ケヅメリクガメと20年を暮らして。爬虫類の飼育と病院選びは大変だ!

執筆: 藤井洋子 アイコン 藤井洋子

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ペットを飼っている人なら、遅かれ早かれ動物病院のお世話になる事があるかと思います。

実は、動物病院は人間の病院よりもアタリ・ハズレの差が大きいと言われるのですが、真っ当な飼い主からしたら我が子も同然のペットをうっかり『ハズレ』に連れて行ってしまうなんて事は避けたい所。

特に、犬や猫以外のペット、中でもエキゾチックアニマルと呼ばれるペットの飼い主にとっては、更に事情が異なります。『ハズレ』を掴みたくない気持ちはもちろん同じなのですが、そもそも診てくれる病院が少ないのです。

そんな訳で今回は、20年を共に過ごす私のペット『ケヅメリクガメ』と、その病院探しや診断に関して苦労したアレコレをお伝えしてみたいと思います。

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私のペットご紹介

私のペットはケヅメリクガメです。

飼育開始時のカメ。この時は手のひらサイズで、まさにカメノコダワシのようだった。ここから20年ほどで持ち上げるのも困難な大きさに成長しました。

このケヅメリクガメは、それほどマイナーなペットではありません。国内繁殖された個体がペットショップで売っているし、販売されている値段も血統書付きの犬猫達に比べればかなりリーズナブル。

だがしかし、それこそが問題だという指摘もあります。というのも、ペットショップで売っている時には上の写真のように手のひらに収まる小さなサイズなのですが、最終的には室内で飼えないサイズにまで成長するからです。

しかも、ご想像がつくかもしれませんがカメだけに寿命が30年以上、と非常に長いのです。

ケヅメリクガメ
砂漠の周辺やサバンナに生息する。最大甲長83センチメートル。食性は植物食で、主にイネ科の植物、多肉植物を食べるが、草、低木の葉、花、果実なども食べる。飼育下でも甲長50cm以上と大型化し、リクガメとしては非常に活動的。

引用:Wikipedia ケヅメリクガメ

スペースの問題を抜きにすれば、比較的丈夫で飼い易いペットだと思います。だからこそ成長して大きくなった子を持て余す人が多い、というのが問題になっている訳です。

飼い始めて2年でこのサイズ。甲羅に置いたSalemのデザインが時代を感じますね。

カメの不調と17年前の爬虫類病院事情

さて、そんな諸々の事情はともかく、私はこの子と長く暮らし続けています。

そこで問題になってくるのが、カメを診てくれる病院は少ない、という点。東京在住の私ですら苦労するのですが、知人によると地方にはほとんどないと聞きます。それでも飼い始めた20年前に比べれば随分増えたと思いますが、犬猫達のように病院を評判で選べるような状況ではない、という現状です。

犬・猫・フェレット以外は院長しか診られない

私とケヅメリクガメが最初に病院に行ったのは、飼い始めて3年目の頃でした。

カメが急に吐き、食欲もなく、慌てて病院を探しました。当時は2001年頃、今のようにインターネットに情報が溢れている時代ではなかったので、カメをお迎えする時にお世話になったペットショップに紹介して貰いました。

ペットショップが紹介してくれたのは、某有名病院でしたが、電話を掛けると受付の方に

「犬・猫・フェレット以外は院長しか診られないので、予約を取ってください。」

と案内されました。
そして予約可能日を聞くと、「1週間後」との返事が。

カメの具合が悪い事はしっかりと伝えたつもりなのに『1週間後』という事務的な対応に、当時の私はつい感情的になってしまった事を覚えています。

『飼い主にとってペットは子供同然。子供の具合が悪い時に、1週間待ってから病院に行く親がいるでしょうか。いるとしたら幼児虐待です。1週間待って死んだらどうするの!!』

……とまで言ったかはあやふやですが、今思い出してもこの件はとても残念でした。

※余談ですがこの病院は現在、爬虫類の診察を行っていないそうです。

私はその後、エキゾチックアニマルを扱っている事で有名な別のペットショップに電話を掛け、事情を話し別の病院を2軒教えてもらえました。そのうち1軒はペットショップの『掛かり付け』との事でしたが、残念ながら当時の私の家(板橋区)からは遠い場所にありました。もう1軒は私の家から比較的近かったのですが、開業したばかりなのでペットショップの方も『評判は判らない』との事。

私は後者を選びました。

爬虫類専門の動物病院『レプタイルクリニック』

当時電話で問い合わせた所、獣医師さん本人に電話「すぐに来られますか?」仰っていただきました。閉院時間も近い頃だったのですが「いらっしゃるなら、お待ちしますよ。」と言っていただき「行きます!」と即答しました。

