海外ドラマの『引き延ばし』『マンネリ』『行き当たりばったり』……作品が劣化するダメパターンと、海外の呼び名
海外ドラマの『引き延ばし』『マンネリ』『行き当たりばったり』……作品が劣化するダメパターンと、海外の呼び名

海外ドラマの『引き延ばし』『マンネリ』『行き当たりばったり』……作品が劣化するダメパターンと、海外の呼び名

森須 信号 アイコン

森須 信号

/ 更新:

当記事の内容および記事中のリンクには、広告目的や当サイトが収益を得るためのものが含まれており、これらの収益によってuzurea.netは運営されています。

海外ドラマを見ていてと感じて遭遇する『引き延ばしに次ぐ引き延ばし』。毎話毎話、見入っちゃうくらい面白いのだけど、なんだか結局本題は解決せず、終わりの見えない物語を延々と見させられる感覚に疲れてしまった事ありませんか?

この記事では、そんなありがちな現象についてパターン別に分類して考察してみました。また、海外フォーラムを見て回る中で興味深い単語や言い回しがあったので、あわせてご紹介しています。

海外ドラマの『引き延ばし』『マンネリ』『行き当たりばったり』……etc. ダメ展開の典型的パターンと、海外での呼び名

「あれ……見始めた頃は面白かったのに……」
「ついつい見ちゃうけど、そろそろ終わってくれないかな」

海外ドラマを見ていて、そんな事を感じた事ありませんか?

これら長編ドラマあるあるなダメ展開について、バターン別に考えてみようというのが当記事の主な趣旨。同時に、海外での評価を漁っていたいる中でどう評されているのか……という視点でも深掘りしてみました。

※調査や観測は筆者の個人的な観測を元に、一部AIのディープリサーチの結果も含まれています。ご指摘などあればコメントにてご協力でいただけると嬉しいです。

この記事で紹介するドラマ・アニメの『ダメパターン』一覧

まずは全体像を把握しておきましょう。以下の表に、この記事で解説するドラマダメ展開ををまとめました。

ダメパターン関連する
海外での呼び名
意味・補足
見かける頻度
無限に続くストーリー
引き延ばし・水増し
Netflix Bloat
(ネットフリックス・ブロート)
Filler
(フィラー)
話数を増やすために、無駄な話数を追加するパターン。
情報の出し渋りWithholding Information
(ウィズホールディング・インフォメーション)
作品を引き伸ばすために、大事な情報を共有・提示しないパターン。
情報は提示されていても、登場人物達がそれを利用しないパターンも。
永遠に謎だらけ
伏線だらけ
Mystery Box
(ミステリーボックス)
とにかく謎や伏線が大量に登場するパターン。そして謎のほとんどは明らかにならず、謎はまま終わる。
投げっぱなしShaggy Dog Story
(シャギー・ドッグ・ストーリー)
壮大な物語……だったはずなのに、全部放り投げて終わるパターン。
行き当たりばったりAss Pull
(アス・プル)
取ってつけたような、急展開だけで展開するパターン。
信頼できるパートナーや家族が裏切ったり、突然死んだり。衝撃的だけど脈絡はなく、ストーリーが破綻していく……。
風呂敷広げ過ぎKudzu Plot
(クズ・プロット)
世界感を広げすぎたり、枝分かれした小さいストーリーが多すぎて、結局何がメインの話だったわからなくなるパターン。

『無限に続くストーリー』『引き延ばし・水増し』パターン

とにかく、延々と新しいストーリーや展開が追加されて、終わりが見えないパターン。

ウォーキング・デッド』はリックたちと安住の地を探していたはずなのに、どこへ行っても人間同士の争いばかり。主要キャラは入れ替わり、すべてを解決する希望はうやむやになり、結局何を見てるんだかわからなくなっていった。『プリズンブレイク』では監獄を脱出するのが目的だったのに、いつの間にか監獄にもどって……えっと?

テレビを見ながら呆れる男性の写真
僕は何を観たかったんだっけ……

なお海外では、こういった水増しされたドラマシリーズを揶揄する言葉として『Netflix Bloat(ネットフリックス・ブロート)※』なんて不名誉な呼び名も見かけます。

また、この水増しシーズンのために費やされる無駄なエピソード(回)を『Filler(フィラー)』、『Filler Episodes(フィラー・エピソード)』なんて呼ぶようです。こちらはよりミクロな視点で、本筋とほぼ無関係な『穴埋め回(=1エピソード)』を指す単語として用いられていました。

『Filler』は日本のアニメが起源……?

