AIで動画のアップスケーリング『DVDFab Enlarger AI』機能解説&レビュー 【製品提供記事】
AIで動画のアップスケーリング『DVDFab Enlarger AI』機能解説&レビュー 【製品提供記事】

AIで動画のアップスケーリング『DVDFab Enlarger AI』機能解説&レビュー 【製品提供記事】

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城村うるり

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当記事でご紹介するのは、 DVDFabシリーズ新機能のひとつ『Enlarger AI(エンラジャー・エーアイ)』。 AIによるディープラーニングで使って動画の解像度をあげつつ画質を向上させつつさせるという、ビデオアップスケーリング・ソフトウェアで、2020年7月時点では、Windows版のみ提供されています。

当記事ではソフトウェアのインストールから順を追って解説してきますが、アップスケールの結果が気になる方は以下の目次から『アップスケーリング処理の結果』をクリックして先へお進みください。

DVDFab Enlarger AI レビュー

『Enlarger AI』は、DVD総合ツール『DVDFab』シリーズの機能のひとつ。Enlarger=引き延ばし機と名付けられた本ソフトは、AIを用いて動画のアップスケーリングを行う為のソフトウェアです。

動画データや画像データの解像度について一定の理解のある方であれば、低解像度のデータから高解像度への変換を行うと、画質が大幅に劣化する事は予想できますが、昨今話題になる事の多いアップスケーリングは、これを実現してしまうという技術です。(とはいえ2020年7月現在でも発達途上の分野ではありますが……。)

DVDFab Enlarger AI
ソフトウェアイメージ
DVDFab Enlarger AI
ソフトウェアイメージ

公式サイトの解説によると、独自の映像復元技術で、ビデオ画像をコマあたり300%に拡大しながら、細部がぼやけないように修正し、画質を高めます。 これが事実であれば、SD(480P)からフルHD(1080P)、1080pから4Kへのアップスケールといった事が可能になります。

推奨スペック

アップスケールはディープラーニング技術を応用しPCが自動的に行うので、私達が手作業でレタッチする必要はありません。動画ファイルを選択し、実行を行うだけでソフトウェアが自動でアップスケールしてくれます。

ただし、このアップスケーリングは、ローカルで行われるため、使用するPCの性能によって処理能力や速度に大きく差が出てきます。推奨スペックとして公式ホームページで以下の環境が提示されています。

仕様推奨スペック
CPUIntel製Core-i7シリーズ第6世代以降
グラフィックカードNvidia製GTX1050Ti以降のCUDA技術サポート製品
DVDFab Enlarger AI 推奨スペック

CPUはCore-i7採用のチップセット、またNvidiaのCUDA技術=GTX 1050Ti以降のモデルが推奨となっています。

動画のアップスケーリングは、非常に負荷の高い作業の為、上記に提示されているスペックと同等かそれ以上のマシンスペックで実行する事を強くおすすめします。下記は公式サイトに提示されている例ですが、1時間の動画データをアップスケーリングした場合NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti 6GBで7時間。CPUのみで実行した場合は50時間もかかる場合があるようです。

ハードウェア/モデルソース再生時間変換時間例
NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti 6GB1時間7時間
Intel GPU HD Graphics 6301時間50時間
Intel CPU i7-77001時間50時間
DVDFab Enlarger AIでのアップスケーリングの所要時間例

DVDfab(ベースソフトウェア)のインストール

Enlarger AIの利用にあたってはDVDFabシリーズの基本となるパッケージをダウンロードの上、ライセンスの適用が必用となりますが、DVDFab基本パッケージの他製品(DVDコピーやリッピング)などを購入せずとも、Enlarger AIのみ購入し利用することができます。

※この工程での解説は、DVDFabシリーズのベースソフトウェアをインストールする作業です。すでにこれまでDVDfabシリーズの何れかの機能を利用しているユーザーであればこの工程はスキップし、ライセンスの購入手続きへ進んでください。

