昨今のデスクトップタイプコンピューターの操作には必要不可欠で、タブレットやラップトップPCにもあると便利なポインティングデバイスが『マウス(mouse)』です。
接続方式やセンサーの種類、形状など、多様な製品が販売されていますので、当記事でその分類ごとに解説をおこないます。マウスを選ぶ際の参考知識としてご覧いただければ幸いです。
マウスの接続方式一覧
マウスとPC/タブレットなどの端末を繋げる接続方式は、有線/無線を含めてさまざまなものが登場してきました。
- USB接続
- PS/2接続
- シリアル接続
- Apple Desktop Bus接続
- USBワイヤレス接続
- Bluetooth(ワイヤレス)接続
現在主流の接続方式から、ほぼ利用されなくなってきたものまでありますが、まずはこの接続方式を解説していきます。
USB接続マウス
周辺機器を接続する為の汎用的ポートであるUSBで接続するマウス。
USBのワイヤレスマウス(後述)も含めると、2019年現在利用されているマウスのほとんどは、このUSB接続タイプです。
PS/2接続マウス
『PS/2(ピー・エス・ツー)』コネクタはUSBコネクタが普及する以前に使われていた規格で、Windows、Unixなどのコンピューター向けのマウスやキーボードの接続に利用されていました。 1987年に発売されたIBMの『PS/2』というコンピューターに初登載されたことから、PS/2コネクタ(接続)と呼ばれるようになったそうです。
緑がマウス、紫がキーボード用として色分けされたPS2端子は、多くのPCで利用されていましたが、USB規格が登場し、多くのPCに複数のUSBコネクタが搭載されるようになる2000年代になると徐々にPS/2コネクタを搭載するパソコンは減っていきました。

写真はAmazonより
エレコム PS/2マウス M-K6P2RWH/RS
2019年9月現在でもUSB接続のマウスやキーボードを購入すると、PS/2接続用の変換アダプターが導入されている事もありますが、PS2ポートが備わっている端末は、古いコンピューターや、サーバー、業務用マシンなどに限られるのではないでしょうか。
Apple Desktop Bus接続マウス
『Apple Desktop Bus (ADB)』はアップルのMacintoshで使われていた周辺機機用の接続規格。 形状はPS2や、映像用コネクタのS端子に似た形をしていました。
1つのコネクタで、最大3台まで数珠繋ぎに接続できたので、本体→キーボード→マウス といったような接続も可能でした。
1999年に発売されたPower Macintosh G3が最後の『Apple Desktop Bus』搭載モデル。 その後はApple製コンピューターも、USB接続に切り替わりました。

写真は ksfan – による作品
The pinout of the Apple Desktop Bus (ADB) mini-DIN connector.
CC 表示 2.5
シリアル(RS-232C)接続マウス
OSにGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)が導入され、キーボードに加えて、マウス新しい入力機器として利用され始めた頃は、当時のPCに搭載されていた汎用的なコネクタ『RS-232C シリアルポート』でマウスを接続していました。
前述したPS/2 コネクタによる接続が普及するとともに衰退し、2019年現在ではほぼ絶滅状態。普段の生活で、シリアル接続のマウスを見かけることはほとんど無いでしょう。
USBワイヤレス(無線)マウス
USBコネクタに受信機を取り付けることで、マウスをワイヤレス(無線)接続するタイプのマウス。 最新のOSであれば設定なども必要なく、接続するだけで有線USBマウス同様に手軽に利用できます。

製品写真はAmazonより
エレコム ワイヤレスマウス M-IR07DRBU
電池をマウス本体に取り付けるため、有線タイプのマウスより本体が重くなるという点と、電池が切れると反応しなくなります。
一瞬の油断もできないプロゲーマーや、ヘビーユーザーは電池切れのリスクを避けるために利用しない、という話も。
Bluetooth接続 マウス
Bluetooth(ブルートゥース)機能を使って、端末とマウスをペアリングして接続する方式のマウスも一般的になってきました。 USB子機が必用な無線マウスと比べ、USBポートを占有しないという利点があります。
特にUSBコネクタが無い端末(スマートフォン、タブレット、省スペースタイプノートパソコンなど)でマウスを利用したい場合は、必然的にBluetooth対応のマウスを選ぶ必要があります。

