Amazonオリジナル映画『サマリタン』 スタローン(76歳)がスーパーヒーローに! 渋みと深みのある秀作だった
Amazonオリジナル映画『サマリタン』 スタローン(76歳)がスーパーヒーローに! 渋みと深みのある秀作だった 画像 サマリタン 公式Webサイト スクリーンショット

Amazonオリジナル映画『サマリタン』レビュー スタローン(76歳)がスーパーヒーローに! 一見地味だがそれが良い。ぜひ続編も!

評価:4 

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森須 信号

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2022年の8月にAmazonオリジナルとしてプライム・ビデオで配信開始された映画『サマリタン(原題:Samaritan)』は、誰もが知るシルベスター・スタローンが主演を務めるスーパーヒーロー映画

昨今のAmazon STUDIOプロデュース作品の充実度には目を見張るものがありますが、本作もなかなかどうして。 渋みと深みを感じる、それでいて決して地味じゃない。そんな視聴の余韻をたのしめる良い映画でした。

物語のキーとなるネタバレを含むレビューですので、未視聴の方で気になる方は、ぜひ本記事を読む前に視聴される事をおすすめいたいます。 見ようか悩んでいる方で、ネタバレでもいいという方は、以下を読み進めてください。

Amazonオリジナル映画『サマリタン(Samaritan)』レビュー

Amazonプライム・ビデオでプライム会員なら無料で見放題となる作品『サマリタン』は、アメリカイリノイ州マディソン郡にあるグラニット・シティを舞台とした、スーパーヒーロー作品です。

本作では、作中での25年前に存在した双子である、ヒーロー『サマリタン』とヴィラン『ネメシス』の物語を起源としています。 正義と悪、それぞれの立ち位置から対立した2人は、発電所での決戦で共に死亡したと思われており、以後その存在は確認されていませんでした。

そんな現代、主人公である少年サムが近所に住む、ゴミを集めて暮らしているらしき老人ジョー・スミス(シルベスター・スタローン)の異常な能力に気づき、彼こそが過去にこの町で活躍したヒーローであり、決戦を生き残った『サマリタン』なのではないか……と疑いはじめます。

「ねえ! おっちゃんヒーローサマリタンだよね!」とスミスを慕う少年
※セリフ筆者の適当な意訳
画像 サマリタン公式Webサイトより
「ねえ! おっちゃんヒーローサマリタンだよね!」とスミスを慕う少年サム
※セリフは当記事担当者の適当な意訳
画像 サマリタン公式Webサイトより

……もちろん彼は超人だった

その老人は、悪党共を異常な力で退け、その報復で意図的なひき逃げに遭っても、自力で復活する……超人であり、常人でない事は明らか。

まあ、スタローンですからね。私達視聴者には彼本人が超人であることは周知の事実ですが。

とはいえ、本作中では一見(少し……いやかなりガタイが良いけど)小汚い労働者の老人。 少年サムの問いかけにも、当のジョー・スミスは否定し続けます。

Samaritan – Official Trailer | Prime Video
Samaritan – Official Trailer | Prime Video

そんな中、過去にサマリタンと対立したヴィラン『ネメシス』の信奉者である、悪党サイラスがネメシスの武器であるハンマーを入手し、街を混乱に陥れようとします。 街を守らないのか? という少年の問いかけには応えず、英雄サマリタンである事も曖昧に否定し続けるジョー・スミスですが……。

物語の展開は……(ネタバレ注意)

『ネメシスのハンマー』を持つサイラス(左・常人)と対峙する
ジョー・スミス(右・超人・スタローン) 画像 サマリタン公式Webサイトより
『ネメシスのハンマー』を持つサイラス(左・常人)と対峙する、
ジョー・スミス(右・超人・スタローン)
画像 サマリタン公式Webサイトより

サイラスの弁によると、一般に『悪人』とされていたネメシスも、資本家や市民を顧みない支配階級に抗う存在であり、貧しい者達にとって希望と救いであったようです。

そして、なんやかんやでサイラスと戦う事になるジョー・スミスですが、その戦いの中でネメシス、サマリタンの戦いの詳細と顛末が明らかになります。

実は、ジョー・スミスこそが『ネメシス』であり、サイラスの持つハンマーも彼の作り出した武器であったのです。

しっかり見ると、確かにヒントはあった

本作の一番のトリックである、ジョー・スミス(スタローン)がサマリタンではなくネメシスであったという点は、じっくりと見ていれば予感できる人が多いかもしれません。

少年サムの『サマリタンでしょ!?』という問いに対して、複雑な表情を見せるジョー・スミスの演技も言われてみれば納得できるものですし、ハンマーが怪しい光を放つ時にジョー・スミスが何かを感じたり、逆人ジョー・スミスが力を解放した際にハンマーが共鳴するような描写も存在しました。

また、ジョー・スミス(Joe Smith)という名前もSmith(鍛冶屋)の男という意味をもっておいるのですが、そういえばネメシスが鍛冶でハンマーをで造っているシーンも描かれていました。

過去にサマリタンを倒すためにネメシスが造ったハンマーは、しっかり鍛冶で製作する描写が。
ネメシスがハンマーをしっかり鍛冶で製作する描写も
画像 Samaritan – Official Trailer | Prime Video より
※なお、作中ではわからないが、このシーンは実際に
スタローンが熱いハンマーを叩い
撮影したようだ(公式Instagram投稿より)

なるほどよく見ればそういう事か、という伏線や描写も程よく存在しています。

派手さは無い、地味ながら深みのあるストーリー

超人といっても、ジョー・スミスの力は地味です。 手から爪が出たりはしないし、空も飛べない、目からビームも出ないし、天候や磁力といった人の手に余るパワーを操る事もできません。