まずは、DVDFab公式ページへアクセスし画面上部にある『無料ダウンロード』をクリックし、PCの任意の場所にインストーラーを保存します。

DVDFab DVDFab Enlarger AI 公式ページ上部にある『無料ダウンロード』をクリック
DVDFab DVDFab Enlarger AI 公式ページ
上部にある『無料ダウンロード』をクリック
DVDFab Enlarger AIインストーラー
EXEファイル
DVDFab Enlarger AIインストーラー
EXEファイル

ダウンロードしたインストーラーを起動すると、インストールが開始します。

インストールが終わると、webブラウザが自動的にDVDfabのwebサイトを表示します。

ライセンス購入と登録方法

続いて、Enlarger AIのライセンスを購入します、価格は下記の通り。

ライセンス形態価格
1年間ライセンス9,796
2年間ライセンス12,276
無期限ライセンス15,996
Enlarger AI ライセンス形態と価格

ライセンスの購入もインストーラーのダウンロードと同様、公式サイトの『今すぐ購入』ボタンからオンラインで行えます。

購入の際、セールなどで割引クーポンが提供されている場合があります。現在有効なクーポン一覧と、クーポンコードの入力方法については、こちらの記事で解説していますのであわせてご確認ください。

ライセンスを購入し、e-mailアドレスと、パスワードを設定したアカウントと紐づけられるので、DVDFabソフトウェアに認証アカウントを入力する事で、自働的に利用できるようになります。

DVDFabのウインドウ右上の下向き矢印▼をクリックすると各種設定メニューが表示されます。

購入時のアカウントでDVDfabにログインをすれば、自働的に購入済みライセンスが適用される
購入時のアカウントでDVDfabにログインをすれば、
自働的に購入済みライセンスが適用される

アップスケーリングを実行

では、いよいよアップスケーリングを実行しましょう。まずはアップスケーリングの効果がでやすい、アニメタイプの動画を利用します。

まずDVDFabを起動したら、上部のボタンから『変換』を選択します。

DVDFabのメインUI 
上部から『変換』をクリック
DVDFabのメインUI
上部から『変換』をクリック

続いて、アップスケーリングを行う動画データをDVDFabに読み込ませます。ファイル画面にドラッグ&ドロップしても良いですし、 今回の検証用には、パブリックドメインとして提供されている1940年代のアニメ作品『Gabby Goes Fishing』を使用させていただきました。戦前のアニメですが動きが面白いショートムービーです。

変換メニューから希望の処理を選んで、アップスケーリング実行

動画をDVDFabに読み込んだら、変換メニューから設定を変更します。読み込まれた動画の、下部にあるアイコン(変換後の動画方式が記載されている)をクッリク

読み込まれた動画の、下部にある変換設定をクック
(上記画像ではFLVと記載の有る箇所)
読み込まれた動画の、下部にある変換設定をクッリク
(上記画像ではFLVと記載の有るアイコン)

新たに表示されるウインドウの左側から『Enlarger AI』を選択し、右側からアップスケール後の動画形式を選択。

左側から『Enlarger AI』を選択し、
右側からアップスケール後の動画形式を選択
左側から『Enlarger AI』を選択し、
右側からアップスケール後の動画形式を選択

設定が完了したら、画面右下の『開始』を選択、PCのスペックをの確認画面に推移します。

動画の変かが開始すると、タスクキューマネージャ画面が表示され、経過時間や残り時間が計測されます。

アップスケーリング実行中のCPU、GPUの動作

折角ですので、変換中のCPU/GPUの利用状況をWindowsのタスクマネージャーで観察してみると、GPUはの稼働率は7%程度でした。

アップスケーリング実行中のGPU利用状況
アップスケーリング実行中のGPU利用状況

一方、CPU自体はかなり激しく動いています。100%になることはありませんでしたが、90%近くまで上がりました。

CPU利用状況
CPU利用状況

興味深かった点は、終了間際のGPU(Copyパート)の動きです。ここだけパーンと一時的に活発に動き、アップスケール処理が終わりました。何回かアップスケールの設定を変えても同様の結果が得られました。