写真はAmazonより
VicTsingマウス ワイヤレス Bluetooth(5.0+3.0)
もちろん、USBコネクタが有っても、Bluetooth機能を搭載をしていれるPCやスマホ、タブレットでこのタイプのマウスを利用する事ができます。
マウスセンサーの種類
次は、マウスの動きを感知してデータ化するセンサーをチェックしていきましょう。 手の動きをスムーズにカーソルに反映させる為の重要な部分で、これもマウスの登場からさまざまな方式が開発、製造されてきました。
ボール式センサー
ボール式は、マウスの底面に内蔵されたボールが転がることで、内部の縦・横・斜めなどを検知するローラーで移動を検知しをポインタを動かす方式。
設置場所によって、ボールの滑りが悪かったり、定期的にボールを外して内部のゴミを取り除く必要がありました。 このゴミ掃除が、当時はちょっとした息抜きになっていた……という意見も(笑)。
2019年現在、 ボール式の新品マウスを購入するのは難しそうです。
※amazonで検索してもトラックボールしか出てきません。
トラックボール
トラックボールは厳密にはマウスではありませんが、ボール式センサーのマウスの発展形として(?)、現存するポインティングデバイスです。

写真はAmazonより
Kensingtonオプティカルトラックボール KT-4327
機器の上部にボールが取り付けてあり、これを回転させる事でポインタを移動させます。 根強いファンが居る事もあり、定期的に新製品が発売されています。
光学式 (赤色LED)
光学式マウスの基本は赤色のLEDから光を出し、その反射を読み取とるタイプのもの。 登場したばかりの頃は専用のマウスパッドが必用で、その精度もイマイチでしたが、その後の改良により透明なガラスの上などをのぞいて、殆どの場所で利用できるようになり、普及しました。
ボール式のように、定期的な分解・清掃が必用なく、マウス本体もボールが無い分軽くなりました。 製造コストを安くできるので、パソコンに同梱されているマウスは、有線の赤い光が出るタイプ、という事が多いようです。
MRレンズ光学式
基本は前述の光学式 赤色LEDのマウスと同じ原理ですが、「MRレンズを採用することで、より高感度を実現」、として一時期『MR式』、『MR』といった記載のあるマウスが販売されていました。
昨今はこの表記を見かける事は少なくなってきています。
IR LED (不可視光線光学式)
IR LED(IRセンサー/不可視光線光学式とも)呼ばれるマウスも前述の光学式の一種ですが、より波長の長い赤外線LEDを使用し、赤い発光を目で確認することはできません。(赤外線対応のカメラを使うと発光が確認できるそうです)
精度などが向上する訳ではありませんが、消費電力が少ないため無線タイプのマウスや、小さくて携帯性の高いマウス=外出先向けのマウス製品に多く採用されています。
レーザー式
不可視のレーザー光を照射させ、読み取るタイプのマウス。 2004年9月にロジクールが開発。
光学式と比べて、より高解像度の読み取り性能で、光学式では読み取りにくかった、ツヤツヤな表面の机や、凹凸のある場所でも利用できるのも特徴です。

写真はAmazonより
ロジクール MX Master 2S MX2100sGR
良い点ばかりのようにも思えますが、読み取りの能力が高い為、マウスを持ち上げて移動した場合にもセンサーが感知しポインタが大きく動いてしまうという弱点があります。 また部品が高価になるため、マウス自体の価格も相対して高くなります。
ブルーLED 光学式
2008年9月にマイクロソフトが『BlueTrack Technology』と題して、青いLEDのマウスを発売しました。
青色LEDの放つ光は、赤のLEDと比べ波長が短く拡散率が高いため、わずかな汚れやホコリも読み取る事ができます。 光がほとんど透過するガラスの表面でもその極小な傷やホコリを検知して動作するそうです。
前述のレーザー式と比べると、わずかに精度は低いですが、価格面ではかなりリーズナブル。 精度が高く、リーズナブルと、良いとこどりのブルーLEDマウスは、今後の主流になっていくのではないでしょうか。
暗視野顕微鏡(Dark field Microscopy)レーザー式
暗視野顕微鏡(Dark field Microscopy)の技術を応用したマウス。 精度は非常に高く、前述の各方式では動作しなかった透明なガラスの上でも動作するようになりました。
ロジクールが『Darkfield』シリーズとして販売を開始。 その後、エレコムも『ULTIMATE LASER(またはTrack on Glass LASER)』 シリーズとして製品を販売しています。

