先日、エルゴノミクスマウス……しかも垂直マウス(Vertical Mouse) iClevr TM231Gという変わった見た目の製品を導入してみました。
筆者は、日常的に仕事でPhotoshopやIllusetratorなどを使用しているので、それらの作業にも使えるのか。 不便がないか……といった点を交えてレビューしてみたいと思います。
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エルゴノミクス 垂直マウス 導入レポート
皆さんはエルゴノミクス製品を使った事はあるでしょうか? 筆者は、仕事柄PCに1日中向かっていて、マウスやキーボードを使い続けています。 そして仕事を始めたばかりのころ肩こりや頭痛といった症状を感じ始め、色々試したり調べた結果、身体に負荷が少なくなるようデザインされた=エルゴノミクスデザインのキーボードを使い始めて今日に至ります。
そもそも『エルゴノミクス』って何?
エルゴノミクス(=人間工学)……について簡単に説明するならWikipediaの引用が手っ取り早いでしょう。
人間工学(にんげんこうがく)は、人間が可能な限り自然な動きや状態で使えるように物や環境を設計し、実際のデザインに活かす学問である。また、人々が正しく効率的に動けるように周囲の人的・物的環境を整えて、事故・ミスを可能な限り少なくするための研究を含む。
日本語でいう「人間工学」は、アメリカではヒューマンファクター(en:Human Factors)、ヨーロッパではエルゴノミクス(en:Ergonomics)と呼ばれる分野に相当する。
Wikipedia 人間工学 ページより引用
という訳で、エルゴノミクス(デザイン)によって生み出された製品は、(『エルゴノミクス』と名がついてなくとも、意識的にせよ無意識にせよ)私たちの生活に取り入れられています。
……話を絞って、パソコン周辺機器としての『エルゴノミクスキーボード』『エルゴノミクスマウス』と呼ばれるものに関しては、ちょっと見慣れない変な形のキーボード/マウス……と言ってしまうと理解しやすいかもしれません。
キーボードであればこんなの↓です。

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キーボード 5KV-00006
なんでこんな変な形をしているかというと、身体に負荷がかかりにくい体勢で操作ができるようになっているからだそうな。
一般的なキーボードの『平面上にまっすぐ配列されたキー』を操作していると、人間の身体の構造上不自然な形で肘や肩、腕に負担がかかる、と。 そんな負荷・負担を減らすためにデザインされた結果こんな形になっています。
上記はまだキーボードとして原形を留めていますが、中にはこんな↓キーボードもあります。
究極のエルゴノミクスキーボードと呼ばれているそうですが、ここまでくるとちょっと不便の方多そうなんて思ってしまいます(笑)。 使ってみたいけど、お値段も結構高いし。
iClever『エルゴノミック垂直マウス TM231G』を購入
さて、話を少し戻すと筆者はマイクロソフトのエルゴノミクスキーボードを長らく使っていましたが、マウスについてはあまりこだわらずに、その時々目についたものを購入しては使いつぶしてきました。
そんな中、ふとAmazonで安くてかつ奇抜なデザインのエルゴノミクスマウスを見かけたので、ひとつ使ってみたという訳。 それがこちら↓iClevr TM231Gです。

当記事でレビューする製品
どうです……変な形ですよね?
