Amazonオリジナル『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』故人との別れの大切さを描く 感動作品
Amazonオリジナル『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』故人との別れの大切さを描く 感動作品

Amazonオリジナル『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』故人との別れの大切さを描く 感動作品 思わず号泣……

評価:4 

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海外で亡くなった遺体を遺族のもとへ送り届ける国際霊柩送還士を描いた、米倉涼子主演のAmazonオリジナル・ドラマシリーズ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』。

死を扱うスペシャリストの姿を描く本作ですが、秀逸な脚本と展開の妙、そして心をうつストーリーに涙なしでは観られませんでした。当記事では極力ネタバレを避けて、ご紹介しています。

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『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』故人との別れの大切さを描く Amazonオリジナルドラマシリーズ

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』予告編|プライムビデオ
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』予告編|プライムビデオ

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』は佐々涼子の同名のノンフィクション小説(2012年に刊行)を原作としたドラマシリーズ。実に11年の歳月を経た2023年3月17日(金)にAmazonオリジナル・ドラマシリーズとして世界同時独占配信を開始しました。

あらすじ

主演 米倉涼子×脚本 古沢良太! 海外で亡くなった人の遺体を国境を越えて遺族に送り届ける、実在するスペシャリストの物語。羽田空港にある“エンジェルハース”という会社には、シングルマザーの剛腕社長・伊沢那美(米倉涼子)と強面の会長・柏木(遠藤憲一)を中心に、新入社員の凛子(松本穂香)、マニアックな柊(城田優)、チャラい元ヤンの矢野(矢本悠馬)、噂好きなみのり(野呂佳代)、温厚だが得体の知れない田ノ下(徳井優)などクセのある社員たちが勢揃い。亡くなった人と残された家族の間でくり広げられる愛の物語を、涙と笑いで描く感動のエンターテインメント&ヒューマンドラマ。

  • 配信日: 3月17日(金)
  • キャスト: 米倉涼子、 松本穂香、 遠藤憲一、 向井理、城田優、 矢本悠馬、野呂佳代、徳井優、草刈民代、ほか
  • 原作: 佐々涼子「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(集英社文庫刊)
  • 脚本:古沢良太 香坂隆史
  • 音楽:遠藤浩二
  • 監督:堀切園健太郎
  • 制作:NHKエンタープライズ

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』レビュー

本作はドラマシリーズのシーズン1として6話まで公開されていますが、個人的な感想をひと言で表すなら『素晴らしかった』につきるでしょう。

一話完結の構成ながら凛子と母親の確執や那美の過去など、軸となる物語がシーズンを通して描かれます。海外で亡くなるという異例のケースを扱い、故人の物語と遺族の葛藤、後悔を丁寧に描いています。

驚いてしまう意外な展開も多く、最後まで全く飽きることなく完走してしまいました。筆者は各エピソードで号泣してしまい、箱ティッシュを常に手元に置いて観ていたほど。涙腺が緩い方は覚悟して観てたほうが良いかも……特にエピソード3と、エピソード6は号泣必至です。

練り込まれた緻密な脚本が秀逸で、登場人物のキャラクター設定もおもしろい。移民、テロといった社会問題にも切り込みながらも、重くなり過ぎないように笑える場面セリフが多いのも魅力です。

あえて難点を挙げるとすればエピソード1からエピソード2にかけての『どたばたコメディ風』の展開が本作全体の雰囲気にマッチしていなかったことでしょうか。ドラマ内で自然に笑える箇所がたくさんあるため、あの部分は無くてもよかったのでは……と感じます。

とはいえ、総合的には素晴らしい作品であることには変わりありません。繰り返しになりますが、観るときにはティッシュやハンカチの用意をお忘れなく。

国際霊柩送還士という仕事について

恥ずかしながら筆者は本作を観るまで、『国際霊柩送還士』という仕事があることを知りませんでした。

日本国外で亡くなった方を日本へ移送し遺族の元へ送り届け、亡骸を生前のようにきれいに整える遺体処置の作業も担うようです。海外出張する葬儀屋さんとも言えますが、海外移送には想像以上のトラブルがつきまとい、思いがけない問題に対処する能力も問われるハードな仕事。

外国で亡くなる場合はテロや事故などのアクシデントが多く、突然の死を受け入れられない遺族の心にも寄り添う必要があります。精神的にも肉体的にもきつい仕事をこなすと同時に、遺族が故人ときちんとお別れをできるように尽力する姿に胸を打たれるはずです。

