gizmox xoxbox xOx-pro レビュー
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国産x0xb0x(303クローン)『gizm0x x0x-pro』 実機レビュー&インタビュー

評価:4.5 

本間本願寺 アイコン

本間本願寺

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今回紹介する、『gizm0x x0x-pro(ギズモックス・ゾックスプロ)』は、Roland社のシンセサイザーTB-303のクローン機として知られるx0xb0x(ゾックスボックス)を日本人ビルダーであるgizm0x氏が直々に製作、モディファイした製品。

このたび、幸いにも実機に触る機会を得たので、レビューをしたためさせていただきます。

gizm0x『x0x-pro acid bassline synthesizer』

gizm0xより提供されている『x0x-pro』は、斯界では好評を博している高品位のTB-303のクローン機。

x0x-pro トップビュー

TB-303とx0xb0xについて

そもそもTB-303とは何ぞやという話を始めると長くなってしまうが、大まかに紹介するならば……『Rolandが1982年に発売したアナログシンセサイザーであり、現在は十数万円以上~というプレミア価格がつくヴィンテージ電子楽器』と伝えておけば、ある程度はその存在をご理解いただけるのではないだろうか。

そして、このTB-303を再現しようと、MIT(マサチューセッツ工科大学)に在籍していたLimor “Ladyada” Fried氏らが分解し、トランジスタの特性をトレーサーで解析。 徹底的に研究と調査を行い、オリジナルと同等品のオペアンプやトランジスタをすべて調達し、2005年にオタク・クローンキット(※1)としてリリースされたのがx0xb0x(ゾックスボックス ※2)というキットだった。

  • ※1:制作者のオフィシャルサイトより。
    原文は
    ”An ‘otaku’ clone of the famous Roland TB-303 synthesizer.”
  • ※2:2文字目と5文字目は数字の0(ゼロ)を書いて『zock box』と読むのも公式見解
    原文は
    “p.s. x0xb0x is spelled with two zeros.
    p.p.s. x0xb0x is pronounced “zocks box”

そしてその後、回路図やパーツの仕様、設計図などはオープンソースとして公開され、世界中の好事家達によってさまざまなx0xb0x(=TB-303クローン)が製作されるようになる。

同じ設計図から作られているといっても、その品質はさまざまであることは容易に想像できるが、その中でも日本国内で確かな品質を担保したまま、これを生産を続けているのがgizm0x(ギズモックス)氏であり、その製品名が『x0x-pro(ゾックス・プロ)』、というわけである。

※なお余談となるが、Roland自身もTB-303をデジタル音源で再現したTB-03というシンセサイザーを2016年9月に発売している。 その他にもベリンガーが1.5万円程で買えるTD-3というオマージュシンセサイザーを2020年3月に発売していたりする。 それぞれの評価は別として、それくらいTB-303は人気のある機材なのである。

オリジナル『TB-303』の難点

話をもどして、オリジナルTB-303には、そもそも40年前の機材だという事に起因するいくつかの問題点がある。

  • 入手が困難(個体が少ない、あっても高価)
  • 状態の良い個体となるとさらに貴重
  • 操作方法が難解

……まず手に入れる事自体が困難で、苦労と多大な出費の末に入手できたとしても、真っ当な状態で残っているものも少ない。 ノブが反応しない、あるいは押してないのに勝手に反応するなどといった誤動作は日常茶飯事である。

では、オーバーホールすればよいではないか、と思われるであろうが、仮に一流のリペアマンが数週間かけてオーバーホールし、これで問題なしと太鼓判を押されて戻って来た翌日にでも、全く予期せぬところで新たな不具合が出て来る。 いや、むしろそれならまだ良い方で、さっき直って届いたばかりなのに、症状が直ちに再発する事すらある。

それがヴィンテージ・マシンというもの……要するに、完治は不可と考えるほかはないのである。

みるからにくたびれた筆者のTB-303
ミント・コンディションのものに出会えるのは稀である
みるからにくたびれた筆者のTB-303
ミント・コンディションのものに出会えるのは稀である

そして、仮に完動品であったとしても、TB-303はそもそもの入力方式に難があるのは、使用者の万人が認めるところであろう。

その複雑な操作方法についても、慣れれば問題ないという人や、パネルを見なくても手の感覚だけで打てるという人も少なからず存在するが、入力形式は今日まで他のマシンには継承されておらず、類似したシーケンサーすらもおよそ見られない。 つまり、少なくとも一般的とは言い難いのである。

