映画『マンボ・マン(Mambo Man)』試写レビュー キューバ人ミュージシャンJCの哀愁漂う物語
映画『マンボ・マン(Mambo Man)』試写レビュー キューバ人ミュージシャンJCの哀愁漂う物語

映画『マンボ・マン(Mambo Man)』試写レビュー 実話を元に製作された哀愁漂う物語

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キューバ人ミュージシャン、フアン・カルロス(Juan Carlos, JC)にまつわる実話を基に制作されたインディーズ映画『マンボ・マン(Mambo Man)』。2020年に公開された同作は、その後各国の映画祭へのノミネート・受賞を続け、遂に2024年7月26日(金)より日本国内でもAmazonプライム・ビデオや、Apple TV、Google Playにて配信されます。

本作を日本国内公開前に試写をする機会を頂きましたので、そのあらすじ紹介とレビューを掲載しています。ラテン音楽をバッグに、明るく楽しい物語が紡がれるかと思いきや、待っていたのは意外な展開でした……。

映画『マンボ・マン(Mambo Man)』 試写レビュー

マンボマン 場面写真
『マンボ・マン』主人公JC

『マンボ・マン(Mambo Man)』は2017年のキューバーを舞台に、地元の音楽プロデューサー/プロモーターである主人公JCが不安定な生活を抜け出すために奮闘する姿を描いた映画です。

マンボ・マン あらすじ

舞台はキューバ革命から半世紀以上経った後で西洋と米ドルを歓迎している2017年のキューバ。共産主義に生まれたJC(エクトル・ノアス)は、地元の音楽プロデューサー兼プロモーターであり、農民であり、知恵と想像力で生きる小商人。家族と小さな “仕事仲間”を養い、地元の”ゴッドファーザー”としての地位を維持するため、JCは身の丈を超えた生活をしている。遅れて降った雨で農作物が危機に瀕したとき、JCはコンサートを開催する一方で、豚のえさを調達し給水ポンプを修理し、イギリス人音楽観光客の一団をもてなすという仕事をこなさなければならなかった。その過程で、裏切りや失恋もあるが、JCの軽妙な人柄の裏には思いやりがある。彼はただ、友人や家族を養い、今にも人生を狂わされそうな不安定な生活から抜け出したいだけなのだ。

『マンボ・マン(Mambo Man)』予告編 日本語字幕付き
『マンボ・マン(Mambo Man)』予告編 日本語字幕付き

そんな中、アメリカ人の旧友から一通の電話を受け、あやしげなビジネスに誘われます。内容を一切明かされていないにも関わらず、家族を養い地元の”ゴッドファーザー”としての地位を維持しょうと、ビジネスを承諾するJC。終始不穏な雰囲気が漂う中、そのビジネスのために大量のお金を用意することに……。

映画『マンボ・マン』のファースト・インプレッション
※ややネタバレあり

試聴前に前述のあらすじを読んでいて、キューバの隣人愛を描いたハッピーな物語だと思っていました。しかし実際に視聴してみたところ、キューバの陽気な音楽をバッグに進むその内容は物語が進むにつれて不穏になっていきます

しかし同時に、その不穏さが漂い始めたあたりから本作のおもしろさも加速していきます。大金を手配するJCを見つめる友人『ダビド』の不安げな表情が実に印象的……。観ている私も、視聴中同じような顔になってしまいました。

ダビデ達や視聴者の不安は見事に的中。その結末はここではひとまず伏せておきますが、物悲しくも愛に溢れたエンディングを迎えます。キューバの豊かな文化遺産を描きながら紡がれる物語は、予想外にとてもリアル。そのギャップが面白く、いい意味で裏切れらた映画でした。