さらにこの『フィラー』という単語、元々はドラゴンボールナルトブリーチ、といったアニメ版の尺伸ばし回を語るために使われるようになったのが始まりのようで……。そう思うと、海外ドラマばっかりをサゲるのはお門違いという気もしてきます。日本も昔からやってました。

下記は海外ユーザーが作った、日本アニメシーズンに対するFiller数統計・比較。フィラーエピソード数トップに輝いたのは、まさかのあの作品でした。

Anime With The Most Fillers Episodes
Anime With The Most Fillers Episodes

『情報の出し渋り』パターン

視聴者にフェアに情報を提供しないパターン。ヒントや伏線はそもそも正しく提示されておらず、ある時突然それらが提示される……。ひとつ、ふたつならともかく、それが何話、何シーズンも続くと観ているのが馬鹿らしくなってきます。

本格推理小説だと、情報が読者に提示されていないような作品は『ミステリですらない』と袋叩きにされますよね……。

関連して、登場人物がアホになるパターンも。犯人や事件解決のカギとなる大事な情報を知りながら、仲間やチームにそれを伝えない。伝えようともしない。

24 -TWENTY FOUR-』でジャック・バウアーに「なんでそれを上司にすぐ報告しないんだよ……!」なんて毎度突っ込んでた記憶がよみがえります。

指令本部でアホっぽい会話をしていそうな写真
司令本部的な人達が、軒並みアホなのも脚本の犠牲

なんでそんな作品が多いのかというと、必要な重要な情報を提示してしまうと問題がすぐ解決してしまうから。こういった意図的な脚本による情報操作を、『Withholding Information(情報の意図的隠蔽)』なんて呼ぶようです。

『永遠に謎だらけ』『伏線だらけ』パターン

「この島では何が起きているのか」「あのキャラクターの過去に何があったのか」「組織の真の目的とは」などなど——次々と提供される謎に夢中になってシリーズを観続けてしまう……そんな罪深い展開。

謎が積み重なっていく段階は実に面白いのですが、いつしかそれにも飽きてきて……さらには、シーズンが進んでも謎が増えていくだけでほとんど解決してないと気づいた時に、作品への興味は急速に薄れていきます。

箱の中に、無数の手紙が入っている写真
ひとつの謎を解決する過程で、さらなる謎が……
謎の無限連鎖に辟易するパターン

典型的な例としては、『LOST』、『Xファイル』、『ウエストワールド』、『ダーク』、『ストレンジャー・シングス』などなど。

中でも『LOST』の製作総指揮をしていた映画監督・プロデューサーJ.J.エイブラムスは、こういった手法を『Mystery Box(ミステリーボックス)』と提唱しています。

その『LOST』自体が散々な内容で終わってしまった事もあり、現在では「Mystery Boxは視聴者を引き付ける安易な手段だが、綺麗に完結させるのが困難なジャンル」だと言われています。

The mystery box | JJ Abrams
The mystery box | JJ Abrams ※日本語字幕に設定可能です

類似する批評用語に『The Chris Carter Effect(クリス・カーター効果)』なんてのもありました。こちらは『Xファイル』の制作者クリス・カーターの名を冠しているとおり、その場しのぎで謎を作り続けて最終的に謎が解けないことが明白になった作品を揶揄した表現のようです。

『投げっぱなし』パターン

長いシーズンで壮大なストーリーを描いてきたのに、最後にすべてを放り投げたかのような結末を迎えるパターン。「あれだけ引っ張っておいて、結末がこれ?」と。

前述の”『永遠に謎だらけ』『伏線だらけ』パターン”の末にこの『投げっぱなし』になる作品も少なくありません。

例えるなら『ゲーム・オブ・スローンズ』。シーズン1から積み上げてきた政治劇や人物造形が、終盤シーズンで崩壊し、最終章(シーズン8)で描かれた結末たるや……。

テレビを見る3人の男女、うち二人は何かを話している 写真
「これで……終わり?」「どうやら、そうらしい。」

そんな、最後に虚無になってしまうパターンの物語を、海外では『Shaggy Dog Story(シャギー・ドッグ・ストーリー=毛むくじゃらの犬)』というジョークをなぞって呼ぶこともあるようです。

とんでもなく毛むくじゃらな犬を飼っている少年がいた。こいつは相当な毛むくじゃらだ、人々は口々に言った。少年は毛むくじゃらな犬のコンテストが存在することを知り、参加することにした。少年の犬は町内大会でも地区大会でも毛むくじゃらさでは負け知らずだった。少年はどんどん大きな大会を求め、とうとう毛むくじゃらな犬の世界大会にエントリーした。出場犬を一渡り検分した審査員たちは、少年の犬について評を述べた。
「そんなに毛むくじゃらじゃないな」

Wikipedia シャギー・ドッグ・ストーリー より

『行き当たりばったり』パターン

事前の伏線も兆候もなく、突然新しい設定が追加されたり、キャラクターの立ち位置が豹変したりするパターン。

頼もしい相棒枠が『実は敵のスパイだった』なんて展開、1度か2度くらいなら楽しめるかもしれませんが、常習的に見かけるようになると「またこれかよ……」という気持ちが先に来てしまうわけで。

巨大フォーラムRedditや、海外ドラマ・アニメスレッドでは日常的に飛び交う『Ass Pull(アス・プル)』なんてのも、こういった展開を揶揄する単語です。直訳すると「ケツから抜いてきた(毛)」——要するに、手短なところから安易に持ってきた展開、というような意味。

