KORG(コルグ)より、1980年代に発売された『DW』シリーズの資産をベースに構築されたウェーブテーブル・シンセサイザー『modwave』が発表されました。
37鍵のキーボード、Modホイール、Pitchホイール、Kaoss Physics(X/Yパッド)、Modノブ×4を搭載し、エンベロープ、5つのLFO、5つのModプロセッサー、2層Key Trackを搭載した現代版のモンスター・シンセ。2021年6月発売予定で、価格は現在のところ未発表。
KORG ウェーブテーブル・シンセサイザー『modwave』
1985年に発売されたKORGの『DW-8000』はデジタル・ウェーブテーブルとリッチなアナログ・フィルターを組み合わせ、アナログ・オシレーターでは不可能なサウンドを実現しました。そのため今でも一部マニアの間では人気を誇っています。
今回発表された『modwave』は、そのDWシリーズの資産をベースに構築され、現代版モンスター・シンセへと変貌を遂げたとのこと。信じられないほどディープなウェーブテーブル・オシレーター、豪華なフィルター、ワイルドかつ柔軟なモジュレーション、比類なきポリフォニー、幅広く網羅するパターン・シーケンス、そしてすぐに理解できる操作系を特徴としているそうです。

画像 KORG 公式サイト より
『modwave』にはダイナミックな変化を与えるKaoss Physicsとモーション・シーケンシング2.0という2つのユニークな新しいツールを搭載。Kaoss Physicsは、x/y Kaossパッドに変調可能なゲーム物理学を組み合わせて、パワフルなのはもちろんのこと、操作するのが楽しくなる反応の良い対話型コントローラを生成するとのこと。モーション・シーケンシング2.0は、複数のレーンとリアルタイム・レコーディングを含む、wavestateのウェーブ・シーケンシング2.0の有機的で継続的に変化するパターンをモーション・シーケンスの世界に持ち込み、他のステップ・シーケンスでは不可能な、複雑に進化したフレーズを作成するのに役立ちそうです。
ウェーブ・シーケンシング2.0 (wavestate) や オルタードFM (opsix) と同様に、進化した『modwave』のウェーブテーブル・シンセシスは、独自の全くユニークなサウンドと、それらのサウンドを素早く簡単にカスタマイズできる機能ごとに独立したノブ・レイアウトを提供。特徴的なウェーブテーブルの音色はアグレッシブなベースとリード、豊かなアンビエント・パッドから始まり、トラックに新たな次元を加えます。
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シンセ・エンジン

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ウェーブテーブル・オシレーターを”ディープ“と呼ぶそうですが、これは過言ではないとのこと。200以上のウェーブテーブルからスタートし、それぞれ最大64の波形が含まれており、それらは数千もの個別のウェーブになります。30以上のモディファイアを使って基本的なキャラクターを変更したり、13のモーフ・タイプを使ってリアルタイムで処理したりできるそうです。
独自のリアルタイムA/Bブレンドを使って、任意の2つのウェーブテーブルから新しいハイブリッドを作成。簡単に計算すると、モジュレーションを追加する前に、2億3,000万以上のウェーブテーブルのバリエーションが用意されていることになります。また、『Sound Librarian』ソフトを使用し、SerumまたはWaveEditフォーマットで独自のカスタム・ウェーブテーブルをロードすることも可能。さらに、内蔵の大容量PCMライブラリのサンプルを使って、ウェーブテーブルをレイヤー化することもできるとのことです。
各プログラムにはフル機能の2つのウェーブテーブル・オシレーターと、それに加えてサブ・オシレーター/ノイズ・ジェネレーター、過激なMS-20、スイートなPolysix、新しく強化されたマルチ・フィルターを含む12種類のステレオ・フィルターが搭載されているとのこと。4つのトリガー可能なエンベロープ、5つのLFO、デュアル・モジュレーション・プロセッサー、2つのキートラック・ジェネレーター、さらにマルチレーンのモーション・シーケンスとKaoss Physicsを搭載した非常に柔軟性の高いモジュレーション・システムを使って、ほぼすべてのパラメーターのコントロールが可能だそうです。
1つのプログラムで1ボイスにつき最大4つのウェーブテーブルを同時に再生することができるとのことですが、modwaveは32ボイスのポリフォニーを実現しており、ウェーブテーブル・シンセとしては驚異的。2つのプログラムを重ねることで、さらに可能性が倍増するそうです。
Structure(構造)