米倉涼子演じる『那美』という人物

エンジェル・ハースト社の社長の伊沢那美は遠慮のない言動が目立つので誤解されがちですが、実は社員のことをよく観察して”いざ”というときはきちんと心に寄り添う人物。故人を敬い、遺族がきちんとお別れを言えるようにすることをモットーにしています。

故人と遺族の体面を完璧なものにしようと奔走するブレない仕事振りは、部下や会社全体の社風にも影響していることが分かります。そんな那美の仕事に対する姿勢は、大切な人と別れを言えないまま長い月日が経ってしまった自身の過去に影響しており、会社のオンコール用携帯電話を肌身離さず持ち歩いているのもそのためです。

いまだに心の整理がつかない虚しさを、他の遺族に絶対に味あわせてはいけないという強い思いが伝わってきます。

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』5分でわかる『エンジェルフライト』|プライムビデオ
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』5分でわかる『エンジェルフライト』|プライムビデオ

松本穂香演じる『凛子』と『母の確執、そして成長

ドラマでは凛子の母親に向けて語る独り言が、ナレーションのような役割を果たしています。その内容からは親子関係がよくないことはが想像でき、シーズンを通して凛子の母親へのトラウマともいえる関係が描かれているのも見どころです。

凛子は最初葬儀屋の仕事が好きではなかったものの、仕事を通してやりがいと意味を見出し人間的にも成長していくことに。死を恐れず、しっかりと向き合うことで凛子のなかで何かが変わり、母親をも受け入れ向き合えるようになっていきます。

孤独だった凛子が信頼できる仲間と出会い、自分の居場所を見つけていく過程も素敵です。最終話の凛子と母親の物語はほろ苦いながらも感動的で、涙なしでは観られません。

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』凛子の“クセ強”社員紹介|プライムビデオ
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』凛子の“クセ強”社員紹介|プライムビデオ

おわりに

どのエピソードも涙を誘う感動的な内容で、捨て回なしの見事な仕上がりのシリーズでした。直球で心に訴えかける素晴らしいストーリーに感動してしまうはず。前述した『序盤のコメディ展開』だけは、個人的にややマイナス・ポイントですが……。

決してお涙頂戴的な展開ではなく、ときに笑いを交えながらも『死と向き合う姿』を温かい視点で描いています。見応えのあるヒューマン・ドラマが好きな方に、ぜひ観てほしいおすすめ作品です。

ストーリー ★★★★★(5)
1話完結の構成で故人と遺族の物語を感動的に描き、1話で複数の物語が同時進行するため飽きることなく最後まで観進めることができる。那美と凛子の主軸になる物語をシーズンを通して描いていて、登場人物に共感しやすい。
キャラクター ★★★☆(3.5)
強烈キャラの那美と大人しい凛子の対比がちょうどいい。他の同僚のキャラ立ちもよく、各キャラの性格を自然な笑いとしてストーリーに取り入れている。那美と凛子だけでなく、他のキャラの物語ももう少し語られていれば。
エンタメ性 ★★★☆(3.5)
各ストーリーで違う国が登場するため、各話で異なる雰囲気を楽しめる。葬儀屋が舞台のため華やかさはないが、死というテーマを扱っている割にストーリーはエンタメ性のある仕上がり。
感動 ★★★★★(5)
各エピソードで号泣ポイントが用意されていて、涙腺が弱い人はティッシュの用意が必要。お涙頂戴的なくさい感じはなく、心の奥深くに刺さる温かみのある清らかな感動を味わえる。 
総合評価 ★★★★(4)
ものすごく泣きたいドラマが観たいときにイチ押しの作品。ストーリーが素晴らしく、最後まで全く飽きることなく完走できる感動ドラマ。次シーズンも絶対に観たいと思える作品です。
エンジェルフライト 国際霊柩送還士のレビュー
(最大星5つ/0.5刻み/9段階評価)
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』一問一答|プライムビデオ
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』一問一答|プライムビデオ
Amazonオリジナル『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』故人との別れの大切さを描く 感動作品

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オーストラリア在住の在宅ライター。2児の子育て中で料理が得意、フリータイムは大好きな海外ドラマ鑑賞に費やしています。 海外ドラマの記事を中心に執筆。ブログで海外ドラマの情報を発信中です。 ご希望リンク先

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