この時の病院が、現在その筋では有名になった東京・御茶ノ水にある爬虫類専門の動物病院『レプタイルクリニック』です。

診断結果と費用について

レントゲンを撮ってもらった所(よく訊かれるのですが、甲羅があってもレントゲンは撮れます)診断結果は『消化不良』。

カメは人間と違い、腸にガスが溜まっても腹が膨れる事がないそうです。膨れようにも硬い甲羅に覆われた身体で阻止されてしまう、と。うちのカメの場合、ガスが溜まった腸が肺を圧迫し、呼吸が苦しくなっている状態との事でした。

そこで整腸剤の投与と点滴が決まり、カメは1週間ほど入院となりました。

当時の自分のメモを見ると、入院費と薬代レントゲン撮影費で、4万5千円ほど掛かった、と書かれています。

この値段が高いかというと、良心的だと思います。

ペットを飼っている方なら分かると思いますが、何せ人間と違って健康保険がないので、動物病院は金がかかるものなのです。最近ではペット保険なるものも存在していますが使える病院が限られているし、試しに聞いてみたら、『爬虫類はそもそも受け付けていない』と断られました。

その後もレプタイルクリニックには何度かお世話になっています。

何せ丈夫なケヅメリクガメなので、病気こそしませんでしたが、成長期(カメにも成長期があります)にカルシウム剤を貰いに行ったり、不注意で誤食してしまったりと、思えば色々ありました……。

カメを病院に連れていく事の大変さ

飼い始めて7年目か8年目だったと思いますが、この時、不注意でちょっと目を離した隙にカメが雑巾を食べてしまいました。ケヅメリクガメは食欲が取り柄なので、誤食は割に多く、飼い主の注意力が欠かせないのですが、当時の私にはそれが足りていませんでした(反省)。

既に我がカメはかなり大きく・重くなっていて、小さめの衣装ケースにギリギリ入る位になっていました。甲長(カメは手足が引っ込むので、甲羅の長さで計ります)が45cmほどでしょうか。体重はもう覚えていませんが、歯を食いしばらないと階段を登れない位の重さだったのは確かです。

レプタイルクリニックはビルの2階にあり、エレベーターはあるのですが、通常2階には止まりません。

必死の形相で運んできた私を見るに見かねたのか、帰りは先生が特別にスイッチを切り替えて、エレベーターに乗せていただきました。特例という事ですので、当時大変助かりました、本当にありがとうございました。

その時「もうこのサイズだと、連れて来るのは大変だろうから、病気にさせないようにしてください」と言われました。本当にその通り、と心から思いました。

そして、幸いにしてその後カメは病気をせず、私は板橋区からもう少し郊外に引っ越す事になりました。

更に時は経ち、更に大きくなったケヅメリクガメ

再び病院問題が浮上したのは、2年前です。

ある日、カメにエサをやっていたら、口の中に黒い斑点がある事に気付いたのです。

黒い斑点を発見したときの写真

最初は汚れか食べカスかと思っていたのですが、1週間経っても消えず、気になって『カメの家庭医学』(レプタイルクリニックの先生が書かれた本。愛読書です)などを調べてみましたが、載っていません。インターネット検索でも該当する症例がヒットせず、心配性の飼い主としては不安が募りました。

病院で診て貰うしかない、と決心したものの、問題はどこに行くかです。この頃にはレプタイルクリニックはすっかり有名病院となっていましたが、場所は変わらず御茶ノ水のビルの2階で、場所がら駐車場もありません。

一方、うちのカメは既に体重30kgを超えていました。移動にはキャンプ用の大きなキャリーカートを使うしかなく、このキャリーはビルのエレベーターにも入るとは思えませんし、何度も特例でご迷惑をおかけするのも気が引けました。

こんな時こそ、インターネットです。

検索すると、カメの医学界(?)では、レプタイルクリニックと双璧と呼ばれるほど評判が良い田園調布動物病院という病院の情報にもたどり着きましたが、田園調布も私の家からは遠すぎます。
(都内とは言え郊外の市部。体重30kgオーバーのカメを連れて移動するのは厳しい距離なのです)

カメは重い!

さらに悩み、諸状況を含めて調べぬいた末に選んだのは吉祥寺どうぶつ病院でした。

まずは電話を掛けて、カメの種類とサイズを伝えます。

実はこの「サイズを伝える」というのが案外重要で、カメは診察OKでも、極端に大きすぎるものは扱わない、という病院もあるのですが、幸いにして吉祥寺どうぶつ病院はOKとの事で、無事に予約が取れました。

診察当日は、ライトバンタイプのレンタカーを借り、オムツ……ペットシーツをガムテープで止めたもの(笑)を装着させたカメをカートに入れ、出発。

車に乗せるのも、大人2人掛かりの作業です。夏だったので保温の心配が要らなかったのが、不幸中の幸いでした。私達は汗だくですが。

頭が引っ込むので診察が大変

今回は、肝心の診察段階でまたしてもカメ特有の問題が発生します。

今回の患部は口の中ですので、当たり前ですが、口を開けなくては先生も診断ができません。しかし、カメは頭が引っ込むのです。エサで釣ると(くり返しますが、ケヅメリクガメは食欲が取り柄)一度は首を伸ばして口を開けたものの、先生の管子がかすった途端に「シューッ!」と威嚇音を出して首を引っ込め、二度と首を出そうとしませんでした。