画像 KORG 公式サイト より
Kaoss Physics

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Kaoss Physicsは、ボールが表面を転がったり、壁に跳ね返ったりする様子をモデルにしています。X/Yパッド上で指をフリックすることでボールをスタートさせることもできますし、ゲート+ダンパーなどのトリガー・ソースを使って自動的にボールを発射させることもできます。またパッド上で指をかざすことでボールを直接コントロールすることもできます。ボールの位置によって4つの変調信号が生成され、XとYの位置、中心からの距離、X軸に対する角度など、好きな変調先を制御することができます。このような自動変調の適用方法は非常にユニークなもので、飽くなき進化を遂げる変調を実現しているそうです。
平面には谷や丘のように、下にも上にも行くような段差があります。凸凹の高さや深さを設定したり、斜面の形状を選択したりすることができます。表面の摩擦も調整できるので、ボールの移動速度が遅くなります。表面の四方には壁があり、ボールが壁に当たると跳ね返ります。壁は緩衝材を加えたようにボールを減速させたり、ピンボール・マシンのバンパーのようにボールを加速させたりすることができます。また壁を完全に取り除いて、ビンテージのアーケード・ゲームのように、表面が反対側のエッジに巻き付くようにすることもできます。
このモデル化された環境において、特定のモジュレーション効果を作り出すことができるとのこと。例えば中央に凹を配置して変調値が常時最終的に0に戻るようにしたり、側面やコーナーに凸を配置して変調値をそのゾーンから遠ざけるようにしたりします。
Tilt、Friction、Time、Bump Height、Position など、ほとんどのパラメータは調整可能。Kaoss Physicsの出力からそれらを調整することもできます。例えば、Tilt XをKaoss Yで調整してみてください。その結果、あなたの物理的なジェスチャーによって、複雑な音楽的な結果へと変化させるインタラクティブなコントローラーが完成します。これもKaoss Physicsの醍醐味だそうです。
モーション・シーケンシング 2.0

KORG 公式サイト より
モーション・シーケンシング 2.0は、『wavestate』のウェーブ・シーケンシング 2.0を進化させたものとのこと。タイミング、ピッチ、シェイプ、4つのステップシーケンス値のセットは”レーン“に分離されており、それぞれが独自のループ・スタートとループ・エンドを持ち、より深く、よりカスタマイズ可能なレベルのフレーズやモジュレーションのレコーディングが追加されているそうです。
シーケンスが進むたびに、個々のレーンを組み合わせて出力を作成します。例えば、ステップ・シーケンスの値は、再生するたびに異なるデュレーション、ピッチ、シェイプにマッチさせることができます。ベロシティ、LFO、エンベロープ、モジュレーション・ノブ、その他のコントローラーを使用して、各レーンのループ・ポイントをノートごとに個別にモジュレーションすることができます。コードを構成する各ノートは、それぞれ異なるものを演奏することが可能とのことです。
レーンは、演奏するたびにステップの順番をランダムにすることもできます。また個々のステップをランダムにスキップすることもできます。その結果、ユーザーのコントロールに反応する有機的で変化に富んだサウンドが生まれます。デュアル・オンボードのアルペジエーターは、モーション・シーケンスと相互に作用し、さらに多くの可能性をもたらしそうです。
シンセ・エンジンのより深いところへ

