昨今は仕事やプライベートでも、PDFファイルを扱うことは多くなってきています。
取引先との資料や契約書、業務書類のの受け渡し……ニュースやブログの記事のライターさんであれば、画像の配置や校正ができたりと納品データとしては万全だと思います。 僕の生業であるWeb制作の現場であればデザイン指示書をPDFで校正して社内資料を作成したり、お客様へお送りさしあげる、という事も多いのです。
依然として、エクセルやワード、テキストファイルでの受け渡しというケースも多い昨今ですが、セキュリティ(※)面や、画像と文章や表を、位置関係を保ったまま共有するのには、やはりPDFが便利です。そしてその見たままが、印刷したときに確実に再現される、という点もオフィス系ソフトより優秀です。
※マクロなどによる、マルウェアの感染。ローカル環境のユーザーやネットワーク構成など、情報の流出に繋がる機能を適切に処理していない場合など
棚に眠っている古い資料やFAXなどで届いた紙の電子化にもPDF化は便利です。 ビジネス・業務とは少し違う使い方としては、漫画などの自炊(自分で電子化する作業)でもPDF形式にしている人が多いのではないでしょうか。
そして何より、誰もがほぼ確実に開く事ができる、というAdobe Readerの普及率といった面こそが、PDF形式の優位性として広く認識し利用される要因でしょう。
そこで、今回はPDFファイルの作成はもちろん、編集に関する諸々の作業を効率的かつ高パフォーマンスで実行できる優秀なアプリケーション『PDFelement(ピーディーエフ エレメント) Pro』を紹介したいと思います。
※なお、当記事執筆時点の最新版であるバージョン6での紹介をしています。
Index
前知識 PDF編集ソフトについて
と、本題に入る前にもう少し前置きを。
まず、PDF形式が普及した昨今、ソフトにお金をかけたくないという人もいるかしれません。ですが、特に仕事で利用するPDF編集にフリーソフトを利用するのは、下記のような理由であまりおすすめできません。
- デフォルトではソフトが日本語に対応しておらず、日本語化する対応が必要
- 謎のダイアログやポップアップが定期的に表示される
- ソフトをインストールすると無関係なソフトもインストールされる
- 一度ソフトをインストールすると完全にアンインストールすることができない(困難)
- ソフトが海外のサーバへの謎の通信をしている
- そもそもちゃんと機能しないソフトも多い
……ソフト利用中に「プログラム応答なし」、「強制終了」が発生して、編集内容の保存ができなくなったり、ソフトの動作が重く作業自体がフラストレーションになってしまったり。
などなど。 こういった症状になるフリーソフトは業務で利用するソフトとしてはNGでしょう。
※『PDFelement6 Pro』の公式サイトでは、有名なPDF編集ソフトの挙動について調べてまとめたページが提供されていますので、こちらも参考にしてみてください。
有料のPDFソフトウェア比較
業務でフリーソフトを使うのはやめようということはご納得いただけたかと思います。
では、有料のソフトを導入するなら、どのソフトがいいのよ?というお話になりますが、そのあたりは、価格と機能で比較していってみましょう
本家AdobeのPDF編集ソフト『Adobe Acrobat Pro』
本家AdobeのAcrobat Proは、導入はリーズナブルですが、使用する限り永遠に費用が発生するサブスクリプション契約なので、コストパフォーマンスと言う面ではやや厳しいでしょうか。
JUST SYSTEMS 『JUST PDF 3』
個人利用: 税別¥10,476(永久ライセンス)
法人利用: 税別¥9,800(永久ライセンス)
https://www.justsystems.com/jp/products/justpdf/price.html
ジャストシステムのPDFアプリケーションは、中々リーズナブルです。
SOURCENEXT いきなりPDF
個人利用: 税別¥9,980(永久ライセンス)
http://www.sourcenext.com/product/pdf/
法人利用: 税別¥8,084(永久ライセンス) ※10ライセンスから
http://www.sourcenext.com/product/license/pdf/
ソースネクストのPDFアプリケーションは『いきなりPDF』。同社のソフトはいずれもネーミングにパンチがありますね。リーズナブルですが、法人利用の場合10ライセンスから、というのが少々ネックかもしれません。
PDFelement6 Pro
個人/法人: ¥8,314(税別)
※1台のPCから利用可能。
※10台以上のPCで利用する場合は別途見積が可能
https://pdf.wondershare.jp/store/buy-pdfelement-pro.html
コスト面でも中々の優位性がある『PDF element6 Pro』。未確認ですが、法人での大量利用の場合は見積が取れるという事もあり、相応のバリューなどが用意されているのかもしれません。
その他、各ソフトの機能面については(恐らく)上記で示したソフトの機能を比較した一覧表も用意されていますので、参考にしてください。
PDFelement6 Proの紹介
さて、やっと本題ですが、『PDF element6 Pro』を実際に触ってみたいと思います。
今回の試用環境としてはWindows 10 Pro 64bit OS上で利用します。
起動
起動時の画面はこんな感じです。
起動は早い、そして体感として結構さくさく動きます。この点は同環境で利用しているAdobe acrobat DCより確実に快適です。
Office 365に近いUIですね。そういった面では、普段エクセル、ワードに慣れている方なら、直感的に操作できるので説明書いらずって感じです。
続いて、実際に操作していきたいと思います。
PDFelement6 Proの主な機能
編集したいPDFを開くにはソフトにPDFファイルを、ウインドウにドラッグ&ドロップするだけでもOKです。GUIに慣れた僕らには助かります。
既存PDF内のテキストの編集
まず、試しに他者から受け取ったデータを加工する事を想定して操作してみます。
今回は総務省統計局で公開されている下記のPDFが手元にあったのでこれでテストしてみました。
平成30年4月報 (平成29年11月確定値,平成30年4月概算値)(PDF:221KB) 人口推計 - 平成30年4月報 -
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201804.pdf
PDFファイルを開いた感じはこんな感じです。上部メニューの左上にある『編集』をクリックするとPDFファイルの編集画面になります。
編集したいテキストの枠をクリックして選択し、テキストを入力していくことができます。
編集したテキストは自動で前後のテキストのフォントタイプとサイズに合わせてくれます。
画像の追加
続いて、PDF文書に画像を追加してみましょう。
上部メニューの左上にある『画像を追加』をクリックすると画像をPDFに挿入できます。
特に、エラーや利用できない画像ファイルなどもありません。
スキャンしたPDFの編集や変換。高性能OCR
続いてご紹介したいのが、OCR(光学文字認識処理)機能です。OCRというのは、スキャンした画像データに含まれる文字情報などを、画像ではなく『文字』として認識させる……というアレですね。
PDF elementのオフィシャルWebページのキャプチャ(スクリーンショット)画像を利用してテストを行います。
キャプチャ方法などは割愛いたしまして、ファイルを開いた感じはこんな感じです。
この状態で、画面上部に出ている『OCRを実行します』をクリックすると、
ポップアップが出るので「次へ」をクリックしてOCRを実行します。
と、しばらくするとPDFが編集可能になります。
Webサイトのキャプチャに表示されている文字が編集できりようになります。
……OCRってすごい!
