滅びた世界の後を描いた漫画12作品 荒廃した世界でどう生きるのか?/この画像の一部はAIを使って生成しています
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世紀末を描いた漫画作品12選 文明が滅び、荒廃した地球で人類はどう生きるか?

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映画や小説などの例にもれず、漫画作品でも比較的早い時期から、世界の終わりや終末を描く作品は登場してきました。当記事では、そんな社会や文明が崩壊し荒廃した世界で生きる人類を描いた作品を紹介します。

世紀末を描いた漫画作品12選

※記事中で『連載中』と記載のあるものは、記事の公開日時点のものです。

風の谷のナウシカ (全7巻 完結)

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少女が見出した世界の謎とは……『風の谷のナウシカ』
画像 Amazonより

『火の七日間』と呼ばれる最終戦争から千年後の世界。地上は汚染された大地と、強大な体躯に進化した虫や、菌類によって支配された『腐海(ふかい)』と呼ばれる森に覆われていました。風の谷という小さな集落のナウシカは、トルメキア、土鬼(ドルク)の二大強国をまたにかけて、腐海や巨神兵にまつわる諸々と、この世界の謎を追うようになりますが……。

1984年に放映された同名のアニメ映画の原作とも言うべき作品が、漫画版の『風の谷のナウシカ』です。宮崎駿が漫画も描いています。映画版とは登場キャラクターの設定やストーリー展開が違っており、映画を見た事もあるという人でも、別の作品として楽しむことができるのではないでしょうか。映画で描かれることが無かった謎も明かされています。

補足:『風の谷のナウシカ』と『デューン/砂の惑星』

風の谷のナウシカを語る時、1965年に米国で出版されたSF小説『デューン/砂の惑星』を連想せずにはいられません。

こちらの作品も1984年にはデヴィッド・リンチによって映画化しており、2021年にはドゥニ・ヴィルヌーヴが監督となってリブート版映画も製作されました。砂の惑星アラキスを舞台に、星の統制者の地位を追われたアトレイデス家の若き当主が主人公。長い旅路を得て、自分を追放したハルコンネンに戦いを挑むという、貴種流離譚SFです。

北斗の拳(全27巻 完結)

199X年、世界は核の炎に包まれた! 生き残った人々に待っていたのは、荒れ果てた大地と暴力に支配された世界。一子相伝(いっしそうでん)の暗殺拳『北斗神拳』の使い手ケンシロウが、世紀末を舞台に活躍する、ジャンプ黄金期を代表する作品のひとつ。

世紀末に現れた暗殺拳を使う救世主 『北斗の拳』
世紀末に現れた暗殺拳を使う救世主 『北斗の拳』
画像 Amazonより

1983年からに週刊少年ジャンプで連載開始した作品ですが、現代でもこの作品を知らないという人は少ないのではないでしょうか。前日譚である『蒼天の拳』や、登場キャラクター別の外伝、スピンオフやオマージュ作品なども多数が作成されています。シリアスな内容なのに、時折登場するシュールなセリフや表現は現在でもネットミームの元になっていますね。

補足:『北斗の拳』と『マッドマックス』

『北斗の拳』がインスピレーション受けているであろう作品といえば、1979年にオーストラリアで制作されたアクション映画、『マッドマックス』です。

凶悪犯罪者や暴走族がはびこる近未来を舞台に、主人公(メル・ギブソン主演)が悪党達と戦うという内容ですが、続編『マッドマックス 2』と『マッドマックス/サンダードーム(3作目)』は核戦争によって荒廃した世界が舞台となっており、その内容を知っている人であれば、北斗の拳との関係を疑う余地はないでしょう。

こちらも、2015年には4作目の『マッドマックス 怒りのデスロード』が制作され、アカデミー賞を獲得し、2024年にはスピンオフ作品である『マッドマックス フュリオサ』も放映されます。

SAND LAND(サンドランド) (全1巻 完結)