画像はAmazon
エレコム ULTIMATE LASER 握りの極み M-XGM20DLSBK より
マウスのボタンについて
マウスのボタンや形状は、色々なメーカーから、さまざまな種類の製品が販売されています。 これらすべてをこの記事で網羅するのは難しいですが、いくつか代表的なものをピックアップして掲載いたします。
2ボタン+ホイール のマウス
右クリックと、左クリック用のボタンが一つずつ。そして中間にスクロール&クリックに使うホイールが付いているマウス。動作もクリック、ホイールクリック、スクロールと言ったシンプルなものとなっています。
2019年現在でも、メーカー製コンピューターに付属するものや、低価格で販売されているマウスの大部分はこのタイプを基本としています。
2ボタンマウス
PC/AT互換機、Windows系のマウスは登場時から、この2ボタンタイプでした。
2019年現在では、ホイールのついていないシンプルな2ボタンマウスはあまり見かける事はありません。
1ボタンマウス
AppleのMacintoshシリーズは発売当初からシンプルさを有線させるためにワンボタンのマウスで利用できるよう設計され、販売されていました。
その後2005年(Mighty Mouse発売)以降は、2ボタンやホイール付きのマウスとなっていますが、デザイン面では『シンプル&高品質』を貫いているのが、Appleのすごい所のひとつでしょう。
多機能ボタン付きマウス
2ボタン+ホイールに加えて、さらにボタンを設置したマウスも存在します。
webブラウザの『進む』『戻る』といった日常的に利用する動作の他、ホイールの左右スクロール対応や、ゲーマー向けの超多機能なものまでさまざまな製品が販売されています。

画像はAmazon
Logicool G ゲーミングマウス G502RGBh より
専用のドライバーをインストールする事で、追加ボタンの動作を独自設定できるので、作業やゲームの効率をあげたいというユーザー向けのマウスです。
エルゴノミクス(人間工学)デザイン マウス
エルゴノミクスデザイン=人間工学とは、使用時に身体への負荷を軽減するように設計された製品の事です。 代表的なのは、ロジテックなどのサードパーティ製の高性能マウスに見られる、左右非対称のマウスです。

画像はAmazon
サンワダイレクト エルゴノミクスマウス 400-MA092 より
シンプルなたまご型のマウスと比べ、手に収まりやすく、指や手首、肩への負担を減らし、長時間作業をするユーザーへ身体的・精神的負担を軽減する事を目的として製造されています。
縦型 エルゴノミクスマウス
エルゴノミクスマウスにはほぼ縦型になったような大胆なデザインのマウスもあります。

画像はAmazon
HAVIT縦型エルゴノミクスマウスHV-MS764 より
手のひらを真下に向ける事なく操作出来るので、より負担が少なくなるようです。

画像はAmazon
ロジクール MXV1s MX Vertical
リングマウス、フィンガーマウス
少し変わったエルゴノミクス(?)デザインのマウスとしては『リングマウス』や、『フィンガーマウス』と呼ばれるポインティングデバイスがあります。

画像はAmazon
サンワダイレクト リングマウス2 400-MA077 より
机などの上で使うのではなく、手に持って指で操作するような製品なので、厳密にはマウスではありませんが、製品名はリングマウス、となっています。
立ってプレゼンテーションをするような時や、特殊な状況で活躍しそうです。
まとめ
マウスの接続方式から、センサーの種類、形状などを大まかに解説しました。
本来マウスは、ケーブルがつながったこの入力機器の形状がネズミ=マウスに似ている事から、こう呼ばれはじめたそうです。 昨今は無線タイプの物も一般的になってきて、ケーブル=尻尾の無いマウスばかりですが、今後も余程大きなブレイクスルーでもなければ、マウスと呼ばれ続ける事でしょう。
当記事が皆様に必要なマウス選びの手がかりとなれば幸いです。 追記依頼や、誤記、分かりにくい所などあれば、コメント欄からご連絡いただければ、随時対応します。