ちょっと力が強くて頑丈傷もすごい早さで治る、でもその程度。 マーベルヒーローでいえば、ハルクの地味バージョンといった所でしょうか。

(常人と比べると)圧倒的な力を持つスミス
(常人と比べると)圧倒的な力を持つジョー・スミスだが……
シルベスター・スタローン本人もこれくらい出来るのでは?という静止画ではある
画像 サマリタン公式Webサイトより

そして、敵であるサイラスはカリスマ性のある悪人ではあるが、所詮はただの人間。ギャングのボスといった程度です。 結果として、その戦いは、ネメシスのハンマーを持っているとはいえサイラスに勝ち目はほとんどありません。

マーベルヒーローたちの競演するアベンジャーズのようなド派手な戦いは終始皆無。 スタローン作品で比べるなら、ランボーシリーズエクスペンダブルズの方がよっぽど爆発してるし、人が死んでいます。

さらに、25年前に戦ったというサマリタンとネメシスのビジュアルも超地味。 工業用かな?と思うほど地味な鉄仮面に、黒っぽいアーマー。 対するネメシスも、サマリタンより若干ボロいボディースーツとマスクで、ペイントも手書き風味なものの、ほぼ同じような風貌。

25年前のサマリタン
画像 Samaritan - Official Trailer | Prime Video より
25年前のサマリタン、地味です。
画像 Samaritan – Official Trailer | Prime Video より
25年前のネメシス。 画像 Samaritan Instagram より
25年前のネメシス。
太もものプロテクターはちょっとカッコイイが
画像 Samaritan Instagram より

初見でどちらがサマリタンなのか、ネメシスなのか、見分けはつきにくいでしょう。

見分けのつかなさすらも、意図的なのかもしれない

そしてそれこそが、この作品が意図的に大きな誤解をさせる、しかけのひとつでもあったように思えます。

悪人サイラスや少年サムがジョー・スミスをサマリタンと勘違いしていたのと同様に、この町の人々に語り継がれる『サマリタンは正義』『ネメシスは悪人』という評価すらも、なにやら含みがあるように感じました。

サマリタンとネメシス 25年前の双子達の戦いの真実とは…… 画像 Samaritan Instagram より
サマリタンとネメシス 25年前の双子達の戦いの真実とは……
画像 Samaritan Instagram より

街やメディアにとって分かりやすい正義を行使するサマリタン。対して子どもの頃のサイラスを魅了したように、貧しい人達の希望であったネメシス。 ふたりが対決し共倒れしてしまう……。 結果として耳障りが良くて都合の良いサマリタンのヒーロー譚だけが25年間語り継がれてきた。 でも、実はそれぞれの立ち位置は違えど、お互い強い意思をもって戦っていた……そんなバックボーンがあるように思えてならないのでした。

本作の最後のシーンで、サムに対してジョー・スミスが語る

『悪事をするのが悪党だけなら倒すのは簡単だろう。だが現実には……誰の心にも善と悪の両方があるんだ』

という言葉からも、そんな深読みをしてしまうのでした。

総合評価

ストーリー ★★★★(4)
軽い気持ちで見てると、初見では分かりずらい部分もあるかも。
深読みすると、色々と面白い。
演出 ★★★(3)
派手な戦闘や、目まぐるしい戦いを期待すると不満かも。悪いわけではないが。
キャラクター ★★★(3)
悪役も、周囲の人々も結構地味。
サマリタンも、ネメシスも、ジョー・スミス(スタローン)も地味。
とはいえそこが良く、バランスがいい作品になっているのだが。
スタローン値 ★★★★★(5)
歳を重ねた肉体派俳優の完成形。哀愁を伴った風貌と未だ衰えない力強さを感じる。
スタローンよ永遠なれ!
総合評価 ★★★★(4)
いや、地味だけど、良い。 次回作も観たい。
とっととつくってくれさい。お願いします。
Webサービス サクラチェッカー のレビュー
(最大星5つ/0.5刻み/9段階評価)

関連リンク

あとがき(余談)

本作のレビューとは関係ありませんが、Amazonオリジナル作品のスーパーヒーロー作品といえば、『The Boys(ザ・ボーイズ)』も連想せずにはいられません。

現在スーパーヒーローの王道がマーベルシリーズであり、その対抗的な位置づけにDC作品があるのだとしたら、Amazonの掲げる作品達は奇策、大穴、新解釈……といったところでしょうか。

The Boysも、既存のスーパーヒーロー作品に対するアンチテーゼ的視点を描き、それに成功した作品でした。 今年(2022年)公開されたシーズン3も大成功。 個人的には次のシリーズも待ち遠しくて仕方がありません。

そんなThe Boysとは方向性は違えど、サマリタンも新しいスーパーヒーロー作品のアプローチを、しっかりとした考察を元に入念に企画された作品であり、うまくいっていると思えます。 できれば、サマリタンの次作が作られる事を期待したいところですが、スタローンの現役期間を考えると、Amazonにはとっとと取り掛かってほしいところ。

そしていつかはAmazonプロデュースのヒーローがクロスオーバーする……The Boysの面々ジョー・スミスやついでにティック(The Tick)……そんな作品もお願いしたい、とも思うのでした。どう考えてもコメディにしかならなそうだけど。

Amazonオリジナル映画『サマリタン』 スタローン(76歳)がスーパーヒーローに! 渋みと深みのある秀作だった

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森須 信号

趣味は睡眠、とんかつ、読書、音楽鑑賞、インターネット、VJ、PUNK Rock。


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