日本の夏の風物詩というと……花火、風鈴、麦茶、浴衣など色々思いつきますが、そのひとつに蚊取り線香も挙げられるでしょう。ぐるぐるとした渦巻き状の見た目と、独特の香り。あの香りを嗅ぐと、夏の到来を感じる、という方も多いのではないでしょうか。
そんな日本の夏の代名詞である蚊取り線香用のオリジナルカスタムパーツ(?)を本気で作ってしまった人が居ると聞いて、お話を伺ってきました。
蚊取り線香用 アルミホイールカバー
『蚊取り線香用のアルミホイールカバー』と聞いて、何を言っているのか分からない……という方も多い事でしょう。たしかに、蚊取り線香にタイヤもホイールなんて本来は無縁です(笑)。
でも、そんな謎のプロダクトを、車用のカスタムパーツなどを製作する本職の『ものづくり企業』が、本格的にフルアルミで生産をするとなると、その特異さが伝わるでしょうか。
……なにはともあれ、その蚊取り線香用アルミホイールカバーがこちら。
見た目は確かに車のホイールです。質感もかなり本格的。使い方はこんな感じ……
つまり、蚊取り線香(大サイズ限定※)を買うと付いてくる専用の燃焼皿にぴったりとフィットする『ホイール風のふた』という訳です。素材はフルアルミニウム製で、メッシュタイプとスポークタイプの2種類展開を予定。
※金鳥なら『金鳥 渦巻 大型 12時間用』、
アースなら『アース巻香 ジャンボ50巻缶入ジャンボ』、
フマキラーなら『フマキラー 線香 本練りジャンボタイプ』といった、
大サイズの蚊取り線香を購入したときに付いてくる火皿専用。
7~8時間燃焼の通常サイズの蚊取り線香缶とは適合しません。ご注意を。
実際に触らせてもらうと、しっかりとした質感で、曲面の処理や製造工程でできたブラッシュが工業製品としての重厚な存在感を放っています。
ホイールカバー風の蚊取り線香皿のフタ……かつて、こんな物を作ろうと考えた人が居るでしょうか。いや居ない(反語)。よしんば居たとして、本気で作ってしまう人は居なかったハズです。
製造は大田区のものづくり企業『ナイトペイジャー』
この製品が初めて世にお目見えしたのは、大田区のものづくり企業『ナイトペイジャー』の代表、横田信一郎氏(以下 横田さん)による2020年5月5日のFacebook投稿。
横田さんによると、COVID-19による影響で業務の時間的余裕が出来たこともあって、この機会に『実用性は少なくても、面白さを解ってくれる人に向けたモノを作ってみよう』というコンセプトの元にプロトタイプを製造。その後、前述のSNS投稿や交流のあるご知人へ見せたところ、予想以上の反応があり正式なプロダクトとして生産に踏み切る事にしたそうです。
※横田さんがご交流のある所ジョージさんのYouTube『世田谷ベース』などでも紹介されています。
屋外のガレージで作業する人や、アウトドアな趣味を楽しむ人達にとっては、今でも日常的に蚊取り線香が使われているそう。そういったシーンで「何だコレ!笑」なんて、話のタネになれば……と語る横田さん、その瞳はキラキラと輝いています。
2020年7月上旬時点で、正式な発売に向けての量産工程中で、取材当日もその一部の工程を拝見させていただきました。
大田区 ナイトペイジャー 横田信一郎氏
(ちなみに、工場内のBGMはもっぱらヒップホップだそうです)
製品価格や発売時期、今後の予定など
蚊取り線香アルミホイールカバーの発売は8月中旬以降を予定しているそうです。
メッシュタイプを70個、スポークタイプを30個の完全限定生産で、同社のwebサイト(外部リンク)でのオンライン販売。販売価格は各10、000円(税別)を予定。
製造工程を実際に見て、さらにフルアルミ削り出し……という事も考えると、かなりリーズナブルな印象です。実際横田さんによるとほとんど利益にはならないそうです。とはいえ、実用優先のアイテムでもないので、この面白さを分かってくれる人が楽しんで使っていただければ、との事。
なお発売時には、より車のホイールっぽく楽しみたいという方向けに、蚊取り線香アルミホイールカバーにピッタリサイズの合う、『ホイール風火皿』の3Dプリンター用データも配布予定だとか。
深リムの19インチ……ならぬ、19センチ!
こちらの出力サポートや代行は行わないとの事ですが、自身で出力し、塗装、線香用の石綿などを取り付ける事ができる人であれば、一層楽しめるという訳ですね。
製品名 | 蚊取り線香用 アルミホイールカバー |
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バリエーション |
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素材 | アルミニウム |
サイズ | 径:6.4インチ(約163mm) 厚み:0.39インチ(約10mm) |
予定売価 | 各 10,000円(税別) |
生産予定数 |
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発売時期 | 2020年8月予定 |
販売方法 | ナイトペイジャー Webサイトにて通販開始 |
蚊取り線香用アルミホイールカバー メッシュタイプ 蚊取り線香用アルミホイールカバー スポークタイプ
多方面に活躍する横田信一郎氏
本格的な製品製造技術と設備、そして夢や遊び心を持ち合わせたナイトペイジャーの横田さんは、これまでにも別プロジェクトSHIN-RYUで、『音の鳴らないシンセサイザー』と題した、『ペーパークラフト&シンセサイザー風ツマミ』や『マグネットミキサー』といった製品を発売してきました。
- SHIN-RYU マグネットボール盤 drilling machine
- SHIN-RYU マグネットシンセサイザー MAGNETSYNTHESIZER
- SHIN-RYU マグネットミキサー MAGNETMIXER
これらもやはり、実用性はないけどなんだか面白い! ……と、さまざまなメディアで紹介され、マニアックな人気を博してきた製品です。
さらに、ご本人は『Shinichiro Yokota』名義のハウスミュージック・プロデューサー/トラックメーカーとして国内外で音源をリリース。欧米を中心に現在進行形でファンが増えているアーティストでもあります。
ものづくりに励む職人、時にユニークなプロダクトを生み出すクリエイター、そして音楽で人々を魅了するアーティストという顔をもつ横田信一郎さん。その深い探求心と向上心、熱い情熱が生みだす製品・作品に今後も注目していきたいと思います。
関連リンク
- 株式会社ナイトペイジャー Webサイト
- ナイトペイジャー 公式 Twitter @nightpager
- ナイトペイジャー 公式 Facebook Page
- ナイトペイジャー 公式 YouTubeチャンネル
- SHIN-RYU 公式Webサイト
- Shinichiro Yokota 公式Twitter @yokotashinichi7
- Shinichiro Yokota 公式Facebook
- 関連ニュース 日本産ハウスのパイオニアの一人Shinichiro Yokota によるキャリアを統括したアルバム「Ultimate Yokota 1991-2019」をヴァイナルオンリーでリリース clubberia