SOUNDPEATS(サンドピーツ)より2025年3月21日発売のワイヤレスイヤホン『Air5 Pro』を、発売に先駆けご提供いただきました。同製品を実際にしばらく利用した上での感想、特性などを徹底的に解説します。
簡単に結論だけ伝えると、サウンド面のコンセプトがしっかり感じられる良い製品だと感じました。
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SOUNDPEATS 『Air5 Pro』ノイズキャンセル搭載 完全ワイヤレスイヤホン 実機レビュー
当記事で紹介する『Air5 Pro』は、2023年に発売された『Air4 Pro』の後継となる位置づけの製品で、同社ラインナップ中でもハイクラスに分類される最新機種。
対応コーデックも強力。LDAC、LC3のほか、Qualcommの次世代プラットフォーム『Snapdragon Sound』に対応しており、aptX Adaptiveに加え、最大44.1kHz/16bitのCD音質でワイヤレス再生が楽しめるaptX Losslessにも対応、さらにLE Audio対応しています。通常価格は9,980円。一万円以下イヤホンとしてこの春に市場投入される、SOUNDPEATSの最新モデルです。
参考 Air4 ProとAir5 Proのスペック比較
まず最初に、Air4 Proとの性能の比較をしておきましょう。カナル型のAir4 Proとほぼ同サイズのAir5 Proですが、ノイズキャンセリング機能が45dBから55dBへと強化され、さらに対応コーデックの強化、最長稼働時間の強化などが目立った変更でしょうか。一方、ドライバーのサイズが10mmに縮小された点については、どのように音質面に影響するかが気になるところです。
イヤホン単体での再生時間もフル充電で連続7.5時間連続再生とのびており、充電ケース併用で合計37時間と、かなり長時間り利用できるようになっています。
スペック | Air4 Pro | Air5 Pro |
---|---|---|
ドライバーサイズ | 13mm | 10mm |
形状 | カナル型 完全ワイヤレスイヤホン |
カナル型 完全ワイヤレスイヤホン |
ノイズ キャンセリング |
対応(Adaptive ANC) | 対応(Adaptive ANC) |
対応コーデック | aptX Lossless/aptx adaptive/aptx/AAC/SBC | aptX Lossless/aptx adaptive/aptx/AAC/SBC/LC3/LDAC |
サウンドドライバー | 13mm径 ダイナミックドライバー |
10mm径 ダイナミックドライバー |
サイズ (L×W×H) |
64×24.2×48.3mm (ケース込み) |
66.88×26.92×48.33mm (ケース込み) |
重量 | 約3.0g(イヤホン/片側) 約36g(充電ケース+イヤホン両側) |
約4.8g(イヤホン/片側) 約50.3g(充電ケース+イヤホン両側) |
マルチポイン ト対応 |
対応 | 対応 |
防水規格 | IPX4 | IPX5 |
イヤホン(片耳)の 再生可能時間 |
6.5時間 | 7.5時間 |
充電ケースを含んだ 再生時間 |
26時間 | 37時間 |
ゲームモード | 対応 | 対応 |
特徴 | より軽量に、より高音質に 最大45dBのノイズ低減 |
より軽量に、より高音質に 最大55dBのノイズ低減 |
Amazon 販売ページ | Air4 Pro | Air5 Pro |
パッケージ内容
製品パッケージの内容は以下の通り。
- Air5 Pro イヤホン本体(左右)
- 充電用ケース
- イヤーピース(サイズ3種 S/M/L)
- 充電用USBケーブル (Type-A→Type-C)
- 取扱説明書(多言語:日本語含む)
- アプリ説明書
- ピーツくんのステッカー
マニュアルは中国語と英語に加え、日本語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語と7か国語表記となっていますが、コンパクトにするためか、文字がかなり小さいのは気になりました。
外観をチェック
本体はカナル型、コンパクトに充電ケースに収納できます。イヤホンの大きさは3cm強程度、ケースも幅5cm程度とコンパクトです。
充電ケースへの充電はUSBケーブルで行います。コネクタはUSB Type-C。ペアリングボタンもコネクタの横についています。

コネクタの左にあるのはペアリングボタン
イヤホンの装着感
続いては、装着感について。前モデルとなるAir4 Proの片方訳3.0gと比べると、片方約4.8gと少し重くなっています。
1.8gほど重くなっているとはいえ、耳に装着してみてもあまり重さは感じません。また、装着し、しばらく外出してみてみましたが意図せず外れてしまうということもありませんでした。
