SSDの基礎知識 HDDとの違い、速度ベンチマーク、そして分解

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SSD とはソリッドステートドライブ (Solid State Drive)の略称で、これまでパソコンの保存領域として利用されていたHDD=ハードディスクドライブに代わるであろう機器です。

登場して暫くはその高価な価格帯から、PC自作ユーザの中でも特にこだわりのあるユーザーのみが利用していましたが、その優位性である「圧倒的なデータ読み書きの速さ」と価格の低下によって、現在は手軽で劇的にPC性能を向上させる事の出来る選択肢となってきました。

Macやメーカー製パソコンでもSSD装備のモデルも多いですね。

そんな訳で、今回はSSDの基礎知識のおさらいと、HDDとの違い、性能などをチェックしてみたいと思います。



HDDとSSD物理的な構造はどうなっているのか?

HDDの構造について

ハードディスク=HDDの場合、イメージ写真や図を目にする機会も多く、その名の通り『ディスク=円盤』的なものが入っているんだろう……と想像がつきやすいですが、大まかには

  • プラッターと言う回転する円盤状の記録部分(容量によって1~4枚)
    ※データが記録されます。
  • モーター
    ※プラッターを回転させます。
  • 磁気ヘッドとアーム
    ※アームが動いて磁気ヘッドが読み書きを行います。
  • コントローラー
    ※外部(パソコン)とデータのやり取りを制御します。
  • インターフェイスコネクタ
    外部(パソコン)と接続するためのコネクタです。以前は、SCSIやIDEという規格がありましたが、現在はSATAという企画にほぼ統一されています。

という構造になっています。プラッターの回転、モーター、アーム動きや、コントローラーといった機能によって性能が変わってきます。

こんな感じですね。

機構としては結構複雑なので、動作中に強い振動や傾きなどが起こると、データや機器自体に破損が起きる事もあります。デジタルデータを保存する割に、円形の磁気ディスクが回っているというアナログな部分が有り、見た目にも構造的にもマシン!って感じですね。

SSDの構造について

一方、SSD内部の構成は次のようになります。

  • フラッシュメモリ
    ※ここにデータが記録されます。
    ハードディスクのプラッター、モーター、磁気ヘッドとアームに相当しますが、物理的に「動く」ものはありません。
  • コントローラー
    外部(パソコン)とデータのやり取りを制御します。
    ハードディスクの場合とほぼ同様です。
  • インターフェイスコネクタ
    SATA規格。

という構成になっており、HDDと比べると随分シンプル。

機械的な部分が少ない分、「フラッシュメモリの読み書き速度」と「コントローラーの設計」といった所によって性能に差異があり、それぞれ価格などにも反映されます。

そんな訳で、手元のSSDを一つ分解してみました内部はこんな感じになっております!

開封できるようなネジが付いている製品を選び、裏蓋を慎重に外します。

ご覧のように、青緑色の基盤の上には「フラッシュメモリ」チップ2個が1列に取り付けられています。このチップが保存領域=HDDでいうディスクと同等の役割の部分となります。

「コントローラー」は、この製品の場合、基盤の裏側に取り付けられているようです。下側の黒い棒状のものは、SATAコネクタです。

SSDはこのシンプルな構成により、動作中の衝撃などでの破損リスクが格段に低い、という点も特徴のひとつでしょう。

今回分解したSSDは128GBと容量が少ないためか、基板もケースの3分の1程度の大きさで、とてもコンパクトな構造。物理的・機械的に動く機構は存在しません。

※ケース内に空洞をつくり、規定のサイズにしているのは2.5インチハードディスクの規格(パソコンに取り付けるための統一された規格)に合わるためです。ですので、汎用PCパーツとしてでなければ物理的にはもっとコンパクトに収納する事も可能という事になります。

【ご注意】裏蓋を開けるなどの分解を行うと、その時点で(保証期間内でも)メーカーの保証は受けられなくなるので、基本的には止めましょう。保証不要!という方で好奇心が止められない方も必ず自己責任でおこなってください。

