戦争をテーマにした日本発のアニメ映画。時代、地域を超えて描かれる戦争体験
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当記事では、日本で制作された『現実の戦争』を描いたアニメーション映画を紹介しています。

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戦争を描いた国産アニメ映画 第二次世界大戦の広島、東京、沖縄が舞台の作品たち

戦争を題材にした作品は世界中で作られていますが、その多くは前線の兵士や指揮官を主人公にしています。原子爆弾の投下をはじめとする大戦末期の出来事を、銃を持たない人々の日常の側から描き続けてきた点は、日本のアニメーション独自の蓄積と言えるかもしれません。

『火垂るの墓』(1988年公開)

Grave of the Fireflies – Official Trailer
『火垂るの墓』公式予告編

1988年公開、高畑勲監督、スタジオジブリ制作。原作は野坂昭如が自身の戦争体験をもとに書いた同名の短編小説で、本作と『アメリカひじき』で第58回直木賞を受賞しています。

舞台は神戸から西宮にかけて。父が出征中の清太14歳と節子4歳は、空襲で家を焼かれ、母も失います。遠縁の親戚に身を寄せますが居場所を失い、清太は節子を連れて池のほとりの防空壕で暮らし始めます。

本作は、戦争という非日常が日常になり、その中で私達が「こうあるべき」と考えている人間性すら変質してしまう様を清太の姿を通して表現しているようにも感じられます。物語の転機となる親戚の家を出る判断も、その後の生活の立て方も、大人から見れば「最初から無理がある」もの。子どものころに本作を観て、清太に共感した人も、大人になってから叔母の言い分も理解できてしまうという二面性のある作品でもあります。

Netflixが2024年から日本を除く190以上の国と地域で本作を独占配信し、配信初週の週間グローバルTOP10(映画・非英語部門)で7位に入りました。日本国内でも2025年に配信が始まり、2026年7月15日から再配信されています。

火垂るの墓

火垂るの墓 作品情報

  • 原題: Grave of the Fireflies
  • 公開日: 1988年4月16日(土)
  • 原作者: 野坂昭如
  • 監督: 高畑勲
  • プロデューサー: 原徹
  • 脚本: 高畑勲
  • 制作会社: スタジオジブリ
  • 作品概要: 
    昭和20年、神戸はB29の爆弾が降りそそぎあたり一面は焼け野原となった。母を亡くした幼い兄妹、清太と節子。誰の力も借りず二人だけの生活を始める。つつましくも笑い声が溢れる生活。夏の夜の蛍は、精一杯生きようとした二人の命の輝きでもあった。

配信サービス:

『この世界の片隅に』 (2016年公開)

映画『この世界の片隅に』予告編
映画『この世界の片隅に』予告編

こうの史代のマンガを片渕須直監督が映像化した『この世界の片隅に』。2016年11月に公開された本作は、日本のいずれかの劇場で1133日にわたって上映され続け、日本のアニメ映画史上最長のロングラン記録を打ち立てました。

1944年の太平洋戦争末期、広島から呉へ嫁いだ主人公すず。絵を描くのが好きで、少しぼんやりした彼女ですが、夫の周作とその家族に囲まれて新しい暮らしを始めますが、戦争は続いていきます。配給が減れば野草を摘み、着物をほどいてもんぺを縫い、工夫で毎日をつないでいきますが……。

片渕監督の仕事として知られているのは、徹底した調査。本作では1944年の呉に何があり、その日の空にどんな雲が出ていたか、配給がどれだけ減っていたかといった諸々を積み上げて、日常が戦争に置き換わっていく様を克明に描いています。

すず役にはのん、アニメーション制作はMAPPA。第90回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画第1位と監督賞、第71回毎日映画コンクール日本映画優秀賞・音楽賞・大藤信郎賞、第41回アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門審査員賞を受賞しています。

