『ポトフ 美食家と料理人』試写レビュー 2023年12月15日公開作品、フランスが贈る究極のグルメ映画

映画『ポトフ 美食家と料理人』試写レビュー 2023年12月15日公開 フランスが贈る究極のグルメ映画 トラン・アン・ユン監督作品

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2023年12月15日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにて、全国順次公開される映画 『ポトフ 美食家と料理人』について、事前試写をする機会をいただきました。一足先に試聴した感想をまじえ、極力ネタバレを避けて本作の紹介とレビューを行いたいと思います。

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映画『ポトフ 美食家と料理人』レビュー 2023年12月15日公開作品

当記事で紹介する映画『ポトフ 美食家と料理』は名匠トラン・アン・ユン監督による、美食家と料理人の情熱と愛の物語。カンヌ映画祭最優秀監督賞を受賞し、フランスを代表する名優にして元パートナー同士であるジュリエット・ビノシュとブノア・マジュエルの20年ぶりの共演も話題です。

あらすじ

『ポトフ 美食家と料理人』©2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA
映画『ポトフ 美食家と料理人』
©2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT – FRANCE 2 CINEMA

1885年、フランス。料理人のウージェニーは美食家ドダンのもとで20年間働いてきた。稀有なる才能を誇る二人は、互いを高めあうと共に愛し合ってもいた。ドダンの美食仲間である4人の友人たちを招いた午餐会で、ウージェニーはアシスタントと共にフルコースの料理を仕上げていく。

ドダンと美食仲間はユーラシア皇太子の晩餐会に招待されるが、豪華な3部構成のコース料理にドダンは満足できなかった。ドダンは皇太子に献上する料理のメニューに取り掛かるが、ウージェニーの体調が思わしくない。ドダンとウージェニーは、二人で究極のポトフ料理を完成させようとする。

  • 映画『ポトフ 美食家と料理人』
  • 【監督】トラン・アン・ユン
  • 【脚本】トラン・アン・ユン
  • 【撮影】ジョナタン・リッケブール
  • 【料理監修】ピエール・ガ二ェール
  • 【製作総指揮】クリスティーヌ・ドゥ・ジュケル
  • 【制作】オリヴィエ・デルボス
  • 【原作】マルセル・ルーフ『美食家 ドダン・ブーファンの障害と情熱』
  • 【出演】ジュリエット・ビノシュ、ブノア・マジュエル、エマニュエル・サランジ

『ポトフ 美食家と料理人』試写レビュー

久しぶりに心を洗われるような映画を観たような気がします。19世紀末のフランスを舞台に、美食家と料理人が料理を通して人生の喜びや愛を分かち合っていく究極のグルメ映画。美食(ガストロノミー)をテーマに、料理を作ることの楽しさ、人を喜ばす料理とは何か、料理を通じて人間が感じるものといった「料理」の神髄を描いた優しい目線の作品に仕上がっています。

物語自体は大きな事件が起きるわけでもなく最初から最後まで穏やかな印象ですが、料理のシーンがものすごくワクワクした気持ちにしてくれます。ウージェニーとドバンが料理を作っているだけなのに、何でこんなに楽しい気持ちにさせられるのでしょうか。次にどんな料理が登場するか楽しみで、料理がこんなに人の気持ちを奮い立たせるものであることを改めて気付かされました。

レトルト食品や冷凍食品で簡単に料理をすますことができる便利な時代ですが、本作を観た後は何かを食べるのなら、わくわくする料理や楽しい気持ちになる料理がいい!という気持ちにさせられます。食べることの楽しさと、料理の持つパワーを体現できる素敵な映画です。

料理の魅力

『ポトフ 美食家と料理人』場面写真
『ポトフ 美食家と料理人』場面写真

本作は19世紀末のフランスが舞台。井戸で水を汲み、木を燃やした灰で料理をし、土のついた採れたて野菜や新鮮な肉や魚など、素材にこだわった料理に思わず目を奪われてしまいます。完成した料理の素晴らしさはもちろん、素材を切る音や炒める音といった聴覚にも訴える演出が見事です。

