こんにちは! 皆さん元気ですか? 健康ですか? 平和ですか!?
健康と平和は大事ですね。風邪を引いたり体を壊した時ほど、健康のありがたさを感じるという方も多いのではないでしょうか。戦時にあってこそ平和を願うものです。
『健康』と『平和』
それは対極に自らが有ってこそ、その価値が分かる事象といっても良いかもしれません。……とはいえ、健康をかみしめる為にわざわざ身体を不健康にするわけにはいきません。 だって大変だし。つらいし。
ちょっと大仰な書き出しになってしまいますが……つまり気軽に健康や平和を実感できるコンテンツとして、私達は気軽に味わえる恐怖体験を求めるのではないでしょうか? たぶん。
ジェットコースターなどの絶叫マシンやバンジージャンプ。 タマひゅんな高い所に登ってみたり、上空からパラシュートでダイビングしてみたり。 そしてそんな中でも、特に気軽に自宅で恐怖を味わえる恐怖コンテンツとして『ゾンビ』コンテンツも挙げられるしょう。
生きてないのに動いてる。 人じゃないのに(かつて)人だった。
そんな『生ける屍』とも呼ばれるゾンビを題材とした作品は、多数制作されていて、今やマニアでなくてもその存在を知っているという人気のある(?)存在です。
今回はこの『ゾンビ』について、あらためて掘り下げてみようと思います。
記事の索引
そもそもゾンビとは何なのか?
昨今は特にゾンビブームと呼ばれるほど、ゾンビコンテンツが増えています。
映画やドラマをはじめ、漫画やそれを原作としたアニメや映画、ゲームなどでもたくさん登場するゾンビ達ですが、そもそも『ゾンビ』って一体何なのでしょうか?
起源は西アフリカの信仰から
ゾンビという概念の発祥はブードゥ教に起因すると言われています。
ハイチ共和国など西アフリカでで信仰されていた『ブードゥ』(現地では『ヴォドゥン(Vodun)』と発音)では本来『精霊』といった意味の言葉だそうです。
そして同信仰にある『死者が蘇る』という考え方や言い伝えが、なんやかんやで曲解されていき、いくつかの映画作品によりアメリカを中心にエンターテイメントとして広がっていくようになりました。
世界初のゾンビ映画『ホワイトゾンビ』
一番最初に映画としてゾンビを扱った作品は、1932年にアメリカで製作された『White Zombie(ホワイトゾンビ/邦題:恐怖城)』です。
本作はアメリカの探検家ウィリアム・シーブルックがハイチ共和国のブードゥを期した著書を原案に制作されました。とはいえ映画 ホワイトゾンビの内容は、現在私達が認識しているゾンビ設定とはやや異なりました。
ゾンビ映画の発明家『ジョージ・A・ロメロ』監督
現在私達が認識している『ゾンビ』の設定を確立したのは、やはりアメリカの映画監督です。
Photo By nicolas genin –
originally posted to Flickr as 66ème Festival de Venise (Mostra), CC 表示-継承 2.0, Link表示-継承 2.0, Link
今ではゾンビ映画の第一人者と言われるジョージ・A・ロメロ監督。 その代表作であり、ゾンビを世に知らしめることとなったのが初期の3作品……
- Night Of The Living Dead(ナイト・オブ・ザ・リビングデッド)(1967年)
※この作品は諸事情により著作権が切れ=パブリックドメインとしてさまざまな動画配信サービスにて無料で観る事ができる 例 YouTube) - Dawn Of The Dead(ドーン・オブ・ザ・デッド)(1978年、2004年にリメイクも)
- Day Of The Dead(デイ・オブ・ザ・デッド 邦題:死霊のえじき)(1985年)
こそが、いずれも死者が蘇生し人間を襲うという『ゾンビ』の概念を描き、広く伝わるきっかけとなります。 以後、ゾンビはさまざまなメディア、コンテンツにおいて登場し、今や幽霊=ゴーストとおんなじ位……むしろそれを凌駕する位のホラーコンテンツの主役となっていきます。
ちなみに、ジョージ・A・ロメロ監督は、以後もゾンビ映画を作り続けますが、単なるホラー体験映画では無く、ゾンビに追い詰められた人間の行動にフォーカスを当て、それを描写していくという点でも高い評価を得ています。(時には駄作と呼ばれるようなものもあるのですが、それはまた別のおはなし……)
『ゾンビ』という未知の恐怖との対峙し、生き残った人間がどのように行動するのか。またその描写が何を意味しているのか、という点に注目して観るのも面白いかもしれません。
ゾンビの定義ってなんだろう?
