自主制作アニメ 『絶望の怪物』レビュー ほぼ独力で制作された短編映画
自主制作アニメ 『絶望の怪物』レビュー (画像中央 絶望の怪物 パンフレット)

自主制作アニメ 『絶望の怪物』レビュー ほぼ独力で制作された短編映画

評価:4 

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当記事では2019年に制作された自主制作短編アニメ 絶望の怪物』のあらすじと感想を紹介します。本作は鬱展開や悲しい話が好きな人におすすめです!!

記事内では結末についてのネタバレをしていますので、知りたくないという方はご視聴後にお読みください。

また、記事の後半では『クリエイター魂に火が付く&創作意欲をかき立てられる』というテーマで、関連したおすすめ作品を4つピックアップして紹介しています。クリエイティブな事を実践している人、したい人達の参考になれば幸いです。

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コタニジュンヤ氏制作『絶望の怪物』

映画『絶望の怪物』予告 ver.05C Original Short Animation
タイトル 絶望の怪物
配信日 2019年
監督 コタニジュンヤ
キャスト 麻言/香川理沙/小川隼/川嵜かおる/門倉智美/犬飼真志
制作 日本
Webサイト https://z-monster.com

『絶望の怪物』 あらすじ

ある日、中学生の星野葵は自分と家族が醜い宇宙人の怪物だと知る。彼女と弟の雄太はそのことを知らないまま育った。両親がずっと隠していたから。

怪物はおぞましい姿をしている。彼らは薬を使って人間の姿に化けていた。その薬がなぜか葵にだけゆっくりと効かなくなっていく……。

『絶望の怪物』 の感想(ネタバレあり)

『絶望の怪物』は、漫画家として活動していたコタニジュンヤ氏が監督・脚本・アニメーションなどほぼ全て制作工程を担当したという、インディーズアニメです。

作品のアニメーションは(一般的な商業作品と比べると)ややもったりした印象受けますし、主人公の声の演技も粗削りに感じますが、ここまでのアニメーション作品を自力で完成し遂げたという点は十分に加味したいところ。

全体で30分ほどの作品なので、展開はとてもスピーディー。そのストーリーは『孤独・壊れゆく日常』という普遍的でなじみ深いテーマを扱っていますが見る人の心にそっと影を落とす内容でした。

短い作品だからこそ、家族が死に、ひとり残った主人公も自ら死を選ぶ(?)という結末を見きったその瞬間はしばらく気持ちが追いつきませんでしたが……画面が暗転するとじんわり余韻が押し寄せてきます。

……娘を殺そうとするもできなかった親。姉に殺される弟。朝焼けを眺めながら自身に薬を打つ主人公。登場人物の誰に感情移入するかでも感想が変わりそうです。

創作意欲に敬意を

本作は『コタニジュンヤ氏がほぼ独力で製作した』という点でも注目をあつめた作品です。

そういった面では、実際に何かしらの創作を実践したことがある人達にとっても、非常に良い刺激となる作品でしょう。

筆者も、趣味でノベルゲームを制作するのですが、ストーリーや構成を考え、背景、人物、音楽、演出などすべての工程を一人でこなすのは大変でした。素材を作る・集めるだけでも莫大な時間がかかるんですよね……。

もちろんノベルゲームと、アニメーションでは労力や必要なスキルも違いますが、創作の大変さは少なからず分かるつもりです。

何かを作るというのは楽しいことですが、同時に自分の能力の限界を感じて絶望してしまうこともあります。途方もない作業量に頭を抱えることも。だからこそ、人の心に残る作品をひとりで完結させたコタニジュンヤ氏には深い敬意を表さずにはいられません。

自分のためだけに創作している人。お金や名誉のために創作している人。何も考えずにモノづくりに没頭する人。一時創作と二次創作。目的や衝動は人それぞれかもしれませんが、創作活動にかかわる、あらゆる人に見てほしい作品です。

