映画『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』レビュー ロックンロールスターはこの日ふたたび伝説に! 2025年10月17日国内劇場で放映
映画『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』レビュー ロックンロールスターはこの日ふたたび伝説に! 2025年10月17日国内劇場で放映

映画『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』レビュー ロックンロールスターはこの日、再び伝説に。 10月17日国内劇場で上映開始

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英ネブワース・パークで、2日間で約17万人を動員した『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』。オアシスの絶対的フロントマンとして復活したリアム・ギャラガーを中心に描かれる最上級のライブフィルムが、2025年10月17日に日本国内劇場で上映される。

幸運なことに同作を事前に観る機会をいただいたので、この場を借りてレビューを記したいと思う。

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映画『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』レビュー

映画『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』ポスター
映画『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』
2025年10月17日劇場公開

音楽ジャンルのスタンダードとして、多くの人々が愛聴するロックンロール。その歴史は決まって、時代を象徴するバンドと共に紹介されてきた。中でも英ロックシーンにおいて、広く語られ続ける伝説的存在がいる。それこそがリアム・ギャラガー(弟/ボーカル)とノエル・ギャラガー(兄/リードギター)が中心となって結成されたバンド、オアシス(OASIS)だ。

そんなオアシスのフロントマンであるリアムがソロでの活動時期、2022年にイギリス『ネブワース・パーク』で行ったライブは、2日間で約17万人を動員し多くのファンに『リアム史上過去最高のライブ』と言わしめた。そんな伝説的ライブを収めたのが当記事で紹介する『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022(Liam Gallagher Live at Knebworth 22)』である。

リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022 / 劇場予告【WOWOW】

映像の幕開けを飾るのは、リアム自身が思いを吐露するインタールード。ヘリコプターの中からネブワースの光景を見下ろすリアムの姿は実に自然体、その表情に緊張の色はない。しかしオアシス全盛期に行われた1996年のネブワース公演から約26年ぶり、ソロとしてこの地に再び舞い戻ってきた興奮は隠し切れていない様子だ。

『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022(Liam Gallagher Live at Knebworth 22)』場面カット
広大な『ネブワース・パーク』の敷地
配給:WOWOW

「ロックに捧げた人生だ。求められればやるさ」
とは映像内のリアムのコメントだが、ここで大写しになるライブを心待ちにしていた大勢のファンの笑顔を見ると、ここまで世界中で愛されるシンガーは他にはいないのではないかと改めて思う。

本編の映像はいつしか、ライブ当日のイントロダクションへ。もはやおなじみとなったオアシスの『Fuckin’ in the Bushes』のSEと共に、ステージに降り立ったリアムは開口一番に「ネブワースに集まった!俺たちはひとつだ!」
と叫ぶ。

ライブの開幕を飾ったのは、オアシス時代の代表曲『Hello』である。これまでソロで何度も披露されてきた楽曲だが、驚くべきはリアムの喉のコンディションの良さ。バンドサウンドと大歓声の中心にあって、突き抜けるように聴こえてくるリアムの歌声は全てのファンが期待していた『Hello』を完璧なまでに披露してくれた。彼が唯一無二のボーカリストである事をあらためて実感する力強さだ。

【映画本編冒頭1曲特別公開!】リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022より"Hello"【WOWOW】
【映画本編冒頭1曲特別公開!】リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022より”Hello”【WOWOW】

ラスサビで歌われる『it’s good to be back(戻ってきて良かった)』は、この日が伝説のライブになることを示唆するように、どこまでも力強く鳴り響いている。

ライブフィルムとしての構成・見どころについて

かつて2023年にリリースされたライブアルバム『KNEBWORTH 22』ではこの公演が音源として記録され、多くのファンに届けられてはいた。ただ映像として本作を観ると、その感動を何倍にも体感する事ができた。

ステージ上のリアムらだけではなく、会場で号泣する人、ビール片手に歌いまくる人、発煙筒を掲げて踊る人、父親に肩車されながら楽しむ子どもなど……映し出されるファンの様子。日常生活で抑え込んだ気持ちが爆発するような、そんな興奮がそのまま伝わってくるのだ。

Liam Gallagher – Roll It Over (Live From Knebworth 22)
Liam Gallagher – Roll It Over (Live From Knebworth 22)

またライブを魅せるための工夫も随所に凝らされている。特に驚いたのは、どの曲も音が抜群に良いこと! バンドサウンドとリアムのボーカルが素晴らしい塩梅で調和し、画面越しにもかかわらず熱唱したくなる迫力を、ぜひとも体感してもらいたいところだ。

