夜明けのはいむ:ティッシュ要りませんか?

夜明けのはいむ:ティッシュ要りませんか?

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浦部はいむ

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私の地元では十数年前に
”サダコさん”という髪が腰の長さまであり 
爪が伸びて曲がっていて
全身黒い服の細身の女性が話題になっていました

”サダコさん”の存在を知ったのは中学2年生の時

きっかけはクラスメイトが見た

学校の帰り道で
髪が長くて黒ずくめの女性がうろついていて
奇声を上げていた

と言う話だった

変な人の話はチラホラあったので
あまり気にしてはいなかったのだけど

数日後、
母親の知り合いの
薬局屋で働いてる人の話で、
「髪の長い女性が
化粧品売り場でサンプルの口紅を
直塗りしたりし、長居するので困る」
と言った話も聞いた

髪が長いからか、いつのまにか
”サダコさん”
と呼ばれるようになり
「今日もいたよ」
と言った話を
度々聞くようになる

母と姉が買い物に行った時も
荷物を詰めるテーブルの近くに
髪の長い女性がずっと腰をかけていて

店員さんがなんとか退かせようと
していたと言う話を聞いたり

色々な人が見たと言うので
自分も”サダコさん”に会いたくなって
きていたのであった

ある日中学校から帰宅すると
父親と姉が青い顔をして
「今大変だったんだよ」
と言っていた

自分の家は自営でお店をやっている(※)のだが、
サダコさんが
お店の壁にへばりつき
最終的に店の中に入ってきたという

※ちなみに、お店は制約金融公庫の審査に落ちたとか色々あって六千万の借金を背負う

まさか
自分の家にまで来たのに
何故、私は会えないのかと
ショックを受けたのであった

そんなある日
友人と駄菓子屋で水飴を買い
手がベトベトに汚れていた時
「ティッシュ要りませんか?」
という声が聞こえてきた

振り向くと
髪の長い爪が曲った全身黒い服の女性が
立っている!
しかもうっすら笑っている

ティッシュ要りませんか? 浦部はいむ
ティッシュ要りませんか?
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サダコさんだ! 
心の中で叫んだ

「ありがとうございます」
とティッシュをもらい 手を拭いていたら

サダコさんが奇声を上げだし
びっくり

「殺される?」と思い
友人と光の速さで逃げた

友人は
親切な人がいきなり別人のようになったので
「今のは何?」
と怖がっていたが

自分はやっとサダコさんに会えて
笑みと、ティッシュ
二つのプレゼントをいただき
貴重な体験ができて
かなり嬉しかったのであった


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