類似ドメイン、TLDドメインを保持する必要性 をAmazonの事例に考える

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昨今、ネットショッピングをする!といった場合、皆さんがすぐ思い浮かぶものとして挙げられるものはAmazonではないでしょうか。同社はいまや本国アメリカのみならず、世界の小売業売上ランキングで2016年は10位、2017年は6位へとランクしています。また、同社のCEOジェフ・ベゾスは、マイクロソフトのビル・ゲイツを抜いて、世界1位の大富豪となっているそうです。

同社の躍進は今後も続きそうな雰囲気です。

そんな中、今回は僕がAmazonで買い物をしようとしたときに気が付いた、ちょっと面白いことを発端に、企業がドメインの運用にあたって考えるべきセキュリティとブランディングについて知る事ができましたので、そのあたりをご紹介してみようと思います。

ブラウザのURL入力欄でのタイポ(typo)から気づいた事

ある日、僕はとある業務上の必要性から本国のamazon『amazon.com』へアクセスしようとし、ブラウザのURL入力欄に『amazon.com』と直接ドメインを入力をしました。

その際実際には、『aamazon.com』とタイプミス(=type タイポ)していたのですが、どうでしょう。目の前にはAmazonのホームページが表示されています。

Amazon アメリカ版 オフィシャルサイト

一瞬、ブラウザのシークバーが転送を示すような挙動をした事から、タイプミスしていた事に気付いたのですが、Googleを経由していないので、検索結果(修正候補サジェスト)とも違います。

Web制作に従事している方や、ドメインの基本概念を理解している方なら分かるように、ドメインは1文字でも違うと目的のサイトにたどり着かないのは当然ですが、タイポしたドメインから正しいドメインに転送をかけるのであれば、タイポした側のドメインの権利も所持している必要があります。

そこでさらに掘り下げて、ドメインの所有者情報(Whois)も確認してみましょう。

※Whoisは、ドメインの所有者をチェックできるもので、その詳細はwikipeiaからの引用にてご確認ください。

WHOIS(フーイズ)とは、インターネット上でのドメイン名・IPアドレス・Autonomous System (AS) 番号の所有者を検索するためのプロトコルである。データベース検索を用い、TCPベースでクエリ(質問)・レスポンス(応答)を行う。

Wikipedia  WHOIS より

すると、どうでしょう。

Name Server: NS-1.AMAZON.COM
Name Server: NS-2.AMAZON.COM
Name Server: NS-3.AMAZON.COM
(中略)
Domain Name: aamazon.com
Registry Domain ID: 20303268_DOMAIN_COM-VRSN
Registrar WHOIS Server: whois.markmonitor.com
Registrar URL: http://www.markmonitor.com
Updated Date: 2018-04-01T04:00:22-0700
Creation Date: 2000-02-21T00:00:00-0800
(中略)
Admin Name: Hostmaster, Amazon Legal Dept.
Admin Organization: Amazon Technologies, Inc.
Admin Street: P.O. Box 8102
Admin City: Reno
Admin State/Province: NV
Admin Postal Code: 89507
Admin Country: US
Admin Phone: +1.2062664064
Admin Phone Ext:
Admin Fax: +1.2062667010
Admin Fax Ext:
Admin Email: hostmaster@amazon.com
Registry Tech ID:
Tech Name: Hostmaster, Amazon Legal Dept.
Tech Organization: Amazon Technologies, Inc.

といった様に、所持者、管理はamazon関連の会社が行っているという事が確認できました。しかもこのドメインは2000年から取得されているようです。

そこで、さらにいくつかのケースで『amazon』のドメインについて調べてみました。

amazonの誤入力対応について調べてみる

 ケース1: 先頭に26文字アルファベット(a-z)を1文字入力

手始めにamazonの頭に『b』を追加して、『http://bamazon.com』入力してアクセスしてみます。

そんな間違えするか? 普通……という疑問はさておき、まずは確認してみるのです。

すると……

『bamazon.com』とワザとタイプミスしてみる

おお! 予想どおり! ……無事 amazon.comに転送されます。

bamazon.comというドメインを取得して、DNSサーバーに紐づけ、amazon.comに転送をかける事で、ユーザーの誤入力に対して、『あなたの探しているサービスはこっちですよ~』と示しているわけです。

