microSDをSDに、SDをCFカードに。フラッシュメモリの変換アダプターについて。転送速度に影響は?

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昨今、スマートフォンやゲーム機に利用するmicroSDカードを購入すると、SDカードに変換するアダプターが付属する場合が多いですね。

デジタルカメラなどではSDカードを利用する事も多いですが、販売価格によっては、SDカードアダプター付きのマイクロSDを買った方が安い時などもありますね。

SDアダプター付きのMicroSDを買っておけば、どっちの規格の機器にも使えるし、PCなどで読み込む時にも便利なので、何なら「普通のSDカード買う必要ないんじゃないか」なんて思う反面、「もしかしたらアダプターを使うと転送速度が遅くなったりするんでしょ?電気抵抗とかそんなので」なんて事を考えた事はないでしょうか。

私はあります。心配性なのです。

原理的にはマイクロSDの接点に流れる電気信号を伝えているだけなので「大して変わらないよ説」と、余計な部分の影響で「接点があればあるだけなんとなく遅くなりそう」という想いが交錯して夜も寝れなくなってしまいましたので、microSD⇔SDカードアダプターの有無で転送速度が変わるかどうかを検証してみましょう。


microSDを買うと付属する場合があるSDカードアダプター。

高速UHS-1 U3 microSDを使ってベンチマーク

Xtreem Micro SDXC UHS-I U3(32GB)

使用したmicro SDは『Xtreem Micro SDXC UHS-I U3(32GB)』。

当サイトでは度々検証に利用しているTEAMジャパンの高速転送がウリのこちら。
せっかくの高速モデルが、アダプターによって低速化してしまったらもったいない。アダプターをつけても性能は変わらないといいな~と期待しつつ、いざチェック!!

ベンチマークを計測するツールは『CrystalDiskMark Shizuku Edition』(http://crystalmark.info/)。
当サイトで毎度お世話になっている雫ちゃんに、今回も登場していただきましょう。

そして、ベンチマークにあたって、メモリーをPCに認識させるために使用するデバイスはUSB3.0対応の マルチメモリカードリーダー。microSDやSD、CFなど、さまざまなメモリーをPCにマウントできるアイテムも高速USB3.0対応のものを利用します。

USB3.0対応のカードリーダーについてはこちらの記事もご欄ください。この手のアイテムはひとつ持っていると便利ですね。


以上の構成で同一PCの同一環境下にて計測してみます。

マイクロSD『Xtreem Micro SDXC UHS-I U3』→USB3.0カードリーダ 接続での速度

マイクロSDカード『Xtreem Micro SDXC UHS-I U3』→USB3.0カードリーダ 接続でのベンチマーク結果速度

マイクロSDカード『Xtreem Micro SDXC UHS-I U3』+同製品付属SDアダプター→USB3.0カードリーダ 接続での速度

マイクロSDカード『Xtreem Micro SDXC UHS-I U3』+同製品付属SDアダプター→USB3.0カードリーダ 接続でのベンチマーク結果速度

結果……若干の影響は有り。
ただ体感にはあまり影響ないど変わらない!?

ベンチマーク検証した結果、若干遅くなりますが、ほぼ誤差といっていい程度のほとんど変化でした。

コンマ何秒が命取り!という状況下でなければ、速度に関してはアダプターをつけてもつけなくても、体感では殆ど変化を感じないでしょう。

となれば、多くのデバイスで使えるSDカード付きのマイクロSDを購入したほうがお得感は高いですね。

実売価格としても、同一モデルで『MicroSD+SDカードアダプタ付』と『MicroSD単体』のモデルが有る場合、後者の方が若干安い傾向があるようですが、汎用性や取り扱いのしやすさを考えるならスマートフォンやデジカメ用にメモリーカードが欲しいと思っている人は、マイクロSD+アダプター付の製品を購入した方が良いかもしれないですね。

多くのメーカーがSDカードアタプターを標準付属させているのもそういった需要からなのかもしれません。

SDカードアダプタの有無によるベンチマーク結果 グラフで確認マイクロSD→CFカード変換アダプターもチェック!

