン』のテーマとなる『盗油』とは、韓国の地下に設置されている送油管から穴を空けて石油を盗みだし、転売をして金銭を得る特殊犯罪のこと。日本には馴染みのない犯罪ですが、実際の韓国では社会問題になっています。(映画の内容はフィクション)

韓国の送油管(パイプライン)の総延長距離は約1200キロメートルに及び、映画本編では作業がバレないようにビニールハウスやコンテナでカモフラージュをしながら犯行に及ぶ様子も見られます。

しかし、送油管に穴を空ける穿孔作業は非常に危険です。石油が流れてくるまでに作業を完了しなくてはならないし、蒸気が噴き出したり、ちょっとした機材の火花が石油に引火すれば、バレる・バレないでは済まないレベルの事故が起きることも。

命がけの作業は手に汗握る展開です!

ソ・イングク主演!『パイプライン』2022.2.4(金)公開|予告編
映画『パイプライン』公式予告 2月4日(金)公開

 

タイトル パイプライン(原題:Pipeline)
公開日 2022年2月4日(金)
監督 ユ・ハ
脚本 ユ・ハ、キム・ギョンチャン
出演 ソ・イングク、イ・スヒョク、ウム・ムンソク、ユ・スンモク、テ・ハンホ、ペ・ダビン
制作 韓国(2021年)
公式Web、関連リンク 公式サイト

映画『パイプライン』あらすじ

パイプに手さえ触れれば、大成功を収める盗油業界最高の穿孔技術者“ピンドリ”は、数千億ウォンの石油を盗むために大計画をぶち上げた大企業の後継者ゴヌの提案を拒めず、危険極まりない作戦に合流する。プロ溶接工の“チョプセ”から、地中を透視できるかのように把握している“ナ課長”、怪力の人間掘削機“ビッグショベル”、彼らを監視する“カウンター”まで!しかし、異なる目的を持つ者たちが騙し騙されながら、計画は予想外の方向にこじれ始める…。

公式サイトより

主演を務めるソ・イングクは8年ぶりの主演映画!

画像 映画『パイプライン』本予告より
 © 2021 [CJ ENM, GOM PICTURES, M.o.vera Pictures]
All Rights Reserved.

本作の主人公であり、泣く子も黙る穿孔技術者「ピンドリ」を演じるのはドラマ「応答せよ1997」や「ナイショの恋していいですか!?」など様々なジャンルに出演しているソ・イングク。映画への出演は『君に泳げ!』から実に6年ぶりの映画出演。

穿孔技術というと汗水流して顔を汚しながら、作業着でせっせと働く姿をイメージをしそうですが、「ピンドリ」はさながら業界(窃盗ですが…)のイメージを変えるかのように高級車に乗り、作業中はブランドのスーツを着ていました。それだけ『盗油』はおカネになるということでしょう…。(恐らく)ほかの映画では拝めないであろう世界一セクシーな穿孔シーンとなっています。

ちなみにちゃんとタンクトップ姿でドリルしているシーンもあるので、肉体美もしっかり拝めました。

脇を固めるキャストにも注目!

画像 映画『パイプライン』本予告より
 © 2021 [CJ ENM, GOM PICTURES, M.o.vera Pictures]
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「ピンドリ」をはじめ様々な技術者たちを集めてトンデモな計画を持ち掛ける大企業の後継者・ゴヌ役にはファッションモデルとしてデビューし、現在は俳優業も行うイ・スヒョクが抜擢。ドラマ「根の深い木 ―世宗大王の誓い―」で武術に秀でた護衛武士を演じるなど、持ち前のルックスを活かした演技が注目を集めています。映画『パイプライン』でも手段を選ばないサイコなオーラは必見です。

また「ピンドリ」と共にゴヌの計画に参加する人物たちには「溶接担当」チョプセ役に『コンフィデンシャル/共助』(17)のウム・ムンソク。施工管理者のようなポジションを担当するナ課長役に『グエムル -漢江の怪物-』(2006)のユ・スンモク。巨体を活かして掘削を行う ビッグショベル役をNetflix映画『サイコキネシス -念力-』(2017)のテ・ハンホ。彼らを監視する役目を担うカウンター役にはドラマ「アスダル年代記」(19)のぺ・ダビンが演じました。

監督は『江南ブルース』(2014)、『凍える牙』(2012)を手掛けたユ・ハが担当しています。

地獄の下請け業務が幕を開ける…

画像 映画『パイプライン』本予告より
 © 2021 [CJ ENM, GOM PICTURES, M.o.vera Pictures]
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高級車に乗って現場に現れ、ブランドのスーツを着て穿孔作業を行うピンドリ。彼の身なりを見ると『盗油』の世界は危険かつ華やかなものに感じられます。ピンドリたちが参加するビッグな計画も、成功すれば10億ウォン(日本円で約9650万円)が手に入るウハウハな報酬…。しかしその作業は過酷なうえに、現場も滅茶苦茶な状態で工程を進めなければならない“地獄の下請け作業”でした…。

タイトな工期で遅延やミスは許されないうえに、ピンドリに因縁を持つ警察の執拗な捜査も欺かなくてはなりません。渡された図面は当時の手抜き工事が災いして、思う通りの作業が進められない…。いくら一攫千金の計画とはいえ、こんな無茶な工期で現場を回し、警察の目を欺き、泣き言をいえば(ゴヌの部下から)パワハラされる。ミスをすれば事故に遭うのは自分たちなので「おカネなんていらないから普通に仕事したい!」と、誰でも根を上げそうなほど過酷でした。地獄!