※なお、マルチタスクで作業をする事をふまえて、DVDFabの設定画面でCPUコアの稼働数を調整しています。前述のCPU利用状況画像のうち2コアの稼働率が低いのはそのためです。CPUコアの稼働数にかんする設定は後述の設定画面解説に触れています。

GPU利用状況その。Copy(右上グラフ)で一時的に稼働が活発に
GPU利用状況その2
Copy(右上グラフ)で一時的に稼働が活発に

動画の変換が完了すると、アラートで通知されます。

アップスケール完了表示
アップスケール完了表示

アップスケーリング処理の結果をチェック

DVDFab Enlarger AIで行ったアップスケーリング処理について、画像で比較してみましょう。

動画変換前アップスケール後
動画形式MP4MP4、H.264
フレーム数284283
ファイルサイズ2,801KB7,894KB
ビットレート24bit, 3374kbps24bit, 6313kbps
アップスケール前後の比較 動画情報
DVDFab Enlarger AI アップスケーリングテスト1 Before
Before
DVDFab Enlarger AI アップスケーリングテスト1 After
After

前述の設定で変換した結果が下記の画像です。

変換前の画質
変換前の画質
アップスケール後
アップスケール後の画質

拡大すると、逆に分かりずらい部分もありますが、全体的に若干明るくなり、ノイズが軽減され、輪郭シャープになった印象を受けます。

この10秒間の動画で、処理時間はGPUで2分53秒GPU未利用(CPU)の場合は約70分ほどかかりました。

実写映像のアップスケーリング結果

別途おこなった、実写映像のアップスケーリング結果もみてみましょう。

動画変換前アップスケール後
動画形式MP4MP4、H.264
フレーム数246246
ファイルサイズ2,492KB7,130KB
ビットレート24bit, 2500kbps24bit, 6451kbps
アップスケール前後の比較 動画情報2
DVDFab Enlarger AI アップスケーリングテスト2 Before
Before
DVDFab Enlarger AI アップスケーリングテスト2 After
After
オリジナルムービー
実写映像 変換前の画質1
アップスケール後
実写映像 アップスケール後の画質2

1枚目と2枚目を比べると、左の車のヘッドライトが少しくっきりとしたのが確認できます。また道路上の進路指示表記も、シャギーが少なくなっています。

オリジナルムービー
実写映像 変換前の画質2
アップスケール後
実写映像 アップスケール後の画質2

3枚目と4枚目の背景の木々に注目してください。アップスケール後は絵の具で塗ったような感じになってしまっています。これが現時点でのAI補正の限界でしょうか。

この10秒間の動画で、処理時間は理時間は2分27秒でした。(※グラフィックカード未利用時は約70分)

その他関連する設定について

ウインドウ右上の下向き矢印▼をクリックして、一番上の『共通設定』を選択すると、DVDFabの全般に関わる各種設定画面へと推移します。

ウインドウ右上の下向き矢印▼から、『共通設定』へ
ウインドウ右上の下向き矢印▼から、
『共通設定』へ

この中にはやや難解な設定がいくつかありますので、ピックアップしてご紹介しましょう。

一般設定画面では、ソフト利用時のCPUコア数を選べます。最初はフルで入力されていますが、2個ほど割り引いておくと、動画の変換中に他の作業をPCで行う=マルチタスクが快適になりました。

一般設定 CPUコア数を選択できる
一般設定 CPUコア数を選択できる

また、Nvidia製のグラフィックカードを利用できる環境だと、AVコーデック欄には『CUDA』の表示が並びます。

AVコーデック
AVコーデック

Enlarger AIの良いところ

  • 過去に撮影した動画を少しキレイなデータに変化できる
    古い映像にはそれなりに味もありますが、10年以上前の動画データなどを再生すると、どうしても画質の悪さが気になってしまいます。市販の作品であれば、リマスタリングやBD版などが発売される事もありますが、自身で撮影した作品の場合そうもいきません。こんな時はAIの力で自宅で手軽にアップスケーリングが試せるのは嬉しい限りです。
  • 自前のパソコンで手軽にディープラーニングに触れられる
    最近何かと話題のAIやディープラーニングですが、身近なところで体験できるシーンは少ないと思われます。その点、動画のアップスケールは手軽にその技術を体感できる希少な存在といえるかもしれません。
  • 直感的なUIでシンプルに作業をすすめることができる
    DVDFabシリーズ全体に言える事ですが、ファイルを選び、出力タイプを選択し『開始』ボタンを押すことでアップスケールができます。Enlarger AIに関してもマシンの条件が揃っていれば快適に利用できるでしょう。

