2022年夏前ごろから、急速に注目を集めている技術がAIによる画像生成です。WebブラウザやLINEのような手軽なアプリで、かつ無料で利用できるものも増えてきています。結果として多くの人がこの技術に触れる事が出来るようになり、SNSの投稿でAIで作った画像を目にすることも多くなってきました。
そこで当記事では、実際に画像生成AIを色々と試した筆者が主要な画像生成AIサービスやアプリを厳選してご紹介しています。
「絵心はないけどイラストを描いてみたい」
「最新のAI技術に触れてみたい」
そんな方は、ぜひ参考にしてみてください。
Index
AI画像生成アプリ&サービス 機能概要、使い方
AIによる画像生成が身近になった要因としては、2022年8月に『Stable Diffusion』がオープンソース化した事が大きいでしょう。 以降、画像生成AIはすさまじい速度で進化と普及を続け、国内外を問わず新しいサービスやアプリが毎日のように登場している状況です。
Stable Diffusion(Dream Studio)
という事で、まず最初に紹介するのは、その『Stable Diffusion』です。
アメリカのStability Aiが全世界にオープンソースで無料リリースした画像生成AIです。この『Stable Diffusion』が、2022年8月にオープンソースとして無料公開されたのをきっかけに、AIに興味がなかった層にも画像生成AIが普及した、といっても過言ではありません。
機能としては、テキストで画像を生成する『txt2img』と、画像をもとに新たな画像を作る『img2img』を搭載。趣味のイラスト作成から仕事の資料作りまで、あらゆるシチュエーションで使える万能ツールといえるでしょう。
体験してみたい方は、下記ボタンからオープンβ版『Dream Studio』をお試しあれ。
『Stable Diffusion』の特徴としては、派生サービスの多さも挙げられます。この数カ月で新たにリリースされた画像生成AIツールには、『Stable Diffusion』を元にしたものが少なくありません。 当記事では、それらの派生サービスも取りあげていきます。
Midjourney
Midjourneyは、2022年7月末頃から公開されているAIイラスト作成用ツール。
描きたいイラストのキーワードや説明文章をAIが分析し、数十秒~数分程度でイラストを作成してくれます。 得意な画風は、風景画や肖像画といったリアル寄りといわれています。国内外にユーザーが多い、もっとも有名な画像生成AIサービスのひとつと言えるでしょう。
ツールがDiscord上に設置されているのが特徴で、使うにはDiscordのアカウントを用意する必要があります。とはいえ、登録からログインまでものの2~3分程度で終わるのでそこまで手間はかかりません。
なお、無料ユーザーは1アカウント25枚までという制限があるので要注意。それ以上作りたい方は、1カ月ごとに課金するサブスクリプション(10ドル/月~)に加入しましょう。
お絵描きばりぐっどくん
AI技術の発見と活用をめざすコミュニティ『ばりぐっど大学』がLINEで展開中の画像生成AIサービスです。
LINEがあればだれでも無料で使えるので、あらためてアプリをインストールしなくていいのがメリット。『お絵描きばりぐっどくん』のLINEアカウントを友だち登録すれば準備完了。
トーク画面で文章を送信すれば、1~2分ほどでイラストが返信されます。テキストは日本語でOK。 Twitterなどでも沢山の人が画を投稿しています。
1日の画像生成枚数に限りがありますが、月額550円(税込)のプレミアムメンバー登録をすると無制限で利用できるようになります。
Diffuse The Rest
前述の『Stable Diffusion』の機能である『img2img』を無料で体験できるサイトです。
画像生成AIの多くはテキストの単語を設定し、それにあわせた画像出力しますが、img2imgは元となる画像を用意し、それを元に新しい画像を生成させるというもの。