TM231G 製品スペック
製品名 | Ergonomic Vertical Mouse(エルゴノミック垂直マウス) |
---|---|
型番 |
|
本体サイズ | 134×76×75mm |
本体重量 | 105g(±5g) |
無線接続距離 | 最大10m |
DPI調整機能 | 1000/1600/2400 |
内蔵バッテリー容量 | 300mAh |
フル充電時稼働時間 | 105時間 |
Rating | 4.2V – 2.85mA |
対応OS |
|
備考 | 進む/戻るボタンはMac OS 10に非対応 |
リンク |
じつは、これを買う前にもうひとつ目をつけていた、より奇抜なデザインのマウスがあったのですが……(それがこちら↓)

(2021年8月現在すでに販売終了のようで残念)
使っているマウスがまだ全然元気に動いているので、もう少し待とうかな~なんてモタモタしていたら売り切れてしまったようです。 という訳で、潔く今購入できるTM231Gを購入しました。
製品到着 開封&付属品
パッケージと、同梱されている製品・付属品一式ははこんな感じです。
左上から、右下へ……
- 製品パッケージ
- ユーザー登録カード
- マニュアル(英語 一部日本語を含む多言語表記)
- USB(Type-A)用、無線子機
- マウス本体
- USB Type-A ⇔ Micro B ケーブル (1.5m位)
といった内容。
見た目はやっぱり普通のマウスと比べると結構奇抜ですよね。 使うのが楽しみです。
各部のチェック
ボタンは左右のクリックと、ホイール。さらに親指にあたる箇所にボタンがふたつあります。 ボタン構成としては一般的でしょうか。
マウス、又はタップ/スワイプで画像を動かせます。 (Powerd by オブジェクトVR EC360 )
本製品はワイヤレス(無線)マウスですが、本体の前方にUSB Micoro-Bのコネクタが付います。 乾電池を入れる箇所は無く、本体にバッテリーが内蔵されていてこのコネクタ経由で充電をするようです。

この点はちょっと便利で、充電が切れてしまってもUSBケーブルを接続しながら充電しつつPCの操作もできました。 忙しい時に作業がストップしてしまう……という事がないのは嬉しいですね。
充電式という事で、底面には乾電池を入れる箇所はありません。 無線子機を収納できる箇所と電源のON/OFFスイッチがあります。
バッテリー内蔵という事で一点気になるのはその重さですが、握ってマウスパッドの上で滑らせてみても重さはほとんど感じません。 むしろ単4電池が必要なマウスと比べても軽いように感じました。
実際に使ってみて……
握って机に置いてみると……なるほど、机に腕を乗っけた時の楽な姿勢のままマウス本体を握る事ができます。 これは確かに、腕や肩には良さそうです。 縦型のマウスってこういう感じなのか……ふむふむ。
↑の写真、マウスパッドに対して大きすぎるようにも見えますが、こんなでも1920×1080pxの液晶を横にならべたデュアルモニター構成でも不便は感じません。
少しさわってみて、基本的な動作は問題なさそうなので実際に仕事にも使ってみました。
まずはIllustratorで画像をトレースする作業を試してみた最初の感想は……
「あ、これ無理かも……?」
でした(笑)。
マウスポインターの横移動はそれほど違和感がないのですが、縦の移動がどうしてもうまくいきません。 まっすぐ上に操作したつもりが、やや右上にずれる。 下に操作したところ左下にずれる。
ペンツールでベクターを操作している時、結構イライラします。いままで普通にできていた作業が捗らず「ムキー!!!」と声を挙げたくなる。
その後も2~3日使い続けてみましたが、身体の負荷を減らすための製品なのに精神的な負荷が増えてしまっては……と、何度か使用を断念しかけました。
が。
頑張って使い続けました。
2か月我慢して使い続けた結果
思えば、はじめてエルゴノミクスキーボードを使い始めた頃も、しばらくは思うようにタイプが出来ない。 文字の打ち間違えが増えた……といった経験をしていたので、このマウスもきっと「もうすこし我慢していれば慣れる」と信じて使い続けました。
結果として、まあなんとなくストレスが減ってきたのが1か月くらい。 そして、当記事を執筆している現在はまったく違和感無く使えるようになっています。
購入履歴をみると2021年6月14日に購入しているので、当記事を執筆しているのが8月23日とすると、まあ2か月くらい頑張って使ったら慣れたという所でしょうか。
ちょっと長い気もしますが、今後もしばらくは仕事で使うマウスですし、今慣れておけば長い目で見れば身体には良いかな……と。
今では、以前使っていた一般的なマウス同様の操作感で作業が出来ています。
普通の(エルゴノミクスじゃない)マウスが使えなくなってしまわないか?