SSDの速度について ベンチマークテスト

次は速度もチェックしてみましょう。
SSDやハードディスクなどの記憶媒体の速度を測る基準には、次の4つがあります。

  • シーケンシャルリード(読み取り)
  • ランダムリード(読み取り)
  • シーケンシャルライト(書き込み)
  • ランダムライト(書き込み)

それぞれ、要した時間が短いほど処理が早い=高性能という判断基準となります。

世界的によく使われているベンチマークツールは2つあり、次のような結果を表示します。


CrystalDiskMark

AS SSD Bench

この2つのベンチマークソフトを使って、同一メーカーの同容量のSSDを3クラスを用意して計測してみました。

※Team製SSDを利用。クラス別にL3、L5、L7と分けられています

計測ツールL3 EVOUltra-L5L7 EVO
シーケンシャル
リード
CrystalDiskMark397.4395.4351.0
AS SSD Bench339.27287.06296.04
ランダム
リード
CrystalDiskMark34.237.4230.83
AS SSD Bench36.1321.9721.02
シーケンシャル
ライト
CrystalDiskMark394.6299.0259.2
AS SSD Bench294.08252.31213.20
ランダム
ライト
CrystalDiskMark107.5110.172.08
AS SSD Bench61.8229.3844.27
総合スコア325281249

結果として、メーカーの公称値に準じた値が出ていましたが、読み取り性能に優れているものと、書き込み性能に優れているものの差があります。

※総合スコアは、一定の基準で各項目の結果を1つの数値で表したもので、絶対的な判断は下せません。あくまでも、参考として考えてください。個体差や計測環境による誤差の場合もあります。

SSDの速度について OS起動テスト

OS(Windowsなど)の起動速度やアプリケーションの起動時には、SSDやハードディスクなどから大量のデータを読み込むことで開始されます。

結果、データ機器の読み取り性能によって体感起動速度が大幅に変わってくる事になります。特に、OS起動時は多くのシステムファイルを読み込んで準備を整えるためその差は顕著です。

……という事で Windowsの起動時間の測定も行ってみましょう。

前述のテストと同様各グレードのSSDで、Windows7の起動時間を測定してみました。

測定は、同一のデスクトップ パソコンに各モデルのSSDをセットし、電源オンからWindowsの起動サウンドが鳴り、安定する時点までの時間をストップウォッチではかるという人力テストです。

※結果は特定の実行環境下での数値であり、パソコンの性能やWindowsの設定などに左右されます。あくまで、各モデルの読み取り速度の違いを比較するためのものと考えてください。

※使用したデスクトップ パソコンは、約5年前の標準的なスペックですが、Windowsの起動時に同時に起動する余計なアプリ類や常駐ソフトは少なくなるようにカスタマイズしてあります。

ハイグレードのもの程高価=早いに違いない!という予想のもと行ってみた結果はこちら

起動までの秒数
L3 EVO30.5秒
Ultra-L528.6秒
L7 EVO31.6秒

Windowsの起動が一番速かったのは、公称読み取り速度が520MB/sのUltra L5。読取速度が500MB/sのL3EVOが2位で、読取速度が1位(530MB/s)のL7 EVOは、なぜか最下位という結果に……。

この結果が、機器自体の個体差なのか、計測方法による誤差なのか判断は難しい所ですが、いずれにしても、起動時間の差は3秒程度のものでしたので、もっと回数を重ねて厳密な測定を行うべきかもしれませんね(汗

また、読み取り速度だけを比較しましたが、SSDの使用形態によっては、読み取りと書き込みのバランスといった点での性能差異があるのかもしれません。

ただ、30秒前後でOSが起動する、というのはとても快適です。SSDに乗り換えたユーザーが最初に感じるメリットはこの点ではないでしょうか。

補足 SSDの寿命について

寿命
以前は、SSDはその特性上、動作する期間=寿命 が短く「少しでも寿命を長くするため、できるだけ読み書きを少なくするのが良い」と言われていたこともありますが、SSDでデータを管理する技術の進歩によって、ほとんど克服されています。

MacBookなどでのSSDモデルを5年以上利用しているユーザーも多数存在する現在、この点を心配する必要はあまりないでしょう。


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