今日大勢を占める、16個のノブが一列に並んだステップシーケンス方式に慣れた現代の人々にとって、TB-303独特の入力方式は極めて厄介な代物であり、今もって多くのマニピュレーターを悩ませている。

難解極まるTB-303のマニュアル。
初見で理解出来た人は皆無であろう。

80年代初頭と言えば、一般向けの比較的安価(当時は安価だった)なシーケンサーもまだ試行錯誤の時代。 黎明期と考えればいたしかたないとも言えるが、もうちょっと何とかならなかったのか。 いや、開発者の方々に於いては、多大な苦労があった事とは思う、が。

兄弟機とも言えるRoland TR-606の方は、大抵の人はマニュアルなど見ずとも初見で思い通りのパターンを打ち込めるほどに洗練されているのに対し、ドラム・マシンとベース・マシンの違いこそあれ、両者の差はあまりにも大きい。

Roland TR-606
肝心の音の方はTB-303ほどの評価を確立するには至らず
Roland TR-606
肝心の音の方はTB-303ほどの評価を確立するには至らず

x0x-pro(x0xb0x)の入力方式

そのような訳で、いわゆるTB-303クローン機としては、そのサウンドの質が問われるのははもちろんのことであるが、他方で入力方式をどうするかという点もポイントとなる。 そして、x0x-proはオリジナルx0xb0xの例に漏れず、16ステップのシーケンス方式で入力することが可能である。

これはおそらく、昨今のもっとも一般的な操作感覚であり、一度でも他のリズムマシン/シーケンサーを扱った方であれば、入力は格段に容易であると思われる。打ち込みが初めてという方で、新しい機材の操作が不安な人も、それほど難儀せず使用し、慣れていく事ができるだろう。

パネルも見やすくデザインされており、打ち込みが途中でも現在の入力情報を確認しやすい。 機体中央部に鍵盤ノブとは別に緑色に光る16ヶのインジケーターが用意されており、それぞれに1-16の番号が振られ、これが一小節分の16分音符の表示となる(むろん、使い方次第で32分、付点音符などとして認識することも可能)。

x0x-proのパネル
規則正しく輝くエメラルドグリーンのシグナルが勝利へのシグナル(?)となる。
x0x-proのパネル
規則正しく輝くエメラルドグリーンのシグナルが勝利へのシグナルとなる。

これらの点灯する位置によって現在書き込んでいる箇所を示してくれるのはありがたい。

入力情報の視認が可能であるという点で、入力ミスにも気づきやすく、また、その場で修正が可能であるので、間違えてもひとまず1小節打ち終えてからの修正……といった工程を踏むことができる。 これはTB-303と比べると格段の操作性能であると言える。

さらに、作成途中のパターンを再生し、実際の音を確認しながらも入力できるので、ノブを押した順番や回数をいちいち気にしなくてはならないTB-303のシーケンサーなんぞとは雲泥の差、いや、80年代初頭の機材とは隔世の感と言うべきか。

変則的なリズムの入力についてはおおむねRoland方式を踏襲しており、小節の終点をステップの位置で指定すれば、任意の拍子でリズムを取ることが可能。

たとえば、7ステップ目を終点にすれば7/8、15ステップ目を指定すれば15/16というようなかたちである。 ただ、4/4のリズムと合わせたい場合などは、きちんと拍が合うように自力でポリリズムの計算をしなければならないので、他のパターンと組み合わせたトラック作成などの際には注意が必要である。

とは言っても、本機のユーザーでそこまで複雑なリズムを作ろうという人もあまりいないだろうから、Yesの曲でも打ち込もうとしなければ、全く気にしなくて良いであろう。

※Yes(イエス)はイギリスのロックバンド。 70年代に全盛を極めたプログレッシブ・ロックを象徴する存在。楽曲が非常に複雑なことでも有名。 参考動画

サウンドのみならず、シーケンス機能も画期的だったTR-808。
それに比べてTB-303は……
サウンドのみならず、シーケンス機能も画期的だったTR-808。
それに比べてTB-303は……

三連符の場合のみは『TEMPO』ノブを押し込めば自動的に12ステップ目が終点となるような三連モードになり、BPMもそれに準じたものになるので、この機能が便利である。あらかじめ作成してあったパターンも一瞬にして三連のパターンに変化させられる。

x0x-pro『TEMPO』ノブ
このつまみが実は上から押し込めるようになっている。回して駄目なら押して見よ。
x0x-pro『TEMPO』ノブ
このつまみが実は上から押し込めるようになっている。回して駄目なら押して見よ。