Amazon.comが表示されます

こんな調子で色々試してみた結果が下記です。

タイプした文字結果
(amazonの公式関連サイトが表示されたら○)
Whois情報
(amazon関連企業が所持していたら○)
aamazon.com
bamazon.com
camazon.com×
damazon.com
eamazon.com
famazon.com
gamazon.com
hamazon.com××
iamazon.com××
jamazon.com××
kamazon.com
lamazon.com××
mamazon.com××
namazon.com
oamazon.com
pamazon.com××
qamazon.com
ramazon.com
samazon.com××
tamazon.com××
uamazon.com
vamazon.com
wamazon.com
xamazon.com
yamazon.com××
zamazon.com

※AOSSLが当たり前となりつつある昨今、「http」でアクセスした場合「https」にリダイレクトされます。

なんとアルファベット26文字中、16文字まで対応していました。

ケース2: 同じ文字を連続入力

今度は『amazon』という文字を『aamazon』など、勢いあまって連打入力してしまったケースを想定してチェックしてみましょう。

「amazon.com」をタイプミス
パターンタイプした文字結果
(amazonの公式関連サイトが表示されたら○)
Whois情報
(amazon関連企業が所持していたら○)
amazonの1文字目の「a」をタイプミスaamazon.com
aaamazon.com
aaaamazon.com
aaaaamazon.com××
aaaaaamazon.com××
amazonの「m」をタイプミスammazon.com
ammmazon.com
ammmmazon.com××
ammmmmazon.com××
ammmmmmazon.com××
amazonの3文字目の「a」をタイプミスamaazon.com
amaaazon.com
amaaaazon.com××
amaaaaazon.com××
amaaaaaazon.com××
amazonの「z」をタイプミスamazzon.com
amazzzon.com
amazzzzon.com
amazzzzzon.com××
amazzzzzzon.com××
amazonの「o」をタイプミスamazoon.com
amazooon.com
amazoooon.com××
amazooooon.com××
amazoooooon.com××
amazonの「n」をタイプミスamazonn.com
amazonnn.com
amazonnnn.com××
amazonnnnn.com××
amazonnnnnn.com×注意!
執筆時(2018年4月)には類似サイトが表示される

『amazon.co.jp』の方は未対応でしたが、『amazon.com』の方はamazonの1文字目の『a』をタイプミスしたとき以外は、同じ文字が4文字並ぶとAmazonのページが表示されませんでした。仏の顔も三度まで的なスタンスでしょうか。

ちなみに、日本のドメイン .co.jpや.jpでも調査してみました。

「amazon.co.jp」をタイプミス
パターン タイプした文字 結果
(amazonの公式関連サイトが表示されたら○)
Whois情報
(amazon関連企業が所持していたら○)
amazonの1文字目の「a」をタイプミス aamazon.co.jp × ×
aaamazon.co.jp × ×
aaaamazon.co.jp × ×
aaaaamazon.co.jp × ×
aaaaaamazon.co.jp × ×
amazonの「m」をタイプミス ammazon.co.jp × ×
ammmazon.co.jp × ×
ammmmazon.co.jp × ×
ammmmmazon.co.jp × ×
ammmmmmazon.co.jp × ×
amazonの3文字目の「a」をタイプミス amaazon.co.jp × ×
amaaazon.co.jp × ×
amaaaazon.co.jp × ×
amaaaaazon.co.jp × ×
amaaaaaazon.co.jp × ×
amazonの「z」をタイプミス amazzon.co.jp × ×
amazzzon.co.jp × ×
amazzzzon.co.jp × ×
amazzzzzon.co.jp × ×
amazzzzzzon.co.jp × ×
amazonの「o」をタイプミス amazoon.co.jp × ×
amazooon.co.jp × ×
amazoooon.co.jp × ×
amazooooon.co.jp × ×
amazoooooon.co.jp × ×
amazonの「n」をタイプミス amazonn.co.jp × ×
amazonnn.co.jp × ×
amazonnnn.co.jp × ×
amazonnnnn.co.jp × ×
amazonnnnnn.co.jp × ×
「amazon.jp」をタイプミス
パターン タイプした文字 結果
(amazonの公式関連サイトが表示されたら○)
Whois情報
(amazon関連企業が所持していたら○)
amazonの1文字目の「a」をタイプミス aamazon.jp × ×
aaamazon.jp × ×
aaaamazon.jp × ×
aaaaamazon.jp × ×
aaaaaamazon.jp × ×
amazonの「m」をタイプミス ammazon.jp × ×
ammmazon.jp × ×
ammmmazon.jp × ×
ammmmmazon.jp × ×
ammmmmmazon.jp × ×
amazonの3文字目の「a」をタイプミス amaazon.jp × ×
amaaazon.jp × ×
amaaaazon.jp × ×
amaaaaazon.jp × ×
amaaaaaazon.jp × ×
amazonの「z」をタイプミス amazzon.jp × ×
amazzzon.jp × ×
amazzzzon.jp × ×
amazzzzzon.jp × ×
amazzzzzzon.jp × ×
amazonの「o」をタイプミス amazoon.jp × ×
amazooon.jp × ×
amazoooon.jp × ×
amazooooon.jp × ×
amazoooooon.jp × ×
amazonの「n」をタイプミス amazonn.jp × ×
amazonnn.jp × ×
amazonnnn.jp × ×
amazonnnnn.jp × ×
amazonnnnnn.jp × ×