少なくとも筆者は、視聴後に創作欲を刺激され、手を動かさずにはいられなくなりました。

総合評価

ストーリー ★★★★★(5)
暗いストーリーが良い! 深夜に真っ暗な部屋で見たくなる
映像 ★★★(3)
キャラクターひとりひとりに人生を感じ、自然と感情移入できる。
音楽 ★★★(3)
絶えず音楽が流れていて、集中できない場面も。
構成 ★★★(3)
濃い内容を30分にギュッとまとめている。
総合評価 ★★★★☆(4)
次はどんな作品を生み出してくれるのか、期待したくなるアニメ映画!
絶望の怪物のレビュー
(最大星5つ/0.5刻み/10段階評価)

創作意欲を刺激される! おすすめ漫画・アニメ・ドラマ

『絶望の怪物』を見て創作欲が沸いた人におすすめしたい作品をピックアップしてみました。

漫画&アニメ『映像研には手を出すな!』

まずご紹介したいのは、大童澄瞳の漫画作品とそのアニメ化作品『映像研には手を出すな!』。

タヌキ顔が可愛い『浅草みどり』、カリスマ読者モでアニメーター志望の『水崎ツバメ』、金儲けが大好きな長身『金森さやか』ら3人の女子高生がアニメ作りに熱中する、というもの。

原作の漫画版では漫画でしかできない、他では見たことのない表現には驚くこと間違いなし! そして寝食を忘れるほどアニメづくりに夢中になる主人公たちに創作欲を刺激されます

そして、漫画だけでなくアニメシリーズや、実写ドラマ実写映画と制作され、いずれもユニークな表現と演出で高い評価を得ています。ファンならずとも、できればそれぞれの作品を見て比較して楽しんでほしいところ。

TVアニメ「映像研には手を出すな!」名言集PV
TVアニメ「映像研には手を出すな!」名言集PV

漫画『重版出来!』

漫画というコンテンツは、作者、編集者、営業、宣伝、製版、印刷、デザイナー、取次、書店員など多くの人が関わり出版されます。そんな漫画について、コミック誌の新人編集部員視点で働くことの大変さや楽しさを描いているのがこの『重版出来!』(じゅうはんしゅったい)です。

一部には、作中の体育会系ノリが苦手……という声も目にしますが、漫画がどのようにして製作・流通されているのか、興味がある人には特におすすめしたい作品。

2016年には黒木華主演、脚本は『逃げ恥』『アンナチュラル』などの野木亜紀子が担当しドラマ化もされています。

漫画『ルックバック』

自分の才能に絶対の自信を持つ藤野と引きこもりの京本。2人をつなぐのは、漫画だった……。『ルックバック』は一度読んだら忘れることのできない漫画です。

本作は創作することでしか生きられない人間に向けた内容ですが、展開や物語の終わりは衝撃的で、創作をしない人の心にも大きな傷を与えました。本作を読めば嫌でも『藤本タツキ』の才能を感じ、創作好きなら嫉妬、羨望、憧れ、畏怖など様々な感情が身の内をめぐることでしょう。

読後は気力(MP)を削られるのであえてオススメはしませんが、少しでも気になった方はぜひ手に取ってその才能に震えてください。

映画『響 -HIBIKI-』

出版不況の文学界に現れた一人の天才少女『響』。創作すること、というより、響のカリスマ性にスポットを当てた作品なので、創作欲が刺激されるかは微妙なところかも……。

映画『響 -HIBIKI-』予告
映画『響 -HIBIKI-』予告

響の書いた『ものすごい小説』が一体どんな内容なのかが明かされない点がすこしモヤモヤしますが、その点を除けば楽しめる映画です。

平手友梨奈の演技はクールでかっこ良く、主題歌『角を曲がる』も素敵なので、鑑賞の際は表現者・平手友梨奈に注目!です。

『絶望の怪物』関連リンク

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沖縄生まれ、東京住みの新卒フリーライター。映画、ゲーム、アプリといったエンタメ系記事からキャッシュレスなどのお金系記事、美容系の記事までなんでも執筆しています。
ダースベイダーマニアです。

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