企業や店舗などの営利組織や公共機関はもちろんのこと、その他の団体や個人に至るまでさまざまなグループや人々がblogを含めた何かしらのwebサイトを運営し、積極的に情報を発信するのが当たり前という時代になりました。
そうした中で、webサイトを構築し運営する為に世界で多く使われているツールのひとつが、WordPress(ワードプレス)です。
記事の索引
おさらい WordPress とは
WordPressは2003年に初めて公開されて以来、現在まで休まず進化を続けているオープンソースのブログ(weblog)構築システムで、このWordPressをCMS(Content Management System = コンテンツ管理システム)として導入することにより、webサイトの構築や運営において数多くのメリットを享受することができます。
前述のように、その導入数は世界中で計り知れず、2017年7月現在多くの人がその有用性を知っている時代です。そんな今だからこそ、あらためてWordPress導入によって得られるメリットと、その利便性と表裏一体に存在するデメリットを再確認してみたいと思います。
WordPress導入 6つのメリット
メリット1. 基本無料。設置も簡単。
WordPressはオープンソース形態を取っているため、個人・商用にかかわらず、無料で利用することができます。
日本語版は、以下のサイトにて無料でダウンロードすることができます。
WordPress 日本語ローカルサイト
http://ja.wordpress.org
サーバー環境としては最新のPHP、DB(MySQL)が利用できるサーバーであれば、ほぼ問題なく動作します。
インストール方法も基本的にはダウンロードしたファイル群を用意したwebサーバーにアップロードし、該当ディレクトリにwebブラウザからアクセスする事で、インストールウィザードが起動します。あとはその内容に従って数点の必要事項を入力するだけ。細かい部分は半自動化され、数画面の画面遷移でセットアップは完了します。
ホスティングサーバーなどによっては管理画面から簡単にインストールできるツールが提供されている場合もあるので、それらを利用するのも便利でしょう。
※ただし、ホスティングサーバーのインストール補助機能を利用する際には、最新バージョンが提供されているか、余計なプラグインなどが無いか、インストール後にソースコードやファイルに触れるかどうかも確認した上で慎重に検討しましょう。
メリット2. テーマ(デザインテンプレート)が豊富
インストールされる基本セットの中には、webサイトをレイアウトする基本的なが設定された「テーマ」が幾つか含まれており、それらをそのまま適用する事でもwebサイトを運営することができます。
そしてそのテーマは多くのサードパーティから提供されており、ユーザーはそれらの中からサイトの目的や用途にマッチしたテーマを選ぶ事ができます。
これにより、webデザイン、システムのカスタマイズなどが出来なくても、多数の選択肢から自分の理想に近いサイトを構築することが可能になります。
テーマによっては、ロゴ画像や配色などのカスタマイズも管理画面から変更できるので、HTMLやCSSなどの言語の知識がなくても、サイトの見栄えを自分好みに近付けていくことができます。
※公式の他にも多数の配布サイトがあります。
メリット3. 豊富なプラグインで多様な機能の追加・拡張が可能
WordPressの特徴である「プラグイン」機能はその豊富さと、多様さ、そして導入の容易さという面で、他のシステムと比べ大きく優位性があります。
このプラグインはWordPressの基本システムにさまざまな機能を追加することができる仕組みで、本来PHPやJavaScript/AJAXなどのプログラムを用いて構築しないと実装できなかったような機能を管理画面から数回の操作でインストールする事が可能です。
プラグインは世界中の数多くのユーザー、団体によって数多く提供されており、これを用いて追加・拡張することができる機能は
- 画像のスライダーやスクロールなどのビジュアル面のプラグイン
- ソーシャルメディアとの連携
- 記事の投稿に関する補助機能
- バックアップやセキュリティなどのシステム強化
- お問い合わせフォーム
- アクセス解析
・・・など多岐にわたり、小~中規模のwebサイトに想定される機能の大半はこれらのプラグイン導入で概ね実現できます。
メリット4. webサイトの更新や運用に関する手間が減る
通常、webサイトのコンテンツを更新する際には、HTMLファイルを書き換え、保存し、FTPツールでアップロードする……という手順が必要でした。
WordPressではその一連の作業に必要な技術や知識がなくとも、コンテンツの更新を行うことができます。