『Diffuse The Rest』では手元の画像をアップロードするほかに、Windowsのペイントに近いお絵描きツールも設置されているので、そこに好きなイラストを描いて実行する事もできます。
画像を設定したら『prompt』欄にテキストを入力しAIに描画させます。 写真や自作のイラストをAIにリメイクさせるとどうなるかを、手軽に試すことができます。
MEMEPLEX
『Stable Diffusion』をWEB上で体験できるお手軽無料サービス。
運営はプログラマーの清水亮氏。 MEMEPLEXの最大の利点は、日本語テキストに対応している点でしょう。画像生成AIはその性質上、英語テキストでなければうまく稼働しないものがほとんどです。
日本語でも高品質なイラストを作りやすいため、画像生成AIを試してみたい日本人ユーザーに最適なサービスといえます。 使い方は、イラストのイメージを文章で入力し、画風や参考にしたい画家を選んで実行するだけ。混雑具合にもよりますが、おおよそ30秒~2分程度で画像が出力されます。作った画像はダッシュボードに保存されるので、いつでも見返せますよ。
AIのべりすと TrinArt
AIによる文章・物語ジェネレーターサイト『AIのべりすと』内で公開されているAIお絵描きツールです。 機能の利用にあたっては同サイトのボイジャー会員(月額1,067円)以上のプランを契約する必要があります。
『Stable Diffusion』をベースにしており、設定として、汎用的な『とりんさまAI』と、約1920万枚+αのキャラクターアートなどでチューンした『でりだモデル』の2種類から選択できます。 漫画・アニメ的な表現に特化しているのがポイント。他サービスでは崩れがちな二次元キャラクターの描画を得意としており、美少女やイケメンキャラを描きたいユーザーから高い人気を得ています。
課金前に機能を体験してみたいという場合は、Twitterで『とりんさまAI / Trin-sama AI』アカウントへ……
@trinsama paint (描いてほしいテーマ)
とリプライを送る事でイラストが返信されます。
AIピカソ
AIピカソは、iOS/Android向けに配信されている画像生成AIスマホアプリです。高性能な『Stable Diffusion』をスマートフォンアプリで手軽に試せるのがウリ。
テキストを入力してAIに画像を描いてもらう、という基本機能は他のサービスと同様。さらにimg2imgも盛りこんでおり、アプリ内で描いたラフやスマホの保存写真を参考画像としてアップロードできます。 他にもランダムなキーワードを自動で組みあわせる『random』機能も。なかなか多機能なAI画像制作アプリです。
DALL E2
2022年4月頃にβ版がスタートした画像生成AIサービス。
非営利の人工知能研究団体OpenAIが手掛けるDALL E2は専門家や研究者といったプロの需要を満たすツールとして作られました。 テキストによる画像生成に加え、編集機能に長けているのがこのDALL E2です。
利用するには公式サイトから登録希望の手続きをし、順番待ちしなくてはいけません。2022年11月時点で、手続きからアカウント作成まで数週間~1カ月ほど見ておいた方がいいでしょう。
Dream by WOMBO
カナダの企業WOMBが贈る、無料の画像生成AIサービス。ブラウザ版だけでなくスマホアプリもリリースされているので、お好みのデバイスでAI画像生成を楽しめます。
その最大の特徴は文章を入力する際に、用意されている6つのアートスタイルを選べる点が挙げられます。Retro、Paint、Polygon、Line-Art、Comicなどなど……さまざまな画風を先に選んでから生成をする事ができるので、より柔軟にイラスト生成を実行する事ができます。
650円/月の有料プランに加入すれば、イラストを動画として出力するサービスも使用できます。
mimic (ミミック)
国内発の画像生成AIサービス。2022年11月時点では開放されておらず、正式リリースに向けて準備中となっています。
2022年8月29日にベータ版としてサービスが公開され、SNSなどで話題になるものの、翌日8月30日には『不正利用を防ぐ仕組みが不十分』として、自主的にサービスを停止したという経緯があります。