また、4拍ループを2拍、あるいは1拍のループにしたいと言ったときにも、終点の位置を短く指定すれば良いだけなので、簡単に変更が可能であるが、単純に16を8にしたり、8を4したいというようなときには、パターンのリズムを倍にすることも出来るので、こちらの機能が便利かもしれない。

パターンとバンク数

1小節のパターンは1バンクにつき8ヶ作成可能(白鍵分)で、バンク数は16ヶあるので、8×16=128小節分の異なるパターンを作ることが出来る。

おそらくは1小節のループとして使う人が多数であろうと思われるが、2小節以上のループを作りたい人は2ヶ以上のパターンを組み合わせ、トラックとしてループさせることが出来るので問題ない。

x0x-proのパネル
16まで番号のついたバンクノブと1-8の白鍵によって視覚管理しやすく、トラックの管理も容易
x0x-proのパネル
16まで番号のついたバンクノブと1-8の白鍵によって視覚管理しやすく、トラックの管理も容易

ちなみに、1トラックには16パターンまで登録可能なので、最大16小節のループの作成が可能。 各トラックは各バンクに割り当てられるので、16ヶの異なるトラックを作成して保存しておくことが出来る。

Yesの曲でも打ち込もうとしない限りは、問題ない数であろうと思われる。

付属ソフト『K0ntr0l』でPCへトラックデータ保存

また、言うまでもなく本機はベース音のみなので、たとえばドラムトラックに凝りすぎて容量不足になってセーブできない事態に陥るということもまずないであろう(※)が、作ったパターン、トラックは『COMPUTER CONTROL』モードにしてPCにUSB接続し、付属のソフト『K0ntr0l』を使えばPCに保存可能なので、この点については心配はない。

※昔のハード機材を使っていた人であれば一度は経験した事があるのではないだろうか。

なお、このソフトウェア『K0ntr0l』では、作ったパターン情報(音階、符割、ACCENT、SLIDEの有無)が視覚的に確認出来るので、なんとなく違和感があるが聴いただけではそれがどこなのかわからない、といったケースに活躍するであろう。

この恩恵は、トラックデータを視覚情報として確認したいという、DTMerも同様である。 そして、当然ながら本機はMIDI規格対応なので、ピアノロール画面等に慣れている人は外部のシーケンスソフト(ハード)等で書き込んだもので鳴らすのも手である。

加えてCV/Gateにも対応しているので、MIDI以前の頑固な同期スタイルを貫徹したい人にも問題なく使える。オールド/ヴィンテージシンセサイザーと組み合わせたハイブリッド・セットで斯界を席巻しよう。

K0ntr0l スクリーンショット
ピアノロール画面でないと安心できない人もこのように音階を確かめられる。

RANDAMで偶発的なパターンを楽しむ事も

ところで、TB-303においてはその操作性の難しさゆえに、作曲者の思い通りにならないまま、偶発的に良いパターンが出来たり、あるいは何度も出鱈目に入力して良いパターンが出来るまで繰り返すとなどという技もあった。

この点、入力方式が改善されているx0xb0xは、『RANDAM』ノブを搭載し、TB-303の特性を自動的に再現している。これは、その名の通り延々ととランダムにパターンが作り出されるという、実に狂ったモードであり非常にアシッドである。

x0x-pro RANDAMモード作動中は、
一切の演奏情報を発せず、ただ『TEMPO』ランプのみが点滅する様はいかにも発狂した機械然として趣深い。これがこそがアシッド

他の手段としては左下の『PREV』『NEXT』ノブで始点/終点位置がずらせ、『CHAIN』ノブで打ち込んだステップの順番をランダムにすることが出来る。 右側のノブと組み合わせれば逆再生もできるので、作成したパターンをもとに、もともと意図しなかったようなパターンへと聴かせることも可能である。

実に面白い機能なのではあるが、難点としてはこのランダムなパターンを保存する事は出来ないようなので、偶発的に美しい(またはその逆の)パターンが生み出されたとしても、その再現は不能。 外部出力で録音しておくしかなさそうだ。

