音声(オーディオ=Audio)、映像(ビデオ=Video)それぞれの信号をAV機器とやり取りする為のケーブルには、現在まで沢山の規格が登場してきました。
現在最新の機器ではHDMIが一般的になってきていますが、その他にも多数の種類があり、今なお使われている物も多い状況です。
そこで今回はそのAVケーブル&端子を規格と共に紹介していきましょう。
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AV系端子の一覧
オーディオ専用のケーブル・端子、オーディオとビデオが一緒になったケーブル・端子がありますが、詳細は後述するとしてまずは列挙いたします。
- RF
- RCA端子(コンポジット)
- S端子
- コンポーネント端子
- BNC端子
- D端子
- VGA
- D-Sub
- DVI
- HDMI
- フォーン端子
- XLR端子
- トスリンク
- SCART端子
- S/PDIF
- AVマルチ端子
これらの端子が利用できる機器は現在すべてが最新の機器という訳ではありませんが、いざ必要となった場合その基礎知識や特徴について知っておく事で、変換コネクタの選択や購入後のトラブルなども減らす事ができるかもしれません。
それでは各AV系端子の性能について掘り下げていきましょう。
RF
RCAコンポジットケーブルがTVなどに搭載される前に主流だったRF端子。
主に高周波信号を扱う端子として
- 電波機器
- 高周波測定器
- 液晶テレビやプラズマテレビなどのアンテナ入出力
などで使われました。
初期型のファミリーコンピュータなどはこのRF端子と同軸ケーブルユニットでTVと接続していました。
RCA(コンポジット映像+LR音声)
現在主流の規格ではありませんが、それでも多くのAV機器、パソコンやグラフィックボードからテレビに映像を入出力する際などよく見かける端子で、アメリカの大手家電メーカー”RCA”社に由来する呼び名。ピン端子、ピンプラグ、ピンジャックなどとも呼ばれます。
主に見分けが付くように赤、白、黄色の3種に色分けされており、赤と白はステレオオーディオの左右を見分ける為に。黄色いケーブルは映像の入出力に利用され、Y(輝度)とC(色)の信号を複合して伝達します。
一般的に流通しているケーブルや端子カバーの色は、接続時の見分けが出来るように分けてあり、構造自体は変わらない場合が多い。
コンポジット(Composite Video Signal)は、映像をテレビに送るための規格で、大きな会場などに設置されているプロジェクターなどへの入力は未だにこのコンポジットケーブルで配線が組まれている事も多い様です。
S端子
S=セパレート映像端子。輝度(Y)情報と色信号(C)を分けて伝達する方式。ケーブルとコネクタ内部で分離=セパレートされている事からこの名前がついています。
映像端子なので、S端子のケーブルだけでは音声は伝達できません。
このS端子は主にテレビやVTRなどで用いられる映像の信号入出力用接続コネクタとして高品質な映像伝達を行う為に高性能なテレビやビデオ、ゲーム機といった機器に実装されていました。
その後、高解像度対応機器の登場や、D端子、HDMIといった規格の登場により今ではあまり見かけなくなってきました。ヨーロッパでの利用状況は特に高いそうです。
コンポーネント
コンポーネント、またの名を色差端子と呼ばれるアナログ信号を伝達する方式。
端子の形状自体は前述のRCAと同様ながら、映像だけで「Y」「B-Y(Cb、Pb)」「R-Y(Cr、Pr)」の3本に分かれていて1本の黄色ケーブルだけで映像を送信するRCAに比べて高品質な映像データを送信する目的で利用されます。
左右の音声も含める5本のケーブルで接続するハイエンド業務用機器などが存在しています。
BNC端子
主にコンポジットやコンポーネント信号伝達の『接続端子』として業務用のAV機器に多く使用されています。規格上はRCAよりも広い数GHzまでの信号にも対応しています。
端子としての特徴はネジなどを使用せずロックが出来る上、着脱もしやすい構造。現場での信頼性が非常に高く、現在も多くの業務用機器で使われています。
BNC端子とピンタイプのRCAやコンポジットは、変換コネクタにより接続できます。
D端子
D端子とはコンポーネントと同様の方式で、ケーブルを1つにまとめたケーブルと端子です。主にテレビなどの機器を接続するために日本国内の製品に多く導入されました。
対応解像度によってD1~D5と種類が分けられています。
コンポーネント端子が3本の接続部分で構成されているのに対し、D端子によって1本にまとめて接続を簡素化したというメリットがあります。反面コンポーネント端子に比べ信号伝送が劣化している場合があるという点と、日本独自の規格という点もあり海外機器ではあまり使用されていません。
Dはデジタル=DIGITALという意味では無くアナログ信号の伝達規格です。名称としては横向きに実装されたコネクタがアルファベットの『D』の形をしている、という意味でつけられたそうです。
VGA
VGA(ケーブル、端子)は、一般的にアナログのRGBコンポーネント映像信号の入出力をおこなう接続ケーブルと端子の事をさします。
主にPC・周辺機器の映像出入力接続用のインターフェイスとして利用されており、アナログRGB端子とも呼ばれています。特に昨今でもよく見かけるのはD-Sub15ピンの端子です。
