キタガワ

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島根県在住、会社員兼音楽ライター。rockinon.com、KAI-YOU.netなどに音楽関係の記事を中心に執筆。毎日浴びるほど酒を飲みます。

家族の在り方を再考する、深みのある一作

2026年5月14日

企業様よりお声がけいただき、試写にて鑑賞しました。今作は日々を無為に消費していた主人公が、とあるシングルマザーの女性と交際。子育てを共に行っていく中での生活を赤裸々に描いたサスペンス映画です。

まず印象深く映ったのは、全体としての分かりやすさ。今作は他者との関係性に重きを置く作品なのですが、物語上で不必要だと思われる箇所は極力排除。比較的サクサクと進行していくため、2時間があっという間!映画として理想的な構成になっています。

また「面白かった!」との言葉だけでは言い表せない、重厚な展開も見逃せません。一見するとハッピーなイメージすら沸いてしまう『家族』という集合体ですが、当然その裏には葛藤や悩みも存在しています。そうしたネガティブな出来事をあえて直視させる流れを経て、きっと鑑賞後には「家族って何だろう……?」と考えてしまう、独特な読後感を抱くこと請け合いです。

加えて、主人公を演じる坂口健太郎氏の移り変わる感情の描写も、映画の没入感を高める大きな要素になっています。子供と深い関わりを続けていくうちに芽生える父性を柔らかに表現しつつも、周囲の環境に適応しようともがく様は、やや悲壮な雰囲気も漂う彼にしか演じられない魅力があるなと改めて感じました。

世の映画全てに言えることですが、当然ながら鑑賞後の感想は人それぞれです。けれども今作が心に深く刺さる『気付き』と、強い満足感を与えてくれることは約束されているように思います。ぜひこの作品が、多くの人の目に届きますように。

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抽象的なやり取りの連続に、何を思うか

2026年4月26日

映画には、大きく分けて2種類の作品があると思っています。

ひとつは起伏ある物語性で、しっかりとした道筋でもってラストに辿り着き、スパッと終わるもの。もうひとつは、表情や風景の描写で全体をあえて抽象的に描くことで、作品は『何を伝えたかったか』という根本自体を我々に委ねるもの。

今作『トーキョーナイトフォール』は、その名の通り東京で暮らす若者が、ナイトクラブという異質な環境を通して胸の奥に抱えていた感情と向き合う、センシティブな内容です。そして今作は先述の分類に照らせば、間違いなく後者。言葉少なに人間心理を描くこの作品は、人によって様々な解釈が出来る作品だとは思います。

ただあえて抽象的にしているとは言っても、今作の全体としての情報はあまりにも少なすぎる印象。登場人物の過去、秘めたる思い、なぜその行為に至ったのか……。そのほとんどが曖昧なので、結局心が動かされないまま、クライマックスへと向かってしまう感は否めません。

また今作は79分の短尺ですが、物語上で「これはいらないんじゃない?」と感じてしまう描写が多数存在することも無視できません。特に過去の回想シーンについてはそれが顕著で、2時間尺ならいざ知らず、短い尺の映画であればやはりサクサク進んでほしいところ。そのため全体としてはどうしても、冗長な印象を受けてしまいます。

今作はたしかに心の柔らかい部分に刺さる要素もあるとは思いますし、退廃的な雰囲気は他にはない魅力を醸し出してはいます。しかしいち映画として観る分には、微妙な感覚を個人的には抱いてしまいました。

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球団の『裏方』としての奮闘を描く意欲作

2026年3月26日

野球を主な題材としたドラマ『ストーブリーグ』。今回は試写の機会をいただきまして、3話までのストーリーを鑑賞しました。

舞台となるのは、プロ野球球団・ドリームズ。ただ今作の大きな特徴は、描かれるのはその顔たる野球選手ではなく、その球団で働く『球団のスタッフ』であるということ。展開としてもドラフト会議や方針決定など、あくまで裏方としての業務に焦点を当てています。

物語で重要な役割を果たしているのは、やはり亀梨和也演じる桜崎OG!『チームとして良いことか、悪いことか』を基準とした冷静な判断で、本来はすべきでないような事柄でさえもズバズバと斬っていく革新的なスタイルは痛快で、毎話約1時間ドラマとしてのスピード感も◯。気付けば次の話が楽しみになっているような、そんなそんな魅力を携えています。

一方で登場人物同士の会話劇においては、緊張感は若干少なめ。個性の強い登場人物が織り成す会話の応酬には若干のクセはありますが、エンタメ的な要素としてはアリかなと。総じて特異な設定の作品ながら、非常にドラマとして完成度の高い作品だと感じました。今後の展開が楽しみです!

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『銀行強盗』という題材ならではのハラハラ感!【試写レビュー】

2026年1月17日

今作『アウトローズ』は裏社会で生きる面々が、ダイヤモンド強奪という目的のために一致団結。それぞれのスキルを活かして世界最大の取引所を狙う……。そんな物語です。

特に素晴らしかったのは、やはり強盗の決行シーン。それぞれの得意分野を駆使しながら最奥を目指すハラハラ感と、手に汗握るシーンのオンパレード!見付かったら一発アウトの状況も相まって、思わず前のめりで観てしまう没入感があります。

物語としての作りも上手く、後半にかけて畳み掛けるような怒涛の展開には圧倒されました。人物紹介の紹介に時間を割いている関係上、前半部分についてはやや中だるみしてしまう感はありますが、「これがこう繋がるのね」と最終的には納得できる形ではあったので、あまり気にはならなかったかなと。

また今作は2018年に公開された映画『ザ・アウトロー』の続編という位置付けではありますが、この作品だけでも十分に楽しめます。気になっている人はぜひ!

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映像とシナリオの妙

2025年7月17日

試写にお誘いいただき、一足早く視聴しました。

今作は無期懲役囚である主人公・阿久津が、どのような経緯で獄中暮らしになるに至ったのか、その詳細を紐解いていくアニメ映画です。

鑑賞してまず驚いたのは、美麗な風景描写。花火のシーンに始まり、空や庭に生える草など、その全てが丁寧に描かれていて驚きでした。

肝心のシナリオについても、個人的にはとても楽しめる内容でした。1時間半の尺なので、ともすれば投げっぱなしENDになりがちではありますが、今作はオチもしっかり。中には都合が良すぎる点もありますが、ご愛嬌で留められるレベルかなと。

また読後感も凄まじく、鑑賞後は「良い映画だったなあ」と多くの人が素直に思える映画だと感じました。ぜひ大画面で観てもらいたいです。

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いつものルパンに、スパイスを少し

2025年5月31日

シリーズ最新作『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』。とても楽しく観させていただきました。

ルパンが逃げて、銭形が追いかける……。物語の構図としては過去のシリーズに沿うものです。ただ今回はそこに、ルパンと全く同じ顔を持つ“偽ルパン”が登場。様々な方面からの追跡に、ルパンが翻弄される様は新鮮でした。

時間にして1時間弱と、作品全体としての尺は短めではあります。ですが追いつ追われつのワクワク感はもちろん、日本とソビエトの環境の違いなどこれまでになかった要素も盛り込まれており、物語をより濃密なものにしている印象です。

一方で、良くも悪くも『いつものルパン』の延長線上の作りなので、若干の物足りなさは残るかもしれません。

ルパン作品に触れたことがある人も、そうでない人も。多くの方が「面白い!」と感じる、そんな作品ではあると思います。気になった方はぜひ各種サブスクにて。

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