表面は艶消しマットな処理がされています。過去にレビューした『Capsule3 Pro+※』は同じ様にマットな表面でしたが、表面に汚れや指紋の付きやすさが感じられたのに関し、『Air5 Pro』は気になりませんでした。地味ながら改良が加えられているように思えます。
操作感・操作法・アプリについて
操作関連はSOUNDPEATSの直近のものと大きく変化はありません。イヤホンは充電ケースから取り出すと、自動的に電源がオンになり、イヤホン本体の側面がタッチセンサーになっています。センサーの感度はまずまずというところでしょうか。
タッチ操作による動作は下記の表の通り。
SOUNDPEATS Air5 Pro 操作方法一覧表
電源オン | 自動: 充電ケースの蓋を開ける手動:イヤホンのタッチパネルを1.5秒間長押し |
---|---|
電源オフ | 自動:イヤホンを充電ケースに戻して、蓋を閉じる手動:イヤホンのタッチパネルを約10秒間長押し |
再生/一時停止 | 手動:左右どちらのイヤホンのタッチパネルを2回タップ |
音量ダウン | L側のタッチパネルを1回タップ |
音量アップ | R側のタッチパネルを1回タップ |
曲戻し | 操作なし(アプリで設定可能) |
曲送り | R側のタッチパネルを約1.5秒間長押し |
着信受話/通話終了 | どちらかのイヤホンのタッチパネルを2回タップ |
着信拒否 | どちらかのイヤホンのタッチパネルを約1.5秒間長押し |
通話切替え | イヤホンのタッチパネルを1.5秒間長押し |
手動でペアリング | 充電ケースのマルチボタンを3秒間長押し |
音声アシスタント | R側のタッチパネルを3回タッチ ※Siri、Googleアシスタントなどが起動 |
ゲームモード | アプリによる設定(アプリでボタン設定することは可能) ※ゲームプレイ用に音の遅延を最小限にするモード |
ノイズキャンセルモード/ヒアスルーモード/ノーマルモードの切替え | L側のイヤホンのタッチボタンを1.5秒長押し |
なお、ケースにイヤホンを収納しケースのボタンを10秒間長押しするとペアリングなどをリセットできます。
汎用アプリ『PeatsAudio』では、イコライジングや、操作のカスタマイズも可能
SOUNDPEATS製品の他の製品と同じく、専用のスマホアプリを使うことで操作をカスタマイズできます。とはいえ、アプリによる設定のプリ側でのサウンド調整は、あくまでソフトウェア的制御であり、イヤホン自体の性能を向上させるものではありませんのでご注意を。
なおこのアプリでは視覚的にイコライジングができる設定に加え、『アダプティブイコライザー』という機能が搭載されています。これは利用者の聴力を、数パターンの音圧、周波数の音を鳴らして聴こえるかどうかのテストを行うことで自動的に最適なイコライジングパターンを割り出してくれる機能。イコライジングを「どう設定するのがいいのかわからない」という人に向けの親切な機能です。
タップスイッチの設定内容は、近このクラスのイヤホンで提供される機能に準じたものですが、個人的には設定できる項目が多すぎるようにも思えます。この辺りは好みですが、個人的にはもう少しシンプルしてもよいのではないかと思います。
音質レビュー
さて、肝心の音質について。Air5 Proに搭載されているサウンドドライバーは10mm。前述の通り、前モデルとなるAir4 Proの13mmドライバーと比べると小さくなっています。
またコーデックとして汎用製品が対応しているAAC/SBCのほかに、
- aptX
- aptX Lossless
- aptx adaptive
- LDAC
- LC3
にも対応しています。コーデックについては下記の記事で解説していますので、興味のある方は合わせてお読みください。
音像のファーストインプレッションとしては、輪郭がぼやけることもなくかなりクリアーに聴こえました。手元のAir4 Proと比較してもドライバーが小さくなったことによる影響はほとんど感じられませんでした。
若干音の空間再現性が向上しているようでもあり、音楽を聴く時には楽器やボーカルの音がよりクリアに聴こえる印象を持ちました。その再現性向上にともなっての効果とも考えられますが、残響感が強く、その影響で低音が強めにも感じられます。
この音圧感は、特に後述のANC機能選択によりかなり変化し、ANC機能ON時、外音取り込みの場合に強く感じられました。慣れればそれほど気にはならないものの、音の好みによっては気になる方もいるかもしれません。
ジャンルとしてはロックやヘビーメタルの爆音系でも音が割れることはありませんが、重低音はかなり強い印象。逆にアコースティックなサウンドや、通常の会話などでは最適な臨場感もあります。繊細なサウンドを楽しむ場合や、携帯電話やインターネットなどでの会話における実用性の重視派には、おススメといえるでしょう。
Adaptive ANC(アクティブ・ノイズ・キャンセル)機能について
本製品にはAdaptive ANCが採用されており、最大55dBのノイズ低減が可能となっています。実際この機能をONしてみると、音楽を流さない状態でも、雨音くらいであればほぼ聞こえなくなるくらいに外音が軽減されます。