Enlarger AIの難点

  • マシンパワーを必要とする
    このEnlarger AIはクラウドサービスではなく、自前のPC内でアップスケーリング処理を行うため、一定以上のスペックをもったPCでないと、快適に実行することができません。ひとつの動画を変換するのに何時間、何十時間と費やすのはさすがに現実的ではないでしょう。
  • グラフィックカード利用の際は事前設定が必須
    Nvidia製のグラフィックカードの利用を強く推奨していますが、親和性は未知数です。ソフトをダウンロードしただけではすんなりと認識してくれない場合もあります。筆者自身、最初に試した時は、グラフィックカードが認識されず、カスタマーサポートに問い合わせる必要がありました。
    (NVIDIA コントロールパネルから [3D設定] > [3D設定の管理] > [プログラム設定]と推移し、DVDFab64.EXEを追加する必要がある)
    念のため、グラフィックカードの最新版へのアップデートや、DVDFabの最新版へのアップデートも定期的に実行しておきましょう。
  • アップスケールの効果がそれほど劇的ではない
    これは今後の進化に期待です。ディープラーニングを利用してはいますが、まだ情報収拾・素材収拾の段階なのかもしれません。細かく見ていくとたしかにきれいになっている様ですが、ひと目で驚くほどの改善は見られませんでした。もう少し「おー!変わったな」という効果を期待していました。

まとめ

ちょっと未来を体感したい方や新しいもの好きの方には、おもしろいソフトだと思います。話題になっていても、なかなか普段はその恩恵を体感しにくいAI技術やディープラーニング技術に身近で触れる事のできるソフトです。筆者もワクワクしながらレビューができました。

反面、現状のEnlarger AIは、まだディープラーニングによる進化の過程段階ではないかと感じました。実際にアップスケーリングした動画も、処理に要した時間に対して劇的な画質向上は感じられませんでした。とはいえ、現在はさまざまな情報を集め、プログラムに経験を積ませることで、進化していく準備段階なのかもしれません。

これまで素人には手が出せなかった、古いムービーの画質向上に手軽にチャレンジできることには夢があります。興味を感じてくれた方はぜひともお試しください。

先進性★★★★★(5)
画質向上★★(2)
使いやすさ★★★(3)
今後への期待値★★★★(4)
価格★★★☆(3.5)
総合評価★★★☆(3.5)
最大★5つ、0.5刻み、10段階評価
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城村うるり

某香港在住博士に憧れてガジェットの世界に入ってきました。iPhoneは3Gから使用。Nokia端末も好きでした。

ドイツで2児の子育て奮闘中。趣味は旅行と写真撮影。レビューや雑学系ニュースなど書いていきます。

コメント

  1. 匿名 より:

    DVDFab 動画加工 AIと同じもののように思えるのですが、どう違うのでしょうか。

    • UZUREA編集部 より:

      『DVDFab Enlarger AI』はDVDFabという統合ソフト(動画データのリッピング、コピー、加工)内の追加機能として動作。

      『DVDFab 動画加工 AI』は単体のソフトウェアとして動作するようです。

      分かりやすいように、記事内にも追記いたします。

  2. 匿名 より:

    2000年代のAVを何個かフルHD画質に上げてみました
    結果、すべての動画の画面中央に横線が入る不具合が発生しております

  3. ももんが より:

    DVDfab AIについては
    2万円ちかくするソフトですが
    逆にカクカクした動画になるなど
    とてもおススメできません。
    お金のむだ使いでした。

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