この世界の片隅に

この世界の片隅に 作品情報

  • 公開日: 2016年11月12日(土)
  • 原作者: こうの史代
  • 監督: 片渕須直
  • プロデューサー:
  • 脚本: 片渕須直
  • 制作会社: MAPPA
  • 作品概要: 
    主人公すずさんを演じるのは女優・のん。すずさんを囲むキャラクターには細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓ら実力派が集結。松竹新喜劇の座長・澁谷天外も特別出演しています。本作の音楽はコトリンゴが担当。ナチュラルで柔らかい歌声と曲想が、すずさんの世界を優しく包みこみます。
    クラウドファンディングで3,374名のサポーターから39,121,920円の制作資金を集めた本作。日本全国からの「この映画が見たい」という声に支えられ完成した『この世界の片隅に』は、長く、深く、多くの人の心に火を灯し続けることでしょう。100年先にも愛され続ける映画が、ここに誕生しました。

公式SNS: 

配信サービス:

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』 (2019年公開)

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』予告編

『この世界の片隅に』のロングラン上映が終わった翌日、新規シーン約30分を追加して公開された長尺版がこの『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』です。

本作に追加されたのは、すずが迷い込んだ遊郭で出会う女性・リンをめぐるエピソード。制作上の都合でオリジナル版から外れていたこの描写が加わることで、すずという人物の見え方も変わってきます。呉で初めて出会った同世代の女性としてリンと心を通わせ、やがてある事に気づきます。夫・周作、リン、すず。それぞれの背景がより深く描かれ、物語に深みを増してくれます。

2016年版を観たことがある人ほど、こちらは未視聴となっているのではないでしょうか? 本作を観ることで、主人公すずに対する印象も大きく変わりうる内容になっていますので、未視聴の方は是非。

当記事掲載時点で、Amazonプライムビデオや、Netflix、U-NEXTなどにて見放題配信されています。

この世界の(さらにいくつもの)片隅に

この世界の(さらにいくつもの)片隅に 作品情報

  • 公開日: 2019年12月20日(金)
  • 作品時間: 2時間48分
  • 原作者: こうの史代
  • 監督: 片渕須直
  • プロデューサー: 真木太郎
  • 脚本: 片渕須直
  • 制作会社: MAPPA
  • 作品概要: 
    200万人の胸を震わせたあの場面が、まったく異なる印象で迫ってくる。
    この映画は、大ヒット映画『この世界の片隅に』の単なる長尺版ではない。250カットを超える新エピソードによって、これまで目にしていたシーンや人物像が、まったく異なる印象で息づきはじめる。『この世界の片隅に』を知る人も、知らない人も1本の‟新作“として体感することになるだろう。すずの内面を大人の表現で魅せる女優のん、岩井七世(リン役)、細谷佳正(周作役)など、前作のキャストがパワーアップして再集結。さらに遊郭の女性テル役として花澤香菜が初参加。コトリンゴによる書き下ろしの新曲と共に、私たちを新たな世界へといざなう。

公式SNS: 

配信サービス:

なお片渕監督は1991年に公開されたアニメ映画『うしろの正面だあれ』という作品の制作にも参加(画面構成)しています。こちらは、東京大空襲で家族を失った少女を描いた虫プロダクション制作の長編で、原作は海老名香葉子の自伝的作品。現在のところ動画配信サービスで楽しむ事はできないようです。

※当記事掲載時点で、編集部も未視聴のため、タイトルのみご紹介させていただきます。

うしろの正面だあれ 作品情報

  • 公開日: 1991年3月1日(金)
  • 作品時間: 1時間30分
  • 原作者: 海老名香葉子
  • 監督: 有原誠治
  • プロデューサー:
  • 脚本: 有原誠治, 今泉俊昭
  • 制作会社: 虫プロダクション
  • 作品概要: 
    この映画は、落語家の故林家三平師匠の夫人で、現在はエッセイストとして活躍する海老名香葉子さんが少女期の体験を児童用に書き下ろした「うしろの正面だあれ」が原作になっています。美術監督は「ルパン三世 カリオストロの城」の小林七郎氏。声優は「パーマン」パーマン1号の三輪勝恵さん、「銀河鉄道999」メーテルの池田昌子さん、「ドラゴンボール」悟空の野沢雅子さんを迎えた豪華キャスト。海老名さんの息子、9代目林家正蔵さんも主演を果たしています。
    文部省選定・厚生省中央児童福祉審議会特選作品・日本PTA 全国協議会特選
    東京都平和の日記念行事参加作品・優秀映画鑑賞会推薦作品他