カメはちからも強い

ここでサイズの問題が再び浮上します。

小さなカメであれば、人間側が力づくで押さえる……というのも出来なくはないのです。その場合は前脚を引っ張って無理矢理首を出させます。

しかし、うちのカメは30kgを超えており、このサイズだと人間の方が力負けするのです。

カメは麻酔が掛かりにくく覚めにくい

しばらく待ってみましたが、カメの首は引っ込んだまま。

仕方なく麻酔を掛けて診察する事になりました。この時まで知りませんでしたが、カメというものは麻酔が掛かりにくく覚めやすいそうです。

多分、代謝があまり良くないという事なのでしょうか。ともかく、麻酔を掛けて検査するなら、一晩入院になるそうです。

「そこまでして検査するかどうかは、考えて決めていただいて構いません。」

との事でしたが、私は検査をお願いしました。分からないまま不安を抱えているよりは、検査していただいた方が気分的に楽ですからね。

麻酔の本数と金額

病院が確認をしたのは、検査すると割と高額になるから、というのも理由のひとつだと思います。

まず、麻酔に備えて体重を量ったところ、なんと54kgにも成長していたのでした。

30kgを超えてからは、抱いて体重計に乗せる事ができなかったので、ここ何年も体重を量っていなかった為、更にビックリしました。そして54kgのカメには1本2000円の麻酔が5本必要との事で、計1万円になります。

出費は覚悟していたので驚きませんでしたが、カメに麻酔を掛けるのは初めてですし、その量に動揺していたのか、

「初めてなので気を付けてください。」

などと余計な事を言う私(汗)。

しかし、病院のスタッフさんは動揺する飼い主にも慣れているのか、「よく見ながら麻酔しますし、意識を失うほどは掛けないので、大丈夫ですよ。」と優しく答えてくれました。

……ちなみに、5本打っても意識を失わないという事は、意識を失わせるためには何本打つ必要があるんだろう、更にカメの体力(?)について謎が深まったのも覚えています。

検査結果!

そんな訳で移動や麻酔に手間取った今回の診断は、結果としては大事ではありませんでした。

入院させた当日の夜に電話があり、先生いわく「カサブタでした」と……。

麻酔を掛けて、例の黒い部分を取ってみたところ、ただのカサブタだったそうです。「何か硬いものを噛んで、口の中が傷ついたんでしょう。しばらくすれば消えます」と言われ、安堵しました。

翌日、麻酔の切れたカメを迎えに行き、剥がしたカサブタのホルマリン漬けとガラス板に乗せた細胞を貰いました。『もし何か異変があった場合は、これを持参すると病理検査に出せる』そうです。

異変が起こらなかったので、それらはそのまま家に保管してあります。

そんな訳で、今回は大事には至らず、キャンプ用キャリーに乗せて無事帰ってきました。

病院から帰ってきたカメの写真

入れているキャリーはアウトドア用の大型のもの。横に立つ私の足と比べるとサイズが分かるでしょうか。身動きできないほどみっちり入ってますが、この方がカメは暴れないのです。

成長したカメと病院選びのポイント

大山鳴動して鼠一匹、を地で行く展開でしたが、この一件は割と勉強になりました。

病院選びは重要だが、運搬手段も重要だという事。

なにせ、病院送迎後の私は満身創痍だったのです。

54kgのカメを持ち上げたので全身が筋肉痛で、カメをカートから出す際に支えた膝と腿には青痣が多数、同じくカメをカートから出す際に擦った腕と指の皮がすこし剥け、思い当たる節は特にありませんが脛にも痣が出来ていました。

この時も十分に大変でしたが、問題はここで終わりではありません。

爬虫類は生きている限り成長するので、うちのカメは今後も確実に少しずつ体重を増やしていくのです。この分だと、次に病院に行く時には便利屋さんでも呼ばなくてはならないかもしれません。

病院に行かずに済むのが一番ですが、そうはいかない事もあるでしょう、きっと。

そんな万が一に備え、私は現在、便利屋と更に大きなサイズのカートのリサーチに余念がありません。

まとめ

そんな訳で、今回は今なお我が家の庭で呑気に這いずり回っているケヅメリクガメのご紹介と、その病院探しや運搬が大変だよ……というお話でした。ペットを飼うという事は、もちろん種類に依らず大変な事だとは思いますが、長寿のカメを飼う、という事の特殊性も少しは伝われば幸いです。

あ、ちなみにその後もカメは元気で、カサブタは跡形もなく消えました。

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コメント

  1. ガメラ より:

    こんばんは。カサブタの写真を見たところ、メスですか?私もメスのケヅメを飼っていますが、推定年齢16,7歳ほどなのに、まだ卵を産みません。後ろ足で地面を掘るような仕草を見せることは、たまにあるのですが。藤井様のケヅメさんは、繁殖の方はどうですか?