やや余談ですが、僕は本業(株式会社オルトスタック所属)ではWebサイトの制作を行っているので、Webサイトの表示テキストの内容変更依頼などを社内やクライアント様に伝える時などにこの機能は重宝しそうです。というかモリモリ使いたいと思います。
ちなみに、OCR実行後のPDFは
- テキストの検索、コピー&ペースト
- テキスト編集、挿入また削除
- テキスト書式変更
- PDFファイルを他の形式(Word、Excelなど)に変換
- 画像のサイズ変更と削除
- 注釈の追加
などができます。
たとえば注釈であれば、メニュー上部の「注釈」をクリックし、
吹き出しやスタンプを挿入することができます。
例えばWebサイトの文言修正などを実施したら、「修正済」のようなスタンプも挿入することができます。また、電話やメールの文章だけではデザインの調整を言葉で説明するのは難しいですが、この機能があるとPDFを介して相手とのコミュニケーションも円滑になりますね。
わざわざ、IllustratorやPhotoshopでキャプチャ画像に文字を入れていくのも案外手間ですよね?
PDFから他ファイル形式への変換
PDFファイルをPDF以外のファイルへ。
また反対に他のデータ形式からPDFへの変換機能も充実していて、以下の形で相互変換が可能になっています。
PDFから変換可能な形式:
Office:Word(.docx /.doc)、Excel(.xlsx /.xls)、PowerPoint(.pptx /.ppt)
画像:JPG、PNG、TIFF、BMG、GIF
他形式:EPUB、RTF、TEXT、HTML、HWP、HWPX、PDF/A
PDFまで作成可能な形式:
Office:Word(.docx /.doc)、Excel(.xlsx /.xls)、PowerPoint(.pptx /.ppt)
画像:JPG、PNG、TIFF、BMG、GIF
他形式:テキスト、HTML、RTF、スキャナー/スマホから
この辺りもオフィシャルサイトにて解説がされていますので、詳細は下記にアドレスにてご確認ください。
https://pdf.wondershare.jp/pdf-convert/pdf-to-excel.html
その他の機能
セキュリティー対策安全保護機能
PDF内の機密内容を墨消ししたり、PDFにパスワードをかけることができます。
さまざまな表示方法
フルスクリーン、単一/連続/2ページ/2ページ連続表示なども可能です。
電子署名
業界標準のデジタル署名も実行できます。
ニーズに合わせてページを調整
ページを挿入・削除・分割・抽出・置き換え・回転したり、トリミングしたり、自由度の高いページ操作ができます。
かんたん印刷
ポスター、複数ページ、小冊子など、役立つ印刷モードがあります。
透かし、背景、ヘッダ、フッター、しおりを追加
透かし、背景を追加することが可能です。
PDFの最適化
既存PDFの再圧縮が可能です。
送られてきたデータがちょっとファイルサイズ大きいな……と思ったら、あんまり意味のない画像が高解像度で保存されてたり……って時に使ってみましょう。
ベイツ番号の追加が簡単
公的な書類に振る番号を一括で手軽に追加できます。
多言語インターフェースとOCR処理
外国人社員/教員向け、20カ国言語のインターフェイスとOCR処理可能です。
まとめ
そんな訳で、今回は『ワンダーシェアー』様より『PDFelement6 Pro』をご提供いただきましたので、レビューをしてみました。 僕個人の感想ですが、
- PDF編集機能が優秀である事
- ソフトの動作が軽く、使いやすいUIであること
- OCR機能が優れていること
- 注釈やスタンプが挿入できること
といった所で、非常に有用だと感じたので、そのあたりを中心にご紹介しました。 実用に十分な機能が備わって永久ライセンス税込¥9,980円/という点も、業務用アプリケーションとしては、非常に優秀だと思います。
Windos/Mac、どちらの環境用でも販売されているので、フリーソフト系が少ないMacユーザーの方なら、特に有用なのではないかな? とも思いました。 そんな『PDFelement6 Pro』を使って業務の各種作業を効率化してみてください!