例えば、WordPressではコンテンツの作成・更新を、管理画面からの操作で行えますが、記事投稿・編集画面にはWISYWIGエディタが基本機能として提供されているので、Microsoft Wordなどの一般的なワープロソフトと同様の感覚で、文字の大きさや色・配置の調整。画像やリンク挿入など簡単にが行えます。
画像もドラッグ・アンド・ドロップで挿入でき、配置後の画像はWordPress上でサイズの変更やトリミング(切り抜き)といった加工ができます。もちろんHTMLの知識がある場合には、エディタ内にタグを記述してより精度の高いレイアウトのページにすることも可能です。
SEOやデザイン、時にキーワード広告など色々な集客手段がありますが、webサイトの運用において一番大事なのは、更新頻度とその質です。運用者は記事の執筆に集中でき、面倒なあれやこれやは、システムに任せる……というのは、やはりWordPressをはじめとするCMS導入による一番の恩恵といえるでしょう。
ちなみに、サイトの枠組みは前述のようにテーマとプラグインにて構成されているので、「HTMLに明るくない担当者が更新しようとした時にサイトの表示が崩れてしまう」というような悲劇も起きにくい様な運用も可能です。
メリット5. SEOに強い
検索エンジンの結果表示においてサイトを上位に表示させるための「SEO(Search Engine Optimization = 検索エンジン最適化)」は、webサイトが持つ「情報をより多くのユーザーに届ける」という普遍的な使命を達成するためには重要な施策です。
WordPressはシステム構造がSEOを意識して設計されているため、利用者側にSEOの知識がなくともWordPressを利用してサイトを作成するだけで、そのサイト構成やURLなどの各種情報が検索エンジン向けに最適化されて出力されます。
検索エンジン側であるGoogleの検索スパム対策チームの責任者であり、SEOの専門家しても知られるマット・カッツ(Matt Cutts)氏も、以下のように述べています。
ワードプレスを選ぶことは、非常に良い選択です。
なぜなら、ワードプレスは、SEOに関する多くの問題を自動的に解決してくれて、SEO(サーチエンジン最適化)の手法の80%~90%に対応するように作られているからです。出典:ワードプレスナビゲーター「Google検索の責任者やSEOの天才も認めるWordPressのSEO効果」
http://wisdommingle.com/high-performance-seo-with-wordpress/
もしSEOについて、より専門的な知識を有する場合は、さらに深くSEO的に重要なポイントをカスタマイズしたり、SEOを高めるプラグインを利用してさらなる効果増を狙うことも可能です。
メリット6. 情報がとにかく豊富
2017年現在、全世界のwebサイトの約28%がWordPressで構築されているというデータ(出典:https://w3techs.com/) もあるように、利用者数が非常に多いシステムです。
結果として、インターネット上にたくさんの情報が存在します。
例えば、WordPressでのサイト構築の過程で不明点があった場合、「”WordPress”(スペース)”(調べたい単語)”」などと検索すれば、多数の回答候補が表示され、問題の解決に役立つでしょう。
WordPress導入 5つのデメリット
ここまで、WordPressを利用することで享受できる主な恩恵の数々について挙げてきましたが、デメリットも存在します。ここからはそれらについて触れていきましょう。
デメリット1. 継続的なセキュリティ対応が必要
メリットの中でも触れているように、WordPressは世界中で最も多く利用されているCMSです。そのため、そのシェアの高さと比例するようにハッキング、クラッキングの対象としても間違いなく上位に位置すると言えます。
事実、WordPressの脆弱性を突いたサイト改竄などの報告やニュースが増加しています。
WordPressはそれら悪意ある攻撃に対して迅速に対応し、対策を施した最新版をリリースしていますが、自サイトへの被害を防ぐためにはそれらの対応パッチをこまめにインストールし、WordPress本体やプラグインを常にその最新版に保つ必要があります。
アップデート作業自体は管理画面から簡単に行うことができますが、安全・確実なアップデートを行うには事前に関連ファイルのバックアップ、データベースのバックアップなどを行うことが推奨されており、それにはある程度の専門知識が必要になってきます。
これらの継続的なアップデート管理ができない場合、WordPressが導入されたwebサイトは悪意ある攻撃者による恰好のマトになるでしょう。
デメリット2. 細かなカスタマイズにはやっぱり専門知識が必要
