ここ最近SNS界隈をにぎわせている猫語翻訳アプリ『にゃんトーク』。猫の鳴き声をスマホのマイクで拾い、「なでなでして」「ねえねえ」など猫達の気分・気持ちを表す言葉に翻訳してくれるスマホアプリです。
普段から何を考えているのか、分かりそうで分からないのが猫の魅力でもありますが、それが分かった時の嬉しさもまた格別ではないでしょうか。
今回は筆者が飼っている2匹の猫様協力のもと、この『にゃんトーク』の精度と、猫と4年近く暮らしている飼い主の予想が一致するのかを検証してみたいと思います。
索引
にゃんトークvs飼い主!
話題のネコ語翻訳アプリと飼い主の理解は一致するか?
そもそも『にゃんトーク』の仕組みは?
『にゃんトーク』はAI活用ソフトなどを開発する米国の企業『AKVELON』が2020年にリリースした『MeowTalk Cat Translator』というアプリで、その日本語版名称が『にゃんトーク』。 (iOS版は当記事執筆時点では英語表記のまま)
猫の鳴き声をマイクで拾い、猫の感情を翻訳してくれます。 その大まかな仕組みとしては、”AIと機械学習により猫語を翻訳”しているそう。(同社のWebサイトの解説より)
沢山の猫の鳴き声を記録しその状況やイントネーションなどをAIで解析し、私たち人間の感情に割り当てる……という事でしょうか。 なんだか難しそうですが、このアプリの開発者ハビエル・サンチェス(Javier Sanchez)さんは、Amazonの音声アシスタントAI:アレクサ(Alexa)の開発にも携わっていたそうで、技術的には信頼性が高そうですね。
にゃんトークの基本的な使い方
さて、この『にゃんトーク』では、猫のプロフィール=画像や名前、おおよその年齢を登録し、録音する際は該当する猫を選んで結果を調べることができます。複数の猫を飼っている場合、その個性によって違うニュアンスも学習してくれるのかもしれません。
また録音した鳴き声と翻訳結果は履歴として残り、鳴き声の再生も可能です。
月額プランで機能を拡張できますが、SNSで流行っているような使い方の範囲であれば無料機能で楽しめます。猫の登録をして、スマートフォンのマイクで鳴き声を聞き取って、アプリが翻訳をしてくれる……という訳ですね。
今回協力していただける我が家の猫様たち
こちらが今回の検証に協力してもらう2匹。
里親活動をしている知人から生後3ヵ月のときに引き取りました。似ていませんが兄弟です。
ねり(4歳 オス)
4歳のキジ白の猫が『ねり』。
人間を全く怖がらず、ZOOM会議にも参加するなど飼い主より人見知りをしません。あざとい性格。
きり(4歳 オス)
4歳の白黒ブチが『きり』。
運動が好きで、停まっているルンバに執拗な暴力をふるいます。40インチのテレビを倒して破壊するなど、家電を壊すのも大好き! (……。)
実際に『にゃんトーク』を使ってみる
ありがたいことに我が家の猫様たちはよく鳴くので、今回の検証にはまさに適任。検証の前に軽く鳴き声を翻訳してみました。
まずはキジ白の『ねり』ににゃんトークを向けてみると……
体調不良だとしたら普通に心配になるやつですが、不機嫌という意味でしょうか……。
録音しているときは甘えている様子だったので、もっとキュートな返しが来るかと思ったら、いきなりシリアスな返答にやや震える筆者。とはいえ、元気と食欲はいつもどおりなので、やはりスマホを向けられてイラついていたのでしょうか。なんか怒ってるっぽいし。 ちょっと怖い。
そしてこちらは『きり』。
甘えモードの鳴き声3連続。こう連続するとメンヘラさんみたいですね。
そういえば最近は、甘えてきたと思ったら筆者の顔面にゆっくり爪を突き刺してくるんですけど、それもメンヘラ特有の屈折した愛情表現だったのでしょうか。ちょっと怖い。