人間たちの愚かな行為と天変地異が重なり、地上は砂漠と化してしまった世界が舞台。魔物達の集落に訪ねてきた老人は保安官のラオと名乗ります。彼は新たな水源の手掛かりを発見し、魔物と共に探索をしたいと申し出ますが……。

老人と戦車、砂漠で大活躍 『SAND LAND(サンドランド)』
老人と戦車、砂漠で大活躍 『SAND LAND(サンドランド)』
画像 Amazonより

本作は『ドラゴンボール』の作者である鳥山明の作品。模型やミリタリーにも造詣の深い鳥山明ならではの、老人と魔物と戦車が登場する作品で、2023年にはアニメ映画化、アニメシリーズ化もされました。のどかな雰囲気の物語に思えますが、利益のために他者を犠牲にする人間の愚かさも描かれています。

リュウの道(全8巻 完結)

地球に帰還した宇宙船の中で冷凍睡眠から目覚めた柴田リュウは、人類が滅亡していたことを知ります。生態系は大きく変貌し、恐ろしい怪物が住む世界となっていました。自分と同じく宇宙から帰還した者や、ミュータントとして誕生した新人類等、新たな仲間達と共に、この世界に残った文明社会を探しに旅に出ます。

少年が歩む新しい世界創世の道 『リュウの道』
少年が歩む新しい世界創世の道 『リュウの道』
画像 Amazonより

本作は石ノ森章太郎によって1969年から連載されました。映画『猿の惑星』や『禁断の惑星』のオマージュが散りばめられた内容で、人間の愚かさ、文明のあり方、生命とは何かを語る作品でもあります。

Dr.STONE(全27巻 完結)

突如、人類が全て石化してしまうという現象が発生。当時高校生だった科学マニアの石神千空は運よく石化から復活しますが、3700年もの時が流れていました……。

滅亡した世界を科学で無双 『Dr.STONE(ドクターストーン)』
滅亡した世界を科学で無双 『Dr.STONE(ドクターストーン)』
画像 Amazonより

千空は、優れた頭脳を駆使して親友の大樹や他の仲間達と共に、失われた文明を取り戻そうと奮闘します。

本作は、科学をテーマにしたサバイバルアクション漫画。原作を担当しているのは、『アイシールド21』や『トリオンゲーム』を描いた稲垣理一郎。一度文明が滅びてしまった世界で、主人公千空と敵・味方個性的なキャラクター達の活躍をたっぷりに描いた作品。絶望的な世界にありながら、暗さを感じさせないハイテンションな物語。

補足:石化現象が出てくる作品

『石化現象』に似たテーマの作品として、1966年に発表されたSF小説『結晶世界』という作品をご紹介します。この作品の主人公である医師エドワード・サンダースはアフリカで奇妙な現象――生物も無生物も、神秘的な輝きを放つ結晶に変わってしまう――を目の当たりにします。

主人公が科学という人間の英知で石化現象や新しい世界に対抗し解決していく少年マンガらしい『Dr.STONE』と比べ、『石化現象』では確固たる結論や解決を得る事はできず、結晶化していく世界と向き合っていくしかない……そんな未知の恐怖と虚無感を感じさせる作品です。なお、後述する『ウスズミの果て』という作品にも、人が結晶化してしまうという奇病がでてきます。

少女終末旅行(全6巻 完結)

ケッテンクラートという半装軌車に乗ってさすらうチトとユーリの二人の物語。誰もいない広大な廃墟で、数少ない生存者や生き物、彼らと関わることになるのですが……。

世界の終わりと廃墟をさすらう少女たち『少女終末旅行』
世界の終わりと廃墟をさすらう少女たち『少女終末旅行』
画像 Amazonより

どこか、アンニュイで冷淡な詩情を感じさせる作品である一方、主人公たちはわずかなやりとりに生の喜びを見出しています。

主人公たちをはじめとする登場人物の抽象的な言動は、厭世的である一方、文明から解放された奇妙な心地よさがあり、疲れたときに読みたくなる作品です。村上春樹の小説を彷彿とする、虚無的で退廃的な雰囲気が漂ってて、物語世界の終末感がひしひしと伝わってきます。