今後、複数の自作イラストを学習させることで、個性や画風を反映させたイラストをAIが生成するという基本機能で、イラストレーターや漫画家の利用を想定したサービスとなりそうです。
11月2日にはベータ版として利用者の募集を開始。 事前審査や作成イラストに透かしが入るなど、気になる不正利用への対策を行った上で、応募者の審査とテストの実施を続けているようです。
正式リリースが待ち遠しいサービスですね。
にじジャーニー
『にじジャーニー』はMidjourneyをベースにしつつも、アニメ風イラストの作成に特化させたというサービスです。2022年11月時点ではまだ一般公開されておらず、公式サイトからβテスト希望者を募集しています。
今までの二次元イラスト特化AIのようなアニメ調の作風を得意としつつも、『Midjourney』の十八番である写実的な描写も取り入れているのが特徴とのこと。コテコテのアニメイラストとはひと味違う作品を作りやすそうですね。
『Midjourney』同様、サービスの利用にはDiscordが必須。使ってみたい方は、βテストへの応募だけでなくDiscordアカウントもあらかじめ作成しておきましょう。
AI画像生成の手助けになる、関連サービス3選
Aivy
高校生エンジニア、だだっこぱんだ(@ddPn08)さんが開発・運営する、AI作品に特化した画像投稿サービスです。 サイトを開いてみるとAIで生成したイラスト作品がずらりと表示されます。タグ検索やブックマークも可能。
投稿主の設定によっては使用モデルやプロンプトが公開されているものもあるので、自身でAI画像生成したいという人のヒントとしても活躍するでしょう。
既存のイラスト投稿サイトなどは、AIで作成した画像の投稿を禁止されていたり、利用ユーザー層が敬遠していたりと、何かと気を遣うシーンも多いようです。 この、AivyのようなAI画像専門の投稿サイトであれば棲み分けもしっかりできますし、気兼ねなく利用できるというのが良いですね。
ai prompt
プロンプトをランダムで作成してくれるサポートツール。 その機能としては、このサービスで作ったプロンプトを他の画像生成AIサービスに入力するだけで、良質なイラストを作成できる、というもの。
実際にAIでの画像生成を試してみると、AIに指示するための適切なプロンプトを試行錯誤する必要がある事に気づきます。むしろキモといっても良いでしょう。
そこでこのai promptや後述のLexicaを参考に「どんなプロンプトを入れると、どういう画像が返ってくるか」を実践的に学べば、生成される画像のクオリティを短時間で飛躍的に向上させるコツをつかむ事ができるでしょう。
プロンプトがまったくわからない方や、新しいプロンプトを考えるきっかけが欲しい人におすすめです。
Lexica
単語を検索すると、それをプロンプトに盛りこんだAI画像を検索できるサービスです。表示されているサムネイルから画像を開けば、実際に使ったプロンプトがすべて閲覧できるのも特徴。
このLexicaはプロンプトの研究と把握に活躍します。たとえば、「かわいい猫のイラストをAIで作りたいけど、どんなプロンプトを使えばいいかわからない…」。
そんな時はLexicaで『cat』と検索し、表示される画像の中からイメージと近いものを選び、そのプロンプトを参考にする……とう具合。 これにより、ゼロから自分でプロンプトを考えるよりも、スピーディにAI画像作成を行う事ができます。
完全無料ツールですので、気兼ねなく使い倒しましょう。
まとめ
当記事では、国内外で注目されている主要な画像生成AIサービスと、生成に役立つユーティリティサービスを紹介しました。
とはいえ、これらは2022年11月時点でのラインナップ。AIによるイラスト作成技術はここ数カ月で急速な進化を続けていますので、もしかしたら明日にはまた画期的なモデルやサービスが発表されるかもしれません。
それほど目まぐるしく、そして活気にあふれているのが画像生成AIです。まだまだ発展をし続けるであろうこの世界に興味を持ったのなら、難しい事を考えずにまずは試してみるのが良いでしょう。