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ウェーブテーブル
ウェーブテーブルとは、単一サイクルのデジタル波形のセットのことで、特定の順序で配置されています。ウェーブテーブルの”ポジション“によって、どの波形を再生するかが決定されます。エンベロープやLFOなどのモジュレーション・ソースを使ってポジションを移動させることで、音色に微妙な変化や劇的な変化をもたらすとのこと。ウェーブテーブル・システムの中には、ある波形から別の波形に突然切り替わるものもあれば、それらの間を滑らかにクロスフェードするものもあり、『modwave』はそのどちらかを選べます。
モディファイア
30以上のモディファイアを使用して、ロード時に任意のウェーブテーブルのキャラクターを変更することができます。例えば、奇数倍音や偶数倍音を分離したり、アンチエイリアス・クオンタイズやサチュレーションで重みを加えたり、Vintage 8と12のオプションを使えば、昔ながらのウェーブテーブル・シンセサイザーのざらざらしたキャラクターを蘇らせることが可能とのことです。
モーフ
13種類のモーフ・タイプを使って、ウェーブテーブルをストレッチ、スクイーズ、リフレクションなどリアルタイムで変化させ、音色を変化させたり、変調させることで、サウンドに新たな動きを生み出したりすることができるとのこと。シンクは単一のオシレーターのみを使用して、古典的なスイープ・シンクの音色を作成。3つの特別なモーフ・タイプ〜FM、AM、Ring Modは、Osc 2をOsc 1で変調し、さらにサンプルにも適用できるそうです。
A/B ブレンド
独自のA/Bモードを使用することで、オシレーターは任意の2つの波形を位相同期しながらブレンドすることができ、単に音色を重ねるのとは異なり、中間的な波形の幅が広がるとのこと。例えば、”薄い”波形に厚みを加えたり、メロウな音色にジュージューと音を加えたり。同じウェーブテーブルの2つの異なる”モディファイア”バージョン間でフェードすることもできます。もちろん、A/Bブレンドはリアルタイムでモジュレーションすることができるそうです。
大容量サンプル
ウェーブテーブルは、サンプルと重ねると素晴らしいサウンドになりますが、modwaveオシレーターはそれらを見事に使いこなします。『modwave』のサンプル・ライブラリには、KORG、Airwave、Francis Preveの新しい素材に加え、Plugin Guruのバンク、KRONOSとKROMEライブラリの一部も含まれているとのことです。
様々なフィルターを装備

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アグレッシブなMS-20ローパスまたはハイパス・フィルター、または強力かつスイートなPolysixローパスで、サウンドにビンテージなキャラクターを加えることが可能。2ポール/4ポールのローパス、ハイパス、バンドパス、バンド・リジェクト・フィルターのフル・コレクションを使用して、音の形を整え洗練させましょう。また複数のモードを同時にモジュレーション可能にブレンドするKORG独自のマルチ・フィルターは、フロント・パネルのノブにプリセットが用意されており、様々な可能性を容易に探ることが可能だそうです。
豊富なコントロールとモジュレーション

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多くのノブとコントローラーが、ユーザーを音の探究へと誘います。オシレーター、フィルター、エンベロープ、LFO、エフェクトは、専用のフロント・パネル・コントロールを使えば、指先で操作できます。4つのプログラム可能なModノブは、あらゆるサウンドを最大限に引き出すようにカスタマイズされているとのこと。ノブを使ってリアルタイムで演奏したり、結果を新しいサウンドとして保存することもできます。ホールド・ボタンを使えば、ノートやコードを無期限に継続させながら、フロント・パネル・コントロールを操作したり、他の機材を演奏したりすることができるそうです。
エフェクトの宝庫
『modwave』の優れたエフェクトは、プロダクションにも対応したサウンドを提供するとのこと。各レイヤーには3つの専用エフェクトと、Performanceのマスター・リバーブへのセンド、マスター・パラメトリックEQが搭載されています。コンプレッサー、EQ、コーラス、フランジャー、フェイザー、ステレオ・ディレイなどスタンダードなものに加え、ウェーブ・シェイパー、トーキング・モジュレーター、リバース・ディレイ、マルチバンドModディレイ、Overb(OASYSやKRONOSのもの)などの特徴的なプロセッサーや、VOXギター・アンプ、VOXワウ、マルチヘッド・テープ・エコー、クラシック・ギター・ペダルのコレクションなど、モデル化されたエフェクトが搭載されているそうです。

画像 KORG 公式サイト より
ランダマイズからの着想
さらなるインスピレーションを探すなら、”サイコロ“のアイコンが付いた専用のフロント・パネル・ボタンを押すと、インテリジェントなランダム化によって新しいサウンドが生成されるとのこと。オシレーター、フィルター、エフェクトなど、サウンド全体、またはサウンドの一部だけをランダム化します。結果を直接使用することも、自分の作品を作るためのスタート・ポイントとして使用することも可能だそうです。
エディタ/ライブラリアン
modwave Editor/Librarianは、macOSやWindowsコンピュータ(最新のApple M1ベースのシステムを含む)を介してサウンドの編集や整理を行うことができます。USB接続により第2のフロント・パネルのように動作するため、同期やデータ転送の必要がないとのこと。アニメーションはリアルタイムでモジュレーションの効果を表示するそうです。