『cocoon ~ある夏の少女たちより~』(2025年公開)

今日マチ子のマンガ『cocoon』を原作にしたアニメ。2025年3月にNHK BSで放送され、同年8月にNHK総合でも放送。現在は各種動画配信サービスでも視聴する事ができます。

Cocoon: One Summer of Girlhood – Official Trailer (English Subtitles)
Cocoon: One Summer of Girlhood – Official Trailer (英語圏向け予告動画)

主人公はサンとマユ。女学校の同級生です。授業の代わりに陣地構築へ駆り出され、やがて壕の中の病院で看護隊として負傷兵の世話をすることになります。友人たちと過ごした明るい時間が、いつ終わったのか本人にもわからないまま終わっていく。その手触りが作品の中心にあります。

作品の着想の元になったのは沖縄戦ひめゆり学徒隊とされていますが、作中では島の名前も部隊の名前も明示されません。現代的で透明感のある映像と演出が、少女たちが直面する事態との落差とあいまって、ずっしりと重みのある視聴後感を与える作品です。

ひめゆり学徒隊とは?
第二次世界大戦末期の沖縄戦で沖縄陸軍病院などに看護要員として動員された、沖縄県立第一高等女学校と沖縄師範学校女子部の生徒・教師(計240人)のこと。激しい砲爆撃の中、負傷兵の看護や遺体の埋葬などに従事し、結果としてその半数以上にあたる136人が犠牲となりました。

cocoon ~ある夏の少女たちより~

cocoon ~ある夏の少女たちより~ 作品情報

  • 公開日: 2025年8月16日(土)
  • 作品時間: 1時間0分
  • 原作者: 今日マチ子
  • 監督: 伊奈透光
  • プロデューサー: 根兵皇平
  • 脚本: 岸本卓, 伊奈透光
  • 制作会社: ササユリ
  • 作品概要: 
    ある夏のどこかの南の島で、少女たちに起こったことは、いつか私たちに起こることかもしれない…。穏やかな日常がいつの間にか戦場へと変わり、命が絶望的な状況に置かれたとき、私たちは何を感じるのか。太平洋戦争での沖縄戦に着想を得た今日マチ子によるマンガ『cocoon』(読み コクーン)を原作に、日本アニメの将来を嘱望される若き才能とベテランたちが、2025年に届けたい物語として描き出した。過去と今、そして未来を考えるためのアニメーション。

配信サービス:

『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(2025年公開)

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』本予告/12月5日(金)公開
『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』本予告

2016年から2021年まで『ヤングアニマル』で連載された武田一義のマンガを原作とし、2025年に公開されたアニメ映画。原作は2017年に第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。アニメの方は第49回日本アカデミー賞では優秀アニメーション作品賞を受賞しています。

舞台は1944年、パラオのペリリュー島の日本軍兵士達の視点で描かれる作品。日本の防衛拠点として守備隊約1万人が配置される中、米軍約4万人が上陸を開始。守備隊は徹底持久を命じられ、島に張り巡らされた洞窟陣地に籠もって戦い続けますが……。

作中の主人公はマンガ家志望の一等兵、田丸均。戦死者の記録を残す功績係として島を歩き回り、銃声と飢えと渇きと伝染病の中で、田丸と上等兵・吉敷佳助は友情を重ねていきますが……。声はそれぞれ板垣李光人中村倫也が担当。現在のところ配信では、Netflixで独占配信となっています。

ペリリュー -楽園のゲルニカ-

ペリリュー -楽園のゲルニカ- 作品情報

  • 公開日: 2025年12月5日(金)
  • 原作者: 武田一義
  • 監督: 久慈悟郎
  • プロデューサー:
  • 脚本: 西村ジュンジ, 武田一義
  • 制作会社: シンエイ動画, 冨嶽
  • 作品概要: 
    君の生きた証を伝えたい-壮絶な世界で紡がれる戦火の友情物語が誕生
    戦争マンガの新たなる金字塔が、 劇場アニメーションとしてついに映画化! 白泉社ヤングアニマル誌で連載され、かわいらしいタッチでありながら戦争が日常であるという狂気を圧倒的なリアリティで描き、第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した『ペリリュー 楽園のゲルニカー』。 ちばてつや、 花沢健吾、 重松清、 有川ひろ、 原泰久、 里中満智子、三浦建太郎、奥浩哉、 吉田裕など、 各界クリエーターから絶賛コメントが寄せられた戦争マンガの新たなる金字塔が、 劇場アニメーションとしてついに映画化!