旧タイプのPC用VGAやディスプレイ、プロジェクターなどの映像機器は多く用いられてきました。PC、VGA関連では現在は後述のDVIに推移しつつあります。
補足 D-Subとは
D-Sub端子=D-subminiature(ディー・サブミニチュア)は、VGA端子に用いられている端子の種類で、接続部分のピンの数によって分類されています。
- 9Pin
- 15Pin
- 23Pin
- 25Pin
- 37Pin
と分かれており、その用途は映像機器のみならずプリンターやSCDI機器などさまざまなPC周辺機器に用いられてきました。購入する際はピンの数にも注意して『D-Subの15Pin』などとメモしておくと間違いがありません。
DVI
DVI=Digital Visual Interface(デジタル・ビジュアル・インターフェース)は、その名の通り、デジタルディスプレイ装置の映像品質を最大限活かすように設計されたインターフェイスです。
ディスプレイに無圧縮のデジタルビデオデーターを遅れるように設計してあるため、キレイな映像を見ることができます。ちなみにHDMIはDVIの派生規格であるため、DVIとは部分的ですが互換性があります。
D-subなどのアナログVGA出入力との互換性を保つため、アナログ信号を伝達する端子も規格にまれています。形状が近い事もありD-SubのVGA=アナログRGB端子からの機器移行もスムーズに進んでいます。
HDMI
主に音声と映像をデジタル信号で伝送する通信インターフェースとして使用されています。
DVIをもとに、音声伝送機能や著作権保護機能など加えAV家電向けに改良したもので、1本のケーブルで音声・映像を送受信可能です。
端子はいくつかに種類が分かれており、その形状や機器の形状などによって
- タイプA…標準、一般的なTVやPCモニターなど
- タイプB…高解像度向け
- タイプC…ビデオカメラ等
- タイプD…携帯電話、デジタルカメラ
- タイプE…自動車
といった用途に用いられています。
一重にHDMIといってもさまざまなので、購入の際はどのタイプの端子やケーブルが必要なのかを十分に確認しておきましょう。
トスリンク
トスリンクは光ファイバー用コネクタの規格です。
主にデジタルオーディオなどのデジタル信号を光ファイバーで伝送するため使用されています。接続した機器同士が電気的に絶縁できる点もメリットです。
フォーン端子
フォーン端子は、民生用から業務用のヘッドホンやマイクロフォンなどのオーディオ機器まで、多くの入出力装置に使われています。ピンジャックなどと呼ぶ場合、一般的にこの端子の事が多いでしょう。
基本的にはオーディオ信号を伝達する規格ですが、
- 標準サイズ
- ミニ
- マイクロ
といった形状が有ります購入する際にはピンの大きさと、極数(1極、2極、3極、4極以上のものなど)に注意して選びましょう。
XLR
XLR端子は、業務用マイクの接続や、スピーカー接続、デジタル伝送、アナログオーディオ伝送などで用いられます。
アメリカのキャノン社(日本のプリンター、カメラなどで知られるキヤノンとは無関係)が開発し、通称『キャノン』コネクターとも呼ばれます。
前述のようにさまざまな業務用機器に用いられているものの、電源用の物なども存在し、用途によって仕様が異なるので、購入に際しては『何用のXLR端子』なのか注意して選択しましょう。
S/PDIF
SONYとPHILIPSが共同で策定したS/PDIF。主に映像、音響機器などの音声信号をデジタル転送するために使われています。
デジタル音声を転送するAES/EBUという業務用の規格(主に前述の3ピンXLR端子)を簡略化したものとの事で、データの転送方式はほぼ同一。
SCART端子
SCART端子は過去にヨーロッパを中心に多く普及していた端子で、AV機器間の映像と音声の信号をまとめて伝送できる接続端子です。
アナログ形式のビデオデッキやDVD、チューナー、コンピューター、ビデオゲームなどに使用されていましたが、日本国内ではあまりみかけません。海外製の特殊な機器を利用する方は目にする事があるかもしれません。
AVマルチ端子
AVマルチ端子はアナログ映像信号とアナログ音声信号を1つにまとめて伝送できるコネクタで、主にプレイステーション系のゲーム機やSony系テレビで使われていました。
RGB出力に関するさまざまな制約などから、次第に搭載される事が少なくなり、PSXとプレイステーション4などもAVマルチ端子に非対応となっています。
USB
今や、PCのみならず、多くの機器に利用されているUSBケーブル。
本来、AV専用の規格ではありませんが、汎用的な規格としてデジタルデータの転送用としてPCを介した映像、音声の入出力に使用される事も多くなってきています。
またUSB Type-Cはその伝達速度の速さもあり、HDMIクラスの映像や音声、その他機器の接続を一重に担える程の高性能な規格となっています。
まとめ
AV関連のケーブル&端子はさまざまな企業によって開発され、結果として多数の形状が存在しています。
同じ規格でも接続機器にあわせてサイズの違うコネクタなどが多く、映像や音楽関連のプロフェッショナル達でも混乱してしまう程ですので、機器やケーブルの購入時には、しっかりと機器の仕様を確認しておきましょう。