KORG 公式サイト より
セットリスト機能とSST機能
セットリストは、『modwave』の演奏スタイルを簡単に整理し、ライブやリハーサルですぐにアクセスできるようにします。音切れのないSST(Smooth Sound Transitions)機能により、新しいサウンドが選択された後も、以前に演奏されたボイスやエフェクトを自然に鳴らし続けることが可能だそうです。
充実の接続端子
バランス・ステレオ出力はレコーディングやモニタリング・システムに接続し、ステレオ・ヘッドホン出力はプライベートな演奏やステージ上でのモニターに使用できます。MIDIはDin端子によるMIDI搭載楽器などの接続の他に、WindowsやmacOSコンピュータへのUSB MIDI接続も対応。
- ヘッドホン端子(6.3 mmステレオ・フォーン・ジャック)
- OUTPUT:L/MONOとR端子 (6.3mm TRSフォーン・ジャック、インピーダンス・バランス)
- DAMPER端子 (6.3 mmフォーン・ジャック、ハーフ・ダンパー非対応)
- MIDI IN端子
- MIDIOUT端子
- USB B端子

コルグR&D in Californiaによる設計
コルグR&Dは、『wavestate』やオリジナルWavestation、OASYSやKRONOSの共同開発をはじめ、多くのKORGの楽器の基盤技術を開発してきました。『modwave』は彼らによる独自の美学を反映したもので、最先端の技術を駆使した見事なサウンドと深い柔軟性、そして即時のフィジカル・コントロールを実現しているとのことです。

KORG 公式サイト より
『wavestate』の重要なサウンド・デザイナーであるAirwaveとPeter “Ski” Schwartz、そしてFrancis Preve、Richard Devine、KORGのボイシング・チームが加わり、『modwave』の素晴らしいサウンド・ライブラリーが完成したとKORGは考えています。
音楽ソフトウェアを無料バンドル
『modwave』には、曲を作るだけでなくAIによるマスタリングができる『Ozone Elements』、キーボード演奏の上達に役立つ『Skoove』、DAWソフト『Reason Lite』に加え、コルグやその他ブランドのソフトウェア・シンセまで、多数の音楽ソフトウェアが最初から付属。本製品を手に入れることによって、ユーザーの音楽をレベルアップさせるさまざまなツールを手に入れることができます。
iPad / iPhone用アプリ
- KORG Gadget 2 Le (音源内蔵DAW音楽制作アプリ)
- KORG Module (ピアノ・キーボード音源アプリ)
Mac / Windows用ソフトウェア
- KORG Collection – M1 Le(シンセサイザー音源)
- UVI Digital Synsations(シンセサイザー音源)
- AAS Ultra Analog Session(シンセサイザー音源)
- AAS Strum Session(アコースティック・ギター音源)
- AAS Lounge Lizard Session(エレクトリック・ピアノ音源)
- Propellerhead Reason Lite(DAW音楽制作ソフト)
- Skoove free 3 month trial of Skoove Premium(オンライン ピアノ レッスン)
- KORG Gadget 2 Le for Mac(DAW音楽制作ソフト)
- iZotope Ozone Elements(マスタリング・プラグインソフト)
- KORG Software Bundleの詳細、ダウンロードはこちら
主要スペック
システム
鍵盤 | 37鍵 (ベロシティおよびリリース・ベロシティ対応) |
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最大同時発音数 | 32ステレオ・ボイス |
音源システム | modwaveシンセシス・エンジン |
モジュレーション
コントローラー |
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その他のソース |
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デスティネーション |
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エフェクト
Pre FX |
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Mod FX |
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Delay |
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リバーブ |
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マスターEQ | 4バンド・パラメトリックEQ |
一般
入出力端子 |
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電源 | ACアダプター(DC12V, 2500mA) |
消費電力 | 5 W |
外径寸法(W × D × H) | 565 × 338 × 93 mm |
質量 | 2.9 kg |
付属品 | ACアダプター |
アクセサリー(別売) |
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関連リンク
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