本作に収録されている楽曲は、オアシスとリアムのソロ楽曲を含めた計16曲。その全てで圧倒的に盛り上がっているのは言うまでもないが、曲中にはナレーションやカットが入ることもない。完全完璧なライブを体感できる構成になっている。

ライブ会場に行きたかった人がその場にいたように感じる事ができる。行った人はその日の追体験をする事ができる。そんなライブフィルムの完成形がここにある。100%現地と同じにはなれないが、劇場の大画面・大音量で楽しむ事で、その感動は何倍にも膨らむ事だろう。ファンの皆さんは期待していてよいのではないだろうか。


話をライブに戻そう。ソロ楽曲を続けて披露した後、おもむろに
「オアシスのファンはいるか?」
と問いかけるリアム。

そこから満を持して披露されたのは『Stand By Me』、『Roll It Over』、『Slide Away』という大合唱必至のオアシス・アンセム3連発だ!

Oasis – Stand By Me (Official Video)
Oasis – Stand By Me (Official Video)

ここで……往年の名曲を爆音で聴き、腕を挙げて踊りたくなっている自分にもハッと気付く。視聴している環境もあって、歌い出したくなる衝動を抑え、もどかしくもほぼ口パクで小さく口ずさむ時間もまた、至福のライブ体験と言えるかもしれない。

Liam Gallagher – More Power (Live From Knebworth 22)
Liam Gallagher – More Power (Live From Knebworth 22)

リアムのソロ曲の求心力も目を見張るものがあった。特筆すべきは、ソロ屈指のミディアムバラード曲たる『More Power』『Once』。圧倒的な厚みで奏でられるロックナンバーから一転、リアムのボーカルの魅力が際立つこれらの楽曲から感じたのは「俺の歌を聴け!」という彼の絶対的な自信だ。

『More Power』に至っては当時リリースから間もないタイミングだったにも関わらず、会場の大合唱がはっきりと聴こえる。さらにその時ファンが一丸となってリアムにとあるサプライズを行う一幕も。リアムが「マジで最高だ!」と感謝を述べる感動的な光景が映されているので、これもぜひ劇場で確認してほしい。

そして夜の帳が降りた後の後半戦。以降はなんと全曲がオアシス楽曲! 誰もが聴きたかったキラーチューンを出し惜しみなく披露する、至福の時間の到来だ。

Some Might Say』、『Cigarettes & Alcohol』、『Supersonic』……何度も我々が擦り切れるほど聴いた、思い出の楽曲ばかり。

Oasis – Cigarettes & Alcohol (Official HD Remastered Video)
Oasis – Cigarettes & Alcohol (Official HD Remastered Video)

個人的には「あの頃TSUTAYAで借りたなあ」「帰り道でよく聴いてたな」といった記憶が一気によみがえり、青春時代に戻ったような感覚に陥った。楽曲が記憶や景色を思い出させてくれる……音楽の素晴らしい面のひとつだ。

ここまでのライブ映像を観るとリアムは一見、順風満帆にも見えるだろう。だが思えばオアシス解散からソロ始動までのリアムの道のりは、困難の連続だった。ニコール・アップルトンとの離婚訴訟、精力的に活動する兄ノエルのソロバンドを横目になかなか軌道に乗らないリアムの新バンド、ビーディ・アイ……。思うように活動できない彼の日々は数年間も続いたとされ、一時はアルコールに依存し、自身の生きがいであったはずの音楽すらやめようと思った時期さえあったという。

しかし彼がこの時、ソロのリアム・ギャラガーとしてネブワースに立っているのは何より、彼が音楽を諦めずにいたからこそなのだ。

映画『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』予告編
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リアムが酔った勢いで楽曲熱唱!ネットで話題に!映画『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』本編映像
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Oasis – Wonderwall (Official Video)
Oasis – Wonderwall (Official Video)

そうした彼の過去を想うと、否が応にも涙腺が緩んでしまうのがオアシスの代表曲のひとつである『Wonderwall』のシーンだった。アコースティックギターのイントロが鳴り響き、歌唱に突入した瞬間に会場の誰もが一緒に歌い始める……。

そこでリアムは「ネブワース、歌ってくれ!」と叫ぶ。

『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』場面カット
『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』場面カット
配給:WOWOW

会場とステージが一体となって大合唱するシーンは、この日のライブ映像おけるハイライトシーンだろう。

なおこの楽曲の歌詞には《You’re Gonna Be The One That Saves Me(君は俺を救ってくれる)》という一節がある。リアムが音楽を諦めなかった果てに今があるというのは確かだが、彼を再生へと突き動かしたのは復活を待ち望んでいたファンの存在であることもまた事実。ゆえにこの公演はリアムのためでもあり、応援し続けてくれたファンのためでもあるのだと感じた。

ギャラガー兄弟がが母に捧げた歌だとされる『Live Forever』を終えると、速やかにステージを後にしたリアム。だが興奮は当然冷めることはない。ここでファンたちが歌い始めた名曲『Champagne Supernova』は徐々に広がっていきいつしか全員で大合唱に。

これがアンコールの呼び水となり、リアムは再びステージに登場。スペシャルゲストである元ザ・ストーン・ローゼズジョン・スクワイアを招いて、満を持しての『Champagne Supernova』が披露される!

