東京都渋谷にある園芸用品店が『大麻栽培の専用キットを販売』していたとして、『大麻の栽培をほう助した』疑いで摘発されました(※)。 当記事ではこの件について考察してみたいと思います。
※参考 FNN 屋外の栽培は「アホですね」 “大麻工場キット”販売 初摘発ニュース
園芸用品の販売で摘発?
今回摘発に至った渋谷のショップは、お客さんに『大麻栽培のマニュアル(指南書)』まで渡していたと言い、そのあたりの心象の悪さは逃れられないでしょう。 どうやら2019年8月に大麻栽培の容疑で逮捕されていた男が「この店で栽培法を教わった」と供述し、そこから逮捕に至ったと思われます。
日本には『大麻取締法』があり、大麻の所持、譲渡、栽培は違法になり、証拠さえあれば確実に逮捕されます。 日本国内で生活していいるかぎり、この法律は守らなければなりません。
『大麻栽培の幇助』容疑とは
しかし同時に日本は法治国家であり、全ては法に基づいて摘発は行われております。 先述の逮捕が、供述だけを元にしたという事であれば、やや強引すぎるのではないでしょうか。
これまで『大麻栽培の幇助』という容疑での立件は聞いた事はありません。 例えるなら、殺人や傷害に使われる可能性のある『(料理用)包丁を売った業者を、殺人幇助で逮捕』 するようなものです。
この件が今後起訴されるのか不起訴となるのか。 起訴されたとして無罪になるのか有罪になるのかは、状況を見守るしかありませんが、司法機関が真っ当に機能している国家であれば不起訴になる可能性が高い筈です。
確かに『大麻の栽培用』という名目で、栽培キットを販売していたお店の心象は良くありません。 それは一般的な国民であれば、誰からみても、『良くないお店』という感想を持つでしょう。 しかし『心象が悪いから逮捕』といった取り締まりの先には、冤罪……言論や情報規制、ひいては関わる人達の人生を大いに狂わせる可能性をはらんでおり、慎重に判断する必要がある問題です。
もし、検挙された販売業者自身が実際に大麻を栽培していたとしたら、それはもちろん違法行為ですが、摘発の要因はその点ではありません。 本件が今後どういった展開を見せるのかは、調査や司法の判断に委ねられている状況です。
世界の大麻非犯罪化状況と、日本の今後について
アメリカを中心に、世界的には大麻の非犯罪化が進んでいます。 そんな中にあっても、日本の法律が変わらない限り、それを遵守しなければなりません。

他国の法律がどう変わったとしても、日本に国籍をもち、そこで生活をする限りはこれを守っていく必要があります。 とはいえ、筆者が何よりも心配なのは、大麻取締法に限らずこのような法の拡大解釈がなされ、国民が安全で自由な生活や活動が当局によって脅かされる「暗黒時代の到来」です。
現行の法律を守りながらも、それに関する討論や意見交換、情報の提供といった物事にまで必要以上の監視や、強引な規制がされてしまう状況になるのだけは、民主国家として、法治国家として、避けなければならないと考えます。