日本ドメインはほぼ対応していないですね……。

ケース3: キーボードのキー配置が近い文字で入力

PCやスマホのキー操作で『amazon』の各文字に近い位置にあるキーボードの文字でタイプミスしてしまったケースはどうなのだろう?と思い、試してみましたがこちらは対応していませんでした。

『amazon』の各文字に近い位置にあるキーボードの文字
a: q,s,z
m: j,k,n
a: q,s,z
z: a,s,x
o: i,p,k,l
n: h,j,b,m
「amazon.com」をタイプミス
パターンタイプした文字結果
(amazon.comが表示されたら○)
amazonの1文字目の「a」をタイプミス
「a」をq,s,zで入力
qmazon.com×
smazon.com×
zmazon.com×
amazonの「m」をタイプミス
「m」をj,k,nで入力
ajazon.com×
akazon.com×
anazon.com×
amazonの3文字目の「a」をタイプミス
「a」をq,s,zで入力
amqzon.com×
amszon.com×
amzzon.com×
amazonの「z」をタイプミス
「z」をa,s,xで入力
amaaon.com×
amason.com×
amaxon.com×
amazonの「o」をタイプミス
「o」をi,p,k,lで入力
amazin.com×
amazpn.com×
amazkn.com×
amazln.com×
amazonの「n」をタイプミス
「n」をh,j,b,mで入力
amazoh.com×
amazoj.com×
amazob.com×
amazom.com×
「amazon.co.jp」をタイプミス
パターンタイプした文字結果
(AmazonのWebページが表示されたら○)
amazonの1文字目の「a」をタイプミス
「a」をq,s,zで入力
qmazon.co.jp×
smazon.co.jp×
zmazon.co.jp×
amazonの「m」をタイプミス
「m」をj,k,nで入力
ajazon.co.jp×
akazon.co.jp×
anazon.co.jp×
amazonの3文字目の「a」をタイプミス
「a」をq,s,zで入力
amqzon.co.jp×
amszon.co.jp×
amzzon.co.jp×
amazonの「z」をタイプミス
「z」をa,s,xで入力
amaaon.co.jp×
amason.co.jp×
amaxon.co.jp×
amazonの「o」をタイプミス
「o」をi,p,k,lで入力
amazin.co.jp×
amazpn.co.jp×
amazkn.co.jp×
amazln.co.jp×
amazonの「n」をタイプミス
「n」をh,j,b,mで入力
amazoh.co.jp×
amazoj.co.jp×
amazob.co.jp×
amazom.co.jp×

さすがに殆ど取得されていませんでした。

とはいえ、タイプミスで入力した名称が他企業の名称や、サービスといった固有名詞だったりするケースもあるので、それらのドメインまで取得するのはタイプミスとは違う弊害を生む可能性もありますね。

番外編

各国のAmazonドメインについて

本題とは少しそれますが、Amazonのドメインを入力しまくっていたら、ふと世界各国のAmazonのドメイン取得・稼働状況についても気になってきました。

そこでGDPランキング2017のトップ20か国のAmazonサイトを調査してみました。
※参考サイト https://minnkane.com/news/4455

