WordPressでWebサイトを運営している人なら、無数のコメントスパムに悩まされたことは多いでしょう。そこで当記事では、完全無料のコメント&トラックバック(ピングバック)スパム対策プラグイン『Antispam Bee(アンチスパム・ビー)』について解説します。
このプラグインは商用・企業サイトなどでも完全無料&広告なしで使え、GDPRにも完全対応しています。
WordPressのインストール時に自動で搭載されている『Akismet Anti-Spam』は、企業サイトや広告入りサイトでは無料で使えないライセンスになったため、その代替としてもおすすめです。
Index
『Antispam Bee』 完全無料&広告無しの
コメントスパム対策WordPressプラグイン
『Antispam Bee』は半自動的にスパムコメントとスパムピングバックをブロックしてくれるプラグインです。スパムブロックの精度も高く、個人/ビジネスなど特に条件なく完全無料で利用できます。
以前まではコメント系のスパムに対して無料で利用できるプラグインといえば『Akismet』を使っていたという方も多いかもしれません。実際、同プラグインはかなりの精度でスパムをブロックしてくれるので便利ではあるのですが、ビジネスサイト、企業サイトでの利用は有料(サブスクリプション)ライセンスの契約が必要です。また、最新のライセンス条件では個人が運用するサイトであっても……
- サイトに広告が無い事
つまりアフィリエイトや、Googleアドセンスなどを導入しているサイトもNG - サイト内で製品/サービスを販売していない事
個人でも何かしら販売していたらNG - サイト内でビジネスを宣伝していない事
特定のビジネスに関する誘導(リンク)や、外部決済サービスなどへのプロモーションリンクなどはNG
といった条件から外れる場合は無料では使えません。有料サブスクリプション(1,080円/月~)の契約が必須となっています。

Akismet公式サイトより
もちろんサイトで利益を得ている人で、余裕があるのであればAkismetのサブスクを払ってしまうのも良いですが、まだそれほど収益化できていない……という方にもおすすめしたいのが、この完全無料の『Antispam Bee』プラグインです。
Antispam Beeプラグインの特徴
繰り返しになりますが、このプラグインの特徴を簡潔に挙げるなら以下の通り。
- 完全無料(個人サイト、ビジネスサイト、アフィリエイトサイトなど関係なし)
- サードパーティに個人情報などを送信しない
- プラグイン自体にも広告が表示されない
- GDPR(EU一般データ保護規則)への完全対応
また、WordPressプラグインディレクトリでの評判も上々で、当記事執筆時点で70万以上のWebサイトに導入され、ほとんどのユーザーが★×5で評価をつけています。

なお、ユーザー(コメント投稿者)はCAPTCHAなども不要でコメント投稿が可能です。
※CAPTCHA/reCAPTCHAが必要という場合は別のプラグインを検討しましょう。
インストール方法
Antispam Beeは、他のWordPressプラグイン同様、管理画面のプラグインから検索してインストールを実行し、有効化するだけで利用できます。
特に設定などしなくても、これだけでスパムコメント(トラックバック含む)対策が開始します。
プラグインデータをZip形式でダウンロードしたいという人は、WordPressプラグインディレクトリから直接ダウンロードしておきましょう。
オプション設定もあり
特に設定をしなくても、スパムをもりもり弾いてくれますが、いくつかの設定項目も用意されています。
いくつかの設定は当記事執筆時点では日本語化されていませんが、下記のような設定が可能です。
アンチスパムフィルター関連設定
※一部補足内容は筆者の意訳を含みます。間違いがあれば当記事のコメント欄などからお教えください。
- 承認済みのコメント投稿者を信頼
- Gravatar のあるコメント投稿者を信頼
- コメントの時間を考慮
- BBCode links are spam(BBCodeを含むリンクはスパムと判断)
※[b]文字列[/b] みたいな装飾を入れてくるコメントの事かと - 正規表現を使用
※スパムの判断にAntispamBee独自の正規表現を適用する - ローカルのスパムデータベースを調べる
- Check for spam data on your own blog(特定の国からのコメントをブロックまたは許可する)
※チェックを入れると国コードを入力して設定可能 - 特定の言語でのみコメントを許可する
※チェックを入れると許可する言語を選択できるようになる
上級者モード設定
- スパムとしてマークするが、削除はしない
- 電子メールによるスパム通知
- スパム判定の理由を保存しない
- X日経過後、既存のスパムを(自動)削除
※日数を指定できる - Limit approval to コメント/Ping (コメントまたはピングバックのみ許可)
※ここで選択しなかった方のスパムは、自動削除 - スパムの理由でコメントを削除
以下の条件に当てはまるスパムは自動削除(複数選択可能)- ハニーポット/コメント時間/空のデータ/Local DB Spam/偽のIP/Country Check/BBCode/Comment Language/正規表現/Identical Post title and blog title/Manually
- Delete Antispam Bee data when uninstalling(Antispam Beeをアンインストール時にスパム対策データも削除する)
続き(その他のオプション)
- Generate statistics as a dashboard widget(ダッシュボードにスパム検出の履歴グラフを表示する)
- ダッシュボードのスパムカウンター有無
- ピンバック・トラックバックをチェックしない
- Check complete site markup for comment forms
※comment_form_field_commentフィルターの代わりに出力バッファリングを使用
開発者に寄付もできる……が
何度も書きますが、2022年3月現在、このAntispam Beeは完全無料で利用できます。
……が、こんな便利で協力なプラグインがいつまで無料で利用できるかどうかはわかりません。特に、善意で提供されている場合などは、開発者のモチベーションやリソースに委ねられています。
『Antispam Bee』プラグインに限らず、無料のプラグインが役に立ったと感じたなら、開発者に寄付をする事も検討してみては如何でしょう。このAntispam Beeの設定画面には、寄付を受け付けるリンクも存在します。
ただし、『Antospam Bee』プラグインに関しては、今のところPayPalでの寄付のみうけつけており、金額も自由に設定できるものの……日本国内からは寄付ができません。


こればかりはPayPalの仕様上(と各国の法規)によって、現時点ではどうにもなりません。
急にサブスクリプションが必須、なんてことにならないように、可能な範囲で寄付(※)して応援したいところですが……なにか他の方法があればよいのですが。
※もちろん寄付したからと言って、永遠に無料だとは限らないのですが。
まとめ
当記事では、WordPress用のアンチスパムプラグイン『Antispam Bee』を紹介しました。
このプラグインを開発しているのは、ヨーロッパで活動する複数の開発者によるコミュニティ『Pluginkollektiv』。(直訳するとデンマーク語で”プラグイン集団”的な意味でしょうか、多分)
Pluginkollektivは、Antispam Beeの他にも、アクセス統計プラグイン『Statify』、やまたはWPサイトのキャッシュ管理プラグイン『Cachify』なども開発・公開しています。
これらはいずれも、EU圏内での利用を前提としているためGDPRへの対応をしており、評価も上々。今後、もしかしたら日本でも重要なプラグインとなるかもしれません。
寄付ができなかったのは残念ですが、今後も良いプラグインを無料……または安価で提供してくれる事を祈りながら、遠く日本から謝辞と敬意の念を飛ばしたいと思います。