下記にこのRANDAM機能を確認できる動画を用意したので、興味のある方は参考までに。

x0xb0x『gizm0x x0x-pro』 RANDAM mode demo
x0xb0x『gizm0x x0x-pro』 RANDAM mode demo

サウンドについて

上記のようなユニークな機能が、ある意味x0xb0xをx0xb0xならしめているいると言っても良いが、仮にもTB-303クローン機として最も大事なのはそのサウンドであろう。 本機x0x-proはいかなるサウンドを奏でるのか。

まず、TB-303と言えば何と言ってもフィルター。 CUTOFF(カットオフ)とRESONANCE(レゾナンス)のツマミこそがTB-303の華であり、いわゆるアシッド・サウンドを知らしめた象徴的な音色とも言える。

各種クローン機、モデファイ機においても、もっぱらこれの再現に腐心し、あるいはオリジナルを凌駕せんと様々な魔改造が試みられ、当機の源流たるx0xb0xも、こうした先人の飽くなき向上心と弛まぬ努力研鑽によって現代に生まれ得た申し子のひとつであると言える。

x0x-pro『CUTOFF』『RESONANCE』ノブ
問答無用、303サウンドのアイデンティティ。この2つを全開にして負けるわけにはいかない。
x0x-pro『CUTOFF』『RESONANCE』ノブ
問答無用、303サウンドのアイデンティティ。
この2つを全開にして負けるわけにはいかない。

筆者の経験上、クローン機はオリジナルと比べて、どこかしら苦手な帯域があったり、逆に変な帯域が上がっていたりすることがままあるように思うが、当機には一見してそのような傾向が見られない。 実にフラットなモデリングであると言える。

筆者が所持しているTB-303実機と比較するならば、x0x-pro当機の方が若干ブライトであり、1000hz以上の音域の出力が目立つ。このあたりはオリジナルに若干、ブースターをかけたような印象である。

(……とはいえ、オリジナルは一般的に個体差が大きいとされているの前提であるので、筆者の個体という前提でお読みいただきたい)

また、ツマミに関しても、妙にピーキーであったりというクローン機種も少なくない中、当機は少し回せば相応に少しだけ変化する、という繊細な反応を返してくれる。 とくに繊細な音作りをすることで有名な不肖本間本願寺としては、比較的音色の変化を予想しやすいのがありがたいところである。

造りが甘いクローン機だとこのあたりが大味になってしまうのが難(むろん、そういう機材の方が好きだ、という嗜好も否定しない)であるが、やはり303『CUTOFF』『RESONANCE』は時間をかけて少しずつ上げ/下げるのが王道、波形も徐々に推移したほうが、よりアシッドと言うものである。個人的には外せないポイントのひとつであり、この点についても非常に好感がもてる。

さらに、当機のフィルターは全開にしてもきちんと20000Hzの前で止まり、暴走するようなこともないので、ライブの現場でも、突如変な音が聞こえてきたりして狼狽するようなことも、おそらくなかろうと思われる。また、このポイントを把握しておくだけでも、高帯域のミキシングが大分楽になること請け合いである。

すなわち、現場でもスタジオでもアタリが付けやすい音と言えるので、サウンドチェックで難儀をすることもあるまい。発狂してる時のクリス・スクワイア(Yesのベーシスト)の真似でもしようとしない限りは、非常に高いプレイ・アビリティが保証出来よう。

アナライザー (PAZ Analyzer)による計測。
フィルター全開ながらも高音域で綺麗な波形を刻んでいるのがお分かりいただけるだろうか。
とくに、2000Hzからしばらくが美しい

ベース・マシンとしての実力

さて、前項ではTB-303のもっとも一般的な用途の一であろう、いわゆるアシッドな音色についてばかり言及してきたが、仮にもベース・マシンである以上、リズムの根幹としての『ベース』にこそ、そもそもの存在意義もあるわけである。

すなわち、フィルターを駆使して生じる連鎖的なある種の歪みは、ギター/ベースエフェクターに於けるファズ(FUZZ)のようなものに位置づけられ(それはそれとして評価されるべきであるが)、モデリングにおいてもエフェクターにおいても王道はやはりオーバードライブ(Overdrive)/クランチ(Crunch)。 歪みの真価はそこにある。

また、歪んだ音の効果を狙った機材には、劇的な効果を求める傾向があるがゆえ、先述のように大味なものも少なくなく、とくに演奏者の機材操作の動きと音の変化の連動が分かりやすいようなものはライブ・パフォーマンスにはうってつけであるので、万人がこぞって求めるところのものである。