ウスズミの果て (連載中 単行本2巻まで発売)

クーという小さな生き物と一緒に廃墟で暮らす、丑三技研機関(うしみつぎけんきかん)の臨時調査員 丑三小夜(うしみつ さや)が主人公の物語。

静寂の中にある生と死のドラマ 『ウスズミの果て』
静寂の中にある生と死のドラマ 『ウスズミの果て』
画像 Amazonより

彼女の仕事は、結晶病原体の調査と浄化。しかし、廃墟にあるのは鉱物のようになった死体ばかりで、生きている人はほとんどいません。序盤は、都市をさまよいながら人の痕跡をたどる物語でしたが、病原体に免疫のあるイサミとカノコの二人の生存者を見つけ、彼らと同行することに。

静寂に包まれた世界の中に、生と死のドラマが宿った作品です。

補足:廃墟となった都市をさまよう作品

『少女終末旅行』と『ウスズミの果て』の2作品は共に、人類が居なくなり廃墟となった都市をさまよっていくという世界を描いていますが、こういった世界感の作品の祖としてリチャード・マシスン『地球最後の男』という作品があります。

この作品は設定やストーリーにアレンジを加えられつつ何度か映画化されおり、最も最近の2008年に公開された『アイ・アム・レジェンド』ではウイルス感染によって、人類の大半が死滅した世界が舞台。ウィル・スミスが演じる主人公ロバート・ネビルは、愛犬と共に変わり果てたニューヨークで暮らしています。

虎鶫 とらつぐみ -TSUGUMI PROJECT- (全7巻 完結)

無実の罪を着せられた主人公レオーネは、恩赦と引き換えにフランス政府の指示でとある秘密兵器の回収に向かいます。目指すは核大戦で崩壊した『旧日本』。道中で乗っていた飛行機が事故にあい、東京に不時着。その時彼を助けたのは、鳥のような足を持った『つぐみ』という少女でした。

滅びた日本にいるのは何者?『虎鶫 -TSUGUMI PROJECT-』
滅びた日本にいるのは何者?『虎鶫 -TSUGUMI PROJECT-』
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フランスで先行して出版された本作は、日本に逆輸入され、ヤングマガジンで連載されました。日本が崩壊し未知の世界になった日本を海外からの視点で描くというユニークな設定。

なお、虎鶫=トラツグミは実在の鳥の一種ですが、鵺(ぬえ)という猿の顔、狸の胴、足が虎、尻尾が蛇の妖怪の別名でもあります。

望郷太郎 (連載中 単行本10巻まで発売)

海外赴任中に世界的大寒波が到来、妻子と共にコールドスリープで眠りについた主人公・舞鶴太郎。……彼が再び目を覚ますと500年の時が経っており、文明社会は滅び、妻子は機械の故障で死んでいました。

初期化された世界で男が望むものは? 『望郷太郎』
初期化された世界で男が望むものは? 『望郷太郎』
画像 Amazonより

せめて故郷である日本へと旅立つ太郎ですが、過酷な世界の中で行倒れてしまいます。そんな彼を助けたのは狩猟で生活をしているパルという男。文明が滅びて社会形態が原始時代に近くなった中で、太郎とパルの二人は旅をする事になります。

本作の作者は『へうげもの』や『デカスロン』を描いた山田芳裕。一度原始へと回帰した世界で、文化や儀礼、政治、貨幣、そして戦争がいかにして形成され展開していくかを、丁寧に描いています。

BIOMEGA(バイオメガ) (完結 全6巻)

