Oi! (オイ!)について 『Oi!/Street Punk 私的体験記』 後編

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前回の記事、に引き続き、筆者の体験を元にOiについてご紹介を進めていきたいと思いますが、未読の方はまず前編をお読みいただければ幸いです。

そんなこんなで、Oiの洗礼を受けて以来、再び界隈のライブへ通うようになります。

Dropkick Murphys のライブで出会ったピースフルなスキンズ達

2001年(※)にはアメリカのボストンから来日しライブを行った『Dropkick Murphys(ドロップキック・マーフィーズ)』を見る機会がありました

※2001年(11月7日年 渋谷On AIR EAST)で開催
参考リンク smashingmag.comより

それまで聴いた事の無いPunk/Oiのスタイル……バンジョーなどの民族楽器を使ったラスティックなサウンド……にぶっとばされたのでした。

Dropkick Murphys – "Going Out In Style" (Official Video)

彼ら自体は、Oiに限らずさまざまなスタイルをとり込んだバンドではありますが、同来日ライブで印象的だったのが、会場に居た頭を坊主に剃り込んだブーツ姿の白人オーディエンス達。

筆者はこの時までこの手のファッション(スキンヘッズ、スキンズ など)をした相手に漠然と感じていた『レイシストで危険なヤツら』という固定概念がこの時崩れます。彼らはとにかくピースフルで優しく、かつ楽しいヤツらで日本のオーディエンスと共にライブを目いっぱい楽しんでいました。

S.H.A.R.P. 思想 とは

後に筆者は『S.H.A.R.P. (※)』と呼ばれる、人種差別を嫌うスキンヘッズ達が居る事を知ります。彼らのスローガンは『アンチレイシズム』。

差別を絶対的に否定するこの思想をもつ彼らもOi PUNKを形成する一つの柱だったのです。

S.H.A.R.P. =Skin Heads Against Racial Prejudice  LOGO

元来、英国の労働者階級達による、モッズ、ルードボーイ、ジャマイカン、スカ、ソウルミュージックなどの文化へのリスペクトをもって誕生したOiの土壌が、政治的情勢や差別主義者達による曲解、そして当時のメディアによる報道で、スキンズ=差別主義者というレッテルを貼られてしまった事に対する意思表示としての運動。

S.H.A.R.P. について Wikipedia(英語版) より引用

現在も活動し続けているOi、Punkバンド紹介

日本のOiといえば 『COBRA』

同時にその日のオープニングアクトだった三人組の『COBRA(コブラ)』にもやられまして、ジャパニーズOiはCOBRAをずっと聞き続けています。

COBRA 【あの娘はエイリアン】
COBRA 【あの娘はエイリアン】

とはいえ、現在活動は諸事情により活動休止状態。Yosu-koがまた元気にライブをしてくれる日を待っています。

活発な活動を続ける ANGER FLARES

COBRAの活動が少なくなったここ数年は、東京の『ANGER FLARES(アンガーフレアーズ)』を軸に聞いています。

ANGER FLARES MV "HERE COMES ANGER FLARES" (Official)

ANGER FLARESは海外ツアーも行っており、そのエネルギッシュに活動は海外のOi、Punkオーディエンス達にも高い評価を得ているようです。

先日、同バンドのライブを見に行った折にはフロアには外国人のブートボーイズが沢山来ていました。海外の知人から『次にANGER FLARESがUKに来るのはいつなんだ!?』とメールで聞かれたこともありました。

その他にも『JUNIOR』、『The ERECTiONS』、大ベテラン『捕虜収容所』、『SA』、札幌の『Oi!Valcans』、千葉の『RAISE A FLAG』、京都の『COCKNEY COCKS』、その他、沢山のOi/Punkの思想・流儀を感じるバンドが日本でも活動をつづけています。

本場UK『COCKNEY REJECTS』も現役!