しかし、こうした飛び道具的な要素よりも、より普遍性を持った音楽性を確立してこその真の名機であることは人類の歴史がこれまで証明してきたとおりの事実である。

ゆえに、原音を誤魔化しやすい極端な歪みよりは、トーンを損なうことなく微量な変化によって原音のキャラクターを彩るかの如き『ドライブ』の中にこそ、グルーヴの本質が見いだされて然るべきであろう。

それはベース・マシンにおいても、例外ではない。

と、いうわけで当機とて『ベース』マシンであるからして、トーンの一番魅力的な部分を、やはりギター/ベースの一番肝心な部分である750~2000Hz(※)あたりを中心に見い出してよいであろう。

※私見である。ご容赦を。

この帯域が良く鳴っていると、(アシッド云々はともかく)303ハウス・ミュージックにおけるグルーヴのベースとなる部分が明確になりうるが、当機ではこの辺も抜かりなく再現しているところが嬉しいところである。

とくに『ENV MOD』(エンベロープモジュレーション)全開時の2000Hz以上の中高域のドライブ具合がまさにクランチといった感があり、最も揺らぎを感じる素晴らしい部分と言え、個人的にはLine 6 POD(初代)が初めて世に出た時のような感動がある。

参考画像 1998年発売の『Line 6 POD』 (画像 Amazonより)
ヴィンテージ・ギター・アンプのシミュレーター金字塔。
以後のアンプ・シミュレーターの方向性を決定づけたといっても過言ではない。
1998年発売の『Line 6 POD』 (画像 Amazonより)
ヴィンテージ・ギター・アンプのシミュレーター金字塔。
以後のアンプ・シミュレーターの方向性を決定づけたといっても過言ではない。

すなわち、あくまでもモデリングでありながら、オリジナルにはない洗練された個性が表れる箇所であるといえる。 つまり、この『ENV MOD』と『ENV DECAY』(エンベロープディケイ)の調整が本機のもっとも面白いところと言えよう。

x0x-pro『ENV MOD』『ENV DECAY』ノブ
この二種の調整にこそ、作曲家の資質が問われると言っても過言ではない。……多分。

低域に関しては『RESONANCE』を絞り切った際の500hz以下のあたり、すなわち一般的な『ベース』の帯域はオリジナルと聞き分けが付かないほど精巧であり、どちらの波形(※)でも、オリジナルのハウス・ミュージックのようなリズム・パターンにも難なくマッチさせることが可能。

※今更であるが、いわゆるノコギリ波、矩形波の二種が選択できる。

BPM110-120くらいの、一番難しい四つ打ちのテンポ(私見)で使っても落ち着いたグルーヴが出せるので、このあたりはRolandのシンセサイザー内にある303kitでは難しい感じである。303kitだとおそらく『ベース』よりも『シンセ』としての認識が強そうなので、ヌメーッとした柔らかい感じになり、(それは90’sっぽくて良いと言えばそうなのであるが)筆者としては硬い感じのグルーヴも出せる当機の方が好みである。

ちょっと荒くしたい場合は、先述の『CUT OFF』『RESONANCE』が役に立つ。

x0x-pro『WAVEFORM]
下の矩形波は何かと8bitの文脈で語られがちであるが、303サウンドにおいてはむしろハウスミュージックの王道

総括

個人的な見解として、本機『x0x-pro』は『acid basseline』と銘打ってはいるものの、アシッドに限らないハウス/テクノ・ミュージック全般においても広く活用されるべき完成度の高い製品であると感じました。 リード・ベース・モードに入った時のクリス・スクワイア(Yesのベーシスト)みたいなことをしようとしない限りは、本来の意味でのベース・マシンとして使っても全く問題はなかろう。

そんな使い方はちょっともったいないと思う人も少なからずいることだろうが、筆者としては飛び道具として使う方がかえってもったいない気がする。 それだけの安定性と実力を秘めている。

是非、みなさん、BASSパート専用機としても本製品の確保を検討するとよいのではないだろうか。

付録1 gixm0x氏インタビュー

先に記したように、いくらx0xb0xの設計が公開されているからといって、それらを組み上げるための部品を手配するのは大変な事のように思える。そして万が一それらの部品が手配できたとしても、 電子工作をし綿密なチューンナップをおこなって完成させる作業がさらに容易ではない事は、想像にたやすいところでしょう。