当時の料理は火、水、木、土を身近に感じることができるもので、食の原点とは何かを改めて考えさせられます。加工された食材や食品が溢れた現代だからこそ、オーガニックでナチュラルなライフスタイルに魅せられてしまうはず。手間をかけた料理を味わうときの喜びは、簡略化された現代の料理からは得ることができない特別なものと言えるのではないでしょうか。

究極の美食ではなくても、人の温かさを感じる料理が人を楽しませ、豊かにするのは確かだと言えます。ドバンがフルコースではなく、素朴なフランスの家庭料理のポトフにこだわるのも分かる気がします。改めて料理の魅力を再認識する映画で、料理好きな人もそうでない人も、食べることが好きなら絶対に楽しめる作品です。

目を奪われる美食映画

冒頭からウージェニーがドバンと美食仲間の午餐会のために、ひたすら料理を作る料理シーンのオンパレード。現代とは勝手の違う当時の料理の様子を見るのも楽しく、レトロなキッチンがとっても素敵。見たことない料理もたくさん登場し料理を観ているだけでひたすら楽しく、二人の作る料理がとにかくおいしそう!

次はどんな料理が出てくるかワクワクして、パイにフォークを入れる瞬間や、〆の絶品デザートが登場するときは、自分も一緒に食べたい!と思わず唾を飲み込んでしまいます。フランス映画らしく、料理と共にワインへのこだわりもたっぷりと描いているのも見どころです。料理を盛り付けるお皿やテーブルクロスなど、全てが上品でお洒落で目を楽しませてくれます。

ドダンとウージェニーの愛

ウージェニーは美食家のドダンの料理人として、20年間仕えています。舌の肥えた美食家の料理人になるのは大きなプレッシャーのはずで、ドダンの満足する料理を毎日作るのは並大抵のことではありません。ウージェニーはドダンの友人を招いた午餐会で、みんながうなってしまうほどの料理を次から次へと作っていきます。

ドダンのウージェニーに寄せる信頼が料理を通して見て取れて、料理の情熱で強く結ばれた二人の絆がとっても素敵。ドダンは結婚について「結婚とはデザートから始まるディナー」と評していて、二人の関係が20年経っても甘く有意義なものであることを語っています。料理を通して描かれる二人の愛と絆が素晴らしく、心をぐっと鷲掴みにして離しません。

『ポトフ 美食家と料理人』本予告【12/15(金)全国順次公開!】
『ポトフ 美食家と料理人』本予告

おわりに

料理を通して愛と人生を味わう甘美な美食映画で、食の原点に返らせてくれるナチュラルなライフスタイルに憧れを隠せません。料理が好きな人もそうでない人も楽しめる作品で、優しい目線のヒューマンドラマが好きな方におすすめです。

ストーリー ★★★★(4)
ウージェニーとドダンの愛と人生を、料理を通して描いていて見応えがある。ウージェニーの助手ポーリーヌと絆を深めていく過程もよく、愛に溢れた物語が感動を呼んで胸に熱いものが残る。
キャラクター ★★★☆(3.5)
料理にこだわり抜くドダンや絶対味覚を持つ少女ポーリーヌといった、印象的なキャラクターが登場する。ドダンのこだわりを理解し希望通りの料理を作る、ウージェニーの優しいキャラとのバランスがいい。
エンタメ性 ★★★(3)
料理を作るシーンが圧倒的に多く、目にも楽しく素材を切る音や炒める音といった聴覚にも訴える仕上がり。料理シーンを見ているだけでワクワクする、楽しさに溢れた作品になっている。
感動 ★★★(3)
泣けるシーンや超感動的なシーンがあるわけではないが、観終わった後に幸福感を感じるやさしい感動に包まれている作品。
総合評価 ★★★★(4)
やさしい目線のヒューマンドラマを観たいときにおすすめの作品で、料理シーンは観ているだけでワクワクしてしまう。全体的に穏やかな映画だが、飽きることなく最後まで楽しめる。
映画『ポトフ 美食家と料理人ポトフ 美食家と料理人』 レビュー
(最大星5つ/0.5刻み/5段階評価)

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オーストラリア在住の在宅ライター。2児の子育て中で料理が得意、フリータイムは大好きな海外ドラマ鑑賞に費やしています。 海外ドラマの記事を中心に執筆。ブログで海外ドラマの情報を発信中です。 ご希望リンク先

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