信仰を元に、エンターテイメントへとなり替わっていった『ゾンビ』ですが、改めてその定義を考えてみましょう。 思いつくまま、挙げていくと……
- 死んでる
- 腐ってる
- 意思の疎通ができない
- うめき声をあげている
- 沢山居る
- 人間を襲う
といった所が挙げられます。
1.ゾンビは死んでいる(生きていない、健康ではない)
これはもう、必須条件です。
生き物が逃れられない終焉(=死)を超越した存在
という点がまず特異ですね。
元気で健康なゾンビは(多分)存在しません。 基本的には彼らは死んでいて、死んでるのに動いてる!! って怖さ。とはいえ、厳密には死んでないという設定のゾンビも居ます。これらは『ゾンビ』の概念が広く周知された後に登場した亜種のようなものでしょうか。 ……例えば、伝染病によって、死んでいるかのような状態で徘徊する『感染者』といった設定で登場する例も昨今は増えています。
特に日本では土葬が少ない事もあってか、お墓から肉体のあるゾンビが出てくるという設定はリアリティがありません。 結果として日本国内を舞台にしたゾンビパニックを表現する場合、特殊な伝染病などで噛まれたら即ゾンビ化するといった設定にする必要があるのかもしれません。
いずれにせよ感染してしまうと治らなかったり、以下に記載する他の定義のような状態になったりします。ですので感染=ほぼ死んでる=ゾンビという解釈が成り立ちます。
なお、昨今の国内アニメやライトノベル、漫画コンテンツなどでは、『美人でヒロイン』なゾンビや、『ゾンビだけど魔法少女で男性(????)』といった超変化球も登場していますが、この辺りは後編ででも紹介いたします。
2.ゾンビは腐っている
これも、ほぼ統一されたゾンビ要素の一つですね。
肌は腐敗して”ただれ”ていたり、
剥がれてたり、中身や骨が見えていたり。
腐敗しすぎて色が緑になってたり、目や口から何か出ていたり、動きながら身体が欠損していくといったエンターテインメント性の高い奴もいます。
そんな痛そうだし、生理的に気持ち悪い姿がとっても嫌!というのがポイントなのでしょう。逆に、あんまり腐っていな綺麗な肌だったりすると、ゾンビというより悪魔やモンスター的な風合いになるので、これも結構重要な要素でしょう。
3.ゾンビは意思の疎通ができない
これは、まあ、そうですよね。そもそも死んでたりするので意識が無い、結果として会話が成り立たない。もちろん土下座しても許してくれないし、話し合いにも応じません。
死んでるくせに動く、でも話は通じない。
こんな無茶苦茶な所がやっぱり怖いし、嫌! な訳です。 そして、家族や友人、恋人など大事な人がゾンビ化し、そのなれの果て感に悲しみを感じる……といった描写のある作品も多いです。
4.ゾンビはうめき声をあげている
うめき声です。もうほぼ大体のゾンビは声を上げています。
『アー……』とか『ウーーー…』とか。
時々『ワシャシャシャシャ!!』なんて景気のいい奴も居ますが、まあアレもうめき声のバリエーションのひとつでしょう。
会話は成立しないけど、元々人間。 当然発声器官もあるもんだから、ガスとか腐敗した何かがお腹から出てきてうめき声みたいになっている……のでしょうか。 まだ痛みの感覚が合って、苦しんでいるというような雰囲気もあります。 もちろん、無音だと演出的に怖さが弱いというエンタメ的な事情もあるのでしょう。
5.ゾンビは沢山いる
これも重要条件ですね。とにかく沢山居ます。
大半のゾンビは人間でも頑張れば倒せるし、鈍器や刃物、銃といった武器があれば一般人でも撃退できる程度の化け物です。 でも、彼らは物量で襲ってきます。
1体倒しても、もう1体……。
数体倒して一息ついたたら……もっと沢山!!!
そんな圧倒的人海(人外?)戦術も、彼らの特徴のひとつですね。 逆に言うと絶対的な強さを持った、およそ人間の身体能力を大きく超えるゾンビが出てくる作品ってあまり無いですね。
ゾンビ系『ゲーム』に限って言うと、システム上強い存在のボスなどを設定しなくてはいけないので、ゾンビの生みの親的な化け物が出てきたり、ゾンビが組み合わさったキメラみたいのがいたり、グラサンかけた身体能力の高いゾンビなんだかもうよくわからないオッサンがボスになったり。 ギターを弾きながら戦って最終的には魔王になっちゃうようなゾンビなんてのも居ました。
6.ゾンビは人間を襲う
ゾンビは基本的には襲います、人間を。 死んでて意志の疎通はできないし、気持ち悪いし、沢山いるし、その上人間を襲います。さらには、襲われた人までもゾンビになる確率が非常に高い。
ゾンビ(感染者)は人を襲う、
そして襲われた人もゾンビになる。
人間以外の生物は何故か襲わないというケースもありますし、余裕で犬やカラスなどの動物がゾンビ化して襲ってくるという作品もありますが、人間はまず間違いなく彼らのターゲットです。 ゾンビが人を襲わなかった場合、うまいこと共存できるかというとそんな事もないでしょうね。腐ってる物体がそこらじゅうを徘徊していると、衛生的ではないですし。
武装し訓練された人間達が組織的にゾンビを狩っている、というような描写の作品も稀にあります。本当に怖いのは人間、という事でしょうか。
他には……
以上、大半のゾンビに共通する箇所を6点程挙げてみましたが、他にもいくつか思いつくところがあれば、随時追記しておこうと思います。
- 動きが鈍い。身体が腐ってるから、動きも緩慢な場合が多いです。とはいえ、最近は全速力で走って襲ってくるゾンビも多いようです。
- 頭が弱点。 ベースが人間だからでしょうか。 退治する時には頭部を狙うのが有効な場合が多いですね。ゲームの世界ではヘッドショットを狙うのが基本です。
- 夜、活発になる。ヴァンパイアなどと違って、昼に動けるのも多いですが、やはり夜が似合います。
- ショッピングモール。これもゾンビ作品における重要要素ですね。ある程度閉鎖されていて、日常と非日常の差を出しやすい環境なのかもしれません。
- 視力は弱いが音に敏感。 あまり視力が良くないよう事が多いようですが、反面大きな音を出すと集まってきたりと音に反応するように描かれている作品が多いです。 目が腐って見えなくなる(?)のでしょうか。そうだとしても、鼓膜だって同じようにダメになるんじゃないかな?とも思えますが。