前述のメリットである豊富なテーマ、プラグインと相反する問題ですが、提供されているテーマやプラグインをそのまま利用した場合自身や顧客の要望を100%満たせる機能を有する事は難しいでしょう。
テーマのデザイナーや、プラグイン開発者はそれぞれの目的や開発思想に則って、最大公約数的な(又は、非常にニッチな)機能を提供しているため、それらを利用した上で細かな調整を行う為にはPHPやHTML、CSS、JavaScriptといった技術の知識が必要となってくる事も認識しておきましょう。
専門知識のない状態で利用する場合、ある程度の妥協は必要になってくるかもしれません。
デメリット3. webサイトの表示速度が遅くなることがある
WordPressはURLリクエストがあった際にデータベースと通信を行い、データベースから取得した情報を使って動的にページを生成してブラウザに表示します。
そのため、従来のようにhtmlを記述し作成されているページ(静的html)を表示する場合と比べ表示が遅くなる傾向があります。これらは、導入したサーバーのスペックや、WordPressプラグインの特性やプラグイン同士の干渉、プラグイン数などさまざまな要素によって相互に影響していきます。
昨今は、月額 数百円という安価なホスティングプランも数多く提供されていますが、これらはあくまで個人ユースの最低限の機能が提供されているものが殆どです。
WordPressを導入して、高機能なwebサイトを運用しようとした場合に、構築段階でこの問題にぶつかる可能性もある事を心に留めておく必要があります。
こうした傾向を受けて、WordPressが快適に動作する高性能・高品質なホスティングサーバープランが多数の企業から提供されていますが、やはり通常のサーバーと比較してその利用費用は高くなります。
デメリット4. 解説を読む際、英語力が求められる場面も
WordPressのメリットとして、世界中で数多く利用されていることから、テーマやプラグイン、関連情報などがインターネット上に豊富に存在することを挙げましたが、その「世界中で」という部分が「それらの説明の多くが英語で提供されている」という事実に繋がっていきます。
インストールしたプラグインの開設や設定画面がすべて英語で表記されていることも珍しくありません。
そのため、もしWordPressの機能を余すところなく利用するのであれば、問題解決のために自力で翻訳(機械翻訳を含む)をしたり、コミュニケーションが取れるような、最低限の英語力が必要とされるでしょう。
デメリット5. 公式サポートはフォーラムのみ
WordPressはオープンソースシステムとして、プログラムの改変、改良などが自由に利用できる反面、その利用についてはすべて自己責任となります。
特定の企業によって販売されているパッケージや製品のように、電話やメールなどによる手厚いサポートは無く、有るとすれば配布元による公式サポートとして唯一オフィシャルサポートフォーラムでの問い合わせのみとなります。
サポートフォーラム – WordPress
https://ja.wordpress.org/support/
そして、フォーラムではユーザー同士が質問と回答のやり取りを行って問題解決が図られます。
回答者には高いスキルを持った技術者も多く、質問に対する有益な回答がしっかりと提示されることが多いですが、あくまでユーザー同士というスタイルであるため「早く答えてほしい」「確実な回答が欲しい」といった、一方的な要求が通用する場ではありません。
問題解決に必要な情報を提示した上で、有志の目に留まり、回答の手助けをしてくれる事が、どれだけ貴重な事かを理解た上で、同様の事象や質問が無いかを事前にチェックし利用する必要があるでしょう。
世界中のユーザーとやり取りをする場合、ここでも前述の「英語力」の問題が浮上してきます。
WordPressのメリット、デメリット 2017年度版 まとめ
このように、WordPressにはメリットとデメリットが共存していますが、上述したデメリットの存在を勘案したとしても、サイト構築・運営においてWordPressを利用するメリットは、間違いなく計り知れないほど大きいと言えるでしょう。
今回デメリットとして挙げた項目をクリアし、webサイトをより有効に運用していくために、自身の知識を蓄えるも良し。どうにもならない場合や、大規模なカスタマイズが必要な場合はWordPressに強いweb制作者や制作会社の協力を仰ぐのもよいでしょう。
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ちなみに、uzurea.netの運営会社、株式会社オルトスタックはWordPress利用としたwebサイトの構築、運用を得意としております:)
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