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『窓ぎわのトットちゃん』(2023年公開)

映画『窓ぎわのトットちゃん』予告 <12月8日(金) 公開>
映画『窓ぎわのトットちゃん』予告 <12月8日(金) 公開>

黒柳徹子の世界的ベストセラーを、2023年にアニメーション映画化した作品。監督・脚本は『映画ドラえもん』シリーズの八鍬新之介、アニメーション制作はシンエイ動画。キャラクターデザイン・総作画監督は金子志津枝、音楽は野見祐二が担当しました。

小学1年生のトットちゃんは、落ち着きがないことを理由に学校を退学になります。次に通うことになったのが東京・自由が丘のトモエ学園。廃車になった電車が教室で、時間割は子どもが決める。校長の小林先生はトットちゃんに「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」と言います。

映画の前半は、この学園でトットちゃんが過ごす時間にたっぷり尺を使います。そんな中、配給が減り、給食の中身が変わり、教師が召集され、街から色が失われていき、子供たちの環境でも戦争が世界を塗り替えていってしまいます。

声の出演はトットちゃん役に大野りりあな、小林先生役に役所広司、パパ役に小栗旬、ママ役に杏、大石先生役に滝沢カレンと、豪華な面々が名を連ねています。

窓ぎわのトットちゃん

窓ぎわのトットちゃん 作品情報

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『はだしのゲン』(1983年公開)

1983年7月21日公開、84分。原作者の中沢啓治が製作と脚本を兼ね、監督は真崎守、アニメーション制作はマッドハウスが担当しました。

舞台は広島市舟入本町。国民学校2年生の中岡ゲンは、戦争を批判する父を持つために非国民の子と呼ばれています。食糧のない生活の中でも家族は支え合っていましたが、1945年8月6日、街のすべてが焼かれます。ゲンは父と姉と弟を一度に失い、身重の母と生き残ります。

原作者・中沢啓治は6歳のときに広島で被爆し、実際に父と姉と弟を亡くしています。その原爆投下の瞬間の描写を経験者本人が設計し、アニメーションという手法をとった結果、実写では成立しえない密度で被爆直後の街が映し出されます。

本作公開の3年後、1986年には終戦から3年後を描く『はだしのゲン2』も公開されています。

はだしのゲン

はだしのゲン 作品情報

  • 公開日: 1983年7月21日(木)
  • 作品時間: 1時間24分
  • 原作者: 中沢啓治
  • 監督: 真崎守
  • プロデューサー:
  • 脚本: 中沢啓治
  • 制作会社: マッドハウス
  • 作品概要: 
    中沢啓治の同名コミックをアニメ化した作品。昭和20年、原子爆弾によって焼け野原となった広島市を舞台に、主人公・ゲンが家族を失いながらも、逞しく生き抜いていく姿を描く。公開当時、全国のさまざまな市民団体や自治体などが協力して、「1000ヶ所草の根上映運動」が行われた。

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はだしのゲン2

はだしのゲン2 作品情報

  • 公開日: 1986年6月14日(土)
  • 作品時間: 1時間32分
  • 原作者: 中沢啓治
  • 監督: 平田敏夫
  • プロデューサー: 吉元尊則, 岩瀬安輝, 田辺昭太郎
  • 脚本: 高屋敷英夫
  • 制作会社: マッドハウス
  • 作品概要: 
    1983年に公開された『はだしのゲン』の続編。原爆の爪痕の残る広島市で、被ばくの後遺症と闘いながら、明るく前向きに生きていこうとするゲンと、親を失いみなし子になってしまった少年らとの心の交流を描く。

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