キューバ共和国の経済にも触れる

本作において、登場人物の行動理由やセリフを正しく理解するため、キューバの歴史や文化について知見を深めたくなりましたので、少し調べてみました。

カリブ海に浮かぶ島国であるキューバ共和国は、1959年に起こったキューバ革命によりアメリカとの国交を断絶。以降、アメリカから経済制裁を受け様々な制約の元で生活を営んでいます。社会主義国であるキューバでは政府が食料の配給をしていますが、とうてい満足できる量ではなく、貧富の差は激しいようです。JCが映画の中で2度裏切られ、そのひとりは他国へ逃亡したという世界感にも、なるほど……と納得ができました。

また、キューバでクラシックカーばかり走っているのは新車価格が高いためであり、手持ちの車は親から子へと受け継がれる財産でもあるようです。JCが現金を用意する過程で車を手放したくなかったというのも、そういった文化的背景があるのでしょう。

マンボマン 場面写真
『マンボ・マン』場面写真

また、JCは過去にも投資をしていた結果ようですが、どれも失敗に終わっていたようです。にもかかわらず「アメリカの封鎖はいつまで続くのか」「待つだけではだめだ」と語り、決意し、本作のビジネスにも挑戦していきます。話だけを聞くと無茶で無謀な山師のようにも感じられますが、胡散臭さや悲壮感はありません。それどころか、哀愁漂う彼の笑顔からは不思議な魅力と未来への希望を感じました。家族や友人達に慕われるJCなら大丈夫だろう、何度失敗しても、いつかきっと、と。

最後に

『マンボ・マン』はあらすじだけ読めば哀しい物語なのですが、それだけに終わらない不思議な魅力のある映画でした。全編に散りばめられたキューバ音楽のリズムと、かの国の助け合いの精神が垣間見られる素敵な内容です。キューバ音楽、街並み、文化に富んだ物語を楽しみたい方は、ぜひご鑑賞ください。

本作は2024年7月26日(金)にAmazon Prime Video、Apple TV、Google Play にて配信されます。

ストーリー ★★★(3)
予想外のストーリーは楽しめた
音楽 ★★★☆(3.5)
随所でながれるキューバ音楽を堪能できる貴重な作品
キャラクター ★★★(3)
別段特徴的な人物が居る訳ではないが、いずれもリアリティがあり、感情移入しやすい
映像 ★★★(3)
分かりやすい構図ででストレスなく視聴できる
総合評価 ★★(3)
キューバ映画は初めて見たが、最後まで退屈せず視聴することができた
映画『マンボ・マン(Mambo Man)』  レビュー
(最大星5つ/0.5刻み/9段階評価)
マンボ・マン

マンボ・マン 作品情報

  • 公開日: 2021年2月25日(木)
  • 作品時間: 1時間23分
  • 原作: -
  • 監督: モ・フィニ, エデシオ・アレハンドロ 
  • 脚本: -
  • 制作会社: TUMIプロダクションズ
  • 作品概要: 
    舞台はキューバ革命から半世紀以上経った後で西洋と米ドルを歓迎している2017年のキューバ。共産主義に生まれたJC(エクトル・ノアス)は、地元の音楽プロデューサー兼プロモーターであり、農民であり、知恵と想像力で生きる小商人。家族と小さな "仕事仲間"を養い、地元の"ゴッドファーザー"としての地位を維持するため、JCは身の丈を超えた生活をしている。遅れて降った雨で農作物が危機に瀕したとき、JCはコンサートを開催する一方で、豚のえさを調達し給水ポンプを修理し、イギリス人音楽観光客の一団をもてなすという仕事をこなさなければならなかった。その過程で、裏切りや失恋もあるが、JCの軽妙な人柄の裏には思いやりがある。彼はただ、友人や家族を養い、今にも人生を狂わされそうな不安定な生活から抜け出したいだけなのだ。

配信サービス:

  • Amazonプライムビデオ
  • Apple TV+

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沖縄生まれ、東京住みの新卒フリーライター。映画、ゲーム、アプリといったエンタメ系記事からキャッシュレスなどのお金系記事、美容系の記事までなんでも執筆しています。
ダースベイダーマニアです。

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