N5Sウイルスに汚染された都市を浄化するため東亜重工が製造した合成人間・庚造一(かのえ ぞういち)は、AIが搭載された大型バイクを駆使して、都市を駆け巡ります。

ハードSFの真骨頂 『BIOMEGA(バイオメガ)』
ハードSFの真骨頂 『BIOMEGA(バイオメガ)』画像 Amazonより

彼の目的はウイルスの適合者である少女イオン・グリーン。彼女の元にはDRFという組織の魔の手も伸びてきています。

この『BIOMEGA』は『BLAME!』や『シドニアの騎士』などで知られる弐瓶勉による作品。同氏作品の特徴でもある、グロテスクなくらい肥大化した都市描写に圧倒されると共に、ゾンビのような怪物や独特なデザインのメカなども魅力。バイクを使ったスピード感のあるアクションも見所です。

SEVEN EDGE(完結 全5巻)

突如始まった首都圏の崩壊により日本政府は西に移され、東京は独自の自治政権を作りあげました。しかし、統治や復興とは名ばかり、東京は『サークル』と呼ばれるテロリスト達による抗争が絶えない場所となり果てました。

利権にまみれた復興 『SEVEN EDGE(セブンエッジ)』
利権にまみれた復興 『SEVEN EDGE(セブンエッジ)』
画像 Amazonより

サークルの一つに所属している主人公の朔也は、仲間の裏切りによって絶体絶命の危機に。そんな彼を救ったのは、エッジとよばれる別のサークルでした……。

荒廃された都市社会が復興されつつあるところに、政府や事業家の利権によってうずまく陰謀。エッジ達は、彼らの陰謀を阻止するべく活動します。迫力のあるガンアクションや裏切りの連鎖による重厚な人間ドラマも見所です。

天国大魔境 (連載中 単行本10巻まで発売)

とある施設では、不思議な力を持った子どもたちが暮らしていました。子どもたちの一人であるトキオという少女は外の世界に興味を持つようになります。

魔境となった世界に天国はあるのか? 『天国大魔境』
魔境となった世界に天国はあるのか? 『天国大魔境』
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一方、災害によって崩壊した世界で、少年マルは便利屋を営んでいる少女キルコと共に旅をしていました。彼らの目的は『天国』と呼ばれている場所を探すことでした。

アフタヌーンで連載が開始され、2023年にはアニメ化もされた本作。ストーリーの序盤では施設での子供達の生活と、世界を渡り歩くマルとキルコのふたつの物語で構成されていますが、やがてふたつの物語の関連が明らかになっていきますが……。多くの謎を含んだ読み応えのあるSF作品。当記事掲載時点で、まだ連載の途中ですが、すべてが明らかになった際に待ち受けている事実はどのようなものなのでしょうか?

まとめ

文明や人類が滅びた世界は、古くから多くの物語の題材にされてきました。19世紀末のイギリスでH・Gウェルズが『宇宙戦争』を執筆し、1950年代には『トリフィド時代』等が発表されています。また、冷戦下に入ると、核戦争の恐怖を語るものも多くなります。

『風の谷のナウシカ』や『北斗の拳』が描かれた頃は、東西冷戦の名残があり、核戦争による破滅が一般的な終末のイメージでした。21世紀になると、終末は核戦争ではなく、災害やウイルスなどによってもたらされるという展開が多くなっています。

共通しているのは、終末とはある日唐突に起こるというもので、そうした時にどうするのか? というのがテーマになっているということでしょう。

一方で、『少女終末旅行』や『望郷太郎』のように、文明社会が崩壊した世界にありながら、生の充実を得るという快楽を語る漫画も出てきました。荒廃した世界で我々はどう生きるか? もしかしたら、当記事で紹介した漫画がヒントになっているかもしれませんね。

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蔵無

漫画考察者、ライター。80年生まれ、90年代育ち。尊敬している漫画家は水木しげる、荒木飛呂彦。好きな作家は江戸川乱歩。

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