今のところ怖い思いしかしていないのですが、本番はもっと楽しい結果になることを願いつつ、さっそく検証スタートです。
いよいよ本番! 『飼い主の経験』と『にゃんトーク』と比べてみる
我が家の猫は決まったタイミングや条件で鳴くことが多いので、実際の様子とにゃんトークの結果を比較していきます。ちなみににゃんトークの翻訳結果カテゴリーは以下のように分かれてきます。
- 防御
- 戦闘
- 怒り
- 幸せ
- 狩り
- 交尾
- ママ・パパを呼ぶ
- 具合が悪い
- 休み
- 注意を払ってください
そして我が家の猫が鳴く事が多い、下記のシチュエーションで翻訳をしてみます。
- 筆者の出勤時
- 居間から隔離されて、室内に入れてほしいとき
- エリザベスカラーの装着時
- ちゅ~るを与える時
出勤時に鳴くときは足元にすり寄ってくるので、ほぼ甘えているとみて間違いないなさそう。猫のおやつ「ちゅ~る」はにおいが結構するので、食べる前から嬉しい感情が現れていると予想します。エリザベスカラーの装着は、モノを見ただけでいそいそと隠れるので、「怒り」よりは「防御」かなあ~と予想してみました。
シチュエーション1:筆者の出勤時
最初のシチュエーションは、筆者が出勤準備を始めると鳴く『きり』。鳴くだけではなく足元にすり寄ってきたり後をつけてきます。
かまって欲しいのかな? なんて感じていましたのでにゃんトークのカテゴリで言うと『注意を払ってください』の鳴き声が一番近いのでしょうか。 結果は……
筆者を探しているような翻訳となりました。隣にいるけどね? もしくは寂しくて激しく求愛されているのでしょうか。 まあ、7割くらい予想とあっていたのかな、と。 正解としましょう。
シチュエーション2: 居間から隔離されて、室内に入れてほしいとき
なぜか人間が料理をしている時や食事の最中に限って運動会を開催する2匹。さすがに食器を倒したり、コンロに飛び込んできたりすると危険なので、そういう時に我が家では居間から一時的にご退出願っています。すると、扉の向こうでずっと鳴き声を上げつづけます。
にゃんトークのカテゴリとしては『ママ・パパを呼ぶ』系に該当するのではないかと予想しますが、さて。
悲痛に愛を求める言葉に、締め出しをした身としては申し訳なくて「ううっ…」となってしまいますね。
翻訳カテゴリとしては『注意を払ってください』と『ママ・パパを呼ぶ』が半々といったところでしょうか。 まあ正解という事で。
シチュエーション3:エリザベスカラー装着時
なぜか季節の変わり目になると体毛が一部禿げてしまう『ねり』。お医者さんから貰った薬を塗るために、エリザベスカラーを一時的に装着しています。
写真は見るからにメチャクチャふてくされてますね。 パンジーをイメージしたカラーを買ったのですが、モンハンのあいつにしか見えません。こんな時は「不愉快だぞ……」と『防御』か『怒り』の鳴き声を出していると思いきや。
うーん、甘えているだけ? 平常運転でした。そういえばよく見ると尻尾もなぜか上向きだったんですよね。
カラーをつけようとすると逃げるし、付けている最中はすごく抵抗されるのですが、装着すると観念して気分を切り替えているのか? ……というわけで、今回の予想はハズレ、不正解ですね。
シチュエーション4:ちゅ~るをあげるとき
嫌いな猫はほぼいないであろうという、猫用おやつの『ちゅ~る』をあげる時。
この時はやはり『幸せ』でしょうか。
ただ我が家の猫様はメチャクチャ大きい声2匹同時に鳴くので、それぞれの翻訳が大変でした。さて。
お~媚び媚びですねぇ。ちゅ~るを出す量もおのずと増えるってものです。きりは媚びるどころかLIKEよりLOVEな様子。
『大好き』アピール=『幸せ』ととらえられるとするなら、今回の予想は正解でしょう!
