USB Type-Cとは、USBの次世代規格「USB 3.1」の制定とほぼ同時期に作られた新しいコネクタ規格です。MacBookでも2015年3月からUSB Type-Cポートが搭載され注目を集めました。
記事執筆段階では対応機器もかなり増え、今後ますます普及しスタンダードとなっていくであろうUSB Type-Cをチェックし理解しておきましょう!
これまでのUSB……1.0から3.0 についておさらい
皆さんご存じのUSBはUniversal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)の頭文字をとった規格です。最初のUSB(1.0)は1996年に誕生しました。
それまではプリンタやキーボード、マウスなどPCに接続するアクセサリはそれぞれ専用のケーブル(シリアル接続や PS/2キーボードコネクタ)を使っていましたが、USBの登場でそれらの接続がUSBに統一されるようになりました。
そして、USBの規格は2.0規格が2000年に制定され、一層普及していく事になります。2008年にはUSB3.0という規格が登場しました。転送速度などさまざまな面で強化されたUSB3.0ですが、主要なコネクタタイプであるタイプAの形状が変わらず、色で見分ける……という点もあって、機器やコネクタの違いに気付かないユーザーも多かったかもしれません。
この辺りは
『今さら聞けない! USBの基礎知識、USB 2.0 とUSB 3.0 の違いと見分け方』
こちらの記事でも詳しく解説しています。
USB3.1の登場
そして、2013年にUSB3.1規格と、当記事の本題となるUSB Type-Cコネクタが登場します。
このUSB3.0はデータの転送速度(理論値)がUSB3.0 = 5Gbpsから、USB3.1になり10Gbpsとなり、一層の高速データ転送が可能になりました。
また、双方向の電力供給可能になり、その供給電力もUSB3.0が最大4.5Wだったのに対し、最大100Wと22倍程に上がっています。
映像用出力にも対応していますので、この辺りもUSB機器の新しい可能性として気になる所です。例えば、スマートフォンにUSB-Type Cが搭載された場合、スマートフォンから動画を出力してモニターで映画を楽しむ……なんて使い方もよりシンプルで身近に行える筈です。
2.0と3.0、3.1規格の概要を表にまとめてみましたのでご覧ください。
USB規格 | USB 2.0 | USB 3.0 | USB 3.1 |
---|---|---|---|
規格策定年 | 2000年 | 2008年 | 2013年 |
データ転送速度 (理論値) | 480Mbps | 5Gbps (5,000Mbps) | 10Gbps (10,000Mbps) |
電力供給能力 | 500mA (5V) | 900mA (5V) 最大4.5W | 1000mA (5V) 最大100W |
※データ転送速度の「理論値」というのは、規格上の理論的な最高転送速度です。
※単位の「bps」は「bits per second」の略で、「1秒間に何ビットのデータを転送できるか」を表します。
※USB の規格には、古いUSB 1.0/1.1(1996 年/1998 年策定)もあります。
USB Type-Cコネクタについて
そして本題の、新しいコネクタ形状であるUSB Type-Cについて。
正式名称はUSB Type-Cですが、稀に『USB-C』と表記されている事もあります。これらは同じものと理解しておいて大丈夫です。
Type-Cコネクタの一番の特徴といえばその形状でしょう。これまで不評だったType-Aコネクタの『上下逆で挿せそうで挿せない!現象』を改善しました。上下左右対象の形状で、表裏(上下?)問わず接続できるようになりました。
これは結構大きい改善点ではないでしょうか。
接続するときに向きが合わなくて、その度にコネクタをのぞき込むのって結構ストレスになりますよね。
コネクタのサイズも約8.4mm×約2.6mmと小さくなっており、タブレットやスマートフォンにも搭載可能になりました。現在MicroUSBコネクタが主流のスマートフォンなどでもUSB-Type Cが採用されるようになるかもしれません。
iPhoneにもUSB Type-Cが採用されるという噂もありますが、もし本当にそうなれば、モバイル機器のヘビーユーザーも色々なケーブルを買い揃える必要もなく、機器間のやり取りがよりシンプルになっていくでしょう。
今までのUSBは使えるの……? 互換性について
USB Type-Cは形が違うUSBコネクタや、下位のUSB規格とも規格としては互換性があります。ですので、変換アダプターや、変換可能なハブなどを利用すれば、どのバージョンのUSB機器ともデータの送受信も可能です。
もちろん形状が違うので、変換コネクタ―やケーブル、変換をするハブなどを利用する必要がありますが、これまで利用していた外付けHDDやUSBメモリ、その他の機器をすぐに買い替える必要はありません。
ただし、そのメリットである電力供給能力や転送速度などを最大限に活かすには双方USB3.1 Type-Cである必要があるという点にはご注意ください。
まとめ
このようにUSB-Type C及びUSB3.1は非常に将来性のある技術で、今後USB機器やPC、携帯端末は続々とこの仕様に対応していくでしょう。
反面、現在仕事や趣味などで重要な役割を担うUSB機器が有る方の場合、近い将来その運用方法を工夫する必要があるかもしれません。
MacBookを買い替えたがType-Cコネクタを持て余している……という方は既に沢山居る事と思いますが、今後Windows系ユーザでもUSB HUBの買い替えや、変換コネクタの手配が必要になる時がきますので、その時に備え今のうちに仕様を確認し、心の準備しておいた方が良いかもしれません。
おまけ
当記事の一番上の画像用に作成したUSB Type-Cっぽいアイコンのベクターデータをアップロードしておきます。2次配布以外の利用はご自由に。