スペックのみならず、実際に使ってみても、はっきりとこのノイズ除去効果を体感する事ができました。このクラスでANC搭載をうたう製品の中では群を抜いているのではないでしょうか。
また、本製品のANCはAI適応型(アダプティブ)ノイズキャンセリング機能との事で、前述した『Peats Audio』アプリにて細かい設定を行うことができます。
具体的には
- 適応型ノイズキャンセリング
- 室内ノイズキャンセリング
- 屋外ノイズキャンセリング
- 屋外交通
という4つのモードから選択することができます。こちらについては(個人的には)かなり些細な違いに感じられましたが、ノイキャン効果に対して強いこだわりを持つ方にとっては面白い機能かもしれません。
マイルス・デイビス 『カインド・オブ・ブルー』でベンチマーク
私のレビューでは定番となった、Jazzトランぺッター・マイルス・デイビスの『カインド・オブ・ブルー』。もちろんこのAir5 Proでもベンチマークしてみました。
全体として、かすかに聴こえてくるこの盤特有のノイズはかすかに聞こえるも、非常に自然に聴こえ、低音の響きも豊かに心地よくサウンドを楽しむことができました。
Air4 Proでは13mmのドライバーを使用していましたが、10mmと小さくなったもののクリアー感と音圧はアップしているようにすら思えました。アコースティック部分にはPU+PEEKを採用した軽量・高剛性の10mm径ドライバー、強力なネオジムN50マグネット、慎重に選別した銅線ボイスコイルといった高品質パーツによる構成で、コンパクトにしつつも高音質に、という意向が感じられるところです。
この音源では音の輪郭もぼやけず非常にクリアーなサウンドが楽しめましたが、やはり楽器の多いオーケストラ作品や、低音が強めのロックサウンドでは若干音圧が強すぎるようにも感じるかもしれません。
その意味では、やはり繊細な音や、実際の会話を聞き取るようなシーンに適した製品のように思えます。
なお、通話=会話に際しては左右合計6基のマイクでQualcommのQCC3091チップを搭載し、aptX Voice技術によりcVc8.0通話ノイズキャンセリングを実現、通話音質への配慮もうかがえます。
製品スペック
製品型番 | Air5 Pro |
---|---|
タイプ | 無線 |
形式 | カナル |
本体操作 | タッチ |
マルチポイント接続 | 対応 2台まで |
ドライバー方式 | 10mmダイナミックドライバー(PU+PEEK)×1 |
カラー | マットブラック |
内臓マイク | 6基(片側3基) |
対応コーデック | AAC/SBC/aptX/aptX Lossless/aptx adaptive/LDAC/LC-3 |
Bluetoothバージョン | Bluetooth5.4 |
最大持続時間 | (充電ケース込み) 37時間 |
充電コネクタ | USB Type-C |
ノイズキャンセリング機能 | あり |
専用アプリ | あり |
防水性能 | IPX5 |
パッケージ内容 | イヤホン本体 イヤーチップ×3ペア(S・M・Lサイズ各1) 充電ケース USB-A to C 充電ケーブル 取扱説明書 アプリ説明書 ピーツくんのステッカー |
発売日 | 2025年3月21日 |
通常価格 | 9,980円 |
販売ページ |
まとめと、総合評価
Air5 Proは、aptX Adaptiveほか多くのコーデックに対応し、ノイズキャンセル機能は従来の製品からさら強化され、その上実売10,000円以下で購入できます。
高音質を実現しながら、低遅延のゲームモードにも対応しており、マルチポイント対応、アクティブノイズキャンセルなど備えておきたい機能にもしっかり対応しています。音楽だけでなく、音声通話や、ポッドキャスト、映画、ラジオ、ゲームと、色々な用途で使用したいという方にはピッタリなモデルかと。
外観 | ★★★★☆(4.5) 一般的なイヤホンの形状を踏襲、形状としてはオーソドックス。 ケースのデザイン、表面仕上げは工夫が感じられる |
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使用感 | ★★★☆(3.5) 装着感については問題なし。タッチセンサーでの操作はまずまず。 これだけの機能でこの重量にまとめている点についても評価したい |
音質 | ★★★★(4) 音の透明感は十分なレベル。ANC機能をONにすると音圧が強く感じる。 わずかながらクセはあるが、アプリ設定である程度調整はできそうではある。 |
コスト パフォーマンス |
★★★★☆(4.5) これまで発表製品に対するグレードアップを実現した上で、このコスパを実現しているという点では評価できる。 |
総合評価 | ★★★★(4) 音楽を楽しむことと、通話などの実用性を双方重視したい方にはおススメ。 この価格帯のワイアレスイヤホンに搭載されているノイズキャンセリング機能としては十分なスペック |
(最大星5つ/0.5刻み/9段階評価)