順位国名国別コードトップレベルドメインAmazonのURL結果
(存在していたら○)
1位アメリカ.ushttps://amazon.us×
2位中国.cnhttps://amazon.cn
3位日本.jphttps://amazon.jp
4位ドイツ.dehttps://amazon.de
5位イギリス.gbhttps://amazon.gb×
6位フランス.frhttps://amazon.fr
7位インド.inhttps://amazon.in
8位イタリア.ithttps://amazon.it
9位ブラジル.brhttps://amazon.br
10位カナダ.cahttps://amazon.ca
11位韓国.krhttps://amazon.kr×
12位ロシア.ruhttps://amazon.ru×
13位オーストラリア.auhttps://amazon.au×
14位スペイン.eshttps://amazon.es
15位メキシコ.mxhttps://amazon.mx×
16位インドネシア.idhttps://amazon.id
17位トルコ.trhttps://amazon.tr
18位オランダ.nlhttps://amazon.nl
19位スイス.chhttps://amazon.ch×
20位サウジアラビア.sahttps://amazon.sa×

各国のAmazon スクリーンショット

せっかくなので普段あまり見ないであろう世界各国のAmazonのページをいくつか紹介いたします。日本以外のところにも目を向けることで意外なビジネスのヒントがあるかもしれません。脱ガラパゴス!

  • 中国のAmazon
中国のAmazonオフィシャルサイト画像
  • インドのAmazon
インドのAmazonオフィシャルサイト画像
  • カナダのAmazon
カナダのAmazonオフィシャルサイト画像
  • オランダのAmazon
カナダのAmazonオフィシャルサイト画像

Googleのタイポ対応も少しだけ見てみる

google検索画面画像

Googleではどうなのだろう?と思い、タイプミスをちょっと試してみたところ、Amazonと同じように仏の顔も三度まで?の感じになっていました。

パターンタイプした文字結果
(AmazonのWebページが表示されたら○)
Whois情報
(google関連企業が所持していたら○)
googleの「o」をタイプミスgogle.com
google.com
gooogle.com
goooogle.com×

何故色々な類似ドメインを取得する必要があるのか

さて、調査はこの辺り留めて、何故amazonやgoogle(そしてその他の沢山のwebサービスが)がこのような、誤入力対策にドメインを取得しているか、という点について。

これは、前述のようなユーザーのタイポを見越したうえでドメインを取得し、中身が似てる詐欺サイトを作ったり、ウィルスやマルウェアなどを仕込む悪質なwebサイトを公開する『タイポスクワッティング』対策として取得されているのだと考えられます。

タイポスクワッティング(英語: typosquatting)とはURLハイジャッキングとも呼ばれる形態のサイバースクワッティングで、インターネットユーザーがWebブラウザにURLを入力する際に犯す打ち間違いを利用するものである。ユーザーが誤ったURLを偶然に入力すると、サイバースクワッターが所有する別の場所に導かれる。打ち間違い(タイポ; typo)と占有(squatting)からの造語。

wikipedia タイポスクワッティング より

大規模なサービス程、利用者も多く、これらの被害によりユーザーが被害を被らない為。ひいては、自社のブランドを守る為としてタイポによってアクセスしてしまう可能性の高い類似ドメインを取得し、これを保護しているのでしょう。

まとめ

AmazonやGoogleはユーザによるドメインの打ち間違えにも対応しているようです。さすがIT界の巨人達。

上記2社のみならず、きちんとユーザーの保護と、自社ドメインのドメインブランディングに意識が向いている大手企業は、複数の類似ドメインを有して自社で管理をしている、という事ですね。

……ちなみに僕はAmazonを最初に知ったきっかけを今でも覚えています。僕は言わずと知れたイギリスのロックバンドBeatlesが好きです。軽音サークルに入っていた10年ほど前の学生時代にでこんなやり取りがあったことを思い出します。

先輩: 「Beatlesの全曲をコンプリートした楽譜、俺持ってるよ。」
僕: 「そんなのあるんですか?どこで買ったんですか?」
先輩: 「”Amazon”で売ってるよ!」
僕: 「へぇ~。“あまぞん”ってどこにあるんですか?」
先輩、近くにいた同期: 「え?(失笑)」

当時僕は、Amazonが今のように人々の生活に浸透すると思っていませんでした。既に死語ですが『IT革命』ってすごいですね!

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