前編で触れた『ホリデイズ・イン・ライジング・サン』での騒動の当事者『COCKNEY REJECTS(コックニー・リジェクツ)』も、2018年1月に8年ぶりの来日をし、壮絶なライブを見せてくれました (もちろん今回は対バンのメンバーを殴るという事はありませんでした)。

同日のライブがYouTubeに上がっていたのでその雄姿を是非確認しておいてください。

Cockney Rejects@新宿Loft Oi Fest (2018•01•07)

BOOZE & GLORY

昨今もOi/Punk周辺の豪華なバンド達が来日を続けています。2017年にはイギリスから若手『BOOZE & GLORY (ブーズ・アンド・グローリー )』も来日を果たしています。シンガロングが気持ちいい良曲が豊富。

Booze & Glory – "London Skinhead Crew" – Official Video (HD)
Booze & Glory – “London Skinhead Crew” – Official Video (HD)

時期によってビジュアルや曲も多様に変化しているも特徴的です。

BOOZE & GLORY – "Simple" – Official Video (HD)
BOOZE & GLORY – “Simple” – Official Video (HD)
Booze & Glory – "My Heart Is Burning" – Official Video (HD)
Booze & Glory – “My Heart Is Burning” – Official Video (HD)

MADNESS(マッドネス)

ストリートパンク繋がり……という事でSKA界隈では、UK スカバンドの大御所『MADNESS』も現役。2017年には来日もしています。

Madness — One Step Beyond [[ Official Live Video ]] HD

COCK SPARRER(コックスパーラー)

1972年活動開始という、伝説のバンド『COCK SPARRER(コックスパーラー)』も昨年(2017年)にアルバムをリリース、現在も尚活動しています。

EXIT 2016 | Cock Sparrer Live @ Fusion Stage HD Show

A.C.A.B

他にも海外から名前が聞こえてくるバンドとして、マレーシアの『A.C.A.B』。ムスリムに忠実であることと、アンチドラッグを掲げるマレーシアンOiです。

ACAB – WE ARE SKIN @drugfreefestival

Klasse Kriminale

イタリアの『Klasse Kriminale』もお勧め。男女混声の自由な雰囲気の心地いい楽曲が豊富。

Klasse Kriminale – "Skunx" DSS Records

The Oppressed!

UKのThe Oppressed!も現役。彼らは前述した『S.H.A.R.P. 』を掲げたアンチファシズムのOiバンドとしても有名です。

The Oppressed! – Joe Hawkins

まとめ

以上、取りとめも無くOi(Street Punk)を軸に色々とご紹介しました。

1970年代に始まったこの潮流は、2018年の現在でもまだ多くのバンドとして生き続け、『UK SUBS』『THE BUSINESS(※ボーカリスト、ミッキー・フィッツ死去で2016年に活動休止。残念)』、『LAST RESORT』、『HARD SKIN(SNUFFやLEATHERFACEと仲の良い元Wat Tylerのメンバーがいる)』、アメリカの『RANCID』、『The Old Firm Casuals』、フランスの『LION’S LAW』など、本物の現役Oi/Punk バンドが来日しています。

この手のアーティストが、さまざまな国内プロモーターやバンドの尽力により、国内で、しかも3000円前後で見られるというのは、ちょっとしたモンです。

2018年に東京で聴くOi/Punkライブの空気は、昨今の日本で筆者が感じてる、

『どうにもならない退屈な日本。でもやるんだよ!』

な空気にぴったりな訳です。

最後に、重ねてお伝えしておきたいのは、現在のOiは筆者の観測する範囲では、排他主義やレイシズムとはほぼ無縁に思えます。

YouTube動画のコメント欄は人種や国籍を超えて「Oi! From ○○(国名)」という記述がそこかしこに溢れるのを目にすると、筆者も衝動に駆られ「Oi! Oi! From Japan」とコメントを書き加えます。

彼らも筆者もインターネットという新しいインフラを通じて、Oiに触れ、微笑み、肩を組み、時にニッコリと笑っているのです。(了)

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流石の三太郎

埼玉県大宮市生まれのライター/コラムニスト。2001年執筆活動開始。おっさん。サブカルチャー(庶民文化全般)ジャンル分け不可能かつ、しっちゃかめっちゃか多岐に渡り、 主に雑誌を中心に執筆。

『昭和50年男』『実話 BUNKA タブー』『TV .Bros』『スーパー写真塾』『実話マッドマックス』『バースト』『Tattoo バースト』『ホイップ』『bounce』『CD ジャーナル』『サイゾー』『R-ZONE』などで執筆。音楽、笑い、テレビ、AMラジオ、アンダーグラウンド・クラブカルチャーなどが守備範囲。

プロフィール画像は江戸時代の絵師にして、洒落本の編集者の山東京伝。(Wikipedia CC0)

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