マイクロSD→CFに変換アダプター


マイクロSDアダプターの検証を行ったついでに、一歩踏み込んだ機器で追加検証してみましょう。

こちらはSDカードをCF(コンパクトフラッシュ)規格に変換できるアダプター『MATECH SD TO TYPE II CF CARD ADAPTER(CFカード Type II 高速 変換 アダプタ)』です。

CFカードはデジタル一眼レフカメラでよく使用されるメディアです。

マイクロSDやSDよりも高価なので、大容量を購入しようとすると中々お財布への負担が高いアイテムですが、データ保全性という側面からプロユースで信頼の高い規格です。

今回はこんな形で
マイクロSD>SDカードアダプター>CFカードアタプター
という状態での検証をしてみましょう。う~んマトリョーシカ。

マトリョーシカ スタイル フラッシュメモリーのベンチマーク結果

以上の注意点を踏まえて、マトリョーシカ・スタイルの(命名)ベンチマークの結果を発表。おねがい! 雫ちゃん!!!

今回も雫ちゃんはかわいい。

マイクロSD→SDだけの時とちがい今回のマトリョーシカアダプター編成では結構「遅くなる」という結果に。

しかも連続領域の読み込みと書き込みは、モーレツに遅く、従来の半分以下の速度に低下。※ランダム書き込みだけは若干高速化しているが、元の数値とほとんど変わらないので体感はしないでしょう。

ベンチマークの結果を踏まえて、恐る恐る実機で使ってみた感想としては、多少もたつく感じはするが『EOS 5D Mark2』では使用できた。写真はもちろん、動画撮影も行えました

高価な大容量CFカードを用意しなくても、安価な価格帯のマイクロSD&SDカードアダプタを組み合わせて、マトリョーシカスタイルでの大量&長時間録画が可能にはなりそうです。

ただし、ちょっと色々と突っ込みどころが多い構成ですし、メーカーは推奨していないのでビクビクしながら使うことになり、精神的にはあまりよろしくないかもしれません。

とはいえ、マイクロSDならばコンビニでも購入できる事も多く、旅行先でメモリーがいっぱいになったときの保険には使えますね。ご利用はくれぐれも自己責任で……どうしてもメディア容量が足りない時の予備&代替手段として位の運用がよいかもしれません。

『EOS 5D Mark2』の撮影可能動画ファイルの限界である「12分」まで、しっかり記録できていた。

補足 メーカー非公認のアダプターを使うときの注意事項!!!!

今回記載したマトリョーシカ・スタイルは相応のメリットがありますが注意点をふたつ記載しておきます十分ご注意を。

まず、上記検証で利用した『MATECH SD TO TYPE II CF CARD ADAPTER』は「CF Type II」なので、通常のCF(Type I)よりも厚みがあります。

CF Type1とCF Type2 厚みの差

CF Type I :厚さ3.3mm
CF Type II:厚さ5.0mm

そのため、「CF Type I」しか使えない機器には、どうがんばっても使用できません。

神様にお願いしても、明日から毎日親孝行をしても使用できない。

ダメなものはダメなのだ。

使いたいと思っている人は、アダプターを購入する前に自分の持っている機器をしっかり調べておきましょう。

ちなみにとても個人的な状況ですが、キヤノンのデジタル一眼『EOS 5D Mark2』では使用できたが、『EOS 5D Mark3』では使用できませんでした。
確かにキヤノンの公式サイトには「CFカード(タイプI準拠)」ときちんと書かれていた。……書かれていたのだった。
http://cweb.canon.jp/eos/lineup/5dmk3/spec.html

EOS 5D Mark2のCFスロットにはしっかり入る。ただしギリギリ!

そしてもうひとつの注意点は、CFカードしか動作認証をしていない一眼レフカメラに、今回のようにアダプターを使うのは、相応の割り切りが必要、という点。

検証用に使った『EOS 5D Mark2』では撮影可能でしたが、他の機器や使用中に記録できなくなる可能性はゼロではない。前述のように、あくまで緊急や保険といった運用であれば良いですが、お仕事や大事なライフイベントの撮影のときはメーカーが推奨するCFカードを正しく使いましょう。という点です。

ライフハックには相応のリスクが伴いますよ、という事ですね。

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佐藤ポン

PC雑誌出版社に勤めたのをきっかけに、退社後もパソコン誌やWebなどでガジェット、ソフトウェア、ゲームなどの記事を寄稿し続けている秋葉原系フリーライター。現在は趣味のアニメ/声優の記事も執筆中。

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