検証結果総括!
検証結果としては4シチュエーション中で3つは筆者の予想と『にゃんトーク』の翻訳結果があっていたという事になります。 アプリの精度も(筆者の経験も)なかなかではないでしょうか?
今回の検証以外にも『食後すぐに廊下へ出て鳴き続ける』など、カテゴライズが難しそうなシチュエーションで鳴くこともあるのですが、筆者がにゃんトークを用意している時に限って鳴いてくれない、というのも猫ならでは……。
結果のほとんどで「大好きだよ!」とか「愛する人」などと言って甘えてるのは、検証企画として成立しているのかも微妙なところですが、飼い主の正直な気持ちとしてはホクホクでございます。
アプリでは、翻訳をすると結果画面で『翻訳が正しいかどうか(※)』を聞かれるので、飼い主目線で結果の正誤を送り続ければ、ディープラーニングで精度も上がっていくのだと思います。
※でも、それを知りたくて翻訳アプリを使っているのですが(笑)
おまけ1:自動翻訳モードのまま外出してみた
『にゃんトーク』には、常にマイクで鳴き声をひろう『自動翻訳モード』というものが存在します。 この状態で猫の鳴き声を聞き取ると随時翻訳し、結果はLINEのようにメッセージ形式でどんどん翻訳されます。
そして『自動翻訳モード』にしたiPadを部屋に置いておいて、家を出てみました。 無人の我が家で猫達は何かをはなしているでしょうか……。
2匹いるので『ねり』が鳴いているのかは定かではないですが、ひたすら飼い主を求め続け、最終的に「知らない」と記憶を失った様子。 でもやっぱり愛おしくなりますね。
あと、昼間の間はずっと寝ていると思っていたのですが、意外と鳴いている事がわかりました。
おまけ2:近所の野良猫でも試してみた
にゃんトークには翻訳する猫の選択肢に『近所の猫』という項目があります。おそらく猫を飼っていない人にもアプリを楽しんでもらうための機能かと思います。
近所で野良猫が激しく鳴いていたようなのでこれを使って翻訳していました。
姿が見えなかったのですが、鳴き声を聞いた限りでは喧嘩かと思ったのですが……
求愛……でしょうか? 調べてみると、猫の発情に決まった周期はないそうです。
猫の発情は、犬のように年約2回と決まっておらず、日照時間が発情周期をコントロールしています。春になり、日照時間が長くなると、発情が誘発され、日照時間が短くなると終結します。
猫の発情期間とその様子は?│猫のよくあるご相談│猫と暮らすお役立ち情報 花王株式会社 より引用
このテストを行ったのは10月の上旬だったのですが発情期の可能性もあるようですね。 『愛して!』は飼い主に甘えているワードだと思っていたのですが、ケースにによっては文字通り求愛なのかもしれません。
飼い猫ならある程度鳴き声が予想できるのに反して、野良猫の場合は意外な結果が出そうですね。例えば野良猫の翻訳結果が体調不良を意味していたら、保護してあげる……なんて実用的な使い方もイメージできます。
もっと精度が上がれば今のようなエンタメ用途だけではなく、猫の健康・ストレスチェックにも活用できそうですね。今後に期待したいところ!
おまけ、突然のエラーにより翻訳が不可能に → 複数端末で結果を共有できる
本記事用の検証中に、iPhoneでアプリを起動しても『デバイスエラー』と表示されて翻訳できない事態が発生しました。いざ本番というときの最悪のタイミング。 スマートフォンを再起動や、アプリの再インストールをしても改善せず。
ちょっと困りましたが、仕方ないのでiPad miniで『にゃんトーク』の検証を行いました。
なおユーザー登録しログインすればデバイス間で翻訳結果が共有されますので、家にiPadを置いておいて、外出先で翻訳結果を確認する……なんて、見守り機能としても使えそうですね。