『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』場面カット
配給:WOWOW
アンコールは『Champagne Supernova』『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』場面カット
配給:WOWOW
Liam Gallagher – Champagne Supernova (Live From Knebworth 22)
Liam Gallagher – Champagne Supernova (Live From Knebworth 22)

当時のリアムは、ライブの最終部に決まってこの楽曲を披露してきた。

リアムのどこまでも伸びていく歌声と、心地よい余韻が永遠に続くかのような名曲『Champagne Supernova』であるが、その歌詞は非常に抽象的で現在でもファンの間で複数の解釈が成されている。

そんな曲を聴きながらも、今は深く考えずリアムの声に自身の思いとイマジネーションを乗せて、ひたすらに心酔する。ただそれだけで良いのではないかと感じた。ライブが終幕して打ち上げられた美しい花火は、リアムの混迷も復活も、それらすべてを受け入れるように輝いていた。

収録セットリスト

  1. Hello *
  2. Wall of Glass
  3. Shockwave
  4. .Everything’s Electric
  5. Stand By Me *
  6. Roll It Over *
  7. Slide Away *
  8. More Power
  9. The River
  10. Once
  11. Some Might Say *
  12. Cigarettes & Alcohol *
  13. Supersonic *
  14. Wonderwall *
  15. Live Forever *
  16. Champagne Supernova *

* はオアシス楽曲

最後に

かつて兄ノエル・ギャラガーはインタビューで、「(1996年のネブワースでのリアムについて)歌い手リアム・ギャラガーのピークだ」と語っていた。それから20年以上が経過した2022年になってリアムがふたたび同じ場所で伝説と呼ばれるライブをするとは、誰もが予想し得なかったはずである。

今回のライブフィルム『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』はそんな絶好調なリアム・ギャラガーのエネルギーが渦巻く、凄まじい熱量を宿した作品となっている。そして最後まで長ったらしいMCは無く、(おそらく)一度も笑顔を見せずに『ファンがイメージする最強のリアム・ギャラガー』をまざまざと見せ付けてくれた。

この記事を読んでくださっている読者の方々もご存知の通り、リアムとノエルの兄弟ゲンカの果てに解散したオアシスは今年2025年、約16年の時を経て奇跡の再結成を果たしている。

ファン心理的にも、セットリストの大半をオアシス曲で固め、リアムにとって最も思い出深い会場であるネブワース公演の映画がこのタイミングで劇場上映される事には、とても大きな意義があると思う。オアシスが再結成を果たした今だからこそ、オアシスファン、ギャラガー兄弟のファン、Rockファン、そして音楽ファン……多くの人に観てほしい作品だ。

リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022

リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022 作品情報

  • 原題: Liam Gallagher Live at Knebworth 22
  • 公開日: 2022年10月17日(月)
  • 作品時間: 1時間20分
  • 原作者:
  • 監督: トビー・L
  • プロデューサー:
  • 脚本:
  • 制作会社:
  • 作品概要: 
    ロックバンド「オアシス」の元ボーカルであるリアム・ギャラガーが2022年6月に敢行したネブワース公演を追ったドキュメンタリー。
    【セットリスト】
    1.Hello
    2.Wall of Glass
    3.Shockwave
    4.Everything’s Electric
    5.Stand By Me
    6.Roll It Over
    7.Slide Away
    8.More Power
    9.The River
    10.Once
    11.Some Might Say
    12.Cigarettes & Alcohol
    13.Supersonic
    14.Wonderwall
    15.Live Forever
    En.Champagne Supernova*

ムビチケについて

お得な『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』のムビチケ前売券(オンライン)が現在、好評発売中です!この機会に、是非お買い求めください。

  • ムビチケ前売券(オンライン)
    ※カード券ではありません
  • 販売料金:2,300円(税込)
  • 販売期間:10月16日(木)23:59まで
  • 販売URL:https://ticket.moviewalker.jp/film/090119

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キタガワ

島根県在住、会社員兼音楽ライター。rockinon.com、KAI-YOU.netなどに音楽関係の記事を中心に執筆。毎日浴びるほど酒を飲みます。

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