そこで当記事の執筆にあたって、いくつかgizm0x氏ご本人に、お話を伺いました。

本間本願寺(以下 本間): x0xb0xのビルドをはじめたきっかけはあるのでしょうか?

gizm0x 氏(以下 gizm0x): 10年くらい前に知人に依頼されたのがきっかけです。

本間: その後、x0xb0x(x0x-pro)ビルドを継続されてきたという事で、特に思い入れやこだわりやなどあるのでしょうか。

gizm0x: 当方で特別に吟味したリファレンスマシンに極力寄せてチューニングしています。
出音の鑑定センスについては実績のあるACIDプレイヤーとの対話や、私自身が多くのTB-303実機のリペアをしてきた経験を基にしています。

本間: ご自分でもリズムマシン/シーケンサーなどを使って音楽を楽しんだり、トラックメイキングをされていたのでしょうか。

gizm0x:トラックメイキングはしたことがありません。 やってみたいですが機材製作だけで精一杯です。

gizm0x:ですので、機材の評価は実績のあるプレイヤーにお任せしています。 但し、アシッドハウスやテクノを聞くのは好きです。

本間: なるほど。 以前から楽器や機材のリペアなどを行っていたのですか?

gizm0x: 楽器ではないのですが、本業では工業計装機器のアナログ電子回路設計をやっています。その経験や知識を改造品製作やリペアに活かしています。

本間: 現在も、x0xb0xのビルド以外にもTB-303のリペア、リファインなどもお受けしているそうですが……

gizm0x:はい、TB-303であれば、多いのが高耐久スイッチやポット交換です。リボーンチューンと名付けたコンデンサやトランジスタ交換による出音向上もおこなっていて、これも好評です。

本間: 出音の向上……現役で使用しているプレイヤーやアーティストにとっては、心強いですね。
少し話は変わりますが、ACID以外にも好きな音楽やジャンル、アーティストなどあればお教えください。

gizm0x
・60年代モータウンやR&B、
・60年代サイケガレージ、ソフトロック、
・70年代ファンクやディスコソウル、
・70年代パンク、
・80年代ニューウェーブ全般(特にネオアコ)、
・アーティストはTheJAM時代から今までのポール・ウェラー

gizm0x:あと最近は電子音楽全般や、70年代クラウトロックや90年代のテクノ音楽を良く聞くようになりました。

本間: ロックも聞かれるのですね。 ポール・ウェラーは当時からハウスミュージック/アシッド・ハウスにも接近していたそうですし、gizm0xさんの好きなアーティストであるというのにも何か合点がいきます。

本間:最後に今後の展望や、購入者・購入を検討している方にメッセージがあればいただけますでしょうか。

gizm0x: これからも馬鹿の一つ覚えでディープなアナログアシッドマシンの深淵を探っていきます。

本間: 心強いです。 ありがとうございました。

付録2 筆者(本間本願寺)による x0xb0x プレイ動画

最後に、筆者がSNSに投稿した、x0xb0xを利用した動画を掲載しておくので、参考までにご覧いただければ幸いである。

gizm0x 『x0x-pro』 製品仕様

ブランド gizm0x
製品名 x0x-pro acid bassline synthesizer
電源 AC9V
入出力
  • PHONE×1
  • GATE×1
  • CV×1
  • USB(Type-B)×1
  • MIX-OUT×1
  • MIDI OUT×1
  • MIDI THRU×1
  • MIDI IN×1
  • MIX-IN×1
  • DIN SYNX×1
外寸 H195mm×W275mm×L70mm
(ツマミ/操作ボタンなど含まず)
重量 約1500g
パッケージ内容
  • x0xb0x 本体
  • 日本国内向けAC100V対応、AC100Vアダプタ(PSE対応品)
  • USBケーブル×1本
  • CD-ROM(ファームウェアなどを収録)
販売価格 98,780円(税込)
購入方法

製品 360度ビュー

マウス、又はタップ/スワイプで画像を動かせます。 (Powerd by オブジェクトVR EC360

関連リンク

本文の執筆にあたって、下記ページの情報を参考にしました。

gizm0x TD-3 MOD & x0x-pro
gizm0x TD-3 MOD & x0x-pro
gizmox xoxbox xOx-pro レビュー

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本間本願寺

(Homma Honganji)。
音楽家。ロックバンド『ビッグファイア』バンドマスター/ギタリスト。作曲、プロデュース、DJ。欧州テクノレーベルを中心に楽曲のリリース多数。


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