『風呂敷広げすぎ』パターン

世界観を広げすぎたり、枝分かれした小さいストーリーが増殖しすぎたりして、「結局何がメインの話だったっけ?」という状態になるパターン。

よく例に挙がるのが『ウエストワールド』のシーズン2以降。シーズン1では「意識とは何か」というシンプルで力強いテーマがあったのに、シーズンを重ねるごとにタイムライン、マルチバース、AI反乱……と謎が無秩序に増殖して、収拾がつかなくなっていきました。

この状態を指す言葉で気になったのが『Kudzu Plot(クズ・プロット)』というもの。1980年代のSF作家ワークショップ発祥の用語のようで、あまり普及してるとは言えませんが、そのまんま日本語っぽいのが興味深い点。

意味としても、植物の『葛(クズ)』がアメリカへ持ち込まれたところ、制御不能なほど繁殖して悪名を馳せたことから、絡み合って手がつけられなくなるプロットの比喩として使われるようになったとの事。本当かよ……って感じですが、いずれにせよ『クズプロット』という単語は日本でもそのままのインパクトがありますね。

Kudzu History: The Vine That Ate The South
Kudzu History: The Vine That Ate The South (クズの被害を伝える動画、日本語字幕設定可能)

まとめ

Netflix、Amazonプライムビデオ、ディズニープラス、U-NEXT(の配信するHBO作品)など、海外ドラマを視聴する手段は身近になりました。そして、色々な作品にふれるうち、このページで紹介したダメパターンに陥るというケースについてもそれなりに免疫ができてきたように思えます。

他方で、視聴者には作品がつまらなくなってきてるのを感じてきても、「ここまで見たんだから最後まで見ないと損」と見続けてしまう『Sunk Cost Fallacy(サンクコスト効果)』や、「自分ならもっとうまくやれるのに」と優越感を得たり、「あの展開ひどくいよな!」なんて話題にしたくて見続けてしまう『Hate-Watching(ヘイト・ウォッチング)』なんて人間心理も働くそうで、製作者達がその気になれば、ビジネスライクに駄作を見せ続けるなんてケースは今後も増えていきそうです。

脚本家や監督、クリエイター達も、本来は綺麗に完結させたいと思う人が多いはずですが、何千万、何億というお金が動く世界になってきているのも事実。作り手のビジネス感とモラル、なによりクリエィブにかける情熱も問われる時代になってきているように思えます。

ゲーム・オブ・スローンズ 第一章 七王国戦記

ゲーム・オブ・スローンズ 第一章 七王国戦記 作品情報

  • 原題: Game of Thrones
  • 公開日: 2011年4月17日(日)
  • 原作者: ジョージ・R・R・マーティン
  • 監督:
  • プロデューサー:
  • 脚本:
  • 制作会社:
  • 作品概要: 
    架空の王国を舞台に複数の名家が繰り広げる壮絶な覇権争いを映画並みのスケールで描き、世界を釘付けにしているスペクタクル巨編。
    米国のケーブル局HBO(R)が1話につき製作費約600万ドルを投じ、全世界で6,000万部を超えるジョージ・R・R・マーティンのベストセラー小説「氷と炎の歌」の世界観を、想像をはるかに超える規模で映像化した大ヒットシリーズ!
    どんな壮絶な覇権争いと残酷な人間ドラマが見られるのか!?

配信サービス:

名探偵コナン

名探偵コナン 作品情報

  • 公開日: 1996年1月8日(月)
  • 原作者: 青山剛昌
  • 監督: こだま兼嗣
  • プロデューサー:
  • 脚本:
  • 制作会社: トムス・エンタテインメント(TMS)
  • 作品概要: 
    オレは高校生探偵・工藤新一。幼馴染で同級生の 毛利蘭 と遊園地に遊びに行って、黒ずくめの男 の怪しげな取引現場を目撃した。取引を見るのに夢中になっていたオレは、背後から近づいてくるもう一人の仲間に気づかなかった。オレはその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら…体が縮んでしまっていた!!
    工藤新一 が生きていると奴らにバレたら、また命が狙われ、周りの人間にも危害が及ぶ。阿笠博士 の助言で正体を隠すことにしたオレは、蘭に名前を聞かれてとっさに、江戸川コナン と名乗り、奴らの情報をつかむために、 父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。
    謎に包まれた黒ずくめの組織…。わかっているのは、そのコードネームがお酒にちなんだ名前であることくらいだ…。そんな奴らの正体を暴くため小さな名探偵、江戸川 コナン の活躍が始まった!!
    オレは高校生探偵・工藤新一。

配信サービス:

海外ドラマの『引き延ばし』『マンネリ』『行き当たりばったり』……作品が劣化するダメパターンと、海外の呼び名

この記事をシェアする

この記事のタイトルとアドレスをコピー

この記事を気に入ったらハートマークで応援してください

この記事の執筆は……

森須 信号 アイコン

森須 信号

趣味は睡眠、とんかつ、読書、音楽鑑賞、インターネット、VJ、PUNK Rock。

関連する記事



page top