華やかだったピンドリの姿は、労働者が味わう苦労を受けたことで心も体もボロボロに…。その過程は全労働者に刺さること必須です…!

日本の現場にも通ずる?『パイプライン』で見る工期との戦い

画像 映画『パイプライン』本予告より
 © 2021 [CJ ENM, GOM PICTURES, M.o.vera Pictures]
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今作は『盗油』という特殊なフィルターを通して工事現場を見ているので、どこか絵空事のように見える作品かもしれませんが、ぶっちゃけ日本の現場もなかなかに凄い逸話が絶えません。入社祝い金を貰った途端に従業員がバックれたとか、事務所のお金を従業員が持ち逃げしたとか…。筆者も仕事柄、時々そんな話を耳にします…汗(SNSで現場猫が“職業自虐ネタ”として広まるのも頷けます)

映画『パイプライン』のチームを会社の従業員に見立ててみれば、そのメンツのヤバさがよく分かります。

溶接担当のチョプセは仲間にウソをつき、自分だけ得をしようと周囲を出し抜く男だし、工程を管理するナ課長もなんだか様子がおかしい……。計画の“スポンサー(とは名ばかりの)”であるゴヌからは「計画を途中で投げ出すなら違約金を払え」と脅される始末。

上も下も横も曲者ばかりです。

日本の工事現場における労働環境も大変ですが、現場経験のある方がこの映画を見れば、労働環境の辛く苦しい様子をより一層感じとれるかもしれません…汗

労働者に刺さる怒涛の戦いと友情も必見!

画像 映画『パイプライン』本予告より
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終始過酷な環境に置かれ、スポンサーのゴヌからも虐げられ続けることで、不思議とクセの凄いチームに団結力が生まれてきます。

一匹オオカミだったピンドリは最初こそ周囲に冷たく自分中心で動いていましたが、ゴヌの横暴な態度やナ課長の秘密を知ったことで、次第にチームの一員として自覚を持つようになるのです。はじめはスーツに香水、萌え袖ニットを着て穿孔用のドリルを作るという、だいぶお高くとまった印象がありましたが、最後には身を挺して仲間を守り、気に入らないことは真っ向からゴヌにぶつけるように。

何より異議を唱えつつも、しっかりカネを手に入れようとする泥臭さも痛快です。そんなピンドリに触発されたメンバーもゴヌたちに反旗を翻し、仕事そっちのけのガチバトル展開も!工具は武器!ハンマーや重機で人に攻撃する様子を見ると、現場は本当に危険な場所なんだなあと、改めて職人さんが命がけであることに気づかされました。そういう意味ではお仕事映画の側面があって面白いです。

映画『パイプライン』まとめ

韓国映画『パイプライン』は華麗な怪盗劇というより、犯罪者でありながらも泥臭く金や気に入らないスポンサーに反抗していく様が非常に痛快な作品でした!

『盗油』でも楽してお金が稼げるわけじゃないんだなあ~。個人的には実際に現場での勤務経験がある方にこの映画の感想を聞いてみたい。

ストーリー★★★★(4)
最後の最後まで金を手に入れ、敵を出し抜こうとするピンドリたちのガッツは圧巻!
映像★★☆(2.5)
爆発のシーンや石油が流れてくるシーンの『CGっぽさ』が……
音楽★★★(3)
エンドロールを含めノリの良い軽快なサントラが印象的
ピンドリの色気★★★★★(5)
スーツ姿からタンクトップから覗かせる肉体美など、惜しげもないセクシーサービス。
総合評価★★★☆(3.5)
完璧さ・華麗さを期待するとちょっと肩透かしかもしれませんが、
本作を観ると「仕事であの人を見返したい!」といった反骨精神が沸き上がるので、2022年の景気づけにお勧めしたい作品でした。
映画『パイプライン』のレビュー
(最大星5つ/0.5刻み/9段階評価)
ソ・イングク主演『パイプライン』1分半で魅力丸わかり!キャラクター映像|2.4(金)公開
映画『パイプライン』キャラクター映像

映画『パイプライン』レビュー! 怒涛のリベンジ映画が幕を開ける!

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ヤマダマイ

レンタルビデオ店、ミニシアター勤務を経てライターをしています。 『映画board』でも執筆中です。面白い映画をわかりやすい内容で紹介していきます。でも本職は2匹の猫(キジ白、牛柄)の下僕。

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