エルゴノミクス製品を使っていると、ときどき「変な(形の)入力機器をつかっていると、普通製品が使えなくならない?」という心配をされる事があります。
実際、筆者もエルゴノミクスキーボードを使い始める以前には同じことを心配したのですが、実際にはほとんど影響はありませんでした。 ノートパソコンや、社内の他の人の端末を操作している時など、普通のキーボード/マウスもストレスなく使用できています。
とはいえ、これはそれまでに一般的なキーボード/マウスに身体が慣れているところに、追加でエルゴノミクスキーボード/マウスを使い始めたからかな? と思っています。
ですので、パソコンの覚え始めからエルゴノミクス製品を使っている人がいたとしたら、その人が普通のキーボード/マウスを使うと初めは不便を感じると思います。 そんな場合でも、やっぱり1~2か月も使い続ければ慣れてしまうのではないかと。
体で覚えた技術・経験って、結構こんなものなのかもしれません。
総合評価
慣れて、使えるようになった現在の総評としては、良い買い物をしたと思っています。
パソコンと一日中向かい合う作業をしている人にとって、入力機器やモニターなどの環境を整えるのって結構大事だと思うので、身体のこりや腱鞘炎などに悩んでいる人がいるのであれば、一度ためしてほしいと思います。 本製品は安いし。
デザイン業務のような綿密な操作が必要な方であっても、身体が慣れれば全然問題なく使えるでしょう。 反面、慣れるのに時間がかかる(個人差アリ)と思うので、短期的な業務への負担と、長期的な身体への好影響(?)という不確かなものを天秤にかけてメリットがあればといった所でしょうか。
また、筆者は男性で手のサイズは普通かやや大きめだと思うので、手が小さい方だと握り難いという事もあるかもしれないです。
あと些細な点ですが、付属のUSBケーブルで充電しようとすると、マウス本体側のコネクタ周りの造形と干渉するのか、接続し難く感じました。 手元の別のケーブルではそんな事なかったので、付属ケーブルの形の問題かなと。 これはちょっともったいないですね。
ビジュアル | ★★★★(4) 奇抜で好み |
---|---|
操作性 | ★★★☆(3.5) 1~2か月を要すが(個人差あり)、慣れれば普通に使える。 給電しながら操作も可能な点は◎ |
コストパフォーマンス | ★★★★(4) エルゴノミクスマウスとしては、安い |
総合評価 | ★★★★(4) 新しいもの好きならおすすめ。慣れれば普通のマウス同様に使え、 (おそらく)身体への負担は少なくなる。価格も安い。 付属のUSBケーブルと本体がやや接続しにくい(個体差かも?)。 構造上左手でマウスを操作する人は使えない。 |
(最大星5つ/0.5刻み/10段階評価)
まとめ
という訳で、iClevrのTM231Gというマウスの紹介と、体験としてエルゴノミクス縦型マウスの導入について記事にしてみました。
エルゴノミクスマウスは今回のような縦型の物だけではありませんが、操作感や見た目のインパクト的にも面白い製品だと思いました。 慣れるのには時間がかかりましたが、身体への負担が減ると思えばまあ許容範囲ではないかと。
業務でパソコンを使う人間にとってはマウスは消耗品。 3,000円以下で購入できるので、一度試してみるか! という気持ちで臨むと良いのではないかと思います。
常に1px単位での綿密な作業が必要な人(筆者もそういう作業も時々あるのですが)でなければ、新しい経験としておすすめしたいところです。
使い慣れた安心できる物も良いですが、『新しいものを避けてばかりいると感性が乏しくなってしまうのでは?』なんて脅迫観念も少しあり……今後も珍しいモノや、新しいモノに興味を失わないようにしたいと思うのでした。