米ロサンゼルスの映像制作会社『メソッド・スタジオ』の高度なVFX技術と映像作品

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中島 功二

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過去、カメラでの撮影が主流だった頃の映像の世界で非現実的な表現をおこなう際には、大規模なセットを構築したり、国内であればミニチュアなどを使った特撮と呼ばれる技術でさまざまなエフェクトや効果を作り出す、といった手法がとられていましたが、現在はコンピュータによるグラフィック制作=VFXが主流になっています。 今回紹介するDeluxe’s Method Studios(デラックス メソッド・スタジオ)はロサンジェルスに本拠を置くスタジオで、そんなCGとVFXでの映像演出・表現を得意としています。映画『アベンジャーズ』シリーズやゲーム『コールオブデューティ』といった名だたる大作にその名を連ね、2017年には映画「スパイダーマン:ホームカミング」のVFXも手がけています。 今回はこの世界的に有名なスタジオ Deluxe’s Method Studiosの作品をご紹介しましょう。

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2016 AICP Sponsor Reel – Dir Cut

これは2016年の”AICP スポンサー”をピックアップしDeluxe’s Method Studiosが制作をしたリール動画です。 AICPはAssociation Of Independent Commercial Producersの略で、毎年選出されるAICPアワードは広告動画の世界では非常に栄誉のある賞です。 この作品の位置付けとしてはそのスポンサー企業のショウケース動画(宣伝動画)ということになるでしょうか。 動画が始まって最初に受ける印象は、奇妙な衣装を纏ったダンサーが音楽に合わせて踊っているといった感があります。

風船が沢山ついた全身タイツ……?

所が、特別に注意深い人でなくとも、すぐにその第一印象が間違っている事に気づく事でしょう。情感豊かな踊りを披露するこのダンサー達が高度な技術で創られたCGであり、光ったり、色が変わったり……時に反対側が透けて居たりと不可思議な効果で描かれる衣装やダンサー達がも高度なVFXによってつくられたCGだと気づく時、『現実と見まごう程の非現実』的な高い表現力とエンターテイメント性をもった作品なのだと理解に至ります。

どこからが実写で、どこからがCGか。(全てがCGです)

モーションキャプチャー

この作品のに用いられている技術は、モーションキャプチャーによる動作のデータ化からはじまります。 このモーションキャプチャーという技術は、コンピューターゲームやアニメーション映画などの世界でも良く耳にする単語です、身近な所ではゲーム「ファイナルファンタジー」や、ディズニーCG作品などでも多く使われており、今やCGアニメーションでの映像制作にとっては最も重要な技術のひとつです。 モデルとなる人間の主要な箇所にセンサーを付けてその動きを撮影し、その座標データをコンピューター内に取り込み『人間らしさ』のある動きをプログラムとして再現する仕組みです。 なんだ、結局撮影しているんじゃないか!と感じる方も居るかもしれませんが、この技術を活かし今回のような映像をアウトプットしていく為には、私達の目に映像として見えるように『キャプチャーした動きに肉付け』をしていく必要があります。 取り込んだセンサーの点と点でしかないモーションデータをCGモデルの各部と連動させ、モデルとテクスチャという「肉や皮膚」を加え、最終出力として人間風のCGキャラクターがモーションキャプチャーをベースにした動きをしているように作られて行きます。 随分と手間のかかる作業に思えるかもしれませんが、CGモデルに手作業で動きを付けるよりもはるかに人間らしい所作が感じられるリアリティを持った動きを表現出来るようになるのです。

非常に人間的な情感のあるダンス

前出の『2016 AICP Sponsor Reel』ではこの『肉づけ』にあたり、Deluxe’s Method Studios独自のグラフィック生成プログラムによってさまざまなエフェクトが加えられています。

パーティクルシステムと独自グラフィックの融合

『パーティクル』システムとは決められた座標から一定の規則に従い、粒子=パーティクルを生成し表現する技術の総称で、これらの粒子にさらにエフェクトやグラフィックを加えてさまざまな表現をすることができます。

身体の表面が波打ち、色鮮やかな粒子が色と形を変えていく

同時に複数のオブジェクトを表示し動かす効果などに有効で、例えば『雪を降らせる』といった処理をCGで表現する場合、多くの場合このパーティクルシステムが用いられます。

パーティクルの集合体だけで作られたダンサーも登場

『2016 AICP Sponsor Reel』ではパーティクルシステムを使って、CGモデル上に肉付けがなされています。結果として衣装や撮影では実現できないような効果を加えられたCGダンサー達が縦横無尽にダンスを繰り広げ、時に崩れ、時に融合・拡散し、リアルな質感と非現実的なエフェクトの組み合わせによる新しい驚きを感じさせてくれます。

砂のように崩れながら踊り続け、やがて霧散するダンサー

その他の作品

『2016 AICP Sponsor Reel』同様の技術が用いられた作品としてFacebook – riendsday 2017などは、Facebookを利用しているユーザーは見覚えのあるものではないでしょうか。   また、人気FPS『Call of Duty – BlackOps IIIでの美麗なCGムービーなども同社による作品の一つです。

関連リンク

Deluxe’s Method Studios(デラックス メソッド・スタジオ)に興味を持った方は、同社のオフィシャルwebサイトと、Vimeoチャンネルからその他の作品や情報を確認してみてください。

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中島 功二

フリーランスの翻訳家兼ライター イギリスのArt University Bournemouthでプログラムを駆使した映像制作を研究&制作。 音楽、映像、アニメ制作、プログラミングなどなんでもござれ。 でも趣味はサーフィンで基本的に世界中の波を追いかけている。

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