『Ash Thorp(アッシュ・ソープ)』はデジタル作品を得意とする、フリーランスのデザイナー、アニメーター、クリエイティブディレクター、クリエイターです。映画『Ender’s Game/2013』『 Total Recall/2012』や、ゲーム『Call of Duty』などの作中でのGUIシステムなどデザインし高い評価を得ているクリエイターです。その名を知らずとも、映像を見たことのある人は多いはずです。
最近では日本の「攻殻機動隊」を原作としたハリウッド版「ゴースト・イン・ザ・シェル」の実写化のコンセプトデザイナーとして参加しています。
今回はこの、アッシュ・ソープの作品と、彼のクリエイティブを紹介していきましょう。
記事の索引
アッシュ・ソープ氏の作風
UIシステムや、3Dデジタル造形、3Dアニメーションを駆使した作品が多いのが特徴です。
REEL
その名の通り、リール動画。代表的な作品をダイジェストにしたコレクション動画。
緻密な描画と、デジタルのエフェクトなどが特徴的で、SF作品のプロジェクトなどでも多く活躍しています。
実権作品 『EPOCH(エポック)』
次に紹介するのはEPOCH(エポック)と名付けられた、ソープ氏の個人プロジェクト。SFと文学へのリスペクトを込めたという実験作品です。
宇宙の雄大さを感じながら、どこかストーリーめいたものが伝わってきます。
可能なら照明を落とした部屋で、大画面、豊富なサウンドシステムで味わってほしいと述べています。
『アサシンクリード』リール動画
こちらは、人気ゲーム『アサシンクリード』プロジェクトのリール動画。デジタルコンピューターによる画像加工や生成された緻密な映像生成・表現に息をのみます。
光と闇のバランスを探る短編映画『NONE』
NONEはモノトーンの世界で「光と影」に焦点創られた作品。
3DCG映像制作の世界では、クリエイターは立体物だけでなく、光源やエフェクトを自由に設置し、そのパラメータや数値を変えることによって簡単に映像へ味付けや作りこみを加える事が可能です。実世界とみまごう程の映像を3DCGで描く事が可能な事も昨今の映画などでも実証されています。
所がこの作品では、夜明けを感じさせる光源や明暗。建造物達の隙間に流れる霧がかった空気と埃。明滅する照明。そして深みと心地よさの隙間に僅かな不安感を感じさせる音楽。明暗を極端にすることによってオブジェクトやテクスチャの細部を曖昧にしつつも、そこに目を向けさせないようなカメラワークや演出。
この「光と影」の表現が秀逸ではあるのですが、それは現実的でありながら非現実的な世界に私達を引きずり込むような表現。リアリティ=現実に近づく事を主眼とせず、CGという立ち位置からリアルな世界を創造し表現ているかのように思えます。
『GHOST IN THE SHELL』リール映像
最後に、冒頭でも触れた、ハリウッド実写版「GHOST IN THE SHELL(ゴースト・イン・ザ・シェル)」のリール映像を見てみましょう。
同作品では、車、バイク、銃に始まり、都市のネオン街や着ているものを透明にして熱光学迷彩スーツの活性化の際の周りの風景との溶け込まし方など、メカニカルなオブジェクトや光について視覚的なインパクトが必要とされました。
そこで、実写化映画では決して作り出せないような『超デジタル』的な表現手法が可能で、かつ現実世界との高い親睦性のあるクリエイティブが可能なソープ氏の作風がこの作品のコンセプトと相まり、拡張現実を見ているような非常に高い完成度の映像が作り出されました。
まとめ
今回は、長編映画など多くのプロジェクトにも抜擢され、ますます活躍し有名になっていくであろう、Ash Throp氏にスポットあててご紹介いたしました。
彼のホームページやVimeoチャンネルでは、さらに多くの作品を見ることができます。3DCG、SF的UI、モーショングラフィックといった単語に興味がある方は、是非一度訪れて、彼の作品に触れてみてください。